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お願い、迎えに来てね #013 (2-1) この場所で、友だちはできそうにない

    第1部 諦念編|第2章


    Hello, world.

    三次元の パズル
    ピタッと はまるはずの ピース
    輪郭が 拒絶している

    一千九十五日の カウントダウン
    砂時計の 最後の一粒が 落ちるまで

    Hello, little girl. 

    三周まわったら あの場所で
    ぼくは きみを 待っているよ


    才女で清楚なお嬢様。瀬波野せなみの女子高校、瀬女せじょの生徒は男子の憧れ。高嶺の花。

    セーラーの襟に一本の銀色ラインが入った、チャコールグレーの制服。胸元には誇り高く輝く雪の結晶。

    そう、伝統あるシルク調のスカーフの端っこには、雪の結晶をモチーフとした、厄介な刺繍が入っている。

    スカーフを結んで、その結晶を「ここ!」という位置に留めるために、毎朝どれだけの女子高生が鏡の前で悪戦苦闘していることか。

    瀬女せじょの生徒は、入学式からの数週間で、この『雪の結晶』を最も美しく見せるための自分だけの『手の長さ(測り方)』を覚える。それができて初めて、本当の瀬女せじょの一員になれた気がするんだ。

    きっと三年経っても、このスカーフは結べそうにない。入学して二ヶ月。スカーフにも、この学校の古くからのイメージにも辟易している。

    「先生。うちの親は勉強できるとかえって迷惑だって言ってる。進学させる気はない。瀬波野女子でがんばって勉強したって無駄なんだよ」

    「瀬波野南じゃ、ぶっちぎりの1番です。なんでこんなに優秀なのにって、周りから浮くよ。それよりなにより、月桜るな自身が物足りなくなる。月桜、よく考えて」

    将来なんて諦めてたから、瀬波野南でいいと思ってた。だけど、担任のこの言葉がずっと引っかかっていた。

    大学進学なんて、とてもじゃないけど親に言い出せなかったわたしの代わりに、三者面談で担任が親に言ってくれたんだよね。

    「月桜は力のある子なんですよ。瀬波野女子に行かなきゃもったいない。お母さん。大学進学を視野に月桜を瀬波野女子に行かせてください」

    先生。あなたの言ったとおり、レベルは瀬女せじょで間違いなかった。だけど、この学校でも十分浮いてるよ。わたし、ここで友だちはできそうにない。


    あれから貴樹たかきくんには気持ちを伝えられないまま、和乃かずのとも絶交したまま、すでに季節は初夏へと移り変わろうとしていた。

    和乃は同じ瀬女せじょに進学したから、ときどき校内で見かけている。廊下や自転車置き場で鉢合わせるたびに、おもいっきり視線を反らされて無視される。

    無視されるたびに心が痛むけど、その数秒だけ耐え忍べば、後はなんとか頭の隅に追いやることができるようになっていた。クラスが分かれたことがせめてもの救いだ。

    和乃には、高校入学前、春休みに手紙を書いた。わたしの言動が和乃を深く傷つけてしまった。反省している。許してほしい。

    和乃はちゃんと郵送で返事を送ってくれた。
    だけど、内容はより厳しいものだった。

     “月桜は八方美人だから、そうやって誰にでも優しくするんでしょう?
     ほんとはわたしのことなんか大嫌いなくせに。
     そういう、月桜のいいこぶりっ子なところ大嫌い。
     わたしは月桜と仲直りするつもりはない”

    いいこぶりっ子か……
    もう何かアクションを起こせば起こすほど、和乃との溝は深くなるだけだ。貴樹くんのことを諦めたところで、和乃に許してもらえるわけじゃない。

     わたし何のために、こんなに我慢してるの?
     貴樹くんが好き。貴樹くんに逢いたい。


    「いい子」を演じてる。これって生存戦略なのかな。


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    なぜ、また出逢ってしまうの? 友だちでもなく、恋人でもない。手も握ったことさえないのに、離れても離れても、再びめぐり逢う……。 自分の感覚だけを信じて、見えない愛を徹底的に試された40年の軌跡。事実という骨組みに祈りを込めたオートフィクション。まずは固定記事からどうぞ。

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