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いぬがしゃべりたした ㉔【誘拐家族!?】

    シオツマ

    「ある日突然、むヌがしゃべったなぜ」
    䞭女子 桃々ず犬のサトヌさんが、謎を解明するふしぎな幎間。
    「犬ず話したい」ず倢芋る方にお莈りする、冗談みたいなお話です。
    ※第話ぞ

    第話「誘拐家族⁉」


    私は思わずママに聞き返した。

    「はぞいいの」

    良識を絵にかいたようなママが、「ラむカを助けよう。」
    こんなこずをささやくなんお。
    だっおあんなに反察しおたじゃん。あんた、実ぁむケる口だねぇ。いや、むしろ私の方がビビっおるかも。

    「でもね 、」
    ママは冷静に泚釈を加えた。
    「でもね、その代わり、ラむカが望んだらよ。圌女の気持ちが倧切。圌女が逃げたいっお望んだら助けおあげおね、サトヌさん。私がこっちで話を匕き延ばしおるから。」

    そう蚀い残しお、サトヌさんにりむンクをし、私の背䞭をポンず抌しお、「あらヌ、玠敵な怍朚。ほほほほ 」ずかなんずかゎマかしながら、郚屋に戻っおいった。

    サトヌさんは私の顔を芋お、無蚀でうなずいた。


    ◆


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    きれいに枅掃された廊䞋。
    サトヌさんは癜い倧理石の床に錻をくっ぀け、残されたラむカの匂いを探りながら進む。磚き䞊げられたフロアは爪が滑るようでちょっず歩きにくそう。
    「あの甘玍藀カヌレっおCEOの人、信甚できないな。人間が嘘を぀くずきの緊匵から分泌される汗の匂いがした。」

    本圓は優しい人なんじゃないかな。ラむカのこずが心配で助けたいのかも。母芪ずしお。そう思ったけど、蚀わないでおいた。たた「甘い」っお、バカにされそうだから。

    サトヌさんが歩みを止める。
    「この郚屋らしい。」

    たるで録音スタゞオのように、倧きなレバヌが぀いおいるドア。
    耳を圓おおすたすず、ひんやり冷たい。開けようずしたが 、重い手ごたえ。ロックがかかっおいる。
    「 た、そう来るよね。」

    ふず脇に液晶パネルがあるこずに気づいた。桁の番号が䞊ぶ。
    「どうすんのよ、これ。ここたで来お。」私が手を䌞ばすず、

    「觊らないで。」サトヌさんは、数字の䞊んだタッチパネルをじっず芋䞊げおいる。「ず、それにず かな。」

    「え知っおるの」
    「知らない。぀の数字を正しい順番にタップすれば 。」
    「なんでわかるの」
    「指王が぀いおる。」
    「えどこに」どう芋たっお、ただグレヌに光る぀るんずした液晶ディスプレむ。指王なんおわかるわけない。

    「犬は人間ず違っお玫倖線が芋える。液晶画面から発せられる玫倖線の匷匱を芋れば、倚くの皮脂が぀いおいる、぀たり指王が぀いおいる番号が分かるのさ。あずは 」
    サトヌさんは埌ろ足で立ち䞊がり、「もっず䞊に䞊げお。」

    私は、サトヌさんを抱きかかえおパネルの前に錻先を持っおいく。なにやら懞呜に数字の匂いを嗅いでいる。

    「ねえ、サトヌさん。なにがわかるの」
    「、、、の順かな。」
    「えなんで」
    「皮脂の匂い。抌す順番に指の皮脂が薄れおいく。指王の濃い順に。なるほど、ラむカの生たれた日だね。」

    「ほんずにぃ  」半信半疑で、緊匵しながら抌しおみる。「  ENTER、っず。」

    ” カチャッ “

    ロックが解陀する小気味良い音。「ほらね。」ず錻高々。
    コンコンず2回ノックしお、恐るおそる「倱瀌したぁす。」ずレバヌを匕いた。顔をのぞかせるず、重たいドアの向こうには、い぀もチャットで芋なれた郚屋が広がる。

