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サド䟯爵倫人の掚し掻・その倫人の掚しは錬金術垫䞉島由玀倫「サド䟯爵倫人」蔵曞玹介 #002-03

    䜙りにも尊い掚しが存圚する日垞を、厳密には日垞ず呌べないのではないか。どれほど絶望的に䞍圚だずしおも。

    ◇

    ※より安心しお曞評をお楜しみいただくために、事前にこちらの「考察にあたっお」をご䞀読ください。䜜品の時代背景や描写に関する圓noteのスタンスをたずめおいたす。

    ※本蚘事で玹介する䜜品には、人間の暗い欲望や、䞀郚サディスティックな関係性を描いた文孊的衚珟が含たれたす。

    [この蚘事からの続きです]
    [このシリヌズを最初から読む]

    掚し掻のような「幞犏」


    少しだけ、前回の蚘事を振り返っおみたいず思いたす。

    サド䟯爵倫人は、倫・サド䟯爵ずの間に、䞖間䞀般的な“倫婊愛”のむメヌゞずは異なる関係性少なくずも、倫人の母が考える愛情関係ずは異なる関係性を築いおいたした。

    サド䟯爵倫人は、䜜䞭で幎間もの間、ほが䞀方的に、倫ぞの情熱を燃やし続けおきたした。静かでありながらも熱量が高く、そしお䞀定の距離のあるその関係性を、たるで掚しずファンずの関係性のようである掚し掻のようであるず指摘したのが前回の蚘事でした。

    倫人の味わっおいたずいう「幞犏」は、倫婊双方の協力によっお築き䞊げた「幞犏」ではありたせんでした。圌女は、「幞犏」は「私の発明」だず蚀い攟ち、倫が留守がちな䞭、しばしば「ひずりがっち」の時間を耐え忍びながら、絶察的な距離を埋め぀づけ、倫を想い続けおきたした。
    母・モントルむナ倫人の芖点から芋れば、それは䞍可解な情熱でした。

    その想いを燃やし続けるための燃料はいったいどこにあったのでしょうか。

    その答えを䞀蚀で蚀い衚すこずは、ずおも容易いです。
    それは぀たり 
    掚しが 非垞に 尊いのだず思いたす。

    サド䟯爵倫人にずっお、倫・サド䟯爵の存圚は、尊かったのだず思いたす。

    そしお、䞀䜓どこがどのようにが尊いのかずいう具䜓的な着県点に぀いおは、やはり、䜜品の䞭で語られおいるサド䟯爵倫人のセリフを䞭心に深堀りしおいく必芁がありたす。

     掚しのどこが尊いかなんお、野暮な話題にも思えたすよね。

    ですが、それを緻密に蚀語化できおしたうずころが、サド䟯爵倫人の聡明さず創造性の本領発揮なのです。その圧巻の自己分析に぀いお、順を远っお芋おいきたいず思いたす。

     ず、ここで。
    登堎人物ず、私たち読者ずの間の距離を、少しだけ瞮めおみたいず思いたす。

    䜜䞭で、サド䟯爵倫劻はしばしば名前で登堎したす。サド䟯爵倫人は「ルネ」、そしお、その倫・サド䟯爵フランス語で蚀うずマルキ・ド・サド。フルネヌムはドナチアン・アルフォンス・フラン゜ワ・ド・サド䟯爵は「アルフォンス」ず呌ばれる堎面が倚々ありたす。

    以埌、この文章でも、

    • サド䟯爵倫人ルネ

    • サド䟯爵アルフォンス

    ずいうように、二人を名前で呌んでいきたいず思いたす。

    ずころで、党然関係ないのですが、「アルフォンス」ずいうず、荒川匘の挫画『鋌の錬金術垫』の読者もしくはそのアニメ版の芖聎者であれば、あのキュヌトで枩厚な鎧の姿が脳裡にちら぀いお仕方がないず思うのですが、それでもどうかお付き合いください ♪

    空掞な存圚ずしおのサド䟯爵


    䜜䞭では、いく぀かの意味においお、アルフォンスは空掞な存圚です。

    圌は攟蕩癖や投獄によっお城自宅を留守にしがちであり、䜜䞭ずっず䞍圚なのですが、アルフォンスの䞍圚は、この䜜品の根幹にかかわる非垞に重芁なモチヌフずなっおいたす。

    この䜜品、 「サド䟯爵倫人」は戯曲、すなわち、舞台の台本ずいう圢匏で曞かれた文孊䜜品であり、実際に䞊挔もされおいたす。そのため、舞台䞊の倧道具を頻繁には取り換えられない、などの挔出䞊の制玄のもずに構成されおいたす。

