Radioheadのアルバム、最初に聴くなら?|『OK Computer』『Kid A』『In Rainbows』3枚入門
「Creep」から Radiohead を聴き始めてみると「思っていたバンドと違う」と感じるかもしれません。

それも、そのはず。
Radioheadは、ひとつの音楽性にとどまり続けたバンドではありません。
1990年代のギターロックから出発し、『OK Computer』でその世界を大きく広げ、『Kid A』ではロックバンドという枠そのものを揺さぶる。そして『In Rainbows』では、実験性を残しながら、より繊細で人間的な音楽へとたどり着きました。
だからRadioheadを知るなら、ベスト盤のように曲を拾っていくより、アルバムの変化を追ってみるのがおもしろい。
今回は、その中でも特にRadioheadの姿がよく見える3枚を選びました。
『OK Computer』
『Kid A』
『In Rainbows』
この3枚を順番に聴けば、Radioheadというバンドが「Creepだけでは語れない」理由も、少しずつ見えてくるはずです。
01|『OK Computer』(1997年)
🎸 ロックの先に見えた、不安と美しさ
1995年の『The Bends』で、Radioheadはすでにイギリスを代表するロックバンドへと成長していました。
その次に彼らが作ったのが、『OK Computer』です。

『The Bends』までのギター中心の音楽をさらに押し広げながら、電子音や複雑な構成、SF的な雰囲気を取り込み、Radioheadはここで明らかに別の場所へ進み始めました。1997年の発表後、アルバムは世界的な評価を集め、バンドの存在感も一気に大きくなっていきます。
ただ、華やかな成功の裏側では、長期間のツアーによる疲弊も重なっていました。『OK Computer』後のツアーはバンドに大きな負担を与え、その後の音楽性の変化にもつながっていきます。
音楽としては、とにかくスケールが大きい。
壮大なのに、どこか不安。
美しいのに、少し寂しい。
そんな相反する感情が同居しているのが、このアルバムの魅力です。
🎧 『OK Computer』の聴きどころ
① ロックなのに、どこか未来的
ギターを中心にしながらも、電子音やさまざまな音響処理が加わり、普通のギターロックとは違う景色が広がります。
② 曲の中で景色が変わる
特に「Paranoid Android」は、ひとつの曲の中で何度も表情が変わる。Radioheadの「曲を構築する面白さ」が分かりやすい1曲です。
③ 静かな美しさ
穏やかで美しいメロディなのに、その奥にはどこか不穏な空気が漂う。『OK Computer』というアルバムの世界観を象徴するような1曲です。
🎵 まず聴きたい3曲
Paranoid Android
Karma Police
No Surprises
02|『Kid A』(2000年)
🌌「これもRadiohead?」から始まる音楽
『OK Computer』で世界的な成功を手にしたRadiohead。
普通なら、その成功したサウンドをさらに発展させても不思議ではありません。
ところが彼らは、そこから大きく方向を変えます。

1997年のアルバムとその後のツアーを経て、バンドは従来のギターロックから距離を置き、電子音、アンビエント、ジャズなどさまざまな要素を取り込んでいきました。2000年に発表された『Kid A』は、その変化を象徴する作品です。
ギターが前面に出ない。
シングル向きの分かりやすい曲も少ない。
それなのに、不思議と耳に残る。
最初は少し戸惑うかもしれません。
でも、何度か聴いているうちに、冷たい電子音の奥からRadiohead独特の感情が浮かんできます。
『OK Computer』で広がった世界を、さらに内側へ、そして別の方向へ掘り進めたようなアルバムです。
🎧 『Kid A』の聴きどころ
① 冒頭から別世界へ連れていかれる
「Everything In Its Right Place」の電子音と加工された声。『OK Computer』までのRadioheadを知っているほど、その変化に驚かされます。
② 冷たい音の中に感情がある
無機質に聴こえるのに、決して感情がないわけではない。「How to Disappear Completely」の静けさには、むしろ強い感情が残ります。
③ ロックバンドの可能性を広げた
ギター、ベース、ドラムという形にこだわらず、電子音やサウンドそのものを音楽の中心に置いた。その大胆さも、このアルバムの大きな魅力です。
🎵 まず聴きたい3曲
Everything In Its Right Place
How to Disappear Completely
Idioteque
03|『In Rainbows』(2007年)
🌈 実験の先にあった、静かな美しさ
『Kid A』以降、Radioheadは『Amnesiac』『Hail to the Thief』と作品を重ね、さらに音楽の幅を広げていきます。
そして2007年に発表されたのが、『In Rainbows』。
このアルバムで印象的なのは、これまでの実験性を残しながら、音楽そのものがどこか柔らかくなっていることです。
『Kid A』のような冷たさもある。
でも、それだけではない。
ギター、電子音、リズム、そしてトム・ヨークの声が、まるでひとつの空間の中で静かに溶け合っていきます。
そして、このアルバムは発表方法も大きな話題になりました。

