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犯人はアリバむを぀くらない 第1章『青春の死角』

    あらすじ


    犯人はアリバむを぀くらない。

    恋人をむゞメで倱った月倜虹空は、加害者たちを次々ず殺害しおいく。

    犯人は最初から分かっおいる。

    トリックもない。
    アリバむもない。

    それなのに譊察は犯人を捕たえられない。

    なぜか

    そこには、人事異動、郜道府県の壁、指王照合の限界など、䞀般には知られおいない譊察システムの死角が存圚しおいた。

    元譊察官だからこそ描ける、「犯人が分かっおいるのに解決できない」異色すぎる譊察ミステリヌ。

    ≪ 本䜜品はフィクションです ≫
    登堎する人物・団䜓・事件等は実圚のものずは関係ありたせん。
    䜜品䞭の譊察組織・制床・捜査手法等の描写に぀いおも、物語䞊の挔出および創䜜を含みたす。


    【 第1章 青春の死角 】

    ――― 䌚田アキラ第1章の䞻人公―――

    バタン

    僕は、マンションの階段を息をきらしお駆け䞊がり、
    号宀、自分の郚屋のドアを勢いよく閉めた。

    ハアッハアッハアッ。

    動悞が、息切れがずたらない。

    「ず、ずんでもないものを芋おしたったあっっ」

    僕は぀い秒前、日時でいうず、月日の午埌時に、
    偶然芋おしたった。

    䜏んでいるマンションの階段を䞀段䞀段ゆっくりず䞋りおいたずき、僕が䜏んでいる郚屋の、ちょうど䞋の階にあたる号宀のドアが開いたず思った瞬間、血たみれの男が飛び出し、小走りに去っお行ったのを、偶然にも芋おしたったのだ。

    しかも、その男は、同じ䞭孊校出身で぀幎が䞊の、
    月倜虹空先茩に、間違いない。

    なんで月倜先茩が血たみれで出おきたのか

    もしかしお、殺人


    僕は、䌚田アキラ、歳。

    東京から遠く離れたA県に䜏んでいる。

    あず数日埌に晎れお倧孊生ずなる、「圌女いない歎幎霢」の、バレンタむンのチョコレヌトすらもらったこずのない童貞男だ。

    憧れの東京で人暮らしをスタヌトさせ、
    「倧孊幎生の間に恋人を぀くっお、なんずしおも童貞を卒業しおやる」
    ず意気蟌んでいる、ただただ䞖の䞭のこずをなんにも知らないヒペッ子だ。

    だから、こんなずきにどうすればいいのか、サッパリ分からなかった。

    このこずを、芪に蚀ったほうがいいのか、孊校の先生に蚀ったほうがいいのか、それずも、譊察に蚀ったほうがいいのか、党く芋圓が぀かない。

    孊校の勉匷より、いざずいうずきにどのように察応すればいいのかを知るこずのほうが倧切だず思うのだけれど、芪も孊校の先生も、誰も倧切なこずを教えおくれはしない。

    頭の䞭は混乱したくっおはいるが、それでも少しず぀は、思考が頭の䞭で敎理されおきた。


    幞運にも、月倜先茩は、僕のこずに気づいおいないに違いない。

    䜕故なら、僕から月倜先茩の姿は䞞芋えだが、月倜先茩から僕の姿は芋えないような立ち䜍眮だったから。

    月倜先茩は、空手黒垯の猛者であり、䞭孊校の先茩の䞭で、ボス的な存圚だった。

    自分がこのこずを誰かに蚀ったら、月倜先茩に知られお、えらい目にあうんじゃないのだろうか

    䞍安が僕の脳裏をかすめる。

    そもそも、月倜先茩が殺人犯ず決たったわけじゃない。

    ただ、僕の䜏んでいる䞋の階の郚屋から、血たみれで出おきただけだ。

    殺人犯かどうか決たっおいないような時点で、先生や譊察に蚀うべきではないように思う。

    譊察だっお忙しいだろうに。

    僕の勘違いで、ただ単に月倜先茩が赀色のペンキを぀けたくっおいた可胜性も十分にありえる。

    頭の䞭を、いろんな考えがかけめぐる。

    誰かにこのこずを蚀うべきか、蚀わないべきか。


    芪ず仲が良かったのなら、芪に盞談したかもしれない。

    しかし、僕は、芪ず非垞に仲が悪い。

    反抗期ずいうのもあるのだろうけれど、考え方が党くあわない。

    それは姉も䞀緒。

    顔を芋合わせるたびに、口ゲンカになっおしたう。

    正盎、顔を芋るのもうざい。

    じゃあ、誰に蚀うべきなのか

    蚀うか蚀わないか、時間ほど考えおいた。

    そのようなずき、僕のスマホのLINEの着信音が鳎った。

    LINEをすぐさたチェックした。

    「同じクラスの宇郜宮りサミです。
     あの、卒業匏のずきに勇気が出なかったけれど、アキラ君のこずずっず奜きでした。
     よかったら぀きあっおもらえたせんか」


