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むブ物語刀断寓話ファンタゞヌ小説猫埁第十九話


    ニむアスの䞭心広堎に、倧きな看板が掲げられた。

    『人材募集』

    看板を蚭眮し終えたアトラのもずぞ、呚囲にいた䜏人たちが次々ず集たっおくる。

    思いのほか早い反応に、アトラは少し驚いたように目を䞞くした。

    「ちょ、ちょっず埅っお。順番に説明するから」

    ざわめく人々を萜ち着かせるず、アトラは看板の前に立った。

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    猫から始たる䞖界埁服 第十九話


    「ニむアスでは、急に䜏人が増えたでしょう」

    集たった人々を芋回しながら、アトラは説明を始める。

    「それで、やらなきゃいけないこずも䞀気に増えたの。だから、䞀緒に働いおくれる人を募集するこずにしたのよ」

    アトラの綺麗な尻尟が、ゆらりず揺れた。

    するず、集たっおいた若いヒュヌマンの女性が、おずおずず手を䞊げる。

    「獣人しか採甚されないんですか」

    「倧䞈倫」

    アトラはすぐに答えた。

    「この前決たったニむアス基本法にもあるずおり、ここでは獣人もヒュヌマンも同じ。やる気ず胜力があれば問題ないわ」

    その蚀葉に、呚囲から安堵の声が挏れる。

    今床は、別の獣人の男性が手を䞊げた。

    「絊金  お金はもらえるんですか」

    「もちろん」

    アトラが笑う。

    「仕事の内容によっお違うけど、ちゃんず報酬は出たす」

    その瞬間、䜏人たちの間から歓声が䞊がった。

    さらに、矀衆の倖れにいた男が声を䞊げる。

    「自分たちで仕事を始めおもいいのか」

    アトラは少し考え、銖を傟けた。

    「仕事の皮類によるわね」

    そしお、すぐに続ける。

    「よっぜど倉なこずじゃなければ、自分で商売を始めおも構わないわ。ただし、䜕をするのか届け出だけは出しおね」

    人々の間に、再びざわめきが広がった。

    「詳しい募集内容は、明日たた看板を出すから。それを確認しお」

    そう蚀い残すず、アトラは黒の通ぞ向かっお歩き始めた。

    その背埌では早くも、

    「俺、建築ならできるぞ」

    「料理でもいいのか」

    「商売を始めるなら、䜕がいいかな」

    そんな声が、あちこちから聞こえ始めおいた。

    

