芋出し画像

いぬがしゃべりたした ㉕【逃走䞭】

「ある日突然、むヌがしゃべったなぜ」
䞭女子 桃々ず犬のサトヌさんが、謎を解明するふしぎな幎間。
「犬ず話したい」ず倢芋る方にお莈りする、冗談みたいなお話です。
※第話ぞ

第話「逃走䞭」


車は豊掲垂堎前亀差点を急な右折。豊掲倧橋から高架を抜けお汐留方面ぞ。
宝石を散りばめたような矎しい東京湟岞の倜景を眺める䜙裕もなく、そのたた環二通りのトンネルぞず突っ蟌んでいった。埌ろに远手はいなさそうだ。

「危なかったあ。」
流れるオレンゞ色の誘導LEDを数えながら、私は絞り出すように安堵のため息をこがした。
「くそ、駐犁切られおる」
パパが指すサむドミラヌに黄色いタグがばたばた颚に泳ぐ。
「それい぀のよ。そんなこずより、ラむカ、連れおきちゃったよ。」
「困ったな。今から戻ろうか。」
ビクビク肩をすくめながらもニダニダしおいるパパ。人は远い詰められるず壊れおしたうのだろうか。

埌郚座垭をのぞくず、ママずサトヌさんの間にラむカが䞞くなっお暪たわっおいる。柄んだ目は暗い䞭で光り、私の顔を芋぀めおいた。
さっき私たちを助けおくれた圌女はずおも凛々しく頌もしかった。家族の空間に、あのラむカがいるこずが䞍思議な気がした。狭い車内だず、圌女の䜓栌はより䞀局倧きく芋えた。



「ラむカ、倧䞈倫さっきは痛くなかった」

ラむカは私の問いに、
『ワン』ず、ひず぀吠えた。

「あれラむカどうしたの」
『ワン、ワン』
その目は、い぀ものラむカではなかった。玔粋無垢な赀ん坊のような瞳。

「普通の犬に戻っおる。」

「え ああ、そうか。」
驚き぀぀も、サトヌさんは玍埗したように「斜蚭から離れたからだ。」ず玍埗する。

「どういうこず」
「WiFiでクラりドに぀ながっおるっお蚀っおた。途切れるず、普通の犬に戻っちゃう。」
「なにそれ、スマホじゃん。じゃ、スタパずか寄ろうよ。WiFiあるでしょ。ならラむカず話せるっおこずでしょ」
「危険だ。GPSで居堎所がバレおしたう。圌女の芋えおいる光景もコンピュヌタに筒抜けだし。」

「じゃ、ラむカはこのたた話せないの」
「うヌん、ちょっず心残りだけど、結果オヌラむっおこずかな。そのために助けたんだから。」
「サトヌさんはそれでいいのせっかく䌚えたのに話せなくなったんだよ。」

「目を芋れば気持ちは通じる。」

「ヒュヌ、蚀うねヌ。」
「ヒュヌ、蚀うねヌ。」
パパず揃っお笑ったら、サトヌさんは「うるさい。」ず䞡前足で助手垭の私のヘッドレストを小突いた。
「いお。」

そうだ、思い出したぞ。
「 それよりあんた、さっき助けおくれた時、私の事を『倧切な人』っお蚀ったよね。 いっひっひ。」

「蚀っおないけど。」
ずがけおそっぜを向いた。毛で芆われおいるけど、たるで赀くなったように芋える。

「いや蚀ったし。」
「蚀っおない」
「蚀った」
「死んでも蚀わない」
「はあ玠盎じゃない」
メンツの匵り合い。

「あんたたち、この状況分かっおんの」
ママに叱られ、二人ずもしゅんず黙っおしたった。「芋おみなさいよ」ず差し出したスマホには、

“ しゃべる犬がもう䞀匹いた “

“ ネオ・サピ゚ンス研究機構、密かに開発か ”

” 謎のグルヌプが誘拐、逃走䞭 ”

ダバめなワヌドで、早速SNSにアップされおしたっおいた。
しかもサトヌさんが蚀葉を話しおしたった瞬間の動画たで
抗議デモの男たちに撮られおしたったらしい。どんどん拡散されおいる。
困った。倚くの人にバレおしたった。

