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犯人はアリバむを぀くらない 第2章『郜道府県の壁』

    第1章はコチラをご芧ください。

    第2ç«  郜道府県の壁

    ――― 蟹田果歩 ―――

    高校っお、バリ楜しい

    同じくらいの勉匷のできる子たちが集たっおいるから、考えるこずも䌌おるんだよね。

    毎日、カラオケに行ったり、合コンに行ったり、お泊たり䌚したり、毎日がハッピヌすぎお困るくらい。

    パパの仕事の郜合で、䞭孊校のずきの地元からは離れおしたったけれど、新しい友達が山ほどできお良かったよ。

    こっちのほうが、性栌悪い子少ないしね。

    私も、生たれたずきからこっちにずっず䜏んでいたら、もうちょっず性栌良くなっおた自信があるわ。

    むゞメずかもしおいなかったような気がする。

    たあ昔の倱敗は、今から取り戻せばいいだけなんだけれど。


    今日のカラオケも、バリ楜しかったわ。

    おかげで終電には間に合わなかったけれど、家たで歩いお分もかからない。

    赀色のメッシュが入った茶髪を、右手でいじりながら歩く。

    これは私のクセだ。

    気分がいいずきに、髪の毛をいじっおしたうのだ。

    赀色のメッシュが特に気に入っおいる。

    䞭孊生のずきから、ずっずこの髪型だ。

    誰ずも違う髪型なので、目立っおいお気分がいい。


    倜道を人で歩く。

    癜色の車が台、埌ろから前方ぞ通り過ぎお行く。

    倜颚がずおも気持ちいい。

    ただただ私の青春は始たったばかり。

    あずで「遊び足りなかった」なんお、埌悔したくない。

    明日も、明埌日も、その次の日も、党力で遊ぶぞっ


    そんなこずを思いながら道を曲がる。

    前方に癜色の車が止たっおいるのに気づいた。

    その距離、およそメヌトル。

    車にはラむトが぀いおおり、゚ンゞンがかかっおいるようだ。

    「あれっ、あの車、さっき通り過ぎた車っぜいよね」

    䞍思議に思っおいるず、突然、その車のラむトがハむビヌムにしおきた。

    「䜕よ、たぶしいじゃない
     なんでいきなりハむビヌムにするの」

    思わずひずり蚀を぀ぶやいた瞬間、その車が突劂ずしおものすごいスピヌドでこちらに向かっおきた。

    グングンその車ず私の距離が瞮たっおくる。

    それなのにその車は、いっこうにスピヌドを萜ずそうずしない。

    えっ、り゜でしょ

    たさか私を車ではねようずしおいるの

    冗談でしょ


    ――― 月倜虹空犯人―――

    冗談じゃないぜ。

    本気だよ。

    オレはアクセルを螏み続けた。

    蟹田果歩。

    音銙の遺曞、そしお枝林゚リカから聞き出した話によるず、枝林゚リカず同様、音銙をいじめおいた匵本人だ。

    ゚リカの䜏んでいたマンションで盗んだプリクラ手垳に、蟹田果歩の匕っ越し先の䜏所が曞いおあっお助かったぜ。

    愛する音銙の遺曞には、蟹田果歩の匕っ越し前の䜏所しか曞いおいなかった。

    ゚リカのプリクラ手垳がなかったら、今ごろ途方に暮れおいたずころだ。


    プリクラ手垳には、「゚リカ果歩 バリ仲よし」ずいう文字ずずもに、゚リカずもう人、赀色のメッシュの入った茶髪の女のプリクラが貌っおあった。

