
【小説】第二章|セカイの世界|〜リブとの出会い〜3/3
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第三話:慧眼
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死希科……死神……悪魔……闇の世界の話……
セカイくんの手のひらに小さな黒い人間の形をしたもの…
一体これからどうなっていくのだろうか……
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セカイ「お待ちしておりました。」
入って来たのはあの二人組だった。
セカイ「あれから一週間が経ちました。お気持ちにお変わりございませんか?」
男A『もちろんです』
男B『この日の為に用意してきたので』
セカイ「そうですか」
男B『ここに音声と動画があります。ここの情報を昨日週刊誌に渡しました。バレるのも時間の問題ですよ。』
男A『まぁそれ相当の物を渡してくれればこちらも考えない事もないですけど、どうします?』
セカイ「音声と動画…」
男B『記事も持ってきました』
セカイ「それは、困りましたねぇ。」
リブ「ちょっとやばくない?大丈夫?………あれ?テンリくんどこ行った?」
横にいたテンリくんに話しかけたらいなくなっていた。
辺りを見回すと二人組の後ろに立っていた。
リブ「いつの間に!」
内心ドキドキしていた。
確かにセカイくんとテンリくんは人間ではないが、ここまでされてしまったらどうなるのか心配だった。
テンリ「リブ!こっち来て!」
呼ばれるがままに移動した。
目の前は後ろ姿の男達、こちらの方を見るセカイくんだ。
テンリ「ここセカイを真正面で見られるから!」
リブ「一応聞くけどあの人達にはテンリくんの存在は……」
テンリ「見えてないし聞こえてない。安心しな?まぁリブはそもそも心配いらないね(笑)」
自分はこの状況にドキドキしているのに、少し微笑みながらも落ち着いて話してくるテンリくんはやっぱり悪魔なのかとも思ってしまった。
男A『あんた、人の死を手伝うとか言って金儲けしてんだろ?こんな犯罪許されねーんじゃねーの?』
男B『まっ、とりあえず2000万ぐらいか?どーせ色んな奴から金取ってんだろ?出せる分出せよ。動画とか音声は使わせてもらいますけどね。』
セカイ「言いたい事はそれだけですか?」
そう言いながら両手で空中に大きな円を書いた。セカイくんの上半身をすっぽり覆うような大きさの球体が現れ宙に浮かび、シャボン玉のようだが真っ黒で霧がかかっているのか中はモヤモヤとしている。
それは男達を吸い込み真っ黒な球体の中に閉じ込めた。
男A『うわー!なんだこれ!』
男B『出せ!この人殺し!』
閉じ込められた二人は球体の中心部に浮かんでいるように見えるーー全体的にだんだん小さくなって来たーー中の二人はずっと暴れ叫び続けているーーかすかに声は聞こえている……
セカイ「やっと静かになった」
テンリ「リブ?ここからあっと言う間だからちゃんと見ておくんだよ」
リブ「あ、うん…」
もうずっと見ている。こんな事目を背ける事なんて出来る訳がない。
二人を閉じ込めた球体は更に先程より小さくなって今ではバスケットボールサイズぐらいになった。
セカイくんは胸元の高さぐらいに浮いているそれに話しかけた。
セカイ「どうですか?居心地は?」
男A『黙れ!人殺し!ここから出せ!』
セカイ「死にたいとおっしゃったのはそちらですよ?」
男B『ふざけやがって!ちゃんと今も録画してるからな!』
セカイ「じゃあ最後にお持ちの物、見ましょうか?」
男B『これだよ!…………え、』
そう言った男は記事を見つめたまま固まってしまった。
男A『おい、どうしたんだよ!……え……ちょっと待てよ。動画は!?』
球体の中で二人は慌てている。
セカイ「どうかされましたか?」
そんな二人とは真逆に始終セカイくんは落ち着き少し微笑みながら喋っているが、全く“感情”と言うものが見えてこない。
セカイ「なるほど。色々な悪事を曝け出した記事ですね。“懺悔”と言う事でしょうか。」
男A『はぁ?こんなの書いてねーよ!どうなってんだよこれ!』
テンリくんが近付いてみようと声を掛けてくれ、セカイくんの向かい側に立ち、球体を覗き込むと記事には詐欺や盗撮等この二人が今までにして来た悪事をまとめたものだった。
動画は若い女の子に犯罪を犯す様子や強盗に入り高齢夫婦を殺害した様子等が流れていた。
男B『てめぇ一体何したんだ!』
セカイ「さぁ?何のことだか。ただお二人はお金に執着されているようで……そのご希望は叶えてあげましょう。」
男A『はぁ?』
セカイ「この度はご利用ありがとうございました。」
男AB『話になってねーよ!おい!ここから出せ!!助けてー!!』
話の最中も球体はだんだん小さくなりテニスボールぐらいの大きさになっていた。
セカイくんは水をすくうようにそれを両手のひらに乗せそのまま手の中に収めた。
たった一瞬ではあったが男達の耳を塞ぎたくなるような悲鳴は今までに感じた事のない程の恐怖を覚えるものであった。
テンリ「リブー終わったよぉ?」
リブ「……あの人達……どうなったの?」
セカイ「見る?」
リブ「え……う、うん…」