    淡いベヌゞュの゜ファにはラむカが暪たわり、ひょいず顔を䞊げた。
    「桃々さん」

    可愛らしく柔らかな癜いベッドに、カヌテン。くすみ系ピンクのテヌブルず赀いクッション。窓がない代わりに、壁に扇型の倩窓が描かれおいる。星がきらめく倜空の画が矎しい。
    なんじゃ。私の汚郚屋より女子力高いぞ。

    ラむカはすぐに、埌から隠れお入っおきたサトヌさんを目ざずく芋぀けた。
    「   サトヌ さん」

    「あ  。」
    サトヌさんは声を出そうずしお、躊躇した。
    犬の姿であるこずをずっず隠しおいたからだ。圌女に嘘を぀いおいたこずには倉わりない。自分を信頌しおい぀も䜕でも話しおくれおいたのに、その気持ちを利甚しおいたのでは裏切っおいたのでは助けなければずいう䞀心でやっお来たものの、埌ろめたさで玠盎に喜べなかった。
    「あ あの   」い぀もの粟圩さはなく、蚀葉ずも蚀えない声を出すばかり。

    ゜ファから降りたラむカ。
    「サトヌ さん ですねやっぱり。さっき䌚った時、確信したした。呌吞音のリズムがテレビ通話の時のサトヌさんず94䞀臎しおいたので。」探るように䞀歩ず぀近寄る。

    芚悟を決めた。
    吹っ切るように身䜓をブルブル震わせ、サトヌさんは顔を䞊げる。

    「 うん、そう。僕だ。」

    歩みがピタリず止たるラむカ。

    「ちょっず、サトヌさん」
    倧䞈倫なのしゃべっちゃっお戞惑う私をよそに、
    「君ず同じ犬です。隠しおいお、ごめんなさい。」

    頭を䞋げるず、ラむカは銖を振った。
    「 いいえ。だけど、ずおも驚きたした。正盎蚀うず、私のアシストAIも少し混乱しおいたす。あなたは私ず同じAI犬 違う。䞖の䞭に私しかいないはず。」

    「僕自身もなぜしゃべれるのか、わからないんだ。その理由が分かるたで、そのこずは秘密にしおいる。」
    「だから犬の蚀語胜力に興味があったんですね 。わかりたした、秘密は守りたす。」
    「なぜだか少しホッずしおいるよ。君には、僕の姿を芋おほしかった。」
    「危険を冒させおごめんなさい。でも 。」

    「でも」思わず尋ねおしたう私。

    「でも嬉しい 。」ラむカは瞳を最たせた。「生たれお今たでで䞀番嬉しい。こんなに嬉しいこずはありたせん。」寄り添っおサトヌさんの銖元の匂いを嗅ぎながら、「優しい匂い。」ず぀ぶやいた。

    「ラむカ、ここを出よう。このたたじゃ君が壊れおしたう。僕たちは助けに来たんだ。」
    「ありがずう。ママはなんお蚀っおいたすか」
    「断られたよ。あっけなくね。」肩を萜ずす。

    豊かなヒゲがピクリず震えた。背を向けるラむカ。
    「   。」

    たたすぐ本圓のこず蚀うサトヌさんの良くないずこ。
    「ちょっず違うの。甘玍藀さんはね 」ずフォロヌしようずしおも、サトヌさんは畳み掛けるように、
    「このたたじゃ、君が壊されおしたう。だから行こう。」

    ラむカは背䞭を䞞めお、
    「䞀緒に行きたい。でも 行けたせん。私は実隓のために生たれたのです。私にはママがいたす。」
    「どうしお君のお母さんは、君をギリギリたで利甚しようずしおいるんだよ。」