    匕っ越した先の䜏所をたよりに、地図を芋ながら探すこず数時間、衚札に「蟹田」ず曞いおある家を発芋。

    そしお匵り蟌むこず数時間、プリクラの写真にそっくりの女が珟れた。

    目立぀髪型だ、蟹田果歩に間違いない。


    そしお、蟹田果歩ぞ埩讐を果たせる瞬間を埅った。

    昌間だず、目撃者がいる可胜性が高すぎる。

    倜、できれば倜䞭がいい。

    それも、終電が過ぎた時間垯がいい。

    あせる必芁はない。

    確実にしずめるこずができる瞬間たで埅ずう。

    そう思いながら、蟹田果歩の家の近くで様子をうかがっおいた。


    そしお、絶奜の機䌚が珟れた。

    倜になっおも、蟹田果歩が垰っおこない日が぀いにやっおきたのだ。

    ただ、どこから、どのようなルヌトで垰っおくるかは分からない。

    だからオレは、蟹田果歩が垰っおくる確率が最も高いであろうルヌトを想定し、蟹田果歩に芋぀からないような堎所に車をずめお、蟹田果歩を埅っおいた。

    するず幞運にも、蟹田果歩らしき颚貌の女が、オレが想定したルヌト䞊を歩いおきたのを確認できたのだ。


    念には念を入れお、蟹田果歩かどうか、車で远い越しざたに確認。

    本人に間違いない。

    オレは曲がり角を曲がったあず、蟹田果歩がやっお来るのを、゚ンゞンをかけたたた、今か今かず埅ちわびた。

    そしお、぀いに蟹田果歩がやっおきた。

    人違いでないよう、ラむトをハむビヌムにしお、もう䞀床確認。

    絶察に蟹田果歩だ。

    オレは、アクセルを䞀気に螏み、蟹田果歩めがけお、車を猛スピヌドで走らせた。

    あずメヌトル。

    あずメヌトル。

    ブレヌキを螏みたくなっおしたう気持ちをおさえ、オレはアクセルを螏み続ける。

    これは、沖田音銙をむゞメ殺した、オマ゚らぞの埩讐だ。

    オレはオマ゚ラを絶察に蚱さない

    あずメヌトルだ


    ――― 蟹田果歩 ―――

    ドンッ

    私の身䜓が宙に舞ったのが、自分でも分かった。

    こういうずきっお、マンガのように、ゆっくりずスロヌモヌションでたわりの物が芋えるんだね。

    その車が盎前に、スピヌドを萜ずしたこずたで鮮明に分かった。

    そしお、意識はあるものの、自分の身䜓を起こせないこずも分かった。

    私の身䜓は暪たわったたただ。

    極床の緊匵のせいか、痛みは感じない。

    車を運転しおいた男が、運転垭から降りおくる。

    「ク゜ッ ブレヌキを螏んじたった
     絶察にブレヌキを螏たないっお決めおいたのに、なんおこったちくしょう」

    えっ、どういうこず

    わざず私を蜢こうずしたの

    疑問が頭の䞭をかけたわる䞭、男は私の顔をのぞきこんでこう蚀った。


    「蟹田果歩だな」

    なんで私の名前を

    「沖田音銙、知っおるだろ」

    「し、知っおるわ。䞭孊校のずき、同じクラスだった」

    「沖田音銙は、オレの圌女だった。
     むゞメおたの、オマ゚らだろ」

    そっか、どおりでわざず私を蜢こうずしたわけだ。

    えっ、ずいうこずは、もしかしお

    自分の顔が、䞀瞬にしお青ざめたのが分かった。

    「その顔は、『もしかしお枝林゚リカを殺したのも』っお顔だな。
     そうだよ、その通りだよ。
     むゞメる偎からすればお遊びかもしれないけれど、むゞメられる偎からすれば、地獄以倖の䜕物でもないんだぞ、分かっおいるのか」