    黒の通。

    長机の䞊には、䜕枚もの報告曞ず組織案が䞊べられおいた。

    「軍備の拡匵ず配眮は順調です」

    テむルが手元の曞類ぞ目を萜ずしながら話す。

    「これたで䜕ずなく決めおいた圹割に぀いおも、組織ごずに敎理しお、新しい枠組みを蚭けるこずにしたした」

    そう蚀っお、テむルは䞀枚の玙を机の䞭倮ぞ眮いた。

    「たず、この黒の通を䞭倮政庁ずしたす」

    ワンが眉を䞊げる。

    「䞭倮政庁」

    「はい。軍事、立法、行政の䞭心です」

    テむルはさらりず続けた。

    「あっ、ワン。あなたがその代衚です」

    「  俺が」

    ワンが目を䞞くする。

    むフずロりは圓然ずいう顔で頷き、ラビは呆れたように肩をすくめた。

    「別に、偉そうにしろっお話じゃない」

    ラビが口を挟む。

    「でも、誰か䞀人がたずめるなら、あんたしかいないだろ」

    呚囲の者たちも頷く。

    ワンは少し困ったように頭を掻いた。

    「それで、䞭倮政庁の䞋に――」

    テむルは次の曞類を取り出す。

    「軍務省、財務省、内務省、倖務省、教育省、開発省、亀易省  」

    途䞭で、テむルの声が止たった。

    ワンを芋る。

    ワンは明らかに退屈そうな顔をしおいた。

    「  聞いおたす」

    「聞いおる」

    䞀拍眮いお、ワンが続ける。

    「でも、そこたで立掟な名前にする必芁あるのか」

    「ず、蚀いたすず」

    「戊争係ずか、商人係じゃダメなのか」

    ラビが吹き出しそうになる。

    むフは口元を抌さえながら笑った。

    「ワン様。こういうものは、呌び名も倧切なのです」

    「そうなのか」

    「そうです。それに、人が増えれば、そのぶん決たり事も必芁になりたす」

    ワンは玍埗したような、しおいないような顔で頷いた。

    ちなみに、軍務省ず呌ばれおいる組織も、今のずころ正匏な職員は数えるほどしかいない。

    名前だけは立掟だった。

    「たあ、そのあたりはテむルに任せる」

    「最初から、その぀もりでしょう」

    テむルが小さくため息を吐く。

    するず、その隣から聞き慣れた声がした。

    「黒獅子の旊那には、座り心地のいい怅子の話より、今日の飯の話の方がよろしいやろ」

    い぀の間にか、モフが立っおいた。

    ワンがそちらを芋る。

    「モフ。い぀からいた」

    「぀い今しがたですわ」

    そう蚀っお、モフは倧量の曞類を机の䞊ぞ積み䞊げた。

    どさり。

    小さな山ができる。

    「これは」

    「うちのモヌキフ商䌚ず、ニむアスさんずの間で亀わす契玄曞です」

    モフは、そのうちの䞀枚を指で叩いた。

    「詳しい䞭身は、もうテむルさんが確認しおたす」

    「そうなのか」

    「確認枈みです」

    テむルが即答する。

    モフはにやりず笑った。

    「ですから黒獅子の旊那は、ここに眲名をお願いしたすわ」

    ワンが窓の倖ぞ目を向ける。

    黒の通の前には、モヌキフ商䌚の銬車が䜕台も䞊んでいた。

    荷台には、倧量の食料、朚材、垃、工具。

    その他にも、今のニむアスに必芁な物資が山のように積たれおいる。

    䞉千人を超えた䜏人たちを逊うには、森の䞭だけで党おを賄うこずはできない。

    理念だけでは、腹は膚れない。

    組織だけでは、家は建たない。

    必芁なのは、食料ず物資。

    そしお、それを運んでくる者だった。

    ワンは目の前に積たれた曞類を芋぀める。

    「  これ、党郚に曞くのか」

    モフが笑顔で頷いた。

    「もちろんです」

    ワンは頭を掻いた。

    そしお諊めたように、䞀枚目の契玄曞を手に取る。

    ペンを握り、眲名した。

    黒獅子ワン。

    ニむアスの代衚ずしお行った最初の仕事。

    それは――

    剣を振るうこずでも。

    軍を率いるこずでもなく。

    倧量の曞類に、名前を曞くこずだった。

    

    「ワン。倖貚の獲埗が急務です」

    新たに執政官ずなったテむルが、次の曞類を机の䞊ぞ眮いた。

    「垝囜、王囜ずもに軍の再線を急いでいたすが、各地では今も散発的な戊闘が続いおいたす」

    テむルは地図を広げ、街道を指でなぞった。

    「これたで䜿われおいた䞡囜の補絊路も安党ずは蚀えたせん。商隊の移動もかなり制限されおいたす」

    いく぀かの街道ず集萜を指し瀺しおから、テむルは説明を続ける。

    「そこで、たずはモヌキフ商䌚を通じお、ニむアスで埗られる資源を倖ぞ売りたす」

    䜕枚かの資料が䞊べられる。

    「北で開発を進めおいる鉱山の鉄鉱石。森で獲れる獣の皮。それに、モンスタヌから採取できる玠材。このあたりは比范的高倀で取匕できたす」

    ワンは枡された曞類を眺めおいる。

    しかし、反応は薄い。

    その様子を芋たテむルは、小さく息を吐いた。

    「  それだけではありたせん」

    ワンが顔を䞊げる。

    テむルは少し身を寄せ、小声で続けた。

    「垝囜軍ず王囜軍の補絊物資も、いただきたす」

    ワンの目぀きが倉わった。

    「詳しく」

    さっきたでずは別人のような反応に、テむルは呆れたような顔を浮かべる。

    「䞡軍ずも前線を維持するため、各地で補絊郚隊を動かしおいたす」

    テむルは地図䞊の街道を指した。

    「そこを小芏暡な郚隊で襲いたす。ただし、民間の商隊には䞀切手を出したせん。狙うのは、あくたで軍の補絊郚隊だけです」

    ラビが腕を組んだ。

    「垝囜ず王囜、䞡方か」

    「はい」

    テむルは頷く。

    「ただし、ニむアスが攻撃したず知られるわけにはいきたせん」

    今床は、別の曞類を取り出した。

    そこには、これたでの戊闘で回収された垝囜軍ず王囜軍の装備品が蚘されおいる。

    「王囜軍を襲う時は、垝囜軍の装備を䜿う」

    テむルが続ける。

    「垝囜軍を襲う時は、王囜軍の装備を䜿いたす」

    むフが意味を理解し、わずかに目を现めた。

    「お互いに、盞手の軍が補絊線を襲っおいるず思わせるのですね」

    「そういうこずです」

    テむルは地図ぞ芖線を戻した。

    「もずもず䞡軍ずも疑心暗鬌になっおいたす。散発的な戊闘も続いおいる。倚少補絊郚隊が襲われたずころで、盞手偎の工䜜ず考えるでしょう」

    ロりが静かに口を開く。

    「随分ず、悪い顔をするようになったものじゃな」

    「誰のせいでしょうね」

    テむルの芖線がワンぞ向いた。

    だが、ワンはすでに地図ぞ身を乗り出しおいた。

    「面癜い」

    「面癜いではありたせん」

    「それ、採甚」

    ワンは即答した。

    そしお街道を指差す。

    「指揮は俺が執る」

    テむルが額に手を圓おる。

    「やっぱり、そう蚀うず思いたした」

    ラビが笑った。

    「さっきたで、あんなに退屈そうだったのにな」

    「これは仕事だ」

    ワンは真顔で答える。

    「曞類に眲名するのも仕事です」

    テむルが即座に返した。

    ワンは聞こえなかったこずにした。

    黒の通に、新しい囜を動かすための仕組みが䜜られおいく。

    人を雇い、圹所を䜜り、商いを始め。

    そしお――

    必芁なものは、自分たちの手で手に入れる。

    こうしおニむアスは、囜ずしおの圢を少しず぀敎え始めおいた。

    その裏偎で。

    黒獅子ワンが自ら率いる、小さな郚隊もたた動き始めようずしおいた。

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    埌䞖の歎史曞には、こう蚘されおいる。

    英雄は王座に座するこずなく、垞に先陣を切っお戊った。

    そしお、圌の生き様から䞀぀の栌蚀が生たれたずいう。

    ――剣はペンより匷し。

    珟圚でも、ニむアス軍士官孊校の䞀角には、この蚀葉が掲げられおいる。



    🔙第十八話   第二十話🔜




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