
友達の作り方は、生後3ヶ月の息子が教えてくれた
大人になると、新しい友達を作るのって、意外と難しい。
夫の海外駐在に帯同して、オーストラリアのメルボルンに引っ越して半年。現地でなかなか友達ができなくて、正直、めちゃくちゃ寂しかった。
海外感覚のないまま過ごした日々
息子を4月に産むまでの間は、重たいお腹を抱えながらも自由に出歩くことはできた。
ちょうどメルボルンは真夏の季節で、街では毎週のように魅力的で楽しそうなイベントが開催されていた。
でも、一緒に出かける友達が、圧倒的にいなかった。
もちろん、友人が紹介してくれた現地在住の日本人の方や、夫が先に仲良くなっていた日本人夫婦、そして奇跡的に大学時代からの友人がメルボルンにいたので、何か行きたいイベントがあれば積極的に声をかけて一緒に楽しむことはできていた。
その時間はすごく楽しかったし、一緒に遊んでくれることがすごくありがたかった。
せっかくの晴れた日、家にひとりでいたら、自分が自分じゃなくなってしまいそうな気がしていたから。
日本語で思いきり喋れる友達がいて、悩みを打ち明け合って、何度も救われた。
でも——
海外にいる感覚は、なぜかあまりなかった。
日常の買い物などで英語を使うことはあっても、基本的には夫と日本語で会話し、外でも友達と日本語で過ごす。
メルボルンが住みやすい街だからこそ、カルチャーショックも少なく、「ちょっと景色の違う場所に来ただけ」という感覚がぬぐえなかった。
いつになったら、日本語じゃなくて、英語や他の言語でしか会話できないような——
「新しい友達」と呼べる人に出会えるんだろう?
街を見渡せば、いろんな背景を持っていそうな人たちが歩いている。
こんなにも多文化が共存する社会なのに、わたしの生活には全然そうした彩りが加わりそうな雰囲気はなかった。
🌏
不意に現れたチャンス
息子(こびさん)が生まれてからは、身体の回復や不慣れな育児に翻弄される日々で、そんなことはいつの間にか頭から消えていた。
そんなある日、住んでいる地域の「Parents Group」に参加することになった。
同じくらいの月齢の赤ちゃんを育てるパパママが集まる、地域の子育て支援グループ。
久しぶりにする英語での自己紹介。
メルボルンに来てもう4ヶ月も経っていたのに、留学時代に培ったはずの英語力はなかなか戻らず。
たどたどしい自己紹介をする自分に、ちょっと情けなさを感じた。
自分の順番が回ってくることに、実は結構緊張してしまったほど。
それでも、特に予定もなかったので、6週間のParents Groupにはほぼ皆勤で参加。
週1回のその時間が、ささやかな楽しみになっていた。
家族以外の、誰かと話せる時間。
たったそれだけのこと。
でも、それだけのことが、とても嬉しかったんだと思う。
ある日のParents Groupで、他のママが近所の図書館での読み聞かせ会に参加した話をシェアしてくれた。
「子どもの月齢は多少違っても、いろんな人と知り合えて楽しいからおすすめだよ」
自分の中でくすぶっていた「新しい友達が欲しい」という気持ちが、また静かに芽を出した気がした。
我が家の近所にも、別の図書館があることは知っていた。早速調べてみると、毎週木曜に読み聞かせ会を行っているらしい。百聞は一見にしかず、行ってみるしかない。
📚
息子の視線の先に
待ちに待った木曜の午前中、図書館での読み聞かせ会に参加してみた。
思っていたよりたくさんのママたちが、様々な月齢のベビーたちを連れて参加していた。図書館側が用意した椅子が足りなくなるほど盛況だった。
なんとかソファ席に座れて、読み聞かせをこびさんと楽しむことができた。
そのとき——
ちょっと離れた席から、ママたちの声が聞こえてきた。
「このあと良かったらお茶しに行かない?」
今だ、
今、立ち上がって「ねえ、良かったらわたしも行ってもいい?」と言うんだ。
勢いよく立ち上がったその瞬間、抱っこしていたこびさんのバランスが崩れてしまい、頭をソファに軽くぶつけてしまった。
ママたちは手際よく子どもたちをベビーカーに乗せて、楽しそうにお茶しに行ってしまった。
わたしはただ、その後ろ姿をただ見つめるしかなかった。
小さな声で、こびさんに「ごめんね」と謝った。
何してるんだろう、わたし。
悔しさとむなしさが心に残ったけれど、仕方ない。
一方のこびさんはケロッとした顔で、誰かをじっと見つめて、笑っていた。
何を見て、誰に笑ってるんだろう?
その視線を追ってみると、こびさんより少し大きそうな女の子を連れた家族が、ゆっくりと帰り支度をしていた。耳を澄ますと、聞こえてきたのはスペイン語。
「もしかして、スペイン語で話してるの?」
思わず話しかけていた自分がいた。
少しだけ話して、「あ、なんだか彼女とは仲良くなれそう」と思えた。
新しい友達ができた瞬間だった。
🤝
メルボルンに来てから半年が過ぎた。
わたしのスケジュールには「XXママとランチ」「△△ママとお散歩」といった内容が書き込まれるようになった。
何人かのママと連絡先を交換し、会う予定を作れるようになった。
最初に感じていた孤独感が嘘のように、少しずつ和らいでいった。
こびさんにとっても、もしかしたら「幼なじみ」と呼べるようなベビー仲間ができた。
わたしは何に悩んでいたんだろう。
なぜ、出産前にもっと積極的になれなかったのだろう。
自分で作っていたであろう殻を破るきっかけは、こびさんがくれた。
彼が静かに笑ったその先に、“友達になるかもしれない人”がいた。
一度踏み出してしまえば、もう怖くない。
日本にいた時の自分のように、前向きにいろんなコミュニティに顔を出してみたいと心から思えるようになった。
きっかけをくれて、ありがとう。
踏み出すために必要だったのは、ほんの少しの勇気だった。
すぐに話しかけられなくても、目が合えばニコッと笑えば会話が始まるかもしれない。
大切なのは、勇気を持って行動を起こすことだった。
まだ生後3ヶ月のあなたに、わたしが教えてあげられることなんてまだ少ないけれど、
生後3ヶ月のあなたは、すでにわたしにたくさんのことを教えてくれているね。
明日も図書館の読み聞かせ会に参加するつもり。
新しい出会い、あったら嬉しいね。
本日もお読みいただき、ありがとうございました!
なんだか今回の記事はセンチメンタル寄りの内容になってしまったけど、普段は面白おかしく駐在中の気持ちや葛藤、子育てにまつわることを書いています。
👇今回のエピソードに登場したスペイン語ママ友との、後日談です。
👇駐妻あるある?日々のお金やキャリアに関する葛藤をまとめました。
👇なんとか自分時間も大切にしたくて、たどり着いた朝活の話です。
興味があるものがあれば、ぜひ併せて読んでいただけたら嬉しいです!
それでは、Hasta luego!(スペイン語でまたね!)