    䜕も蚀い返せなかった。

    確かに、お遊びの぀もりだった。

    退屈な授業に飜き飜きしお、゚リカたちず䞀緒にむゞメをしおたもんだから、぀い぀い゚スカレヌトしちゃったんだ。

    「ごめんなさい、蚱しお」

    涙を流しお、私は謝った。

    でも、蚱しおくれないこずは、すでに分かっおいた。

    ゚リカが殺されたのだ。

    私だけ蚱しおもらえるわけがない。

    埌悔が止たらない。

    もっず生きたかった。

    でも、それは、私たちがむゞメた音銙も同じ思いだったであろう。

    音銙もホントはもっず生きたかったに違いない。

    私、バカだな。

    こんな状況になっお初めお、音銙の気持ちに気づいたなんお。

    なんでむゞメなんおバカなこずをしちゃったんだろう。

    意識がゆっくりず遠のいおいく。

    埌悔しおも、もう遅い。

    「自業自埗だね。
     倩囜で、音銙にあやたっおくる」

    私はその男にそう蚀い、目を閉じた。


    ――― 林檎巡査 ―――

    オむラは、譊察孊校を卒業しお間なしの、新米譊察官だ。

    「オむラ」なんお昔っぜい蚀い回しを䜿っおいるけれど、ただただ青春真っ盛りの歳。

    䞀床、䞀般䌁業の䌚瀟で働いおたのだけれど、瀟䌚じゃなくお、䌚瀟のために働いおいる状況に玍埗いかなくお、䞀倧奮起しお䌚瀟をやめ、䞖のため、人のために譊察官になった。

    新米譊察官だから、い぀もは亀番で働いおいるのだけれど、ひき逃げ死亡事件の捜査本郚ができたので、今日から捜査本郚で仕事するように蚀われたわけだ。

    亀通の捜査本郚で仕事するのは初めおだから、どのようなこずをさせられるのか、䞍謹慎なんだけれど、ちょっずワクワクする。

    譊察眲だけじゃなく、譊察本郚からも、亀通捜査員がたくさん来おいる。

    たずは、ドラマで芋たような、捜査䌚議からスタヌトするんだな。


    「この事件の捜査本郚の指揮をずる、譊芖の堎菜名だ。

     事件の抂芁を説明する。

     死亡掚定時刻は、月日午前時から午前時ころたでの間。

     堎所は、囜道号線。

     被害者は、蟹田果歩、歳。

     ブレヌキ痕があったこずから、被疑者は被害者の姿を芋おブレヌキを螏んだが、ブレヌキが間に合わずに蜢いおしたい、そのたた逃走したものず考えられる。

     珟堎に萜ちおいた遺留品から、被疑車䞡の車皮は『ギャラクシヌ』だず掚定される。

     班は、県内にある車の修理屋・板金屋を圓たれ。

     班は、呚蟺の聞き蟌み。

     班以降は、別途指瀺する。

     各々、早期解明に党力を尜くしおほしい」

    オむラは班だから、呚蟺の聞き蟌み捜査だな。

    オむラはダッシュで班の班長のずころぞかけ぀けた。


    ――― 班の班長 ―――

    ラッキヌ、今回、聞き蟌みの班長になれたざたす

    聞き蟌みずいうのは、ほかの班ず比べお楜なのざたす。

    やはり事前にゎマスリをしおいお良かった。

    ここだけの話、譊察官で正矩感を持っおいるダツなんお、ほずんどいないざたす。

    だっお、もずもず譊察官っおのは、ものすごい人気がなかった職業ざたすからね。

    今はかなり平和になったから、正矩感を持っお譊察官に入っおくるダツもそれなりにいるようですが、昔は本圓に倧倉だったのざたす。

    孊生闘争をはじめ、いろんなデモが起こり、それを力で制圧しなくおはいけなかったのですから、垞に危険ず隣り合わせ。

    高床成長期なので、䞀般䌁業にものすごく人気が集たり、䞀般䌁業に就職できなかったダツらが譊察官になったのざたす。

    私も䞀般䌁業に就職しようずしたしたが、どこにも採甚されなくお、それでしょうがなく譊察官になったざたす。

    しかし、たさか譊察官になった圓初、たさか䞀般䌁業がたさかここたでお絊料が䜎くなるずは思わなかったざたす。

    幎功序列のシステムもほずんどなくなったず聞いお、メシりマざたす。

    あず定幎たで幎。

    問題を起こさないよう、现々ず譊察組織で仕事をするざたすよ。


    ――― 林檎巡査 ―――

    いよいよ、聞き蟌みの開始だ。

    しかし、班の班長から
    「家がずっず立ち䞊んでいたらね、軒ず぀聞き蟌みしなくおもいいざんすよ。
     端っこの家だけで十分ざんす」
    っお蚀われおしたった。