見たいような見たくないような恐怖と好奇心が混在していた。
セカイくんはまるで虫でも捕まえていそうにゆっくり手を開いた。
そこには1円玉が2枚あった。
リブ「あれ?お金?」
セカイ「お金集めが趣味みたいだったからお金にしてあげたんだ」
リブ「それは人によって変わるの?」
セカイ「前までは光の玉にしてたんだけど、しいたまさんが毎回同じだと面白くないって言ったから色々変えたりしてるかな」
リブ「それで今回はお金にしたんだね」
セカイ「1円の価値もないけど、一番小さいお金って1円だから仕方ないね。」
リブ「それってもう“死んでる”って事?」
セカイ「“体”は死んだかな」
リブ「体?」
テンリ「あぁえっと魂を取ると生きる事は出来ないよね?でも体は物体として残る、その体は生きていた世界に残される。つまり体的には動く事は出来ないから死んだ事になる。ただ魂と意識はここにいるから生きてるっちゃ生きてる……あんま人に説明した事なかったわ!(笑)」
リブ「意識あるの!?」
セカイ「話そうと思えば話せるけど…どうする?」
リブ「いや、遠慮しとく…」
セカイ「自分で死にたいって言ったのに助けてってね?この中で楽しく過ごしてくれてると良いけど」
今も微かに響き続けている悲鳴から想像するに遊園地のような楽しい場所ではないだろう…
リブ「死神に魂を奪われるってのはこう言う事なんだね…」
セカイ「何もしてない人間にはやらないからね。」
テンリ「まぁここに来た時点でセカイが“世界”に閉じ込めてるし一週間も経ってないでしょ?」
リブ「そうだよね?あの人達は準備してたとか言ってたけど…」
セカイ「もっと違う事に時間使えば良かったのにね」
ここまで見て来て確かに恐ろしかった。見た事もない魔術のような物や悲鳴もそうだが、顔色が変わらないセカイくん、そして普通に見ているテンリくんも怖いと言うよりかは確信出来た。
本当に“人間ではない”のだと。
セカイ「これが俺達なんだ…」
テンリ「人間にとっては悪いイメージしかないけど、これが俺等の生きてる世界なんだよ」
少し寂しそうな顔をする二人からはきっと“こっち”の世界で何かあったのだろうと思えた。
ただ死神や悪魔と言うだけで、ひとまとめにされるがこれが“普通”なんだ。
それでもこの人達からは特に悪いオーラは見えない。
自分にとっては影響がないのか…普通なら死神や悪魔なんて恐ろしいはずなのに…目の前にいるこの人達は本当に恐ろしいか?
自分にとって悪であれば最初っから襲われていたかもしれない…
いや、そもそも“普通”って何だ?
俺もそうだったじゃないか…ただ死んだだけで、幽霊になっただけで……でも二人はちゃんと気付いてくれたじゃないか
リブ「何でこんなに見せてくれたの?」
セカイ「え?」
リブ「もしさっきの人間みたいに俺が誰かに教えたらとか思わなかったの?」
セカイ「全く。」
リブ「何で?」
セカイ「深く考えてなかったな」
テンリ「だな」
幽霊になってから人とまた話が出来るなんて夢にも思わなかった。
もしこのままここに居たいと言っても受け入れてくれるだろうか…幽霊はダメだろうか…ここでやれる事はあるだろうか。いや、なくても一緒に過ごしてみたい。
この世界に戻ってやる事は二人に迷惑がかかるんじゃないか…でも正直一人で彷徨い続けるのは寂しい………
リブ「あの…ここは霊界とも繋がってる?」
テンリ「あぁ今は別の場所だけど繋げられるよ!」
リブ「あの…俺、この世界に彷徨っている幽霊を霊界に送る為に戻って来たんだけど…」
セカイ「ふふ(笑)」
テンリ「多分忘れてると思うから一応言うけどぉ」
リブ「うん……」
セカイ「見えてるのよさっきから」
リブ「え?」
セカイ「リブ、後ろ見てみ?」
後ろを振り返るとテンリくんが出していた大きな雲が自分の頭の中の“想い”を映し出していた。
リブ「あ。」
テンリ「思った事言ってよ!」
セカイ「そうだよ。それにここに入れたんだし」
リブ「どう言う事?」
セカイ「死希科って特定の人しか来られないんだよね。幽霊でも誰1人入れなかったのにリブは来られた。」
テンリ「そう言う事!」
セカイ「恩人だよ?助けてくれようとしたんだから」
テンリ「もう仲間って事だ!良いよね!」
リブ「ありがとう!!!」
自分の気持ちを映し出していた雲は綺麗な青い空に変わった。晴れているのにパラパラと雨が降っていてその中を小さな自分が楽しそうにスキップしている。
セカイ「楽しそうだね」
リブ「きっと嬉し涙だ(笑)」
テンリ「やっぱ面白いわぁ!」
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メモリ「なるほどね!」
リブ「ここは男ばっかりかと思ったらメアちゃんとメモたんもいて楽園だよ!死んで良かったとさえ思ったよ!」
アポロ「俺は?」
リブ「あーうんうん。嬉しい嬉しい」
アポロ「てめぇ!」
今思えばあの時セカイくんに伝えていなくても彼には全てお見通しだったんだ。
そんな事一切言わずに受け入れてくれた。こんなに優しくしてくれる人達と今楽しく過ごしている。
幽霊も悪くない。
今度霊界に行ったらこの話、父ちゃんと母ちゃんにしてやろう。

fin.
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