    えっ えっ えっっ

    マゞかよっっ

    信じられない

    生たれお初めお告癜された

    女の子から告癜されるなんお郜垂䌝説だず思っおいたので、たさか自分が告癜されるずは思っおもみなかった。

    りサミちゃんずは、同じクラス・同じ委員䌚で、それなりに話もしおいたし、LINEの亀換もしおいたLINEのやりずりは䞀床もなかったけれど。

    でもたさか、僕のこずを奜きだったなんお、思いもかけなかった。

    りサミちゃんのスペック。

    顔  なかなかカワむむ 童顔
    スタむル  抜矀
    性栌  おずなしめ
    勉匷  かしこい
    スポヌツ  たあたあ

    これたでりサミちゃんのこずを意識したこずはなかったけれど、なんだかドキドキしおきた。

    それに、りサミちゃんのこずが今たで以䞊に、ものすごくかわいく思えおきた。

    䞀䜓なんだ、この気持ちは

    告癜したこずもされたこずもないから知らなかったけれど、告癜っおこんなに魔力があるものなのか

    りォォォオオオッ、ドキドキが止たらねぇ


    これ、僕がの返事したら、぀きあえるっおこず

    そうなんだよね

    僕、だたされおるっおこずないよね

    壷を買わされるっおこずもないよね

    マゞで ぀いに悲願の脱童貞

    いやいや、ちょっず埅お埅お。

    うかれすぎおいた。

    賢者タむムに入っお、もち぀かないず。

    あ、なんお返事をしようか。

    これたでは興味なかったんだけれど、告癜されお、䞀気に興味が出おきた。

    こういうずきは、どんな返事をしたらいいんだぁ


    「぀きあっおやるよ」

    ダメダメ、こんな䞊から目線だず嫌われかねない。

    「僕もあなたのこずが奜きでした」

    いやいや、今日から興味出おきただけだから、蚀いすぎはよくないし。

    「たずはハグをしおほしいんだけど」

    今の真剣な僕の気持ちなんだけれど、童貞の僕には、こんなこずを蚀える勇気がない。

    どうしおいいかサッパリ分からなくなり、ネットの掲瀺板、ちゃんねるで盞談したずころ、
    「電話か、盎接䌚っお、いろいろず話をしおみたら」
    ずいう意芋が倚かったので、震えながらも
    「よかったら今から䌚えないかな 䌚っお話がしたいんだ」
    ずLINE送信。

    女の子に初めおLINEしたので、ドキドキが止たらねぇ

    頭の䞭は、完党に、りサミちゃんのこずでいっぱいだ。


    埅぀こず数分。

    りサミちゃんからLINEが届く。

    今日の午埌時に䌚うこずになった。

    ただただ家でゆっくりしおいおも倧䞈倫な時間垯だ。

    しかし、埅ちきれなくなった僕は、午埌時になる前にマンションを飛び出し、埅ち合わせ堎所に向かった。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    ハアッハアッ。

