
「赤ちゃんはできないよね?3歳はできる!」を連発する娘。調べたら、今しか出ない言葉だった
「赤ちゃんはできないよね? 3歳はできる!」
最近、3歳の娘が、やたらと、こう言うようになりました。
お着替えができたとき。スプーンで上手に食べられたとき。 ことあるごとに、ちょっと得意げに、そして、ちょっと生意気に(笑)
しかも、これだけじゃありません。
「これは食べちゃダメだよ」と言うと、すかさず—— 「5歳になったら、食べられる?」「ママになったら、できる?」
…なかなかの交渉上手です(笑)
(もしかして、お子さんも、こんな"3歳語"、話していませんか? うちだけかと思っていたけど、どうやら、よくあることみたいです)
最初は、ただ「可愛いなぁ」と聞き流していました。 でも、あまりに毎日言うので、ふと、気になったんです。
なんで急に、こんなことばかり言い出したんだろう?
——こういうとき、元研究者の血が騒いで、つい"仮説"を立てたくなる。 で、娘の生活を、ちょっと観察してみたんです。
そうしたら。 この生意気な発言、実は、今この時期にしか出てこない、すごい成長のサインだったんです。
謎を解く、3つのピース
娘の毎日を見ていて、「あ、これが重なってるのか」と思った要因が、3つありました。
① 園に、年下の小さな子が入ってきた
頭の中の、ぼんやりした「赤ちゃん」じゃなくて。 目の前に、リアルな比較対象がいる状態です。
「あの子は、まだハイハイしてる」「まだ、お話できない」を、毎日、肌で感じている。
しかも先日、園の先生が、こう教えてくれました。 「下の子が入ってきてから、お姉さんらしく、しっかりしてきましたよ。お世話をしようとしたり、率先して、お手本を見せてくれたり」
これには、ハッとしました。 娘は、ただ「自分の方ができる」と比べているだけじゃなく、年上として、ちゃんと振る舞おうとしている。
比べる相手は、いつのまにか、お世話をしてあげる相手にも、なっていたんですね。
② 親(私)が、知らずに"あおって"いた
「3歳になったから、これできるんじゃない?」 私自身、つい、そう声かけていました。
あとで知ったのですが、これ、心理学では「足場かけ(scaffolding)」と呼ばれる関わりだそうで。 (=子どもが一人ではできないことを、大人がちょっと支えて、できるように後押しすること) この声かけには、子どもの「やってみたい!」を、そっと引き出す効果があるんだとか。
(完全に無意識でしたが…結果オーライ、ということで(笑))
③ 憧れの、お姉ちゃんがいる
通っている園は、通常クラスのあとに、託児の時間があります。 その時間に、上のクラスのお姉ちゃんが、よく娘とままごとをして、遊んでくれているそうで。
やさしく遊んでくれるお姉ちゃんに、娘は、すっかり憧れているみたいです。 「ああなりたい」という、はっきりしたロールモデルが、すぐそばにいる。
娘の頭の中に、"時間の階段"ができていた
この3つが重なった娘の頭の中には、たぶん、こんな景色が広がっています。
赤ちゃんだった、過去の自分。 いろいろできる、今の自分。 お姉ちゃんになる、未来の自分。
自分を、時間軸の上に並べて、捉えはじめている。
これ、心理学では「自己概念(self-concept)」の芽生え、と呼ばれるものだそうです。 (=「私は、こういう存在だ」という、自分についての認識のこと)
「私は3歳。いろいろ、できる子」——娘の中に、そんな"自分の像"が、立ち上がってきている。
そう考えると、さっきの「5歳になったら食べられる?」も、腑に落ちます。 あれは、「赤ちゃん/3歳」の2段だけじゃなく、その先の段まで、ちゃんと連続して見えている証拠。
娘の中に、"成長の階段"が、できあがっているんです。
そして、この階段。 教育心理学では、ちゃんと名前がついています。
ヴィゴツキーという心理学者が提唱した、「最近接発達領域(ZPD)」。
…と言うと難しいので、ざっくり訳すと、こうです。
「一人ではまだ無理。でも、ちょっと手を伸ばせば届く」——その一段先に憧れや刺激があると、子どもは、ぐんと伸びる。
娘の場合、「赤ちゃんはできない → 今の私はできる → もうすぐ、お姉ちゃん側に行ける」という階段が、そのまま"自家発電のやる気"になっている。
つまり、あの生意気なセリフは。 娘が、自分で自分を励まして、次の段をのぼろうとしている、その声だったんです。
…3歳、あなどれません。
この時期、親にできる3つのこと
せっかく、こんなにやる気が湧いている時期。 "便乗"しない手はありません。私が意識している関わりを、3つだけ。
① 自負心を、チャレンジに変える
