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犯人はアリバむを぀くらない 第3章『指王の真実』

    第1章はコチラをご芧ください。
    https://note.com/kazuhiro_1976/n/nf52eb0a4caf8

    第2章はコチラをご芧ください。
    https://note.com/kazuhiro_1976/n/n43250c941b03

    第3ç«  指王の真実

    ――― 玀田菊倪 ―――

    モヌツアルトの曲を聎きながら、ブレックファヌストのキャビアずサヌモンを食べ終え、孊校に向かう。

    そうです、菊ちゃん自分のこずを「菊ちゃん」ず呌んでいるのおうちは、ずっおもお金持ちなんですぅ。

    だからお金を入れおおくでっかい金庫もあるんですよ、すごいでしょ


    孊校の靎箱に靎を入れ、䞊履きに履き替えお、教宀に入っおいく。

    菊ちゃんのクラスでの立ち䜍眮は、䞭孊のずきは「お金持ちで、むゞメっ子」ずいう感じでしたが、胞ク゜悪い出来事が起こりたしたので、高校からは「お金持ちで、モテモテ」ずいったむメヌゞで通しおいるのです。

    あぁっ、教宀に入った瞬間、同じクラスのマドンナ、䌊倪利むツキちゃんが菊ちゃんに、ずびっきりの笑顔を芋せおくれた

    そりゃぁ菊ちゃんはかっこいいから、むツキちゃんがメロメロになるのも分かるよ。

    はやくむツキちゃん、菊ちゃんに告癜したらいいのに。

    そしたら菊ちゃんも、告癜されたら、考えおあげおもいいのに。

    むツキちゃん、菊ちゃんの、初めおの圌女にしおあげおもいいんだよぅ。


    1人で、ママが぀くっおくれた極䞊のお匁圓を食べながら、昌ごはん䌑み時間、ママぞLINEを送る。

    「ママ💛
     むツキちゃんがね、今日、菊ちゃんにだけ
     ずびっきりの笑顔を芋せおくれたよ💛
     これっおもう
     結婚確定だよね」

    はやくむツキちゃん、菊ちゃんに告っちゃいなよ。

    そしたら、菊ちゃんは、い぀も1人でお昌を食べおるから、今すぐにでも、䞀緒にお昌ごはんを䞀緒に食べれるよぅ、ママが぀くっおくれた極䞊のお匁圓、わけおあげるよぅ。


    お匁圓をぜんぶ食べ終わり、教宀でするこずもないので、散歩に出かけお戻っおきたら 、あれあれ、なんかおかしいですね。

    なんかクラスのみんなが菊ちゃんのこずを芋おいるような気が。

    ず思ったら、1人の男子クラスメむトが声をかけおきた。

    LINEを芋せながら。

    「玀田くん、ちょっずこれはマズいんじゃね」

    えっ、䜕が
    ず思いながら芗きこんだら

    なぁにぃぃぃいいいっっっ぀぀぀

    さっきのLINE、ママじゃなくお
    クラスのグルヌプLINEに
    送っちゃっおたぁぁぁあああ

    ヌヌ むツキちゃん ヌヌ

    玀田くん
    ごめん笑
    私、みんなに同じ笑顔だよ

    ヌヌ 女子A ヌヌ

    結婚確定笑

    ヌヌ 女子B ヌヌ

    おめでずうございたす笑

    ヌヌ 女子C ヌヌ

    匏はい぀ですか笑

    既読39

    思わず教宀を飛び出お、涙を流しながら、家たでたどり぀きたした。

    䞡芪は出かけおいおいたせん。

    菊ちゃんは、ベッドの垃団にくるたっお、叫びたした。

    「もう死にたいよっ」


    ――― 月倜虹空犯人―――

    「ぞぇ、死にたいんだぁ、そうなんだぁ」

    玀田菊倪の郚屋で、オレは菊倪にそう蚀った。

    「あわわわわわ、あっ、あなたは誰なんですか、譊察呌びたすよ」

    いきなりの䟵入者にあわおふためいた菊倪は、オレに向かっおそう蚀った。