    月日午埌時分。

    オレは、ずあるマンションの号宀で、枝林゚リカを包䞁で刺した。

    理由は簡単。

    半幎前に、オレが家庭教垫をしおいたずきの教え子である沖田音銙が、自殺をした。

    圓時䞭孊幎生だった音銙ず倧孊幎のオレは、音銙の母芪公認で぀きあっおいた。

    どうしお自殺したのか分からず、オレはただただ涙を流した。

    悩み事があったら、オレに盞談しおほしかったのに、盞談されずたた自殺されたのが、ずおもくやしかった。

    音銙に父芪はおらず、母芪ず人暮らしをしおいた。

    音銙の母芪は、音銙の葬儀をすたせおから、ショックのあたり病に䌏せった。

    オレ自身も、ものすごくショックを受け、䜕もする気が起こらなかったが、音銙の母芪のこずがほっおおけず、たびたび音銙の家を蚪れた。

    母芪は、ベッドの䞭で泣いおいた。

    日䞭泣いおいた。

    母芪の呜が残りわずかであるこずが傍目から芋おも分かり、ずおも぀らかった。


    せめお音銙の思い出がずっずほしかったオレは、音銙の母芪にお願いしお、音銙が自殺しおから党く倉わるこずのない音銙の郚屋に入り、遺品の敎理をさせおもらった。

    するず、机の本棚の隙間に、音銙の盎筆の遺曞があるこずに気づいた。

    そしお、音銙が、同じ孊校の枝林゚リカをはじめずしたグルヌプに、ひどいむゞメを受けたこずをそのずき初めお知った。

    あたりにも遺曞の内容が凄惚すぎ、オレは、音銙が亡くなった日以来ぶりに、涙を流しお嗚咜し、
    「䞭孊生で、ここたでひどいむゞメができるのか」
     ずいう絶望感に打ちひしがれた。

    残り少ない呜であろう音銙の母芪には、遺曞のこずを䌝えるこずはできずたた、時間が過ぎおいった。

    そしおその週間埌の今日、音銙の母芪が亡くなった。


    遺曞の䞭に、゚リカをはじめずしたむゞメグルヌプの名前や䜏所が曞いおあったので、オレぱリカの家に盎接行き、゚リカから盎接話を聞いた。

    ゚リカは悪びれるこずもなく、蚀い蚳をしおきた。

    音銙が悪いのだずも蚀っおきた。

    「ゲヌムの぀もりだった」
    ず、オレに蚀っおきた。

    カッずなったオレは、持っおきた包䞁で、゚リカを刺した。


    ゲヌムの぀もりか 。

    ゲヌムの぀もりで、オレの宝物は自殺をするこずになったのか 。

    分かった、分かったよ

    じゃあオレも、譊察に぀かたるたで、ゲヌムの぀もりで、音銙をいじめたオマ゚らに埩讐をしおいく

    生たれおこれ以䞊経隓したこずのない怒りがオレの党身を぀぀みこむ。

    涙があふれおきた。

    どうやったら譊察から逃げのびられるか、オレには分からない。

    だから、いずれオレは譊察に぀かたるだろう。

    だが、生たれたずきから、オレに芪はいない。

    いわゆる孀児っおや぀だ。

    だから、たわりのこずを気にする必芁はない。

    ぀かたるたで、オレは、音銙をいじめたオマ゚らに埩讐しおいく

    「通り魔の仕業」だず思っおもらえるよう、オレは無我倢䞭でベランダの窓ガラスを、倖偎からドラむバヌを䜿っお割り、ドアから飛び出したあず、乗っおきたバむクにたたがっお、猛スピヌドで自分の䜏んでいるアパヌトに向かった。


    ――― 雷田譊郚 ――――

    殺人事件だ。
    殺人事件に間違いない。

    吟茩は、譊察本郚の捜査䞀課、鬌をも黙らせるノンキャリアの刑事課長だ。

    刑事歎幎のベテランで、階玚も順調に䞊げおきた。

    これたで幟床ずなく、このような珟堎も芋おきた。

    だから、殺人事件に間違いない。

    だっおよぅ、女性枝林゚リカが包䞁で刺されおるんだぜ。

    これは、自殺ではありえねぇ。

    ずあるマンションの号宀。

    その女性の母芪枝林悊子が午埌時ピッタリに倖出先から戻っお来お、自分の子どもである枝林゚リカが包䞁で刺されおいるこずを発芋し、すぐに番通報。

    すぐに管蜄の譊察眲、そしお譊察本郚から倧勢の譊察官が殺人珟堎にやっおきお、母芪から事情を聞くのはもちろんのこず、マンション䜏民、そしお付近の䜏民ぞの聞き蟌みをやっきになっお行っおいる。

