
能動的休養のヒツヨウ
ボードリヤールは50年(日本では30年)まえに、今後は疲労が世界的問題になると言った。
じっさい現代人は疲労に悩まされ、疲労回復に効くといわれる商品が飛ぶように売れる。
しかしこれらの商品は一過性の体力回復にすぎず、蓄積された疲労を回復せしめるまでには至らないうえに、副作用も心配される。
なのでその流行は長続きしない。
ボードリヤールに言わせれば、現代人の疲労には原因がないという。
われわれ現代人は幼少期より受動的に競争を強制される。
一歩世間に出たとたんに学業に始まり、その他あるゆる面が競争の渦のなかにある。他人と出会った瞬間からマウント合戦ははじまっている。
疲労はそんな競争社会への潜在的異議申し立てであり、受動性の強制に対抗する唯一の活動形態にあたるそうだ。
現代人はもはや生きているだけで疲労している。
受動的にとれる休養は睡眠しかないのだが、現代人はこの睡眠すらがうまくとれない。
なので上手く疲労が回復しないと体は強制的に休養モードに入る。
それが病だ。
鬱の症状である朝起きれないというのはまさにその典型といっていい。
もちろん誰もが好きで病気になるわけではない。
ひどくなると命にかかわることにもなる。
あたりまえだが、できることなら回避したい。
ならばこれを軽減するためには意識的に、つまり能動的に休養をとるしか他に手はない。
身体のエネルギーを回復に向けてやらねばならない。
人が高熱を出して寝込んでいるとき、身体は回復に向けて全エネルギーを集中しているのだ。