    ホントにそんな聞き蟌み方法でいいのだろうか

    軒ず぀聞き蟌みをしたほうが、目撃情報を入手できる確率も高くなるように思うのだが。

    ええいっ、もう班長を蚀うこずは無芖しお、軒ず぀、党おの家から聞き蟌みをしおやろう

    あの班長の蚀うこずは、明らかに間違っおいる。

    譊察孊校のずきから思っおいたこずなんだけれど、明らかに間違っおいるこずを蚀っおくる譊察官があたりにも倚すぎお困る。

    珟堎で䜿い物にならない譊察官を、譊察孊校の教官にするなっちゅの。

    譊察孊校の同期生も、ワケ分からんダツたくさんいたし。

    もうちょっず正矩感のあるダツ集たっおくれよ、党く。


    ――― 班の班長 ―――

    ふぅ、これで䞀通りの説明を班員にし終わり、各班員ごずに、聞き蟌みをする堎所を決めたざたす。

    しかし、あの林檎巡査ずかいう熱血野郎、気に食わないざたす。

    私が
    「端っこの家だけで、聞き蟌みは十分ざたす」
    ず蚀ったのに、玍埗しおいなさそうなのが、気分悪いざたす。

    たあほずんどの新米譊察官が、数幎も経おば、譊察組織に慣れおしたっお、正矩感なんおどこかに眮き忘れおしたうざたすけどね。

    今日もはやく仕事を終えお、メむド喫茶に行っお、オタ話をメむドさんに聞いおもらうざたす。

    それが唯䞀の楜しみざたすからね。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    「ずにかく、自分のアパヌトに戻ろう」

    そう思い、オレは蟹田果歩が目を閉じたあず、癜色の「ギャラクシヌ」を西方向に運転し、ひき逃げをした県から自分が䜏んでいる県のアパヌトに、朝方戻っおきた。

    思っおた以䞊に、バンパヌ郚分の損傷がひどい。

    かなりぞこんでいる。

    それに、垰りしな、蟹田果歩以倖にも、オレの運転操䜜のミスにより、䞀床、県内で、路䞊駐車しおいる車にぶ぀けおしたった。

    早く修理しないず、こんな車が止たっおいるのを目撃されたら、぀かたえられる確率は非垞に高いのではなかろうか

    すぐにオレは、前に䞀床車を修理しおもらった板金屋に、車を持っお行った。


    「すんたせん、以前に䞀床車を修理しおもらった入口ですけれど」

    「お兄ちゃんか、どないしたん
     車、かなりぞこんでるやんか」

    「そうなんですよ、運転しおたら、急にシカが出おきちゃっお」

    オレは「ひき逃げをした」ずは蚀わず、り゜を぀いた。

    板金屋の衚情が特に倉わった様子はなく、胞をなでおろす。


    「そっか。譊察ぞは届けた」

    「いえ、届けおたせん」

    「車䞡保険は入っおる」

    「入っおたせん」

    「じゃあ自腹で払っおもらわんずアカんけど、それでええか」

    「はい、お願いしたす。このぞこみ具合で、ずっず走っおいるわけにもいかないんで」

    「ホンマやな。たるで人を蜢いたかのように、バンパヌぞこんでるもんなぁ」

    「はは、もう物隒なこず蚀わんずいおくださいよ、人じゃなくおシカですからね」

    「冗談や冗談。修理できたら連絡するわな」

    「はい、お願いしたす」

    途䞭で青ざめるようなこずを蚀われお、䞀瞬あせった。

    だが、倧䞈倫。

    バレおいない、バレおいないはずだ。

    オレは䞍安を感じながらも、駅に向かっお歩いお行った。


    ――― 林檎巡査 ―――

    ほらね、やっぱり軒ず぀、党おの家を聞き蟌みしたほうが良かったでしょ

    だっお、端っこじゃない家に䜏んでいる、アフロの髪型をしたおばちゃんから、事件に関係する情報を入手するこずができたんだから。


    アフロの髪型をしたおばちゃんがちょうど自宅からコンビニたで歩いおいる最䞭、ひき逃げ事件が起こったちょうどそのあずくらいの時間垯に、バンパヌ郚分がぞこんでいた『青色』のギャラクシヌが、西方向に走行しおいるのを目撃したらしい。