    「呌べばいいさ。呌べるならな」

    「だ、だ、だだだ、誰なんですか、あなたは誰なんですか」

    「オレか オレは、沖田音銙の圌氏だ」

    菊倪に動揺が走る。

    「菊ちゃんは、自分がいじめられるのがこわかったから、ほんのちょっずいじめに参加しただけなのです。

     菊ちゃんも被害者です」

    「自分のこずを『菊ちゃん』っお呌ぶな、キショいから。

     オマ゚がどれだけむゞメに加担しおたか、音銙の遺曞に曞いおあったんだよ。

     ゚リカからも聞いたしな。

     呜乞いしおもムダだよ、しかも『死にたい』っおさっき蚀っおたやんか」

    「り゜です、り゜です、冗談です

     死にたくありたせん 

     蚱しおください、お願いしたす

     お金ならいくらでもあげたす、暗蚌番号はです」

    菊倪は土䞋座をしお、オレに謝っおきた。

    でも、もう遅い。

    だっお、音銙は、生き返らないのだから。

    音銙はオレの党おだったのだから。

    オレは、菊倪の郚屋に眮いおあった鈍噚を、思いっきり菊倪の頭に振り䞋ろした。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    今回も、殺人事件だ。

    殺人事件に間違いない。

    だっおよう、玀田菊倪が、鈍噚で頭郚を殎られお、倒れおいたんだぜ。

    これを殺人事件ず蚀わずに、どれを殺人事件ずいえばいいのだ。

    枝林゚リカの事件が未解決のたただから、今床こそ、絶察に犯人を芋぀けおやる。

    しかし、この家は、金持ちだな。

    こんな倧きな金庫があるだなんお。

    金庫の䞭身は、党お盗たれおいる。

    ざっず億円くらい入っおいたらしい。

    暗蚌番号は家族しか知らないずいうこずだから、おそらく犯人は、玀田菊倪に暗蚌番号を聞いたあず、殺害したものず考えられる。

    金目圓おの犯行だな、匷盗殺人に間違いない。

    億円あったら䜕でもできるからな。

    譊察の嚁信にかけお、前回よりも人員を投入し、この事件解決に圓たらなければならない。

    聞き蟌み、鑑識掻動をはじめ、捜査を培底しないず。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    菊倪の家ぞ䟵入する前に、手袋をはめた。

    だから、オレの指王が怜出されるこずはないだろう。

    髪の毛くらいは萜ちおしたったように思うが、仕方がない。

    金目圓おの犯行だずカモフラヌゞュするために、金庫のずころに行き、菊倪が蚀っおいた番号を回した。

    金庫は開いた。

    䞭には、倧量の札束。

    少なく芋積もっおも、数千䞇はあるだろう。

    オレは菊倪の郚屋からカバンを芋぀け、カバンに党おの札束を入れた。

    だがしかし
    「これだけあったら䞀生暮らせる」
    ずいう喜びはどこにもない。

    どれだけ倧金を手に入れおも、音銙が元気な笑顔をオレに芋せおくれるこずは、もう床ずないのだ。

    このお金ず匕き換えに音銙が生き返っおくれるのなら、オレはなんのためらいもなく、このお金を差し出したであろう。

    音銙がいない䞖界で、倧金を手に入れおも、意味がない。

    しかし、音銙の埩讐を果たすたでの資金源にできる。

    だから盗んだのだ。

    オレは倧金をかかえ、癜色のギャラクシヌに乗り、自分のアパヌトに戻った。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    玀田菊倪が殺害されおから数日間、宀内から、玀田菊倪でもその家族でもない髪の毛が萜ちおいたこず以倖、手がかりは党く぀かめなかった。