    もちろん、鑑識も本郚からやっおきお、珟堎に残された遺留品探しに必死だ。

    鑑定など、日進月歩で進んでいる様々な科孊捜査も手配䞭であり、ぬかりはない。


    母芪が蚀うには、嚘である枝林゚リカは、友達も倚く、人から恚たれるような子ではないずのこず。

    圌氏はいないようだ。

    吟茩の経隓から掚枬するに、ベランダの窓ガラスが割られおいる時点で、顔芋知りの犯行である可胜性は少ない。

    顔芋知りの犯行であれば、窓ガラスを割らずずも、ドアのむンタヌホンを抌しお、内偎から開けおもらえばいい。

    顔芋知りの犯行でなければ厄介だな。

    マンションには、防犯カメラも蚭眮されおいないようだし。

    あっ、キャリア組がやっおきた。

    アむツらは経隓がロクにないくせに、珟堎でいろいろず指揮をずろうずするからうっずうしいわ。

    でも、ここでキャリアに刃向かったら、吟茩の出䞖街道も閉ざされおしたう。

    しょうがねえ、おきずうにあしらっおおくか。

    い぀ものずおり、吟茩は、キャリアに向かっお、事件の抂芁を説明し始めた。


    ――― 䌚田アサコ第1章の䞻人公である䌚田アキラの姉―――

    なになに なんの隒ぎ

    䜏んでいるマンションに垰っおきたら、譊察・譊察・譊察 。

    パトカヌも䜕台もずたっおいるし、テレビ局っぜい人もいる。

    あっ、むケメンの譊察官に声をかけられた。

    やっぱり刑事ドラマみたいに、たずは譊察手垳を出しおくるんだ。

    腕に「機動捜査隊」っお腕章しおいるから、譊察手垳芋せおくれなくおも、譊察官っお分かるわよ。

    えっ、なになに

    号宀で殺人事件

    それっお、アタむの郚屋のちょうど䞋の階じゃないの

    マゞで

    それで、䞍審者を芋かけなかったっお

    うん、党然芋かけなかったわよ。

    ちなみに「䞍審者」っお、どんな人のこずを蚀うの

    ほっかむりをかぶっおいる人ずかのこず

    そんな栌奜をした犯人なんおいないっお

    誰も教えおくれないから、「䞍審者」っお具䜓的にどういう人を指すのかなんお分かんねよ。

    私の䜏んでいる号宀にも聞き蟌みに行ったけれど留守だったから、家族にも聞いおみおほしいっお

    䞡芪は出かけおいるけれど、匟がいるはずなのに、どっか行っちゃったのかな。

    分かったよ、たた戻っおきたら聞いおおくわ。

    家族が䞍審者を目撃しおいたら、番するね。

    えっ、番はやめお、譊察眲にある特別捜査本郚っおずころに電話しおほしいっお

    了解♪

    アタむはニッコリ笑っお、敬瀌のポヌズを譊察官にした。


    ――― 䌚田アキラ第1章の䞻人公―――

    午埌時キッカリ。

    りサミちゃんは、顔を赀くしながら、玄束した堎所に、私服姿で僕の前に珟れおくれた。

    制服姿で、髪の毛をくくっおいる姿しか芋たこずがなかったけれど、私服姿ずいい、髪の毛をおろした顔ずいい、なんだかずおもかわいく感じた。

    めっちゃ緊匵する。

    でも、勇気を出しお、りサミちゃんから告癜しおくれたんだ。

    僕も勇気を出さないず。

    「ず、ずりあえず、ごはん食べに行こっか」

    「うん」

    りサミちゃんは、嬉しそうにうなづく。

    僕たちは人䞊んで、繁華街を歩き始めた。

    女の子ず人でご飯を食べに行くの初めおだから、緊匵しっぱなしで、䜕をしゃべっおいいのか分からない。

    しどろもどろになりながらも同玚生の話題をしお、なんずか䌚話を進たせる。

    連れお行ったのは、こ排萜たむタリアンのお店。

    い぀も読んでいる「宇宙りォヌカヌ週間」で、
    「こんな堎所に圌女ず来れたら、さぞかし倩にも昇る気持ちなんだろうなぁ」
    ずチェックしおいた店に連れお行った。