    堎所は䞉幕ずも、モントルむナ倫人のサロンに固定されおいたす。そしお、そこに出入りする人の女性䞻人公・サド䟯爵倫人、母・モントルむナ倫人、効・アンヌ、シミアヌヌ男爵倫人、サン・フォン䌯爵倫人、家政婊・シャルロットの䌚話劇によっおドラマが組み立おられおいきたす。それ以倖の人物の行動や、それ以倖の堎所での出来事に぀いおは、䌚話を通じお間接的に描かれたす。

    そしおアルフォンスサド䟯爵は、読者や芳客の誰もが知っおいるような有名人サディズムの語源ずなった歎史的人物であり、この物語の䞭でずっず存呜であり、しかも話題の䞭心ずなっおいるにもかかわらず、生身の人間ずしおは䞀切登堎したせん。

    その匷烈な存圚感や名前ずいう茪郭だけが登堎し、その䞭身はたったくの空掞ずなっおいたす。

    このこずからも、「サド䟯爵倫人」ずいう䜜品は、もう䜜品の骚栌レベルで培底的に、〈サド䟯爵の䞍圚〉ずいうモチヌフを描きにかかっおいるこずが明らかです。

    さらに蚀えば、人の生身の女性たちのセリフを通じお、蜃気楌のように浮かび䞊がるサド䟯爵 アルフォンスに぀いお芋おいくず、どうやら圌は、心の䞭におそろしいほどの空虚さを抱えおいるようである、ずいう意味においおも、たさしく空掞な存圚なのです。

    そしお、サド䟯爵倫人 ルネの芖線は、䞭身が空掞なアルフォンスの、その空虚さを、现やかに、そしお静かな情熱をもっお芋぀めおいたす。

    聖なるものを枇望する、秩序志向のリアリスト

    サン・フォン䌯爵倫人の芖点
    -「悪埳」の質の違いを遞別する芖点-


    鋌 ではなく、この「サド䟯爵倫人」ずいう䜜品の䞭に、ルネは少しだけ遅れお登堎したす。

    冒頭の堎面では、モントルむナ倫人のサロンに客ずしお招かれた二人の女性が、アルフォンスに぀いお噂しおいたす。「悪埳の女」を自称する「サン・フォン䌯爵倫人」の方がアルフォンスの悪埳行為に぀いお詳しく語りたす。そしお、信心深い「聖女」、「シミアヌヌ男爵倫人」は、どちらかず蚀えば聞き手に回り、背埳的な話題を耳にするこずを埌ろめたく思うそぶりを芋せながらも、奜奇心を抑えきれずに恐る恐る耳を傟けるずいう構図になっおいたす。

    サン・フォン やがおアルフォンスは、䜕床も䜿ったず芋えお血のこびり぀いた、鉀針぀きの鞭をずりだしお、これで自分を打っおくれ、ず嚘にたのみたした。
    シミアヌヌ あの人にはやっぱり良心がのこっおいたのですね。だからそうしお自分を眰し、自分の䞭の悪魔を远い出しおほしかったのだわ。
    サン・フォン いいえ、人の痛みよりも自分の痛みのほうが䞀そう確実だったからにすぎたせんわ。そうです、あの人には確実さに察する䞊倖れた欲求があるんです。  次はマリ゚ットの番でした。たず女を裞にするず、寝台の脚もずに膝たずかせ、箒で思う存分打った末、今床は自分を打っおくれず女にたのみ、女が打っおいるあいだ、アルフォンスは打たれた数を煖炉にナむフで刻み぀けおいたした。その数は、二癟十五、癟䞃十九、二癟二十五、二癟四十、合蚈  
    シミアヌヌ 指で暗算しおいる八五九回ですわ
    サン・フォン あの人はい぀も数が奜きなのです。確実なのは数だけですし、信じられないほどに数を増しおゆけば、悪埳も奇蹟になるからだわ。
    シミアヌヌ 奇蹟なんお蚀葉をどうしおそんなずころに  

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第䞀幕 pp.13-14

    ※匕甚に぀きたしおは、こちらのペヌゞの「匕甚の凡䟋」をご参照䞋さい。

    アルフォンスが女性に媚薬ボンボンずいうお菓子に仕立お䞊げたものを摂取させお鞭打぀ような行為に぀いお、サン・フォン倫人は、たるで芋おきたかのように生き生きず語りたす。

    それは、瀟䌚秩序を攪乱する悪埳ずしお糟匟され、法で裁かれる行為でした。しかしサン・フォン䌯爵倫人は、それを単に自由気たたで無秩序な暎力ず捉えるのではなく、むしろ、圌独自の秩序志向に基づく行為であるずいいたす。

    サン・フォン䌯爵倫人に蚀わせれば、アルフォンスには「確実さに察する䞊倖れた欲求」がありたす。圌は、自分が誰かを鞭打぀だけでなく、あえお、誰かに自分を打たせるこずもあったそうですが、理由は、「人の痛みよりも自分の痛みのほうが䞀そう確実だったから」であるず、サン・フォン倫人は説明付けたす。

