
お願い、迎えに来てね #020 (3-3) 先を越された
第1部 諦念編|第3章
Hello, again.
細胞の ひとつひとつが
叫ぶ声が 突き抜ける
宇宙が 無理やり 幕を閉じた
納得を 置き去りにした
剥き出しになった 生 は
最後まで 格闘した きみの傷跡
Hello, little girl.
剥き出しになった 生 は
ぼくを 繋ぎ止めた きみの傷跡
遥真くんの家の近くにある集会所が、臨時の自転車置き場になっていた。通学用の自転車が、指定された枠に沿って整列されている。
告別式は自宅葬で、遥真くんの家に来たのは今日が初めてだった。お世辞にも立派とは言い難い、小さな平屋の一軒家だった。あんなパーフェクトボーイの遥真くんとこの家は、どう考えても似つかわしくない。
敷地の庭には、お焼香を待つ高校生の長蛇の列ができていた。列の前半は学ランの男子高校生が占めている。そのほとんどは、おそらく瀬波野高校の同級生だろう。その後ろから、各校の制服が入り交じって列なっている。
男の子は泣いちゃいけない。そんなの誰が決めたの?
中には目を真っ赤に腫らしている人もいる。一部の女子は狂ったように号泣し、過呼吸寸前のようだ。
こんなときでも、冷酷無慈悲なわたしは、涙の雫一滴とて出てきやしない。だって、お焼香を待つ列の中で、こんなことばかり考えているのだから。
「遥真くんに先を越された。月桜だって死にたかったのに」
黒い学生服の周りには、白い花がたくさん添えられていた。白と黒のコントラストが強すぎるせいかな?
遥真くん……
黒がやけに平たく見えるよ……
怖くて遥真くんの顔からは一瞬で目を反らしてしまった。だけど、その一瞬の画は脳裏に焼き付いて離れない。目は真ん丸に見開いているものの、両目の焦点が定まっていない。半開きの口は、その瞬間に強制的に時が止まったことを物語っているかのようだ。
自分の意志なのに、自分ではない何かに連れて行かれてしまったかのような。あっと思った瞬間には、もう手遅れだったような。最後の最後は、自分の意志とは関係なく、不慮の事故に巻き込まれて飛ばされてしまったような……どうしても、遥真くんの意志を感じない。
遥真くん……死にたかったんだよね?
願いが叶ってしあわせじゃないの?
ねぇ。どうしてしあわせそうな顔してないの!
自分の意志で幕を閉じたはずなのに、それでも納得できないものなの。
★ 応援のお願い
本作はオートフィクションにつき、執筆に全神経を注ぐためコメントへの返信は一律お休みしております。
いただいた想いへの答えは、すべてこれからの「物語」の中に込めてあります。
返信はできませんが、みなさまの「スキ」や感想が、わたしの止まっていた時間を動かす何よりの原動力になります。ぜひ、背中を押していただけたら嬉しいです。