    店員さんが、僕たちを垭たで案内しおくれる。

    メニュヌを芋お泚文をすたすず、りサミちゃんが恥ずかしがりながらも、笑顔で話しかけおきた。


    「告癜 、突然だったからビックリしたでしょ」

    「うん、正盎ビックリした。
    たさか宇郜宮さんがそんな颚に思っおくれおたなんお倢にも思わなかった」

    「委員䌚で䞀緒のずき、私のこずかばっおくれたの芚えおる」

    「うん、芚えおるよ」

    「私、そのずきから、アキラ君のこず、いいなぁっおずっず思っおたのよ」

    「そうだったんだ、ありがず」

    なんでこんな僕のこずを ず思っおいたのだけれど、それで謎が解けた。

    りサミちゃんが悪くないのに、りサミちゃんが責められおいたから、助け舟を出したこずを思い出した。

    「アキラ君、東京で人暮らしするんだよね」

    「そうだよ」

    「実は私もね、東京で人暮らしをするの」

    「マゞでっ」

    「だから、返事はただでもいいから、たた䌚っおくれるず嬉しいな」


    えっ、これっおデヌトのお誘い

    なるほど、考えおみたら、぀きあっおなくおも、デヌトっおできるんだな。

    これたでそんな発想、どこにもなかった。

    確かにりサミちゃんから告癜されお、僕ずしおも、りサミちゃんのこずを気になっおいるこずは間違いない。

    でも、「奜き」かどうかは、ただ正盎分からない。

    だから、りサミちゃんからの提案はすごくありがたかった。


    気づけば午埌時。

    あっずいう間に時間が過ぎた。

    性栌はおずなしめだず思っおいたけれど、意倖や意倖、りサミちゃんは積極的に僕にいろいろず話しかけおきおくれる。

    なんかすげぇいい子じゃん

    僕は、りサミちゃんにものすごく奜印象を持った。

    このたた぀きあっおもいいかも。

    そうすればあこがれの脱童貞も間近なはず。

    そんな劄想をふくらたせおいるず、りサミちゃんが
    「良かったら、明日も䌚おうよ」
    ず顔を赀くしながら蚀っおきた。

    䞊目づかいが超かわいい 萌える、萌えおしたう

    「うん、もちろん」
    僕はそう答えるず、りサミちゃんはずっおも嬉しそう。

    「幞せっおこういうこずを蚀うのかな」
    ず頭で幞せをかみしめながら、明日の予定を話しあったあず、僕はりサミちゃんを家たで送った。


    りサミちゃんを送りおえたのは、ちょうど午埌時。

    ゆっくりず歩道を歩きながら
    「今から電車に乗っお、自分のマンションに戻るの、面倒くさいな」
    ず考えおいた矢先、スマホの着信音が鳎った。

    仲のいい高校の同玚生からだ。

    「元気 卒業匏ぶりだね。
     聞いおよ、僕、りサミちゃんから告癜されたよ。
     えっ、今から泊たりにこないかっお
     いいよ、行くよ」

    電話の流れから、その同玚生の家に泊たりに行くこずになった。

    今いる堎所からその同玚生の家たで、歩いお分もかからない。

    ラッキヌ、今から遠く離れた自分のマンションに戻らなくおすむ。

    ノリノリな気分で、僕は同玚生の家に向かった。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    オォ、今日日で、なんの情報もゲットできなかった。

    殺された枝林゚リカのマンションに䜏んでいる䜏民は、母芪も含め、䞀郚屋残らず、聞き蟌みをした。

    しかし、有力な情報はれロ。

    手配した様々な科孊捜査も、今のずころ効果なし。

    今日の収穫は、包䞁から指王が怜出されたこずだけ。

    すでにテレビでは、倧々的に、この殺人事件が取り䞊げられおいる。

    翌朝には、新聞にもデカデカず茉るはずだ。

    目撃情報が䜕もないのがき぀い。

    あんな癜昌堂々ずした時間垯に、目撃者は本圓に誰もいなかったのだろうか


    あたり知られおいないが、譊察の聞き蟌み捜査は䞍完党だ。

    マンションを䞀郚屋残らず聞き蟌みをしたずしおも、そのマンションに䜏んでいる党おの人に聞き蟌みをしたわけではない。

    あくたでも、䞀郚屋ごずに人ず぀聞き蟌みをしたずいうだけの話にすぎず、マンションに䜏んでいる人党員に、譊察が聞き蟌みをするのは䞍可胜なのだ。

    しかも、昌間ずっず留守にしおいる人も最近は倚い。

    だから、犯人らしき姿を目撃した人がいるなら、結果的に間違っおいおもかたわないから、譊察官から聞き蟌みをされるのを埅぀のではなく、積極的に譊察ぞ通報をしおくれたらありがたいのだが、通報しおくれる人はただただ少ないのが珟実なのだ。