    たた、確実性を保蚌しおくれるものずしお、痛みずいう身䜓感芚に加え、数字にも着目されおいたす。

    アルフォンスにずっお「確実なのは数だけ」であり、それゆえ「数が奜き」なので、「女が打っおいるあいだ」、圌は「打たれた数を煖炉だんろにナむフで刻み぀け」たずいうこずも、サン・フォン䌯爵倫人によっお語られおいたす。

    そしお、わざわざそんなこずをするのは、「信じられないほどに数を増しおゆけば、悪埳も奇蹟になるから」であるず圌女が蚀った時、敬虔なシミアヌヌ男爵倫人は、信仰の堎で甚いられる「奇蹟」ずいう蚀葉が、「悪埳」に぀いお語るために甚いられたこずに察しお、小さく反感を瀺したす「奇蹟なんお蚀葉をどうしおそんなずころに  」。

    聖なるものぞの片想い


    シミアヌヌ男爵倫人は䜜品の䞭で䞀貫しお穏やかな人柄に描かれおいたす。しかし、「聖」ず「悪埳」ずを混亀するような発想に぀いお、冒涜であるず芋なしお退ける、朔癖で厳栌な態床を厩そうずはしたせん。

    䞀方で、䜜品党䜓ずしお芋るならば、たずはサン・フォン䌯爵倫人の蚀葉を借りお、さらに、埌述するようにルネによっお、「悪埳」の䞭にこそ聖性を芋出そうずする発想が远求されおいきたす。

    ずはいえ、悪埳ず聖性を単玔に同䞀芖しおいるわけではありたせん。ルネにしおも、サン・フォン䌯爵倫人にしおも、悪埳ならば䜕でもいいわけではなく、厳密に遞別する意識が働かせおいたす。

    詳しくは埌述したすが、ルネはアルフォンスのこずを、「ならずもの」ずは思っおいたせん。アルフォンスず、「ならずもの」ずいう蚀葉で指し瀺されるようなその他の反瀟䌚的な圚り方ずを明確に区別する発想が瀺されたす。母・モントルむナ倫人は䞡者を区別しないので、ルネがそのこずで異論を挟む堎面もありたす。そしお、ルネはアルフォンスの䞭に、単に「悪埳」なだけではない䟡倀を芋出し、そこに惹き぀けられおいるようなのです。

    ルネから芋たアルフォンスのあり方。それは、あえお䞀蚀で蚀えば、〈聖なるものぞの片想い〉です。悪埳の偎から寄せられる、聖なるものぞの片恋。このようなルネの芖点に぀いお、具䜓的に芋おいこうず思うのですが、ルネよりも先に䌌た発想を語る、サン・フォン倫人の蚀葉に぀いお、たずは確認しおみたいず思いたす。

    サン・フォン サド䟯爵の奇蹟は、確実なものの積み重ね、人間が五感で知りうるこずを究めた先にしか、珟われないものなのね。怠け者のただ埅っおいる奇蹟ずはちがいたす。そこでマルセむナの圌[匕甚者泚サド䟯爵]は、もっずもっず努力したした。マリ゚ットず圌ず䞋男ずの、䞉段重ねの櫂かいで海をゆく、ガレヌ船のような苊行の亀わり。血のような朝焌け。時刻はただ朝だったんですよ。
    シミアヌヌ 朝だったからこそ、快楜が劎働に䌌おしたったわけなのね。
    サン・フォン いいえ、それはみんなが教䌚ぞゆく時刻、だからこそ快楜がお祈りに䌌おしたったのだわ。
    シミアヌヌ あなたも地獄に萜ちるでしょうよ。

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第䞀幕 p.14

      䞉島由玀倫、すごい蚀語センスだず感動したせんか 

    「䞉段重ねの櫂かいで海をゆく、ガレヌ船のような苊行の亀わり」 なんだか、うんざりずいうか、お腹いっぱい ずいう気もしたすが、血のような朝焌けの海を行くガレヌ船の比喩は、なんだかずおも高貎な絶景に思えたす。

    たた、「朝だったからこそ、快楜が劎働に䌌おしたったわけなのね」ずいう盞槌もセンスが良く、いかにも真面目な聖女の発蚀っぜいです。

    そしおサン・フォン䌯爵倫人は、シミアヌヌ男爵倫人のその構文を即座に換骚奪胎し、聖女の聖域を䟵犯するかのように、「いいえ、それはみんなが教䌚ぞゆく時刻、だからこそ快楜がお祈りに䌌おしたったのだわ」ず返したす。これには、枩厚なシミアヌヌ男爵倫人も若干お怒りのようです「あなたも地獄に萜ちるでしょうよ」。

     考察に戻りたす。

    サド䟯爵にずっお「奇蹟」が「確実なものの積み重ね、人間が五感で知りうるこずを究めた先にしか、珟われないもの」であるずいうこずは、蚀い換えれば、こういうこずではないでしょうか。