    車に乗っおいたのは、男人。

    しかし、残念ながら、ナンバヌプレヌトの番号は分からないずのこず。

    車が関係する事件や事故で䞀番倧切なのは、「車のナンバヌプレヌトの番号」なんだけれど、そのこずを知っおいる䞀般人は、本圓に少ない。

    オむラも譊察官になっおから、その倧切さを初めお知ったくらいだ。

    色や車皮が同じ車は、党囜に䜕䞇台もある。

    しかし、ナンバヌプレヌトは、唯䞀無二の番号。

    だから、犯人の特定がものすごくしやすいのだ。

    ああ、ナンバヌプレヌトの番号さえ芋おいおくれたら、䞀気に事件解決できたのに。

    どうしお、ナンバヌプレヌトの倧切さを蚎えようずする譊察官がいないんだ。

    譊察の広報は、倧切なこずを、党く䌝えようずしおいない。

    ナンバヌプレヌトの䞋偎にあるでっかい数字桁、これは通垞「䞋桁のナンバヌ」ず蚀うのだけれど、䞋桁のナンバヌだけでもいいから芚えおくれおいたら、ものすごく捜査が楜になるんだけどなぁ。

    たあそれでも、色を特定できただけでも、かなりの進歩だ。


    ――― 堎菜名譊芖 ―――

    捜査本郚の指揮をずっおいる、譊芖の堎菜名である。

    今日の午前䞭に新たに確認できた情報は、林檎巡査の「被疑車䞡は『青色』のギャラクシヌで、西方向に逃走」のみか。

    もうちょっず情報が集たるず思っおいたのだが、残念だ。

    しかし、ずりあえずは良かった、色が特定できお。

    これで「『青色』のギャラクシヌ」ずしお行方を远っおいけるので、劎力をだいぶ節玄できる、ありあたい。


    ――――― アフロの髪型をしたおばちゃん ―――――

    いやぁビックリしたわぁ、いきなりおたわりさんが家ぞ聞き蟌みに来るんやから。

    でもたさか、わだすが芋た車が犯人の車だったなんおね。

    ちなみにおたわりさんには「青色」っお蚀っちたったけれど、よくよく思い返しおみるず「癜色」だったわ。

    青色は、わだすの買った䞋着だった。

    それなのに、思いっきり
    「絶察、どんなこずがあっおも青色。
     わだすの呜をかけおも青色」
    なんお蚀いきっおしたったわ。

    たあどっちでも倧差ないわね、ガハハハ。

    しっかし、旊那の䞡芪ずの぀きあいダルいわ。

    時間もお金もあるくせに、いろいろずわだすにさせようずするのがむダになる。

    同居しなくお本圓に良かったわ。

    同居しおる友達ずかみんな、ものすごくストレスたたっおそうだもんね。


    ――― 林檎巡査 ―――

    ピンポヌン。

    むンタヌホンを鳎らす。

    今日これで、䜕床目のむンタヌホンだろうか。

    「あの、お忙しいずころすいたせん。
     私、〇〇眲の譊察官です」
    ず蚀いながら、譊察手垳を芋せる。

    私服だず、譊察手垳を芋せない限り、譊察官だず分かっおもらえない。

    「月日午前時から午前時ころたでの間に、囜道号線でひき逃げ死亡事件が起こったんですけれど、あやしい車など目撃したりはしおいたせんでしょうか
     犯人の車は『青色』のギャラクシヌなんです」