Radioheadは『In Rainbows』のデジタル版を、購入者が価格を決める形で提供。音楽そのものだけでなく、作品の届け方でも既存の常識に挑戦しました。
音楽も、届け方も、Radioheadらしい作品だったと言えるでしょう。
🎧 『In Rainbows』の聴きどころ
① ギターが作る浮遊感
「Weird Fishes/Arpeggi」などでは、いくつものギターが重なり、音が波のように流れていきます。
② トム・ヨークの声が近く感じられる
強く歌い上げるというより、音の中に声が溶け込んでいく。その繊細さがアルバム全体の空気を作っています。
③ 美しいのに、少し寂しい
「Nude」や「Reckoner」の美しさは、単純な明るさとは違います。どこか影があるからこそ、何度も聴きたくなる。
🎵 まず聴きたい3曲
Nude
Weird Fishes/Arpeggi
Reckoner
💿 3枚を並べると見える Radioheadの変化
この3枚は、単純に「おすすめアルバム3選」というだけではありません。
Radioheadが、どのように音楽を変えていったのか。
その流れを感じることができます。
OK Computer|ロックの可能性を広げる
Kid A|ロックそのものから一度離れてみる
In Rainbows|それまでの経験を抱えながら、より柔らかな音楽へ向かう
この変化を続けて聴くと、Radioheadが単に「実験的なバンド」なのではなく、その時々で自分たちの音楽を作り直してきたバンドだということが分かります。
どれから聴けばいい?
もちろん、3枚をこの順番で聴かなければいけないわけではありません。
🎸 ギターロックが好きなら
『OK Computer』
まずはここ。
「Creep」からRadioheadを知った人にも、自然につながります。
🌌 電子音や実験的な音が好きなら
『Kid A』
最初は少し戸惑っても、何度か聴くうちに独特の世界が見えてきます。
🌈 美しいメロディや浮遊感が好きなら
『In Rainbows』
3枚の中では、もっとも自然に入りやすいと感じる人もいるでしょう。
迷ったら、
『OK Computer』
↓
『Kid A』
↓
『In Rainbows』
の順番で。
Radioheadの変化そのものを楽しめます。
2027年、もう一度Radioheadを聴く
2026年9月、Radioheadの2008年以来となる単独来日公演が発表されました。
2027年6月には、GMOアリーナさいたまで5公演が予定されています。日本公演は6月8日、9日、11日、12日、13日の5日間。
久しぶりにRadioheadを聴く人。
「Creep」しか知らなかった人。
昔から聴いている人。
それぞれに、今あらためてRadioheadを聴く理由があると思います。
そんなタイミングだからこそ、まずは3枚。
『OK Computer』でロックの広がりを感じる。
『Kid A』で、その枠が壊れていく瞬間を聴く。
そして『In Rainbows』で、そこから生まれた美しさに触れる。
Radioheadは、聴くたびに少し違って聴こえるバンドです。
最初は「よく分からない」と思った曲が、何年か後には一番好きな曲になっていることもある。
だから、急いで理解する必要はありません。
まずは1枚。
気になったら、もう1枚。
そのくらいの距離感で、Radioheadの音楽に入ってみてください。
🎧 Radioheadをもっと知りたい人へ
Radiohead入門|「Creep」だけじゃない。まず聴きたい3曲
「Creep」から始めて「Let Down」「Everything In Its Right Place」へ。
Radioheadの音楽がどのように変化していったのかを、まずは3曲で。
🎧 アーティストを知る10のエピソード|Radiohead編
バンド結成から「Creep」、そして『OK Computer』『Kid A』、さらに2027年の日本公演まで。
Radioheadというバンドの歩みを10のエピソードで紹介します。
🎧 Radioheadが好きなら聴いてほしい5組
Radioheadを聴いて「もっとこういう音楽を聴いてみたい」と思ったら。
The Smile、Portishead、Sigur Rós、Mogwai、Massive Attackへ。
Radioheadから、さらに音楽の世界を広げてみてください。
「Creep」の次に何を聴けばいい?
そんなところから始めても大丈夫。
でも、その先にあるRadioheadは、きっと想像していたよりずっと広い。
まずはこの3枚から。
『OK Computer』
『Kid A』
『In Rainbows』
3枚を聴き終えたとき、最初に聴いたときとは少し違うRadioheadが見えているはずです。
