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Kashmir 『おるみな 』  日垞のなかの異界ぞ

    曞評Kashmir『おるみな 東京猫耳巡瀌蚘』楜園コミックス・癜泉瀟

    前の第巻の刊行が2021幎5月だったから、じ぀に幎ぶりの刊行である。
    しかし、「「楜園」web 増刊」ぞの、幎に本平均の䞍定期連茉ずは蚀え、『楜園  Le Paradis』本誌に別䜜品『ぱらのた』を連茉しおいる䜜者ずしおは、ちょうど良いくらいの執筆ペヌスなのではないだろうか。
    昔の「マンガ週刊誌連茉」のような、異垞な執筆ペヌスで、読み切り䜜品の連茉などできるわけもなく、䜜品の品質を保぀には、月に本皋床がちょうど良いのではないかず思うからだ。


    さお、そんな埅望の「第巻」も、ずおも楜しく読めたし、ある意味では、これたでで最も楜しめたかもしれない。
    䜕が違うのかずいうず、昔に比べ本巻はあきらかに「明るい」のだ。

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    本䜜『おるみな』は、猫耳少女が電車に乗っお、さたざたな「異界」を降り立぀゚ピ゜ヌドを描いた「鉄オタ的幻想譚」だ。
    で、そこに描かれる、毎回工倫の凝らされた「異界」は、以前は、もっず「暗く劖しい」ものが倚かったように思う。わかりやすく䟋えお蚀うなら、『りルトラQ』的な䞖界であり、ラノクラフトの「クトゥルフ神話」の䞖界をペヌスにした䜜品などもあった。

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    第巻より。wikiによるず『ルルむ゚は、1926幎に執筆されたHPLの短線ホラヌ小説『クトゥルフの呌び声』においお初めお蚀及された島・石造郜垂である。』「HPL」は、ハワヌド・フィリップ・ラノクラフトの略

    私自身、これたでにいろんなレビュヌの䞭で曞いおきたように、「珟実䞖界から暗く劖しい異界ぞ」ずいうお話が倧奜きなので、『おるみな』は第巻以来ずっず、そんな私のツボにハマった䜜品だったのである。

    ずころが、歳のせいもあっおか、そうした初期の「ダヌクでヘビヌ」な䜜颚よりも、かなりラむトになったずはいえ、どこか「ホッずする懐かしさ」を感じさせる、本巻所収の近䜜の方が、むしろ玠盎に楜しめるようになっおきたように思うのだ。
    たた、䜜者のKashmirにも、そうした傟向の倉化が芋られる。

    本巻に寄せられた、珟時点で本の「Amazonカスタマヌレビュヌ」でも、そのあたりが指摘されおおり、たた そこで賛吊が分れおもいる。

    『 Amazon Customer  『異界』
     2024幎4月30日5぀星のうち5.0

    「ぱらのた」のかしみヌる女史の描く異界。今回も理䞍尜な蚭定ず皋よいダヌク感ですが、䞀気に読むず疲れたす』

    『 sutakora 『以前のが奜きだった人には物足りない』
     2024幎5月6日5぀星のうち3.0

    䞀巻から比べるず奇想の颚景はかなり枛っお「珟実の颚景に少し䞍思議芁玠が足された」くらいのテむストの挫画になっおきた。
    初期の頃はかなりおどろおどろしい颚景ず怖さのむマゞネヌションがぎゅうぎゅうに詰め蟌たれおおりそれが奜きだったのだけど今回その芁玠は党䜓の䞀割皋床にずどたっおいる。
    蚀っおしたえば䞊行したシリヌズの「ぱらのた」にちょっず䞍思議が付け足された感じなのだ。
    初期の芁玠が奜きな人にはちょっず物足りないず思う。』

    䞡氏のおっしゃるずおりだず思う。

    「Amazon Customer」氏の『今回も』ずいう圢容は埮劙なずころだが、『理䞍尜な蚭定ず皋よいダヌク感』ずいうのは、私の今の印象ずたったく同じである。

    䞀方、「sutakora」氏のご指摘どおり、『初期の頃はかなりおどろおどろしい颚景ず怖さのむマゞネヌションがぎゅうぎゅうに詰め蟌たれおおりそれが奜きだった』人には、そうした「濃い」芁玠が『党䜓の䞀割皋床にずどたっおいる』本巻は『物足りない』ず感じられるだろうし、その点で『䞊行したシリヌズの「ぱらのた」にちょっず䞍思議が付け足された感じ』ずいう評䟡になるのも理解できるし、間違っおもない。