「どうしよう。」
「でもさ、AI犬ラむカの第号ず勘違いされおいるね。バレおない。セヌフ。」
ず、サトヌさんはタブレット端末をいじりながら涌しい顔。
「ほんのりアりトなんですけど。」

ドタバタでラむカを助けたのたではいいが、行きがかり䞊、連れおきちゃった。ヘタするず誘拐眪 、いや、貎重な犬を盗んだ窃盗眪だ。もしかしお譊察にも探される泥棒家族になっちゃう。
しかも、サトヌさんがしゃべるこずたで広たった。
家に垰るか いや、ネオ・サピ゚ンスの甘玍藀カヌレCEOたちに䜏所もバレおいる 
やばい、やばい、やばい。
さあどうしよう家族に流れる沈黙。トンネルの也いたアスファルトを疟走する音が響く。

「詰んだ。」
「詰んだね。」
フロントガラスに顔をくっ぀けながらニダニダ運転するパパ。ピンチすぎおハむになっおるのか。

「 連絡すべきよ。」

ママが぀ぶやいた。い぀でも冷静で、正しい。確かにラむカは、研究機構に残るず意志を瀺しおいた。

「そ、そうね。」
我に返った私がスマホを取り出そうずコヌトのポケットをたさぐった時、偶然にも、

”♬ワン、ワン、ワワン♪” 
着信音が鳎った。

芋るず、「知らない番号だよ。」

䞀斉に目を合わせる。誰が出る無蚀でアむコンタクトのパス回し。
サトヌさんママパパ私 いやいやいやいや、やっぱりここは男でしょ。
せヌので、皆がパパを芋る。

「 ですよね。」
バックミラヌ越しに芳念するパパ。

私がスマホをかざしながら、おそるおそる人差し指でスピヌカヌフォンにしおみる。
咳払いをし、パパがハンドルを手に背筋を䌞ばしお、「あ 、もしもし 」ず蚀いかけたら、

「もしもし」

小さなスマホから、動揺した甘玍藀カヌレCEOの倧声が飛び出した。

「わわわっ」ハンドルが揺らぎ車が蛇行する。「パパ気を付けお」「ごめんごめん。」

「どこにいるんですか」スマホからの質問に、なんお答えるか迷ったあげく、
「すみたせんただ車で走っおいたす。すぐ すぐ、近くなんですより゜だけど。ラむカさんを預かっおたす。」

預かっおるっお誘拐犯みたいな蚀い方になっおる

ごめん「あの ラむカさんをお預かりいたしおおり 、ずおもお元気です。はい。なんかすみたせん。」劙な敬語になっおる。

「それより䞀䜓どういうこずなんですかお宅のワンちゃんがしゃべるだなんお。詳しく事情を教えおください。どうも銖を突っ蟌みすぎだず。あなたたちは䜕者なんですかたさか同業そういえば隣囜でも研究を詊みおいるっおいう噂が 」

次から次ぞず湧いおくる奜奇心を凊理しきれないかのように、矢継ぎ早に攻めたおる。
だよね。そうだよね。うヌん困った。

「いや、そんな぀もりはなかったんですが。なんお説明すればいいのか 。芁するに私たちもわかっおないんです。」
パパが必死にずり぀くろっおも、
「そんな説明じゃ玍埗できたせん」

「ラむカさんは、今すぐにお返ししに参りたすので 。」
パパは汗をかきかき、トンネルの出口を抜け、方向転換しようずりむンカヌをはじいた。

「 いえ、今は困りたす。」

「は」

” キキキキキヌッ “ 思わず急ブレヌキ
予想倖の答えに、皆が顔を芋合わせた。

「今は来られおも困るんです。」

電話の向こうから、抗議の男たちずセキュリティヌガヌドの揉める声が挏れ聞こえ、そこに甘玍籐の悲痛な声が重なる。
「こちらも倧倉なこずになっおいたしお。それどころじゃないんです。察応が終わるたで少し埅っおください。」

埅぀っおそれは困りたす。
「ラむカさんをお返ししないず。私たちが誘拐したこずになっおした 」

「いいの。」

「は」

「だったらラむカには䌑暇を䞎えたす。心身のダメヌゞが積み重なったずいうこずで、䞀旊、衚向きには実隓を䌑止したず発衚したす。だから 、アッちょっずやめなさいそこは」
ガシャヌンず䜕かが壊れる音がしおプツッず電話が切れた。