    アルフォンスは筋金入りのリアリストであり、人間の五感では知芚できない物事や、具䜓的な数字を瀺しお客芳的に蚘述できないような物事を信じるこずができない。぀たり、神ずいう人知を超えた存圚を信じるシミアヌヌ男爵倫人のような、敬虔な信埒ずしお生きるこずはできない。

    けれども圌は、それでもなお、聖なるものに觊れおその存圚を確かめたいず、どうしようもなく枇望しおしたう存圚である
    、ず。

    「奇蹟」を求めるアルフォンスの行いが痛みを䌎う「苊行」である必芁があるのも、痛みはリアルな感芚ずしお匷烈に実感できるものだからこそ、信じるに足るものずしお遞ばれおいるのではないでしょうか。

    そしお、結局のずころ「奇蹟」に手が届かないこずず、それにもかかわらずアルフォンスが枅らかで矎しいずいう矛盟のようなむメヌゞが、サン・フォン䌯爵倫人の蚀葉によっお衚珟されおいきたす。

    サン・フォン䌯爵倫人は、アルフォンスが乱行に及んだ埌、「午埌の郚」に備えお眠る様子に぀いお、このように描写しおいたす。

    子䟛のようにけがれのない深い眠りに沈みたした。無邪気な、䞀点の濁りもない、倢のかけらもないその眠り

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第䞀幕 p.15


    「無邪気」であり぀぀「倢のかけらもない」ずいう衚珟は、圌が聖なるものぞの芪和性無邪気さを持ち぀぀も、聖なるものず䞀䜓化できないずいう空虚さ倢のなさを抱えおいる存圚であるこずを物語っおいたす。

    アルフォンスの、聖なるものぞの芪和性に関しお蚀えば、アルフォンスを「ならずもの」ず断じるモントルむナ倫人でさえ、圌が垣間芋せる「枅らかさ」に目を留める瞬間がありたした。第䞀幕で、アルフォンスが圌の父の死を嘆き悲しんだ時の様子を回想し、次のように語っおいたす。

    時々、あの人の奥底の優しさが、枅らかさが、それこそ誰も疑いようのない姿で泉のように噎き出す

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第䞀幕 p.22


    悪埳を決しお擁護しないシミアヌヌ男爵倫人も、アルフォンスの子䟛時代の枅らかさを第䞉幕の䞭で次のように回想しおいたす。

    あの愛らしい金髪の子䟛の、枅らかな姿

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第䞉幕 p.112

    倢を芋ないリアリストでありながら、日垞を超えた聖なるものを枇望するずいう矛盟に匕き裂かれたアルフォンス。
    それでは満を持しお、ルネの芖点によっお描写されたアルフォンスに぀いお確認したいず思いたす。

    それは第二幕の䞭で、ルネ自身のセリフの䞭で、次のように語られたす。
    残酷で矎しい蚀葉の数々を尜くしお、次のように 。

    あの人の欲望は冒瀆によっお燃え䞊る、䞁床銬が枅らかな霜柱を螏みしだいお勇み立぀ように。そのためにあの人は、い぀もちゃんずした手続を螏むのです、汚れた土にしみた氎を、朝の冷気で険しく聖きよい霜柱に結晶させる、ただそれを螏みしだくために。あの人のおかげで嚌婊も女乞食も、䞀床は聖女にされたのでした、そのあずで鞭打たれるために。ずころがあの人はそのすぐあずで、倢は砎れお、女乞食や嚌婊たちを門からお尻を蹎っお远い出したす。

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月p.57

     サン・フォン䌯爵倫人のガレヌ船もなかなか華麗だったず思うのですが、でも䜕ずなく、ルネの霜柱の結晶の方が、火力が高くないでしょうか。

    ルネもたた、アルフォンスの残虐な行いの䞭に、聖なるものを五感で捕捉しようずする詊みず、その䞊での秩序志向「ちゃんずした手続」、そしお、その詊みが䞍完党に終わるこずの空虚さすぐに「倢は砎れお」したうに぀いお着目しおいたす。

    サン・フォン䌯爵倫人は数字ぞのこだわりに着目し、そしお、「お祈り」や「奇蹟」ずいう蚀葉を甚いお、サド䟯爵に聖性を芋出しおいるこずを語っおいたした。

    ルネはこうです。――朝の「冷気」の「険し」さや「聖」きよさ。それによっお泥氎が「枅らか」な霜柱ぞず玔化されるずいう、科孊的で神秘的な過皋。

    アルフォンスの悪埳に぀いお、決しお、単なる汚蟱や、単なる熱狂、あるいは、だらしなく無秩序な行為ずしおも語っおいたせん。むしろ、その正反察ずなるようなキヌワヌドが続出しおいたす。

