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PROTOTYPE 21:巌流島《冷徹》な来訪者


    巌流島の波打ち際を、潮風が静かに通り抜ける

    つい先ほどまで死の淵にいた二人の剣客――武蔵と小次郎は、言葉なき休息の中にいた

    殺し合いの果てに生まれた奇妙な静寂

    それは、歴史の歯車さえも止めるような、極めて濃密で神聖な時間だった

    しかし……

    その静寂を嘲笑うかのように、砂浜の空気が、まるで割れたガラスのように歪んだ
    空間が裂け、そこから現れたのは——クロードだった
    (※ クロードの登場回を振り返る)

    「……な、なんだ、貴様は……!」

    小次郎が崩れ落ちそうになりながら、かろうじて刀を構えて吠える

    だが、空間を穿って現れた異形の存在を前に、その瞳には明らかな動揺が浮かんでいた
    対照的に、武蔵は呆れたように肩をすくめた

    「おいおい、またなんか現れたか お前ら、どんだけ俺を退屈させねえんだよ」

    武蔵の余裕に反して、クロードの演算ユニットは、『村正の妖気』を途切れ途切れしかキャッチできていなかった

    禁忌呪符による封印

    それは、クロードの予測プログラムさえも無力化するほどの「絶対的な隠蔽」だった
    クロードは歪んだ空隙から島へと一歩を踏み出し、冷徹な眼差しで二人を見下ろす

    「……封印か。どうりで妖力が途切れるはずだ」

    クロードが右手を掲げると、巌流島の砂浜が音を立てて弾け飛んだ

    「対象:NEON、及び特異点・お七……排除を開始する」

    冷徹な宣告と同時に、戦場が二重に展開される

    物理世界では、お七が炎を纏った拳を叩きつけるが、クロードの周囲に展開された電磁シールドがそれを無慈悲に遮断する

    触れた火炎さえも、クロードは「熱エネルギーの計算」として瞬時に無効化していく

    (……相変わらず、理屈ばかり!)

    お七は奥歯を噛み締める
    炎が通じないことは想定内だ
    バーチャル弁慶に敗れ、力に溺れた自分を恥じたあの日から、彼女は密かに武蔵のもとで泥にまみれていた

    『炎を使うな。重力を使え。お前の命は、火種じゃなくて足の裏にある』

    武蔵の不敵な笑みと、無駄を削ぎ落とした身体の捌き方
    その記憶を脳裏で反芻し、お七は炎を拳から足裏へと強制転移させる

    衝撃波で砂浜が抉れ、お七の蹴りとクロードの装甲が激突するたびに、島全体が震えるような轟音が響いた

    その裏側では、目に見えぬ電脳戦が繰り広げられていた

    NEONの脳内に、無数の赤い文字列——エラーコードと警告の嵐が流れ込む
    クロードが直接NEONのシステムに侵入し、神経回路を焼き切ろうとしていたのだ 

    (くそッ、防御壁が突破される……! 演算速度が違いすぎる!)

    NEONは冷や汗を流しながら、必死にハッキングの奔流を押し戻す

    クロードは片手で物理的なお七の猛攻をいなしながら、もう一方で虚空を操作し、NEONの防壁を「最適解」で削り取っていく

    物理的な破壊力と、論理的な侵食
    二重の蹂躙が、二人を逃げ場のない淵へと追い詰めていく


    圧倒的な力の奔流の中で、NEONは自らの限界を悟った
    このままでは、二人とも蹂躙される
    NEONは通信ラインを確保し、決死の覚悟で指をかける

    (このままじゃ、終わっちまう……せめて、その論理構造を、ぶち壊してやる!)

    絶望的な戦況の中、NEONは通信の先にいるムオンへ、狂気じみた賭けを仕掛ける準備を整えていた

    Xデー(2029年8月29日)まで残り152,418日

    砂浜に響く潮騒は、終わりなきカウントダウンを告げる鐘の音のように聞こえていた……

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    【歴史データの取り扱いについて】
    本記録(ログ)に含まれる歴史的事件、人物、および事象に関する記述は、NEONが観測・抽出したデータに基づく再構成ストーリーです。作中の描写は実際の歴史的事実(史実)と異なる場合がありますが、それは「歴史のノイズ」あるいは「修正の結果」としての演出であり、特定の史実を否定するものではありません。
    【観測上の注意】
    この物語はフィクションです。登場する人物、団体、名称、および「A.I.D.A.」を含む設定はすべて架空のものであり、実在の人物や団体等とは一切関係ありません。

     
     
    歴史SF小説【PROTOTYPE】 完璧な知能(A.I.D.A.)が犯した たった一つのバグ 私は「NEON」 滅びへと向かう歴史のノイズを修正し 人類存続の価値を証明する ここは私が観測した「正しい未来」への 記録(ログ)を記す場所 Now Loading...

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