    どうしお、玀田菊倪でもその家族でもない髪の毛だっおすぐに分かったかっお

    玀田菊倪も家族も党員黒髪なのに、萜ちおいた髪の毛は茶髪だったからだ。

    手がかりが぀かめず、我茩はあせった。

    もう同じような倱態はできないからな。

    そのような状態から、起死回生の手がかりを぀かめた。

    なんず、金庫から、「九䜍原九楌」の指王が怜出されたのだ。

    九䜍谷九楌は、前科前歎件を持っおいる、窃盗ず芚せい剀の垞習犯だ。

    しかも、暎力事件たで起こしおいる。

    コむツが犯人に間違いない。

    逮捕状をずっお、明日にでも逮捕しに行っおやるぜ


    ――― 九䜍原九楌 ―――

    オラは、前科前歎件を有する、悪党だ。

    窃盗ず芚せい剀の垞習犯だ。

    芚せい剀、ダバい。

    芚せい剀をやめるなんお、考えられない。

    䞀床興味本䜍で泚射噚から打っおみたら、このザマだ。

    「芚せい剀やめたすか、人間やめたすか」
    のキャッチフレヌズは、ホントに良く考えられおいるず思う。

    残念ながらオラは、芚せい剀じゃなくお、人間のほうをやめおしたっおいる。

    芚せい剀欲しさに、どんどん盗みをしおしたっおいる。

    しかも、かなり倧胆な犯行。

    人が芋おいおも、おかたいなしに物を盗んでしたう。

    もうね、芚せい剀なかったら、あんな倧胆な犯行できないわ。

    芚せい剀ず盗みの無限ルヌプ。

    もうこの悪埪環から抜けられねぇ。

    ああ、もうこんな人生むダだっ、生たれかわりおぇ


    ピンポヌン。

    むンタヌホンの音が鳎る。

    なんだっおんだ、こんな朝早くに。

    こんな朝早くに来るのは、譊察くらいしかいないんだがなぁ。

    ガチャ。

    ドアを開けるず、人の譊察官がいた。

    譊察官ずいっおも、もちろん私服だ。

    しかし、オラには譊察官かどうか、長幎の勘で分かっおしたう。

    「譊察だ。ちょっず眲たで来おもらおう」

    やっぱり譊察か。

    「オラに什状出おんのか」

    「せや。これ芋おみい」

    芚せい剀くらいしか思い圓たるこずがない。

    誰かがオラのこずをチクッたのか

    刑事が芋せる什状を芗き蟌む。

    するず、「匷盗殺人」ず曞いおある。

    「匷盗殺人」

    「しただろ」

    「しおねえよ」

    「い぀も什状を芋せれば玠盎に蚀うこずを聞く九䜍原が吊認たぁ珍しいな」

    「だから、やっおねえんだっおば」

    「くわしい話はあずで聞くわ」

    「玍埗いかないけれど、什状出おるんだったら仕方ねぇ。
     荷物だけたずめさせおくれ」


    留眮堎は䜕床も入っおいるから、よく分かる。

    あそこは、「地獄の沙汰も金次第」みたいな郚分があっお、金を持っおいるず、奜きなおかずや定食、それにゞュヌスを泚文したり、タバコが䜙分に吞えたりするんだ。

    オラの奜物は、焌肉定食ず゚ビフラむ定食だ。

    それずタバコだけが留眮堎の楜しみだ。

    金を持っおないダツのみじめなこずず蚀ったら、目も圓おられねえ。

    服をカバンに入れ、ありったけの金を財垃に入れる。

    「おい、もっずあるだろ。かくしおるのか」

    「はぁ」

    「億くらい盗んだろ いくら残っおいるんだ」

    「そんなに盗んでたら、こんなボロい郚屋からすぐに出お行くだろ」

    「しばらっくれるんか、党く。
     たあいいわ、ずりあえず、逮捕する。
     ええず、午前時分、匷盗殺人の眪で逮捕」

    䞡手を前に出しおいたずころに、手錠をかけられる。

    芆面パトカヌの埌郚座垭に座らされ、逃げられないよう䞡隣を譊察官が座る。

    せたい。

    ずにかくせたい。

    たあしかし仕方がない。

    芆面パトカヌは、ゆっくりず譊察眲に向かっお行った。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    被疑者確保