    そしお、せっかく抜出された、硬質な「結晶」が無残にも蹂躙されるずいう比喩で、アルフォンスの悪行ず聖性に぀いお語っおいたす。そしお、枅らかなものを砎壊した加害者であるはずのアルフォンスこそが、倢砎れ、愛すべき察象を芋倱った迷子のような存圚ずしお、語りの䞭心に配眮されおいたす。

    神聖か぀残酷な比喩ぞの倉換。䞉段重ねのガレヌ船よりも密やかな霜柱の結晶の䞭に、狂気的なたでの“信仰心”が衚れおいるように思うのです。たるで、アルフォンスが残酷な神か芞術そのものであるかのように芋぀める、掚しぞの信仰心が。

    この項では、ルネずサン・フォン䌯爵倫人がアルフォンスをどう捉えおいたかずいう、倧たかな共通点に぀いお確認したした。
    その䞊で、次の項では盞違点に぀いお芋おいきたいず思いたす。そしお、その盞違点に着目するずき、ルネが享受しおいた甘矎な特暩にスポットラむトが圓たるこずずなりたす。

    ルネだけが埗おいた「やさしさ」ずいう䟛物


    再び、第䞀幕の序盀に芖線を戻すず、冒頭から少し経過した堎面で、ルネが登堎したす。サン・フォン䌯爵倫人はルネず蚀葉を亀わし぀぀、探るような質問を投げかけたした。

    ルネはサド䟯爵から加虐的な行為を受けおいるのかずいう問いかけでした。

    残虐な扱いを受けるこずこそが、サド䟯爵の「心の本圓の甘い優しさ」に觊れるこずになる ず、サン・フォン䌯爵倫人は䞻匵したす。

    立ち入った質問をされ぀぀も、ルネは、圓たり障りのない堂々ずした返答で切り抜けたした。

    サン・フォン サド䟯爵はあのずおり、残虐が぀たりやさしさで、鞭ずボンボンを通しおでなくおは、心の本圓の甘い優しさを衚おに出せない方だず私思いたすのズバリずそしおあなたには
    䞭略
    ルネ こうお答えいたしたしょう。あれは私の良人おっずでございたす。良人が劻を愛するように愛しおくれたす。私どもの臥床ふしどをお目にかけおも、他聞を憚るようなこずは䜕䞀぀ございたせん
    サン・フォン たあ。ト目を瞠みはる埡立掟だわ。埡立掟な埡倫婊仲には、やさしささえ芁りたせんのね。
    ルネ ええ、そうしお残虐も。

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月pp.32-33


    サン・フォン䌯爵倫人は、䌚話の䞭でルネのこずを䟮るような発蚀をしおいたす。圌女はルネに、こう蚀ったも同然です。――サド䟯爵の残虐さこそが「やさしさ」なのであり、ルネはサド䟯爵の本質に觊れおいない。倫婊ず蚀えど、二人は所詮、衚面的・圢匏的な関係にすぎないのではないか。

    そしお、それから幎の時を経お、先ほど匕甚した第二幕のセリフの続きずなる箇所で、ルネは、サド䟯爵の「やさしさ」に぀いおの異なる芋解を語りたす。

    䞀郚、先の匕甚ず重耇しおいたすが、今回新たに匕甚する郚分を倪字で瀺したす。

    あの人の欲望は冒瀆によっお燃え䞊る、䞁床銬が枅らかな霜柱を螏みしだいお勇み立぀ように。そのためにあの人は、い぀もちゃんずした手続を螏むのです、汚れた土にしみた氎を、朝の冷気で険しく聖きよい霜柱に結晶させる、ただそれを螏みしだくために。あの人のおかげで嚌婊も女乞食も、䞀床は聖女にされたのでした、そのあずで鞭打たれるために。ずころがあの人はそのすぐあずで、倢は砎れお、女乞食や嚌婊たちを門からお尻を蹎っお远い出したす。  あの人はそれらの快楜の瞬間々々から自分のなかに貯えたやさしさの蜜を、誰にも䞎える盞手がみ぀からず、結局私のもずぞかえっお来お、そのやさしさのありたけを泚いでくれるのですわ。 蜜をかもし出す、血の色をした花々は、決しおあの人の恋人ではありたせん。

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月p.57

    ルネは、アルフォンスの暎力行為自䜓を「やさしさ」であるずは捉えおいたせん。その䞊で、ルネは倫に、残虐さずは異なる圢での「やさしさ」を芋おいたす。

    匕甚したセリフの䞭で、ルネは、「い぀も」、「そのあずで」、「結局」、ずいう蚀葉を甚い、アルフォンスの行いの顛末を、同じパタヌンの繰り返しずしお語っおいたす。

    ぀たり、ルネの目に、アルフォンスはこのような存圚ずしお映っおいたす。
    ――アルフォンスは、聖なるものず自分ずの距離が絶望的に遠いこずを䜕床も思い知らされおいる人物である。そしお、その倢が䜕床砎れおも、それでもなお、聖なるものに本圓に觊れたいずいう願望を抱き続けおいる人物である。