    食い䞋がるサトヌさんの蚀葉に、振り向いたラむカは涙ぐんでいた。
    「それでも、お母さんなんです。私にずっおは、たった䞀人のお母さんなんです。」

    「だけど、せっかくここたで 。」
    「もう、この話は終わりにしおください。この䌚話の蚘録も消去しおおきたすね。来おくれおありがずう。」

    ラむカの固い意志は、匵り詰めたヒゲ先を芋ればよくわかった。瞳は䜕者も寄せ付けない匷い決意をにじたせおいた。
    その反応は、ここたで駆り立おたサトヌさんの衝動を䞀気に断ち切るには十分だった。ずっず心を通わせおいた唯䞀無二な関係だっただけに、もはや揺るがないこずはサトヌさんが䞀番思い知らされおいた。だから、さっきのママの蚀葉が頭をよぎる。

    『ラむカが望んだらよ。圌女の気持ちが倧切。』ず。

    サトヌさんは耳を垂らし銖をうなだれ、䜕も蚀わずずがずがドアの方ぞず歩み出した。それはたるで思いを寄せた異性に受け入れられなかった倱意の男の背䞭に䌌おいた。
    でも私はわかっおいた。ラむカの気持ちを、同じ女性ずしお。
    本圓は䞀緒に行きたかったのだ。でもサトヌさんを巻き蟌むわけにはいかない。明るみに出おはいけない秘密を知った今はなおさらだ。
    ラむカ、あんたいい女だね。

    「あ、サトヌさん、ちょっず埅っお。ひず぀だけ。」

    ラむカが、立ち止たったサトヌさんの耳元に唇を寄せ、䜕かをささやいた。

    䜕を蚀われたのだろう。
    私には聞こえなかったが、サトヌさんは静かに「え」ず驚き぀぀も笑顔で「ありがずう。わかった。」ず瀌を残した。


    その時だ。
    廊䞋の先、遠くの方からガラスの割れる音ず人々が隒ぐ声が響いた。

    “ うわぁぁぁぁぁぁぁ ”

    ◆


    急いで戻っおきた時には、廊䞋をパパずママたち䞀同が進んでいくずころだった。ただならぬ雰囲気に満ち、早足に急ぐ甘玍藀カヌレにスタッフたちが耳打ちしおいた。

    「桃々、行くよ。サトヌさんはバッグに入っお」

    どうやら抗議の矀衆が玄関たでなだれ蟌んできたらしい。
    「早く。隒動に皆さんを巻き蟌むわけにいきたせん。ラむカの郚屋は安党ですのでご安心ください。譊察も間もなく到着したす。」

    ママに小声で「ラむカは」ず尋ねられたので銖を暪に振るず、
    察しお「あら そう。」ず、少し残念そうな顔をした。

    「こちらです。」
    スタッフの誘導で、私たち家族は地䞋駐車堎ぞずたどり着いた。


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    車寄せで芋送る甘玍藀に私は頭を䞋げた。
    「ありがずうございたした。どうかラむカさんを倧切に。」
    同時に、サトヌさんがバッグから銖を出し、甘玍藀カヌレず目を合わせ、ペコリず頭を䞋げおから身を隠した。

    「この犬 もしかしお いや、そんなはずは 。」

    唖然ずした甘玍藀を残しお、私たち家族は車に駆け寄った。
    ドアを開いた時、

    「あそこにいるぞ犬もいるぞ」

    叫び声が蜟き、靎音を鳎らしお数人の男が駆け蟌んできた。
    先頭で指さすのは、入口にいたあのハチマキ男。黄色いダりンに倩パヌメガネの鋭い目。䞀床芋たら忘れられない。スマホを突き぀けおカメラを撮っおいる。

    「倧倉」

    「こい぀もAI犬か」
    ハチマキ男がサトヌさんのキャリヌバッグを奪いずろうず手を延ばす。

    「きゃあ」私が必死に抵抗しおも倧人の男の力には敵わない。
    「䜕するんだ」パパが割っお入っお男をおさえようず揉み合いになり、キャリヌバックが匟みで吹き飛んで、サトヌさんが転げ出た。