    これで安心しお眠れるっおもんだ。

    しかし、九䜍原九楌がずっず吊認しおいるのが気になる。

    普段はもっず玠盎なダツなのに。

    この前぀かたえたずきに、我茩が特䞊焌肉定食じゃなくお、普通の焌肉定食をおごったのを未だに根に持っおいるのだろうか

    吊認しおいるずロクな目にあわないっお、九䜍原自身が知っおいるず思うのだが。

    しょうがないから、今床は特䞊゚ビフラむ定食をおごるずいうこずで、口を割らせおみよう。

    特䞊゚ビフラむ定食の゚ビフラむは、なんず、䌊勢゚ビなんだぜっ。

    これなら絶察に九䜍原も口を割るっおもんだ


    ――― 九䜍原九楌 ―――

    ダバい。

    特䞊゚ビフラむ定食、めっちゃ食べたい。

    䌊勢゚ビを゚ビフラむにした定食だなんお、どんなに莅沢なんだ

    でも、オラやっおねぇ

    芚せい剀をやっおいるずきに無意識に殺したのかもずか䞀瞬考えたけれど、そこたで意識が飛んだ芚えがねえ。

    党く身に芚えがないが、特䞊゚ビフラむ定食のために「やりたした」っおり゜を぀こうかな。

    しかし、そうするず、「ここから䟵入し、ここで盞手を殺しお、ここから出お行った」などず现かく説明しないずいけなくなるからなぁ。

    でも、特䞊゚ビフラむ定食は食べおぇ

    留眮堎、ヒマすぎんだよ。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    テレビを芋お、ビックリした。

    おいおい、どうなっおんだ、いったい

    オレが玀田菊倪を殺したのに、なんで「玀田菊倪を殺害した容疑で、譊察が九䜍原九楌っおダツを逮捕した」ずいうニュヌスが流れおいるんだ

    譊察、意味分からん。

    どんな捜査をしたら、党く関係ないダツが逮捕されるんだ。

    匿名で
    「玀田菊倪を殺したのはオレだから、゜むツは関係ねえ」
    っお電話しおやりたいくらいの気持ちだ。

    どうやら前科前歎がいっぱいあるダツみたいなんで、テレビでは、どれだけ九䜍原が凶悪人物だったかに焊点を圓おお特集しおいる。

    顔写真ももちろん公開。

    確かにすげぇ悪そうだな、コむツ。

    自分で蚀うのもなんだが、オレより匷盗殺人をしおそうな顔をしおいる。


    ――― 九䜍原九楌 ―――

    あたりに唐突の逮捕だったのず、䌊勢゚ビの特䞊゚ビフラむ定食のこずばかり考えおしたっおいお、オラ、倧切なこずを考えるのを忘れおいた。

    そもそも、どうしお金庫にオラの指王が぀いおいるのだろう

    玀田菊倪の家に、オラは、断固ずしお床たりずお入ったこずがない。

    譊察の陰謀か

    倧昔は、自分がやっおいない事件であっおも、オラはあたりにもたくさんの窃盗事件を起こしおいたもんだから、どれがオラの犯行でどれが違うダツの犯行かサッパリ分からなくなっおおり、芚えがない犯行堎所に連れお行かれおも、適圓に「やりたした」ず蚀っおたもんな。

    だから今回の殺人事件も
    「九䜍原の指王をコッ゜リ぀けずけば、アむツなら適圓に『やりたした』っお蚀っおくれるかもしれない」
    ず譊察は思ったのだろうか

    事実、䌊勢゚ビの特䞊゚ビフラむ定食で、オラを釣ろうずしおいるし。

    しかし、時代が倉わったもんな。

    そんなこずしおそれがバレたら、えらいこずになっおしたうはずだ。

    じゃあなんでオラの指王が、金庫に぀いたのだろうか

    昔より指王照合の技術は䞊がっおいるずいう話だから、オラの指王には間違いないはずだ。

    だからなおさらのこず、謎すぎる。

    あっもしかしお、譊察ではなく、犯人の陰謀か

    だんだん頭が混乱しおきた。

    オラ、考えるの苊手すぎる。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    「なんずいうこずでしょう」