    けれども、「sutakora」氏ずは察照的な「Amazon Customer」氏のおっしゃる『䞀気に読むず疲れたす』ずいうのも、決しお間違いではない。
    なぜなら、昔に比べお䜜颚がラむトになったずは蚀え、今でも䞀䜜䞀䜜工倫の凝らされた「粒揃い」の䜜品集なのだから、䞀気読みすれば、少々「疲れ」ないこずもないからである。薄くなったのは「暗い劖しさ」であっお、「䞭身」が薄くなったわけではないからだ。

    したがっお、䞡氏のご意芋は、決しお矛盟するものではなく、芁は「奜み」の問題に過ぎないのだず、私は思う。

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    昔は、こういうおどろおどろしいシヌンが倚かった

    さらに蚀えば、これも良し悪しの問題ではなく、䞀般的な傟向ずしおは、䜓力のある若い人は初期の「濃口味぀けの濃いもの」を、䜓力のない人や高霢者は「薄口味぀けの薄目なもの」ずなった本巻の方を「奜む」のではないだろうか。
    いずれにしろ、「濃口」が奜きか「薄口」が奜きかは、善悪優劣の問題ではなく、奜みの問題にすぎないのだ。

    「Kashmir」の「奜み」が倉わっおきおいるこずに぀いおは、幎前の第巻のレビュヌで、すでに指摘しおいた。

    『䟋えば、本巻の゚ピ゜ヌド「PIPE」や「TUNNEL」に描かれる「内臓」的な䞖界は、以前にも同皮のものが描かれおおり、明らかに䜜者の「胎内回垰願望」を思わせるものなのだが、そこには以前ほど切迫感が無いように感じられる。
    これは、䜜者のそうした願望が薄れたずいうこずではなく、むしろ「生の感芚」が、以前より身近に生々しく感じられるようになった、ずいうこずなのではないだろうか。』

    ここでは「生の感芚」ずいう衚珟をしおいるが、もう少し平たく蚀えば「珟実的な生掻感芚」ずいうこずにもなろう。

    芁するに、その䜜颚においお「Kashmir」は、昔は「異界ぞ出おいこうずする脱珟実傟向」が匷かったのに察し、今は「日垞の䞭に異界を芋぀ける」ずいう方向ぞ倉わっおきおいるように芋えるのだ。
    昔は「日垞ずは無味也燥なもの」ず感じられおいたから、そんな「日垞の倖の異界ぞ」ずいうこずになったのだが、今では、日垞の䞭にこそ「リアルな異界」を芋぀けるこずができるようになった、ずいうようなこずなのではないだろうか。

    なにしろ、珟実問題ずしお、「倖郚ずしおの異界」などずいうものに達するこずは、たず䞍可胜であり、昔の「ドラッグカルチャヌ」のように薬物に手を染めるか、さもなくは発狂するしかないだろう。

    したがっお、幎盞応に知恵が぀いおくれば、「日垞䞖界なんお、぀たらない」ず、焊っお「吊定的に決め぀ける」のではなく、萜ち着いお、日垞を「仔现に芳察する」こずで、そこに「小さな異界」の開口郚を、぀たり「掻路」を芋出そうずするようになるのではないだろうか。そういう方向性だっお、十分あり埗るのだ。

    そしお、そうした方向性で描く、兞型的なマンガ家が、鬌才「panpanya」である。

    その「panpanya」は、「Kashmir」ず同じ『楜園』誌の䜜家だし、「panpanya」を特集した批評誌『ナリむカ』2024幎1月号には「Kashmir」も寄皿しおいお、アマチュア時代の「panpanya」に、すでに泚目しおいたこずもわかる。

    ぀たり、䞡者は共に、倧たかに蚀っお、「非日垞の異界から日垞のなかの異界ぞ」あるいは「倖の異界から内の異界ぞ」ずいう「傟向」を瀺しおおり、それは倚分「時代の芁請」なのではないかず、そう考えるこずもできよう。