    「自分のなかに貯えたやさしさの蜜を、誰にも䞎える盞手がみ぀からず」ずいう蚀葉によっお、ルネは、その「やさしさ」の正圓な受け取り手が自分ではないのだず、䞀旊は冷培に突き攟しおいたす。けれども、「結局私のもずぞかえっお来」お、それを自分に泚いでくれるず語っおいたす。そしお、「蜜をかもし出す、血の色をした花々は、決しおあの人の恋人ではありたせん」ずいう蚀葉は、残虐さこそがアルフォンスの「やさしさ」であるず蚀った、か぀おのサン・フォン䌯爵倫人の䞻匵をひそかに塗り朰しおいたす。

    第䞀幕で、堂々ず圓たり障りのない返答をし぀぀も、もしかしおルネは、ずっず気にしおいお、玍埗のできる答えを探し続けおいたのではないかず、そんな颚にも思いたす。

    けれどもそれは、理性ず狂気、あるいは、愛ず執着ずが隣り合わせずなった独癜のようにも響いおいたす。

    ルネの考えるアルフォンスの「やさしさ」ずは、蚀いかえれば、アルフォンスが聖なるものに捧げるはずだった、特別な䟛物のようなものです。圌は、ルネの前でだけは、たるで玔床の高い倱恋の感情を吐き出すかのように、蜜のような「やさしさ」を圌女にたっぷりず泚いでいた。それを独占的に享受するこずのできる特別な䜍眮から発せられた、優越感ず執着を滲たせた蚀葉に聞こえるのですが、いかがでしょうか。

    ルネの芖線は、アルフォンスの心の䞭に抱えられおいる空虚さに泚がれおいたす。その空虚さこそが、倫人に甘矎な特暩をもたらすものずしお。

    掚しの蚀葉の圧倒的な䞍圚


    前回の蚘事「サド䟯爵倫人の掚し掻・日垞篇」では、ルネの人生を占めおいた圧倒的に地味で味気ない日垞にスポットラむトを圓おたした。

    けれども、ほんの時々、掚しから、ずんでもないものが䟛絊されおいたずいう蚳なのです。

    時々ずはいえ、それほどたでに甘矎な劇薬が日垞の䞭ぞ攟り蟌たれおくる日垞ずいうのは、厳密には、日垞ず呌べるのでしょうか。

    たるで、日垞ずいう名の郚屋のドアが取り倖されおいるかのように、非日垞ずの境界線が臎呜的に砎られおいるように思えたす。

    そしおここで、肝心な点に぀いお曞き蚘しおおきたいず思いたす。

    以䞊の内容から、
    “なんだ ルネ、ちゃんずアルフォンスから愛されおいるんじゃないか 。それっお、倫婊愛じゃないか掚し掻ではないのでは”ず思う向きもあるのではないでしょうか。

    それでも、やはりそれは、掚し掻のように思うのです。

    なぜなら、結局のずころアルフォンスがルネをどう思っおいるかずいう、アルフォンスの偎からの蚀葉が圧倒的に䞍圚なのです。

    アルフォンスの本質は、聖なるものに片想いしおやたない、玔床の高い存圚であり、しかも行き堎のない「やさしさ」を、他の誰かではなく、自分にこそ向けおくれおいる――それは、あくたでもルネの解釈なのです。アルフォンス本人による蚀葉ではありたせん。

    私たちが芋おきたアルフォンスのむメヌゞは、たるで蜃気楌です。そしおそれが、アルフォンスずいう名の空っぜな噚に泚ぎ蟌たれた、ルネ自身の願望に過ぎないのかもしれないずいう、怖ろしい可胜性を、読者は、決しお吊定するこずができないのです。

    そしお、アルフォンスの蚀葉が圧倒的に䞍圚であるがゆえに、倫人の蚀葉は、この時点で、決しお答え合わせが行われないのです。

    アルフォンスは、ルネにずっお限りなくリアルな存圚であるず同時に、限りなく曖昧な存圚でもあるずいう二重性によっお、蚀葉を欠いたたた、ルネをずこずん翻匄しおいくこずになりたす。

    掚しずいう、「私ず䞍可胜ずの間の閟」


    前回の蚘事の最埌に、こんなふうに予告しおいたした。

     掚しから「空想の力を教わりたした」ずは、どういう状況なのか。詳现が気になりたせんか それでは次回、空想の力を教えおくれた、掚しの魅力に迫りたす。

    ルネがアルフォンスから教わったず述べおいる「空想の力」。それが具䜓的に䜕を指しおいるのか、䜜䞭で明瀺されおいるわけではありたせん。

    けれども、読んでいくず、“もしかしお、これのこずを蚀っおいるのではないか”ず思われるルネの発蚀が芋぀かりたした。この蚘事の残りの郚分、そしお次回の蚘事で、それらしき箇所に぀いお述べおいきたいず思いたす。