    思わず、某テレビ番組のナレヌションを口ずさみそうになった。

    いや、たさかこんな偶然が起こるずは思わなかった。

    なんずオレは今、留眮堎の䞭で、九䜍原九楌の隣に座っおいる。

    そう、オレは譊察に逮捕されたのだ


    こずの発端は、数時間前。

    オレは久しぶりに友達ず遊びに行き、そしお駅で別れた。

    改札口に行くず、なにやらケンカをしようずメンチを切っおいる人たちがいる。

    気づけば身䜓が動いおいた。

    間に割り蟌んで、ケンカを止めようずした。

    しかし、片方はオレのこずを䞍満に思い、オレにいきなり殎りかかっおきた。

    オレは空手黒垯だ。

    盞手のフックぎみの玠人ずしか思えないパンチを、オレは䞀歩䞋がっおかわしたあず、盞手のみぞおちを正拳突きで殎る。

    盞手はお腹をかかえ、うずくたった。

    「これは正圓防衛だからな」
    ず蚀いながら、盞手の胞倉を぀かんで数発殎る。

    殎るたびに、盞手はうめき声をあげる。

    「ゆ、蚱しおください」

    涙目になりながら、盞手が蚱しをこうおきた。

    これでもかなり加枛しおる぀もりなんだけどな。

    本気で殎ったら、骚の本や本、䜙裕で折れおるはずだから。

    「盞手芋おケンカ売れよ、たったく」

    そう蚀いながら立ち去ろうずするず、
    「おたわりさん、こっちです」
    ずいう声ずずもに、譊察官が人やっおきお、オレを取り囲んでこう蚀った。

    「ケンカの通報があっお来たんだけれど、ちょっず話聞かせおもらえるかな」


    オレを殎ろうずした盞手ず、オレを離れさせ、別々の譊察官がそれぞれ事情を聞いおいく。

    盞手は泣きながらオレのこずを蚎えおいるようだ。

    「で、なんで殎ったの」

    「オレは、ケンカをしようずしおいたダツらを止めようずしただけです。
     なのに、コむツがいきなり殎りかかっおきたから、殎っただけです。
     これっお正圓防衛でしょ」

    「うん、よく勘違いしおいる人倚いんだけれどな、それ、残念ながら、正圓防衛じゃないんだ」

    「たじッスか じゃあ過剰防衛ですか」

    「ずいうより、『暎行』だな。
     今回の堎合、逃げようず思ったら、盞手から逃げれたでしょ」

    「たあ確かに」

    「そういうずきは正圓防衛は通甚しないんだ、今の法埋じゃ」

    「ずいうこずは぀たり」

    「逮捕」

    「ええっ、逮捕」

    「おう、暎行で珟行犯逮捕や」


    オレは手錠をはめられお、譊察眲の刑事課の取調宀に連れお行かれた。

    初めお入る取調宀。

    窓から飛び降り自殺をされないようにだろうか、窓には鉄栌子が぀いおいた。

    取調宀で、刑事さんから、ケンカをしたずきの状況をくわしく聞かれる。

    「調曞」ずいうものにたずめなければならないそうだ。

    刑事さんはパ゜コンを手早く打っおいる。

    「たさかあれが正圓防衛にならないずは知らなかったッスよ」

    「䜕が犯眪で、䜕が犯眪じゃないか、しっかりず䞭孊生や高校生のうちに教えおおいたほうがいいず思うんだがな、いっこうにそういう倧切なこずは、孊校も譊察も、誰も教えずじたいなんだ。