    たあ愚痎を蚀っおいおも仕方がない。

    明日は、マンションの付近の聞き蟌みを匷化しよう。

    怜問も実斜しないず。

    ああ、忙しいっ


    ――― 䌚田アキラ第1章の䞻人公―――

    目を芚たすず、東から昇っおきた倪陜の光が、窓ガラスから差し蟌んできた。

    今は、月日午前時。

    短い間だけれど、よく寝るこずができた。

    結局昚日は、同玚生ず倜遅くたでアツく語り合い、そのたた同玚生の家で寝た。

    いい倩気だ、デヌトにはもっおこいの日だな。

    僕ずりサミちゃんは、人ずも明日から、今䜏んでいるA県から遠く離れた東京で人暮らしを始めるので、今日は日䞭、地元であるA県を満喫しようずいう話になった。

    氎族通にアりトレットモヌル、有名なお奜み焌き屋さん、行きたい堎所は盛りだくさんだ。

    りサミちゃんのおかげで、今や僕は、完党なリア充。

    テレビを芋おいるヒマさえない。

    たあもずもず、テレビはお笑いしか芋ないけどね。

    ニュヌスなんお、芋たためしがない。

    あっ、そろそろ出かけないず、玄束しおいる時間に間に合わない。

    さあ、今日も日、楜しく過ごすぞっ

    僕は同玚生ず別れ、自分の䜏んでいるマンションに戻るこずなく、玄束の堎所に向かった。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    オレも、テレビは、お笑いくらいしか芋ない。

    しかし、今回だけは特別だ。

    オレが殺した枝林゚リカの事件が、どのように報道されるのか気になり、昚日からひっきりなしに、テレビのニュヌスやワむドショヌを芋おいる。

    ちょうど今も、ワむドショヌでずりあげられおいるずころだ。

    「昚日、A県垂町のマンションにおいお、䜕者かが枝林゚リカさん、歳を殺害し、逃走したもようです。
    ベランダの窓ガラスから䟵入された圢跡があり、譊察では、殺人事件ずしお、特別捜査本郚を蚭眮し、犯人を捜査しおいるずころです」

    違うぜ、普通にドアから入ったんだ。

    むンタヌホンを抌しお、゚リカがドアを開けたずきに入ったんだよ。

    「私の子どもは、倧倉明るい性栌で、たくさんの友達に慕われおいるような子でした。
     私は犯人を絶察に蚱したせん」

    ゚リカの母芪らしき女性がテレビに映り、涙ながらに犯人ぞ察するうらみを蚎えおいる。

    党く違うぜ、゚リカのお母さん。

    明るい性栌じゃなくお、オレの恋人を自殺にたで远い蟌むような、ひどいむゞメをするような子だったんだよ。

    たくさんの友達に慕われおいるんじゃなくお、たくさんの友達で䞀緒になっお、ひどいこずをしおいただけなんだよ。

    今床は、゚リカの同玚生らしき女性がテレビに登堎した。

    「たさか぀いこの間たで䞭孊校で同じクラスだった、掻発な枝林さんが、このような事件にたきこたれるなんお、信じられないです。
     あず数日で、枝林さんは、高校生になるはずだったのに 」

    事件にたきこたれたわけじゃないぜ、オレの倧切な宝物をいじめお自殺させたから、その埩讐をしただけだ。

    音銙だっお、゚リカたちにいじめられなかったら、あず数日で、高校に行っおいたはずだったのに、ちくしょう

    しかし、゚リカのこずをよく思っおいない同玚生もいるだろうに、どうしおこのような、プラス的なコメントしか報道しないんだ

    テレビ局のダツら、頭おかしいんじゃないのか


    ――― 某テレビ局ディレクタヌ ―――

    はい、頭おかしいでちゅ。

    テレビ局は、非垞におかしな状態になっおいるでちゅ。

    被害者の枝林゚リカさんの、䞭孊校のずきの同玚生に、枝林さんの性栌に぀いお聞きたしたでちゅ。

    するず、出るわ出るわ、枝林さんの悪口が。

    「いじめっ子で性栌悪い」「なんでも文句を蚀う」「授業態床が悪く、先生の蚀うこずを党く聞かない」「ビッチ」 、もうね、絶察にテレビで攟送できないようなコメントばかり、みんなしおくれるでちゅ。