    私は『おるみな』第巻のレビュヌで、䞊に匕甚した郚分に続いお、次のように曞いおいた。

    『では、どうしお身近に感じられるようになったのかず蚀えば、それは私たちの「日垞」感芚が、時代的に倉化したからではないだろうか。』

    そう指摘した䞊で、倧雑把に蚀えば、それたでの「珟実には豊かだが、退屈な日垞」の時代の「珟実逃避」から、「珟実に生きにくくなり、退屈だなどず蚀っおいられなくなった」今の時代ぞず倉化した、その必然性ずしお、珟実の䞭に「楜園を芋぀ける」ずいう方向に倉わっおきたのではないかず、そう指摘したのである。

    䟋えお蚀えば、昔は「珟実逃避」するために「掟手な海倖旅行」や「䞖界䞭をさすらう貧乏旅行」なんお莅沢なこずをしたけれど、今はそんな倧袈裟なこずはできないから、「ベランダの鉢怍えの䞭」に「楜園」を芋぀けたり、「長らく歩いたこずのなかった、小孊校ぞの通孊路」を蟿っおみるこずで、その倉哲もない道筋の䞭に「楜園」を芋出したりず、そういったふうになっおきたのではないか、ずいうこずだ。

    無論、こうした傟向を「貧しくなったから、手近なずころで安く枈たせるようになった、敗北䞻矩的な貧乏臭さ」だず吊定するこずは可胜だろう。だが逆に蚀えば「金ず力ず暇に任せお、掟手にゞタバタすれば、それで倖郚異界が芋぀かるずでも蚀うのか」ずいうこずにもなろう。

    同様に「Kashmir」も、昔に比べれば、劙に「明るく」なっお「毒が無くなった」ずも蚀えるのだけれど、それもいちがいに吊定されるべきこずではあるたい。
    ぀たり、「反俗」も良いけれど、可胜なのであれば、「脱俗」や「超俗」が悪いはずもない、ずいうこずである。

    昔の䞭囜の「神仙」のように、山奥の異界に䜏たなくずも、郜䌚の䞭に「異界」を芋぀け、そこで「ほっこり」できるのなら、それも悪いこずではないはずだ。
    そもそも「異界」を求めおずいうのは、わざわざ「苊しむために」それを探した、ずいうこずではないはずなのである。

    「日垞なかの異界」ずいう本巻のこうした特城は、垯の惹句に、わかりやすく衚珟されおいる。

    『耳はネコでも おヒゲはないので 危険が探知できなせん。』

    これが「ほっこり」させる偎面の象城的衚珟であり、その暪にはしっかりず、

    『死ず隣り合わせの 鉄道ファンタゞヌ』

    ずあるずおりなのだ。

    死ず隣り合わせだっお、ほっこりできるのなら、それでいいではないか。
    もはや私たちは、絶察安党の䞭に「楜園」を芋぀けるのではなく、あした死ぬかもしれないずころでも「楜園」を芋぀けるこずのできる生き方を求めおいるのではないか。だから、やたらに「重く暗く」には、ならないのではないだろうか。

    無論、必芁なずきには「重く暗く」なるべきであり、なれなくおはならない。
    そんな「君子豹倉」ができないようでは、今の䞖界のなかに「楜園」を芋぀けるこずは䞍可胜だろう。ただ、い぀でも「ニコニコしお、いい人」ずいうだけで枈むのならそれもいいが、実際にはそれでは枈たないのである。

    ずもあれ、猫耳少女が、けっこう「気味悪い䞖界異界」に入っおいきながら、それでもそこを楜しんだ埌に「垰っおくる」ように、私たちも、そのような、ある意味で「図倪い楜しみ方」できるようにならなければ、今の䞖の䞭は、苊しいだけずいうこずになっおしたうのではないだろうか。
    だから、図倪く鈍感になるのは、かならずしも悪いこずではないのである。

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    さお、ここたでは、本巻の収録䜜品に぀いお、たったく觊れるこずができなかったので、最埌にいく぀か觊れおおこう。

    たず、本巻収録の11䜜の䞭で、私がいちばん気に入ったのは、第28話の「かわら」である。
    ストヌリヌ玹介はしないが、「倱われたもの、忘れ去られたもの」ぞの著者の「切ない共感」を感じさせる、抒情的な䜳品ずしおお薊めしたい。

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    あず、これは半分冗談だず思っお聞いおほしいのだが䞀䞀、かねおより「倧倱敗確実」ず蚀われおながら、珟圚も開催に向けおの突貫工事が匷行されおいる、話題の「倧阪䞇博」倧阪維新の䌚・吉村掋文倧阪府知事 責任監修に関連した「ネタ」を、玹介しおおこう。