     おかしいだろ

     それさえ䌝えおいれば、もっず犯眪は枛るず思うんだがなぁ」

    いかにも屈匷そうな刑事さんが䞍満を挏らす。

    時間くらいで調曞ができあがった。


    「ごはん食べる時間垯だな。
     いったん留眮堎に入っお、ごはん食べおこい。
     食べ終わったら今床は、ケンカをしたずきの状況写真を撮っおいくから」

    そう蚀われ、オレは、人生初の留眮堎ぞ入るこずずなった。

    ドラマのように、カツ䞌をおごっおくれるわけじゃないんだな。

    持ち物を事现かにチェックされる。

    玠っ裞にされお、ケツの穎たでチェックされるものかず思っおいたのだが、そこたではされなかったのが意倖だった。

    留眮堎の譊察官看守さんが、オレにこう蚀っおくる。

    「留眮堎の䞭では、本名では呌ばない。
     番号で呌ぶ。
     キミの番号は番だ」
     
    番号で呌ぶのは、個人情報の保護のためらしい。

    留眮堎の䞭は、23人で぀の檻房の䞭に入る。

    もちろん、鍵がかかっおいお、䞭から倖ぞは出られない。

    トむレは、それぞれ檻の䞭に備え付けられおいる。

    どんなダツず䞀緒なのだろうか

    檻の扉が開く。

    そこには、テレビで芋た九䜍原九楌が座っおいた。


    ――― 九䜍原九楌 ―――

    看守さんから、新しい逮捕者が出たので、オラず同じ檻に入るず聞いおいた。

    これたで人だったから、すっげぇ退屈だったんだ。

    話が合うダツだずいいな。

    第印象が肝心だ。

    感じ良くいこう。

    「オラ、前科前歎犯の九䜍原九楌だ。

     今回、党く身に芚えのない殺人で逮捕されおしたった。

     兄ちゃんは留眮堎入るの初めおか

     いったい䜕で逮捕されたんだ

     たあこれからよろしくな」

    「あの、テレビで有名な九䜍原さんスよね

     月倜虹空、歳ッス。

     ケンカしおここに入るこずになったッス。

     たさか九䜍原九楌さんず同じ檻だずは思いもしなかったッス。

     初めおなので、分からないこずもたくさんありたすが、よろしくッス」

    看守さんはオラたちのこずを番号で呌ぶが、檻に入れられおいるオラたちは、お互いのこずを番号で呌ぶなんおこずはめったにしない。

    お互いの名前や眪名を蚀い合い、自己玹介をする。

    ちなみに、䞋着泥棒や痎挢の犯人は、恥ずかしいのかしお、自分の眪名を蚀うこずはない。

    これ、マメ知識な。


    しかし、若そうだが、肝がすわっおそうな兄ちゃんだ。

    前科前歎犯のオラには分かる。

    初めお留眮堎に入るっおのに、オドオドしおいる感じが党くない。

    普通はオラの颚貌を芋おビビッおしたうダツが倚いなか、この兄ちゃんは、党く動揺しおいない。

    あくたでも掚枬だが、逮捕されおいないだけで、実はもうすでに人殺しずか、凶悪犯眪を犯しおいるんじゃないのか

    たあ、話が合いそうで䜕よりだ。

    取調べがないずきはこの檻の䞭でずっず本やマンガを読んだりできるが、ずっず読んでばかりだず退屈だからな。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    ごはんを食べおいる最䞭、九䜍原さんからいろいろず留眮堎や譊察のこずを教えおもらった。

    オレは今、「逮捕者」ずいう状態にあっお、「募留」ずいうのを打たれなければ、逮捕されおから時間以内で釈攟される。

    そしお、「募留」を打たれるず「被疑者」ずいう状態になり、日ほど、堎合によればそれ以䞊この留眮堎にいなければいけなくなるらしい。

    「たあ察のケンカだず、ほずんどの確率で、明日か明埌日には釈攟されるだろう」
    ず、九䜍原さんは蚀っおいた。

    ちなみに、「逮捕者」は「官匁かんべん」ずいっお、譊察から支絊されるごはんしか食べられないが、「被疑者」になっおお金を持っおいるず、「自匁じべん」ずいっお、自分でお金を払えば、この衚に曞いおある奜きなメニュヌを食べれるらしく、九䜍原さんは、うたそうにゞンギスカン定食円をほうばっおいる。

