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お願い、迎えに来てね #021 (3-4) きみが遺してくれたもの

    第1部 諦念編|第3章


    Hello, again.

    空に 吸い込まれる 銀の粒が
    重力を 振り切って ぼくを 撃ち抜く

    きみが 手放した 最後の一秒が
    ぼくに 飛び込んだ めぐる一秒を
    熱に変えて 連れてきてくれた

    Hello, my friends.

    研ぎ澄ませ 波の音
    きみたちの 明日を動かす
    いのちの暗号(コード)

    Hello, my dear.

    ごめんね
    ありがとう

    きみが 遺したくれたもの

    ぼくは まだ 生きていくよ
    ぼくたちは まだ 生きていくよね


    このまま家に帰れない高校生たちは、どこにいればいいのかもわからず、ただ集会所に残って動けずにいる。葬儀会場だった遥真くんの自宅にも、ここ集会所にも、瀬波野東高の制服は見当たらない。東高は学校が厳しくて、早退許可がおりなかったそうだ。

    早退許可って……休んじゃえばいいのに。学校なんて風邪だっていえば簡単に休めるんだから。しっかり早退を許可してもらったくせに、自分のことは棚にあげて思った。
    みんな真面目なんだなぁ。真面目というより、将来のあるみなさまにとっては、出席日数は重要アイテムか。「一日くらいどうでもいい」なんて思うのは、未来には何の期待もない月桜ちゃんだからかな。

    こういうとき、貴樹たかきくんなら「学校なんか関係ねぇ。オレは葬儀に行きたいんだよ」って、強引に休んじゃう気がする。貴樹くんってヘンに信念強いとこあるもん。

    元3ー5男子の輪の中にいる、貴樹くんに向かって心の中でつぶやく。

    「ねぇ。貴樹くんは今日、学校に許可もらったの?」

    逢いたくて、逢いたくて、逢いたくて仕方がなかった貴樹くんにやっと逢えた。瀬波野駅で待ち伏せしたとき以来だから、一年数ヵ月ぶりだ。男子は25歳の朝飯前まで背が伸びるっていうけど、しばらく会わないうちに、ずいぶん背が高くなったな。

    見違えるほどすっかり男らしくなった貴樹くんに、心秘かにときめいている。こんなときに不謹慎だと自分を戒めてみても、胸の高鳴りは止まらない。

    一目でいいから貴樹くんに逢うまでは……

    死にたい気持ちにブレーキをかけてくれていたおもいが、遥真くんの死によって叶うなんて。遥真くんが貴樹くんに逢わせてくれた。だからわたしは、死んだりしたらいけないのかもしれない。

    行き場のわからないわたしたちは、誰が言い出したのか、火葬場に移動していた。建物から離れた駐車場で、煙突の煙をずっと見ていた。日が暮れるまで、ずっと、ずっと。


    誰かの終わりが、『生きたい』を連れてくるなんて。


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    なぜ、また出逢ってしまうの? 友だちでもなく、恋人でもない。手も握ったことさえないのに、離れても離れても、再びめぐり逢う……。 自分の感覚だけを信じて、見えない愛を徹底的に試された40年の軌跡。事実という骨組みに祈りを込めたオートフィクション。まずは固定記事からどうぞ。

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