    第二幕では、ルネがアルフォンスずの関係性をめぐっお母・モントルむナ倫人ず口論する堎面が展開されたす。モントルむナ倫人はアルフォンスを「ならずもの」であるず断じたすが、それに察しおルネは次のように䞻匵したす。

    アルフォンスはならずものではございたせん。あの人は私ず䞍可胜ずの間の閟しきいのようなもの、ずもすれば私ず神ずの間の閟なのですわ。泥足ず棘で血みどろの足の裏に汚れた閟。

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月第二幕 p.82

    ルネにずっお、掚しは「ならずもの」ではありたせん。
    それどころか、ルネず「䞍可胜」ずの間の境界線、あるいはルネず「神」ずの間の境界線、それこそがアルフォンスなのであるず捉えられおいたす。

    ここで改めお、ルネずアルフォンスの共通点ず盞違点に぀いお簡単に敎理しおみたいず思いたす。

    アルフォンスに぀いお、圌が冷培なリアリストでありながら、聖なるものを垌求しおやたない矛盟に匕き裂かれた人物であるず指摘したした。

    ――実はこれは、ルネにもある皋床圓おはたるように思えるのです。

    詳しくは蚘事を改めお埌述したすが、第䞉幕でルネがシミアヌヌ男爵倫人を頌っお出家を決意する時に、シミアヌヌ男爵倫人ずの信仰心の違いが浮き圫りずなりたす。ルネは、シミアヌヌ男爵倫人のような手攟しでの信仰心を持っおいるわけではありたせん。

    リアリストずしおの、ルネずアルフォンス。
    けれども、ルネには掚しがいお、アルフォンスには掚しがいたせんでした。それが決定的な盞違点なのです。

    アルフォンスは、悪埳の行為を通じお聖なるものを远い求めおいたずいう意味では、聖性そのものが掚しだったのかもしれたせん。けれども、フィクション・ノンフィクションを問わず、アルフォンスには、この人が自分の掚しであるずいう具䜓的な察象が存圚しおいたわけではなさそうです。

    䞀方ルネにはそれがありたした。ルネはアルフォンスず違い、「䞍可胜」な理想や、人知を超えた「神」に盎接アプロヌチしようずしお打ち砕かれるのではありたせんでした。アルフォンスずいう具䜓的な存圚に聖性を芋出すこずによっお、間接的に、「䞍可胜」や「神」ずの接点を感じおいたのです。

    それが、先ほど匕甚した「私ず䞍可胜ずの間の閟しきい」・「私ず神ずの間の閟」ず衚珟されおいたす。

    アルフォンスずいう閟、すなわち、ルネず聖なるものずの間に立っおくれおいる媒介者が存圚するこずによっお、圌女は「䞍可胜」や「神」ずいう日垞を超越した存圚を、少なくずも、「䞍圚」ずしお語らずに枈んでいたす。

    ルネがアルフォンスから教わった「空想の力」ずは、リアリストでありながらも、非日垞の領域をリアルなものずしお感じるこずのできる、このような認識の圚り方をさしおいるのではないでしょうか。

    シミアヌヌ男爵倫人の信仰のような、䞖間䞀般的な意味での聖性は、五感で把握できないものを信じないリアリストにずっおは、静かで真面目で、そしお、そこでの「神」は、倧切だけどずおも遠い存圚なのではないでしょうか。
    ただし、シミアヌヌ男爵倫人に関しお蚀えば、既存の枠組みの䞭でも熱烈な信仰心を抱くこずができる才胜を持っおいそうですが 

    䞀方で、ルネにずっおのアルフォンスは、聖なる存圚でありながらも、ありありず実感できる、いわば、ラむブなのです。

    ほんの時折、掚しのラむブが催され、自分に向けられた特別なファンサヌビスがものすごい。だからこそ、生掻の倧半が味気ない日垞で埋たっおいおも、ルネは耐えられおいたのではないでしょうか。

    蚀いかえれば、ルネは、単にアルフォンスの空っぜな茪郭を愛しおいるだけではありたせんでした。日垞に焊点を圓おるず、たしかに空虚を愛しおいるに等しいかもしれない、ハヌドな掚し掻ではありたした。

    ただし、非日垞性の郚分に焊点を圓おる時、䞍圚のアルフォンスは、矎しい金髪に無垢な印象を䞎える矎しい姿を、途端にありありず衚わしおきたす。

    最終章ずなる第䞉幕で、もはやアルフォンスぞの掚し掻をやめおしたった埌にもかかわらず、ルネは、圌のこずを次のようにむメヌゞしおいたす。

    アルフォンス。私がこの䞖で逢った䞀番ふしぎな人。悪の䞭から光りを玡ぎ出し、汚濁を集めお神聖さを䜜り出し、あの人はもう䞀床、由緒正しい䟯爵家の甲冑を身に぀けお、敬虔な階士になりたした。 兜から掩れたあの人の金髪 難攻䞍萜の鎧

    䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版
    新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月p.120

    ルネには、アルフォンスがこのような存圚に思えおいたのです。

    ルネによっお語られるアルフォンスはたるで、卑俗な金属を黄金ぞず倉容させる、䌝説䞊の錬金術垫のように、汚蟱や悪埳を聖性ぞず倉えおしたう、超越的な存圚です。圌は金髪で、そしお、なぜか「甲冑」や「鎧」を身に぀けおいたす。

    サド䟯爵倫人の掚しは、鎧で金髪の、錬金術垫のアルフォンスでした。

      今䞀瞬、北海道出身の倩才が生み出した某有名挫画のあのキャラが脳内をよぎったかもしれたせんが、もちろん、私は、䞉島由玀倫の「サド䟯爵倫人」の話をしおいたす。

    そしお、アルフォンスに出䌚い、魂を蝕むようなその魅力に惹き぀けられた倫人は、それたでの無難で平凡で、けれども非の打ち所のない平穏な日垞の䞭に留たれたのでしょうか。

      ルネの日垞が、段階を螏んで䟵食されおいく様子に぀いお、次回以降の蚘事の䞭で芋おいこうず思いたす。

    匷烈で甘矎な、非日垞に属するリアリティは、確かに、代償を䌎うものだったかもしれたせん。日垞性に倧きな穎が開くずいう、決しお軜くない代償を。

    けれども、いかにアルフォンスが道のない危なげな道を歩んでいようずも、自分もその道を歩むこずになろうずも、しかもアルフォンスずの関係性が䞖間䞀般的な倫婊愛ではない歪なものであっおも、ルネには関係ありたせんでした。埌々の蚘事で埌述したすが、圌女は退屈な日垞の垞識に絶望しおいたのです。

    ルネにずっおは、平凡な日垞よりも、アルフォンスのもたらす“錬金術”のほうがずっず倧切でした。そしお、誰が䜕ず蚀おうずも、「悪埳」の代名詞のように蚀われようずも、あくたでも、掚しは尊いのです。



    [次の蚘事に続きたす]

    曞誌情報

    ※免責事項ず甚語の解説に぀きたしおは、こちらのペヌゞをご参照䞋さい。

    䜿甚テクスト

    • 䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月

     ISBN: 978-4-10-105050-8
     NDC: 912.6
    類文孊91日本文孊912戯曲912.6近代戯曲

    初出・初刊

    初出雑誌「文芞」1965幎11月号
    初刊䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人』河出曞房新瀟、1965昭和40幎11月

    初挔

    昭和四十幎匕甚者泚1965幎十䞀月十四日二十九日、NLT新宿・玀䌊囜屋ホヌル第二回提携公挔ずしお、東京・玀䌊囜屋ホヌルで初挔された。
    挔出束浊竹倫 装眮秋山正 照明穎沢喜矎男 衣裳考蚌うらべたこず 衣裳制䜜河本昭郎 舞台監督寺厎嘉浩 出挔[ルネ]䞹阿匥谷接子、[モントルむナ倫人]南矎江、[サン・フォン]真咲矎岐、[シャルロット]宮内順子、[シミアヌヌ]倏原倏子、[アンヌ]村束英子
     昭和四十䞀幎䞀月、文郚省第二十回芞術祭賞挔劇郚門受賞。

    田䞭矎代子「解題・校蚂」『決定版 䞉島由玀倫党集24』新朮瀟、2002幎11月p.720

    ※䞊の匕甚の[ ]内は、次の資料によっお補った。
    䞉島由玀倫「豪華版のための補跋『サド䟯爵倫人』」『サド䟯爵倫人・わが友ヒットラヌ』新版新朮瀟、新朮文庫、2020幎11月 p.228
    初出䞉島由玀倫『サド䟯爵倫人』限定版䞭倮公論瀟、1967幎8月

    参考文献

    • 䞉島由玀倫『決定版 䞉島由玀倫党集24』新朮瀟、2002幎11月

    ◇

    ※この蚘事のタむトル名は、圓初の構想では「空掞な存圚ずしおのサド䟯爵」でした。

    ※ヘッダヌ画像は、フリヌ玠材を芏玄の範囲内でお借りしおいたす。
    photo by ゚リヌ様


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    元図曞通員、定本眺芋さだもず・ななみが遞定する、「矎ず絶望の暙本箱」。あるいは「圢を持たない愛ず執着、名づけられない関係性に぀いおの芳枬蚘録」。月倜の幻想の閲芧宀から、貎方の「䜙癜」に向けお差し出された読曞案内です。気高い心に鮮やかな枯葉を積もらせる、繊现な感受性ぞ捧げたす。

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