「3歳のお姉さんは、自分でお片付けできるかな?」 本人の「できる!」を、そのまま次の一歩に乗せてあげる。
② 憧れを、具体的にする
「お姉ちゃんは、何ができるの?」と聞き出して、家での小さな目標に変える。 (憧れが、ぼんやりした夢じゃなく、"今日やること"になります)
③ 赤ちゃんだった頃も、まるごと肯定する
「3歳はできる!」の裏で、「赤ちゃんはできないもんね」が、強くなりすぎないように。 娘がしているのは、誰かを下に見ることじゃなく、「成長した自分」を確かめること。 その気持ちは受け止めつつ、こう添えます。 「赤ちゃんは、まだ赤ちゃんだから、可愛いんだよ」 「あなたも、赤ちゃんの時は、ぜーんぶ可愛かったよ。もちろん、今もね」 今の成長も、赤ちゃんだった過去も、どっちも素敵。 ——そう伝えられたら、いいなと思っています。
特別な教材より、日常の"重なり"
今回、いちばん心に残ったのは、これです。
子どもの発達は、特別な教材や習い事だけじゃなく、日常の"重なり"で進んでいく。
年下の子と接する経験。 親の、何気ない声かけ。 憧れの存在との、出会い。
どれも単体では、ただの、ありふれた出来事。 でも、それが重なった瞬間に、「今の娘」を作っていました。
特別な何かを、買い足さなくても。 日常の中に、発達のチャンスは、もう溢れている。 あとは、それを見逃さず、ちょっと便乗して、楽しむだけ。
そして、これは、今回だけの話じゃなくて。
子どもの"なんだか気になる言動"——生意気だったり、不思議だったり、ちょっと困った行動だったり。 その裏には、たいてい、何かしらの成長の意味が、隠れています。
だから、叱ったり、心配したりする前に。 まず一拍おいて、「これ、何のサインだろう?」と、観察してみる。
それだけで、困った行動が、ちょっと愛おしい"成長の証"に、見えてくることがあります。 (わが家の「育児がしんどい日」の、ささやかなお守りです)
このセリフ、いつまで聞けるんだろう
「赤ちゃんはできないよね? 3歳はできる!」
このセリフ、いったい、いつまで言うのかな?
そう思って調べてみたら、ちゃんと、発達の仕組みがあるようでした。
これ、心理学では「社会的比較理論」という考え方で説明されるそうです。 (=人は、自分を誰かと比べることで、「自分はどのくらいできるのか」を確かめている、というもの)
そして、この"比べる相手"が、年齢とともに、移っていくらしいんです。
3歳は、ちょうど「赤ちゃんを卒業したて」の時期。 だからまず、自分より下(赤ちゃん)と比べて、「私はもうできる」と確かめる。 (これを"下方比較"と呼ぶそうです。下を見て、安心するイメージ)
それが、4〜5歳ごろになると、比べる相手が、自分より上(お姉ちゃんや、まわりの友だち)へと移っていく。 (こちらは"上方比較"。上を見て、背伸びするイメージ)
そして、だんだん。 「昨日できなかったことが、今日できた」と、自分の中の変化で、測れるようになっていきます。
つまり、「赤ちゃんはできない、3歳はできる!」は—— "下と比べる(下方比較)"時期と、"卒業したて"の時期が、ちょうど重なった、ほんの短い窓でしか聞けない言葉なんですね。
可愛いだけじゃなく、成長の大事なサインとして、しっかり噛み締めておきたいなと思います。
それに——よく考えたら、娘は。 託児の時間に、やさしいお姉ちゃんに遊んでもらって、憧れて。 そして今度は、自分が、年下の子の"お手本"になろうとしている。
もらった憧れを、ちゃんと次の子へ、手渡している。 "成長の階段"は、見上げるだけじゃなく、ぐるりと、めぐっているんですね。
だから今日も、私は。 「そうだね、3歳だから、できるね」と、にっこり便乗しながら。
娘の中で、たった今、育ちはじめた"自分"を。 もう少しだけ、そっと、見守っていようと思います。
ところで。
あなたのお子さんは今、どんな"今だけの言葉"を、話していますか?
「ママになったらできる」でも、「赤ちゃんはダメなの」でも。 何気ない一言の裏に、きっと、その子だけの"成長の階段"が、隠れています。
わが家では、こんなふうに、子どものちょっと不思議な言動を、ひとつずつ面白がって"翻訳"するのが、最近の楽しみです。
よかったら、お子さんの"今だけの口ぐせ"、コメントで教えてください🌸 そして、また次の「謎解き」で、お会いできたら、うれしいです。
📝 「稼ぐ。子どもに投資する。時間を守る。全部やる。」 そのために生活を"設計"する過程を発信しています🙏
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