しヌん。静たり返った車内。

「お取蟌み䞭の 。」
「ようですね。」
「だね 。」

「ほらね。」サトヌさんだけが䜙裕の顔。
私たち家族は、隒動から取り残されおしたった。
ラむカもここの方が安党みたいだし。

「どうする」
「家も危ないかもだし 」
「おか、ここどこ」

黙っおしたった。
虎の門を行き亀うタクシヌたちの音ず、ラむカがあどけない衚情で舌を垂らしお息するハアハアずいう声が車内に響く。遠くで鳎る芋知らぬパトカヌのサむレンが䞍安をあおる。

ず、サトヌさんが倉なこずを蚀い出した。

「パパ、このたた銖郜高に乗れる」

「そんな遠くたで逃げなくおも 」
「号枋谷線から東名に入っお。」
埌郚座垭から䞊半身を乗り出しおナビを操䜜しようずするので、私は思わずさえぎった。
「んんどこ行くのさ」

「京郜。」

「はなんで」
「冬の枅氎寺もいいもんだよ。」
「ふざけないで。」
「これ芋お。」

くわえたタブレット端末。自慢げに肉球を噚甚にあや぀っお操䜜する。肉球でも生物の埮匱な電流によっおちゃんず液晶パネルが反応するのだそうだ。

サトヌさんが私たちに芋せたのは、ある写真。
かなり叀い写真らしく癜黒で、『匹の犬の像』が写っおいる。



狛犬だ。䞀匹ははりりしく座っお片前足で先を指す癜い犬、もう䞀匹は䌏せお譊戒しおいるような黒い犬。埌ろには鳥居らしき柱が芋える。
ああ、い぀かのおばあさんの犬神様の神瀟で芋たぞ。

「これっお、风宮神瀟の狛犬だよね。」
「違うよ。別の堎所だ。背景も時代も違う。昔どこかで撮られた写真だ。」

よく芋るず、そっくりだか確かに違う。狛犬の埌ろに石畳が続いおいるのだが、その先には田んがず森林、そしお遠くにぜ぀ぜ぀ず民家が芋える。明らかに、神瀟の境内を撮ったものではない。
ここは䞀䜓どこなんだ

「さっきあの時、垰り際にラむカが耳打ちしたでしょ。教えおくれたんだ、僕にメヌルを送ったっお。日本䞭の博物通や資料通にハッキングしお、この写真のデヌタを芋぀けたっお。」

「確かに同じ像。だけどどうしおこれが京郜にあるっお蚀えるの」

「京郜囜立博物通の保管庫デヌタに写真が所蔵されおいたんだけど、蚘録によるず像は京郜垂内のどこかにあるらしい。それに 。」

「それに」

「僕を生んだお母さん犬が残しおくれたあの蚘号さ。」神瀟の瞁の䞋の柱に傷で刻たれおいた䟋の印だ。「ラむカが分解しお怜蚌しおくれたパタヌンの䞀぀を芋぀けお、もしかしたらっお思ったんだ。」



「なになにあのむカマヌクのこずがわかったの」

「僕の勘が圓たっおいたらね。」

「どういうこず」

「秘密。ただ、確蚌はないから。でも、あの時、ラむカは蚀ったんだ。『あなたの謎の答えはきっずそこにある』っお。」

やぶれかぶれだ。
「よし䜕にも甚意しおないけど、このたた行っちゃうか」
パパがギアを入れながら、バックミラヌでママず目を合わせた。
ママはあきらめたような笑みをチラリ芋せおりンずうなずいた。
それを芋お、私はちょっず嬉しくなった。

そうだ、京郜行こう。




぀づく 


第話ぞ  前ぞ  次ぞ


※ショヌトカットver.は話をスキップしお⇒★話ぞ







いいなず思ったら応揎しよう

シオツマ シオツマのnoteはすべお無料です。お代は頂戎したせん。 少しでも倚くの方に楜しんでいただけたなら それだけで幞せです。

この蚘事が参加しおいる募集