    たあ官匁も捚おた味じゃないずは思うけどな。

    麊飯ずか出るんじゃないかず思っおいたが、癜ごはんだったのでありがたかった。

    量が少ないので、満腹にはならないのが玉にキズ。

    せめおお米のおかわりをさせおくれたらいいのに。

    ごはんを食べ終わったあずは、少し䌑憩をしお、それから再び刑事課ぞ。

    ケンカをしたずきの状況を再珟し、䜕枚も写真を撮られた。

    「よっしゃ、次は指王や。
     指王ずるで。
     顔写真もな」


    えっ、指王

    オレの指王ずられるんか

    っおいうこずは、これたでの犯行がバレるんじゃねえのか

    逮捕されたこず自䜓には動揺しなかったが、指王をずるずなるず話は別だ。

    䞀瞬にしお冷や汗が出おくる。

    マズい、ただ埩讐は終わっおいないのに

    あず人残っおるんだ

    おかっぱ頭でヒョロヒョロの䞭幎男性がやっおきた。

    「はい、じゃあこっち来おね。
     指王ずるからね」

    でっかい機械の前に連れおこられた。

    指王をずられたくない。

    でも、ここから逃げるわけにもいかない。

    オレは半ばあきらめお、スキャンする機械の䞊に、手を眮いた。

    「あの、指王っお、なんでずるんスか」

    「ああこれはな、これからいろいろな事件が起こっお珟堎から指王が出おきた堎合にな、お前さんのように逮捕された人たちの指王ず照合させるんじゃ」

    うん 今、「これから」っお蚀ったよな

    「これたでの」事件から出おきた指王ずは照合させないのだろうか


    「これたでの事件から出おきた指王ずは照合させないんですか」

    「いいずこ぀くのう、今の若い子は。

     たずえば、お前さんが、これから事件を起こすずするじゃろ

     そしおそこにお前さんの指王が残されおいたら、その指王がお前さんの指王だずいうこずは分かる。

     しかし、過去の事件だずそうはいかない。

     たずえばだ、枝林゚リカっお知っおるか

     最近この譊察眲の管蜄内で起きた殺人事件の被害者なんじゃけれど、もしもだぞ、もしも仮にお前さんが枝林゚リカを殺害し、その珟堎にお前さんの指王が残っおいた堎合でも、お前さんはこの殺人事件のあずに぀かたっおいるわけだから、お前さんが犯人であるこずは、氞遠ず分からずじたいなんじゃよ。

     うちの県譊ず違っお別の郜道府県譊察なら、これたでの事件から出おきた指王ずも照合させるずころもあるんじゃがの」

    マゞかよ、おい

    オレが犯人ずバレないこずが、この瞬間確定

    心の䞭でガッツポヌズを決めながらも、冷静さを保ちながらオレはおかっぱ頭に蚀った。

    「おかしいッスね、そんなの」

    「拙者はな、䜕床も譊察本郚に『ほかの進んでいる郜道府県譊察のように、重倧事件だけでもいいから、事件埌に登録した被疑者の指王も、定期的に照合させるべきじゃ』ず蚀っおいるのじゃが、拙者が巡査郚長だからかしお、䞀向に蚀うこずを聞いおくれんのじゃ。

     どうしおよその県譊のいいずころをうちの県譊は真䌌しようずしないのか、拙者にはたったくもっお理解できんわ」

    ふん、ただただ䞖の䞭は、正しい意芋がたかり通らないこずが倚いんだな。

    指王をずり、顔写真・党䜓写真を撮られたあず、オレは再び留眮堎に戻った。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    九䜍原の野郎、結局、特䞊゚ビフラむ定食を断りやがった。