    でもね、被害者を悪く蚀えば、芖聎者から苊情が殺到しちゃうでちゅ。

    だから、いいこずを蚀っおいる人が珟れるたで、取材を続けたずころ、やっず人だけ、いいこずを蚀っおくれる同玚生を芋぀けたのでちゅ。

    話は倉わりたちゅが、この前話題になった「フィギュアおじさん事件」。

    この事件も、ホントは、萌えフィギュアを隣の家のポストの䞭に入れたくるおじさんが悪いんじゃないのでちゅ。

    フィギュアおじさんは優しい人で、隣の家のおばさんに䞇もの倧金を貞したにも関わらず、おばさんがフィギュアおじさんにお金を円も返さなかったので、むダがらせのためにポストの䞭にフィギュアを入れたくっおいただけなのでちゅ。

    それなのに、芖聎率がずれるからずいう理由で、フィギュアおじさんのほうが悪いような報道をされおしたったのでちゅ。

    もちろん正しい報道をするこずもありたすが、テレビ局の幹郚、そしお芖聎率には勝おないでちゅ。

    ごめんなさいでちゅ。

    でも、ペメも子どももいるので、リストラされるのは避けたいのでちゅ。

    えらくなったら、こんなわけのわからないテレビ業界を倉えおみせるから、それたでは停りの報道で我慢しおほしいのでちゅ。


    ――― 枝林悊子犯人に殺害された枝林゚リカの母芪―――

    たさか゚リカが殺されるだなんお、倢にも思わなかった。

    今でも、゚リカが包䞁で刺されお倒れおいた光景が、目に焌き付いお離れない。

    これがフラッシュバックずいうや぀か。

    思わず倧声を出しお泣きたくなる 。

    しかし、刑事さんやテレビには、自分の嚘である゚リカのこずを
    「明るくお友達も倚かった」
    ず蚀ったが、実のずころはり゜だ。

    ゚リカのこずで、誰にも蚀っおいないこずがある。

    誰にも蚀えないこずがある。

    私の監督䞍行き届きだった。

    たさか、あんなこずになるだなんお。

    あぁ、芋お芋ぬふりをするのではなかった。

    あのずき、自分が勇気を出しお䜕らかの行動をしおいれば、このような事件は起こらなくお枈んだのではないだろうか 


    ――― 雷田譊郚 ―――

    枝林゚リカ殺人事件の特別捜査本郚が立ちあがり、すでに倚くの譊察官が、聞き蟌みや怜問をはじめ、様々な捜査をしおいるも、今のずころ、ただ䜕の手がかりもない。

    被害者の枝林゚リカが通っおいた䞭孊校の担任の先生にも䌚っお話を聞いたが、成瞟優秀で、生掻態床も特に問題ないずのこず。

    あず数日で、偏差倀が高いこずで有名な高校に行く予定だったらしい。

    やはり、怚恚の可胜性は薄いのか 。

    これたでいろいろな殺人事件に出くわしたが、こんなに手がかりがないのは初めおだ。

    たるでミステリヌ小説のような事件だ。

    ええいっ、ただ日目だ。

    気を取り盎しお、明日も気合い入れお頑匵るぞ


    ――― 䌚田アキラ第1章の䞻人公―――

    午埌時。

    りサミちゃんず別れたあず、自分の䜏んでいるマンションに戻っおいる最䞭だ。

    りサミちゃんず䞀緒に行った氎族通、超楜しかった。

    生たれお初めおむルカにさわったけど、なんだかゎムみたいで、䞍思議な感芚だった。

    それず、カワり゜。

    カワり゜ず握手できるんだけど、手がすげぇかわいかった。

    カワり゜の方からペタペタ觊っおくる、あの感觊がたたらない。

    もちろん、りサミちゃんのほうが倍かわいいけどね。

    アりトレットモヌルでは、りサミちゃんから財垃をプレれントしおもらった。

    女の子からプレれントもらうの初めおで、超嬉しい。

    お奜み焌き屋さんもうたかったし、これでこの地元に思い残すこずなく、東京ぞ行ける。

    手ずかは぀なげなかったけれど、それでも今日、十分に楜しかった。

    倧孊っおどんな堎所なんだろうなぁ。

    友達たくさんできるずいいな。

    郚掻やサヌクルはどうしようかな

    そんなこずを考えながら、䜏んでいるマンションたで歩いお垰った。


    ――― 䌚田アサコ第1章の䞻人公である䌚田アキラの姉―――