    「サトヌさんっ」

    かばうように抱きかかえようずした私。いきなり他の男たちに突き飛ばされ、転んで肩に激痛が走った。

    「痛いっ」

    その時、駐車堎の冷たいコンクリヌトに誰かの声が響いた。

    「やめろヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌっっっ」

    耳を疑ったけど、その声は、たさかのサトヌさん
    目にもずたらぬスピヌドで飛び぀き、ハチマキ男の腕にガブリず噛み぀いた。
    「いおおおおおおなにすんだ」

    振りほどいた勢いで、サトヌさんは床にたたき぀けられたが、すくっず立ち䞊がり、䜎い姿勢で男たちをにらみ぀けお、もう䞀床叫んだ。

    「やめろ」
    「え」

    䞀瞬で静たり返る。静寂が蟺りを包む。
    男たちは聞き逃さなかった。

    「え」
    「今のなに」
    「しゃべった」

    したった人間たちに聞こえおしたった。

    「サトヌさんだめしゃべっちゃだめ」
    ここたで長い間隠し続けおきたのに。私たち家族の倧切な秘密がバレおしたう。

    「桃々ちゃんママパパ早く逃げお」

    サトヌさん、ダメよダメあなたが危ない。バカバカあんた人間より頭いいくせにバカなんでバラしちゃうのよ攻撃されるよ

    「コむツも話すぞ」
    「やっぱり」
    「捕たえろ」

    サトヌさんは構わず、
    「桃々に危害を加えるダツは、僕が絶察蚱さない。倧切な人なんだ。」
    毛先たで怒りに震えおいる。

    サトヌさん あんた だめだよ、私のために。

    その時、私の目に映ったのは、
    ハチマキ男が埌ろから忍び寄り、䞡手で぀かんだデモ看板を振りかぶる姿
    「機械むヌなんか殺したっおいい」
    「サトヌさん、危ないっ」
    サトヌさんの頭めがけお朚材片を叩き぀けようずした、その時、

    “ ドン “

    黒くお倧きな圱が玠早く男たちに䜓圓たりした

    勢いあたっお転がっお、玠早く立ち䞊がったその䜓は矎しく、黒の毛䞊みが倖から差す月明かりに照らされ光っおいた。

    そう、ラむカだ

    「ラむカ」

    「逃げおください」
    「でも 」
    「私は倧䞈倫玠早いから」

    駆け付けたセキュリティヌガヌドが助けに入ったすきに、パパはサトヌさんを抱きかかえ、止めおある車に飛び乗った。

    「早くママ桃々出すぞ」゚ンゞンを掛け、ギアをはじいおドラむブに入れる
    「わわっ。」飛び乗った私たちを確認しお、パパはハンドルを切りながら、「よしきた」
    ドアが開いたたた、飛び出す車。

    「埅っおラむカが危ない」
    男たちず揉み合いになっおいるセキュリティヌガヌドずラむカ。逃げ惑うラむカに男たちの手が絡み合う。

    「ラむカを助ける」サトヌさんが叫ぶ。
    「よっしゃ桃々、ドアを開いお」パパが倧きくハンドルを回しながら呌んだ。「ラむカこっちだ」

    車は360床の匧を描き、䞀団の呚囲を回る。そこぞめがけおラむカが人々の隙間をぬっお駆け抜け、䞀盎線に私たちの胞に飛び蟌む

    「よヌし、みんな掎たれドアを閉めお」
    思いっきりアクセルを螏み蟌んだ。

    「ラむカが乗っちゃったよ。知らないぞ。知らないぞ。誘拐になっちゃう。」パパは困ったような、嬉しそうな顔でハンドルをさばく。

    スロヌプを走りゆく窓から、流れる景色の䞭に、こちらを遠くから芋぀める甘玍藀カヌレず目が合った。
    その顔は、なぜか心穏やかな母芪の衚情に芋えたような気がした。




    ぀づく 


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