    九䜍原が口を割っおさえくれれば事件が解決するのに、ちくしょう

    たあただ募留の期限はたんたり残っおいる。

    最初吊認しおいおも、あずから眪を認めるずいうのは本圓によくあるこずだ。

    だから、あの手この手を぀かっおでも、九䜍原の口を割っおやる


    ――― 月倜虹空犯人―――

    オレはただ埩讐が終わっおいないから、自分が犯人であるこずはバレたくない。

    しかし、党く関係のない九䜍原さんが逮捕されおいるのは玍埗いかない。

    どうにかしお九䜍原さんが無実であるこずを蚌明する手助けができないだろうかず思い、留眮堎に戻っおきおから九䜍原さんに声をかけた。

    「テレビでは九䜍原さん、ずっず犯行を吊認しおるっおこずになっおたすけど、実際のずころどうなんスか」

    「おっ、やっぱりオラのこず、テレビで話題になっおいるのか。

     聞いおくれる

     オラ、正盎蚀っお、党く身に芚えがないんだ」

    九䜍原さんは、自分が有名人になっお嬉しいのか、䞊機嫌だ。

    オレはさらに質問を続ける。

    「っおいうか、そもそもなんで九䜍原さんが逮捕されるこずになったんスか

     テレビでは、そこたでくわしく事情を蚀っおくれないんスよ」

    「殺された玀田菊倪の家の金庫からな、オラの指王が出おきたらしいんだ」

    「金庫から」

    「そう、金庫から。

     でもな、オラは䞀床もその家に䟵入した芚えがないんだ」

    どうしお玀田菊倪の家の金庫から九䜍原さんの指王が出おきたのだろう

    あたりにもミステリヌすぎお、理由がサッパリ分からない。

    オレが真犯人であるこずを名乗り出る以倖、九䜍原さんが無実であるこずを蚌明する方法はないのか


    解決策が思い浮かばない。

    途方にくれながら、九䜍原さんず雑談を亀わした。

    九䜍原さんがこれたで犯した犯行内容や、恋人の有無、奜きな食べ物の話など、いろいろな話題で盛り䞊がる。

    音銙の話はあえおしなかった。

    そしお、仕事のこずに話題が移った。

    「ずころで九䜍原さんは、これたでどんな仕事に぀いおたんスか」

    「仕事か いろいろやったから党郚は芚えおないな。

     甚心棒のような仕事から、譊備員・工堎・マグロ持船・土方 、いろいろやったぜ」

    九䜍原さんは、くわしく仕事内容を説明し始めた。

    甚心棒やマグロ持船の話なんお初めお聞くから、ずおも興味深い。

    䞀通り甚心棒ずマグロ持船の話題が終わり、今床は工堎の話になった。

    「九䜍原さんは、工堎ではどんなものを䜜っおたんスか」

    「色々だな、薬品の工堎ずか、車の工堎、あずは金庫を぀くる工堎ずかも行っおたぜ」

    えっ、なんだっお

    金庫を぀くる工堎だっお

    それっおもしかしお。

    「じゃあ、その金庫を぀くる工堎で、もしかしたら九䜍原さんの指王が぀いた可胜性があるッスよね」

    九䜍原さんは「そうか」ず蚀わんばかりに手をたたいた。

    「あっ、そんなこず考えおみたこずがなかった

     そうだ、その可胜性は倧アリだ」

    なんず九䜍原さんは、幎くらい金庫を぀くる工堎にいたそうだ。

    だからその工堎で぀くられた九䜍原さんの指王぀き金庫が、玀田菊倪の家に眮いおあっおも、党く䞍思議なこずではない。

    よっしゃ、これで九䜍原さんは助かるはずだ

    オレは胞をなでおろした。


    ――― 雷田譊郚 ―――

    なぁぁぁぁぁぁあああにぃぃぃぃいいいいいっっっ

    九䜍原が金庫を぀くる工堎に、幎くらいいただずぅぅうううっ

    我茩の口は開いたたた、閉じるこずができない。

    それくらい我茩は驚いおしたった。

    九䜍原が䟛述した金庫を぀くる工堎に、すぐさた刑事を向かわせる。

    するず、その工堎の瀟長は
    「確かに九䜍原君は幎ほど、この工堎で働いおいたした。
     この写真に写っおいる金庫、うちの工堎で぀くっおいる金庫に間違いないですね」
    ず蚀っお、玀田菊倪の家に眮いおあった金庫ず党く同じ金庫、そしお九䜍原が働いおいた蚌拠ずなる履歎曞などの曞類をご䞁寧に芋せおくれたらしい。

    こんなこずあっおいいのか

    ダバい

    九䜍原が犯人じゃない可胜性がかなり出おきたじゃないか

    どうりで、我茩の、特䞊゚ビフラむ定食を断るわけや。

    い぀もは玠盎に犯行を䟛述しおいたのに、今回に限っお吊認をし続けおいたわけだ。

    ただ、だからずいっお、絶察に九䜍原が殺人をやっおいないずいう保蚌はない。

    可胜性は䜎いが、九䜍原が殺人をやっおいる可胜性もあるにはある。

    しかし、きっ぀いなぁ。

    実にき぀い。

    ずりあえず無眪だった堎合を考えお、今から特䞊゚ビフラむ定食を九䜍原におごっおやろうかな。

    九䜍原を぀かたえた時点で、付近の聞き蟌み捜査ずか䞭断しおしたったけれど、それも再開したほうがいいのだろうか。

    ああっ、こんなこずがあっおいいのかっ

    ダバい、未解決事件フラグが立ちたくりだっ


    ――― ナレヌション ―――

    ああ無念、党おの郜道府県譊察においお、事件発生埌に採取した犯人の指王・にあっおも、定期的に過去の事件ず照合する仕組みが敎っおさえいれば、月倜虹空が犯人であるこずが容易に分かったであろうに。

    月倜虹空は、逮捕された翌日に釈攟。

    九䜍原九楌は、埌日行われた裁刀で無眪が確定「今回の事件は状況が状況だけに、譊察が逮捕をしおも仕方がなかった」ずマスコミからはずらえられ、譊察が特に叩かれるこずはなかった。

    玀田菊倪を殺害した犯人は分からず、迷宮入り。

    唯䞀残された手がかりは、宀内に残されおいた、玀田菊倪でもその家族のでもない髪の毛のみであった。

    第章 バッド゚ンド

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