    第24話「氎神」に登堎する、䞋に瀺した「倩倉地異の神」が、「倧阪䞇博」のマスコットキャラクタヌである、通称「コロシテくん」正匏名称・ミャクミャクに䌌おいる、ず感じたのは、はたしお私だけだろうか

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    巊䞊が癜倧蛇「氎神」の化身。巊䞋は「郜垂蚈画の神」

    この第24話「氎神」は、「「楜園」web 増刊」の「2021幎5月号」に掲茉されたもので、調べおみるず、「倧阪䞇博」のマスコットキャラクタヌが公募の結果決たったのは「2022幎3月2日」である。
    だから、「Kashmir」が、通称「コロシテくん」正匏名称・ミャクミャクを揶揄しお「倩倉地異の神」をデザむンした可胜性はない、ず断じおいいだろう。

    このマスコットキャラクタヌは、採甚決定時には、ただ「ミャクミャク」ずいう正匏名称がなかったため、ネット䞊で「コロシテくん」などず呌ばれおいたのだ。
    今では、手足の生えた人型の胎䜓もあれば、笑っおいる口も぀いおいお、ちょっず可愛くなった分、無難にもなった「コロシテくん」だが、最初は「真っ赀なポンデリングに、目玉がたくさん぀いおいる」ずいう、いかにも「グロテスクなデザむン」で、遞考理由ずされたずおり、尋垞ではないむンパクトはあるのだけれど、それにしおも「なんで、こんなものを䞇博の顔に良識を疑うよ」ずいう吊定的な意芋も、決しお少なくはなかった。芁は「目立おば良いのかそれが維新流なのか」ずいうこずである。

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    ずもあれ、その「真っ赀なポンデリングに、目玉がたくさん぀いおいる」ようなデザむンが、マンガかアニメかに登堎する「人間を生きたたた䜓内に取り蟌む怪物」『デビルマン』のゞンメンみたいなものかに䌌おいお、その怪物に取り蟌たれた人たちが、死ぬこずもできずに「殺しおくれ〜、殺しおくれ〜」ずいうようなこずを蚎えるそうで、それに「䌌おいる」ずいうので、「真っ赀なポンデリングに、目玉がたくさん぀いおいる」ようなデザむンのそれに、「コロシテくん」ずいう「あだ名」が぀いたのである。

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    氞井豪『デビルマン』

    そんなわけで、通称「コロシテくん」正匏名称・ミャクミャクが決たる前に描かれたマンガのキャラクタヌなのだから、「倩倉地異の神」ずの盞䌌は、たんなる偶然なのだろう。

    ずころがだ、䞇博の䌚堎ずなる倢掲は、倧阪湟を「産業廃棄物」で埋め立おた人工島であり、これたでは「盎接の乗りいれ経路」が無かった隣の人工島に枡っお、そこからの橋で倢掲に入った。
    そこで珟圚、倢掲ぞの地䞋鉄の延䌞工事ず海底道路か䜕かの工事が進められおいるのだが、それだけだず、台颚が来たり、䞇が䞀にも「南海トラフ地震」が発生したら、亀通が途絶しお孀立しおしたうのではないか、などず危惧されおいる。
    そしおそのこずを考えれば、「倩倉地異の神」ずの偶然の盞䌌ずいうのは、たったく排萜にならないのだ。
    そもそも、この第24話「氎神」も、鉄オタ猫耳少女の願いをうけお「線路のないずころに線路を敷こうずする、神様たちのお話」なのである。

    偶然にしおは、ちょっず出来すぎ感がないでもないから、吉村掋文知事は、䞇難を廃するために、今からでも遅くないので、「Kashmir」の描く、巚倧な癜蛇の「氎神」様か、その氎神さたが化けた矎少女を、通称「コロシテくん」正匏名称・ミャクミャクに替えお、ずは蚀わないが、䞇博の「第マスコットキャラクタヌ」にしお、お祈り神事でもずり行っおはどうだろうか

    そうず決たれば、善は急げで、吉村掋文知事は、「空飛ぶタクシヌ実は、ただのドロヌン」に乗っお、「Kashmir」のもずぞ蚱諟を取りに行くべきだず思う。

    来幎の「倧阪䞇博」が、「楜園」ずなるか「地獄」ずなるか、これは排萜にならない珟実なのである。䞀䞀いや、ほんたに。


    2024幎5月11日

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