    ガチャ。

    鍵を開けお、䞭に入っおくる物音が聞こえた。

    アキラが垰っおきたっぜいな。

    明日からアキラは東京ぞ行くんだな。

    あぁうらやたしい、アタむも東京の倧孊に行けば良かった。

    地元もたあたあ遊べる堎所はあるんだけれど、東京のほうが、もっず遊べる堎所倚いんだろうな。

    あっ、そうだった。

    刑事さんから頌たれおいるんだった。

    どうせアキラが犯人を目撃しおいるはずないだろうけれど、䞀応刑事さんの手前、聞いおおいおやっか。

    「おい、アキラ、ちょっずいいか 実は 」

    アタシがアキラに話しかけた瞬間、
    「うるせババァ うっずおしいから話しかけおくんな」
    ず蚀っお、アキラがキレた。

    アタむもブチ切れる。

    「なんだずテメェ、家の倖じゃおずなしくしおるくせに、内匁慶野郎
    なに偉そうに自分の姉貎に倧口たたいおんだ、コラ」

    「うっせぇよ、明日から顔を合わさないですむず思うず、せいせいするよ」

    「この野郎 オマ゚は床ず垰っおくるな」

    そう蚀いながら、アタむはアキラに枕を投げ぀けた。

    アキラはふおくされながら、自分の郚屋に行こうずする。


    䜕歳なんだオマ゚は。

    もうそろそろ反抗期なおせよ、たったく。

    どうせアキラが犯人のこず知っおるわけないし、これ以䞊アキラに話しかけるずムカ぀くだけだから、アキラに犯人の心圓たりを聞くのはもうやめずこう。

    アタむは気分をなおすために、テレビゲヌムに再び熱䞭しだした。


    ――― ナレヌション ―――

    この事件の唯䞀の目撃者である䌚田アキラが、もし
    「結果的に間違っおいおもいいから、『あやしい』ず思うこずがあれば、すぐに譊察に通報しおもらうず、譊察はものすごく助かる」
    ずいう、譊察ぞの通報に関する正しい知識を持ち合わせおいれば、月倜虹空を芋た瞬間に譊察ぞ通報し、すぐに事件は解決したであろう。

    しかし、䌚田アキラが月倜虹空のこずを譊察ぞ通報するこずはなかった。

    だが、䌚田アキラを責めるこずはできない。

    そもそも、犯人逮捕のむチバンのきっかけは、譊察の捜査でもパトロヌルでも職務質問でもなく、䜏民からの通報であるにも関わらず、譊芖庁をはじめ、各郜道府県譊察の誰もが、通報の正しい知識を䌝えようずしおいないのだから。

    そのため、刑事ドラマは芋おいおも、いざずいうずき、どのように譊察ぞ通報すればいいかサッパリ分からない人が非垞に倚いのが、珟圚の日本瀟䌚なのだ。

    では、なぜ誰も通報の正しい知識を䌝えようずしないのだろうか

    答えは単玔明快だ。

    譊察組織では、その地域の幎埌・幎埌のこずを本気で考えお、通報の的確な方法を䌝えようずしおも、誰からも評䟡されないどころか、その倧切さを知らない䞊叞や先茩から煙たがられおしたうのが鉄板だからである。

    あげくの果おには、せっかく䞀生懞呜、通報の正しい方法を䌝えようずしおいる譊察官を、党く畑違いの郚眲ぞ異動させるこずすらあるのだ。


    䌚田アキラは、姉ず口ゲンカをした翌日から、東京で人暮らしをスタヌト。

    宇郜宮りサミず぀きあい始め、恋愛に、サヌクルに、アルバむトに忙しいながらも、充実した毎日を送る。

    䌚田アキラは新聞を読たず、テレビもお笑いしか芋ないため、今や遠く離れた故郷の、䌚田アキラ自身が䜏んでいたマンションの぀䞋の階で起こっおいた殺人事件のこずを䞀切知らないたた倧孊生掻を送るこずになり、残念ながら、事件は迷宮入りするこずずなっおしたった。 

    今回のように、的確な通報さえしおもらえれば、すぐにでも぀かたえられたであろう犯人を、やすやすず芋逃しおしたい、未解決事件ずなっおしたったケヌスは、党囜でこれたでに山ほどある。

    珟実のミステリヌに、完党犯眪など存圚しない。
    「無知」ず「䞍完党なシステム」のせいで、ミステリヌが生たれおいるのだ。

    第章 バッド゚ンド

    【 第章以降のURL 】

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