    「青色 県のナンバヌが぀いた『癜色』のギャラクシヌだったら走っおいたように思うんだけど、青色かぁ。
     分かんないな」

    「そうですか、ありがずうございたす。
     たた䜕か思い出したりしたら、捜査本郚たでご連絡くださるようお願いしたす。
     それでは倱瀌したす」

    癜色のギャラクシヌは、今回関係ない。

    だから、メモをずる必芁は党くなし。

    青色のギャラクシヌの目撃情報は、党くないな。

    オむラは隣のむンタヌホンを鳎らし、再び聞き蟌み捜査にたわった。


    ――― ナレヌション ―――

    アフロの髪型をしたおばちゃんの間違った目撃蚌蚀により、捜査は完党に、あさっおの方向に傟いおいく。

    あずから譊察に
    「やっぱり『青色』じゃなくお、『癜色』だったように思う」
    ず蚀いなおしおも、誰からも怒鳎られない。

    だから、もし譊察に蚀ったこずが間違っおいたずあずから気づけば、遠慮なく譊察にそのこずを䌝えおもらったほうが非垞にありがたいのだ。

    この埌も「『青色』のギャラクシヌ」ずいう前提で捜査をすすめるも、どうしおも䞍可解な点が倚すぎたため、アフロの髪型をしたおばちゃんに、譊察が念入りに事情を聞きなおすず、『青色』ではなく、『癜色』であるこずが刀明。

    捜査はれロから、いや、それたでにかかった時間を考えるず、マむナスから再スタヌトを切るこずになっおしたった。

    しかし実のずころ、ひき逃げ死亡事件の犯人が぀かたらない盎接の理由は、アフロの髪型をしたおばちゃんの、間違った目撃蚌蚀のせいではない。

    問題は、もっず別のずころにあったのだ。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    今オレは、音銙の墓参りに来おいる。

    音銙ずの思い出が、オレの頭の䞭に映像ずしお浮かび䞊がる。

    オレから音銙に奜きだず告癜した。

    音銙だけでなく、音銙の母芪たで喜んでくれたっけ。

    「『おかあさん』っお呌んでね」
    ず、嬉しそうにしおいた音銙の母芪。

    初めおのデヌトで行った氎族通。

    アシカをこわがっお、絶察に觊ろうずしなかった音銙。

    オレは、そんな音銙がたすたす奜きになったんだ。

    初めお手を぀ないだ遊園地。

    人がお化け圹をするお化け屋敷がリアルすぎおビックリし、思わず、音銙の手を぀ないで、䞀緒になっお走っお出口たで行ったんだ。

    お化け屋敷を出おからも、お互い、手を離そうずしなかった。

    初めおキスをした倜景。

    キスをしたあずに音銙から「倧奜き」っお蚀われたずきの感激は、今でも忘れられない。

    目を閉じれば、い぀でも音銙の笑顔が浮かんでくる。

    むゞメられおいるずきはさぞかし぀らかっただろうに、オレの前ではずっず笑顔だった。

    思春期の真っ只䞭だ。

    自分がひどいむゞメにあっおいるこずを、圌氏であるオレに蚀いたくなかったのだろう。

    蚀っお、嫌われたくなかったのだろう。

    くやしくおしょうがない。

    どんなに埌悔しおも、埌悔し足りない。

    「音銙、ゎメンな。
     次、生たれ倉わったら、絶察に音銙を幞せにするから。
     どんなこずがあっおも、䞖界䞭を敵にたわしおも、それでもオレは音銙の味方だから、だから次こそ、悩み事があったらオレに蚀っおくれよな、絶察だぞ 」

    涙が頬を぀たい、音銙の墓に萜ちた。


    ――― 堎菜名譊芖 ―――

    事件から週間経ったが、林檎巡査がゲットした聞き蟌み情報以来、なんの進展もない。

    ここたで有力な情報がないずいうこずは、われわれの捜査の及ばない範囲に犯人が逃げ蟌んでいる可胜性が最も高いのではないだろうか 。

    譊察ずは、本圓に䞍完党な組織だ。

    すき間が山ほどありすぎる。


    ――― 林檎巡査 ―――

    事件から週間経った。

    アフロの髪型をしたおばちゃんから目撃情報をゲットしおから、党く䜕の情報も埗れおいない。

    それは、オむラだけじゃなくお、みんなもだ。

    昌䌑み、昌ごはんを食べたあず、がんやりむスに座っおテレビを芋おいる。

    隣に先茩が座っおきた。

    ずりずめもない雑談を始める。

    話は雑談から、ひき逃げの話になった。

    「先茩、ひき逃げの犯人、なかなか぀かたえられないですね」

    「そうだな。
     おそらく、うちらの捜査しおいる県にはいないんじゃないかな」

    「じゃあ、ほかの郜道府県譊察に頑匵っおいただくしかないですよね」

    「うん、そうなんだけど、ほかの郜道府県譊察がどこたで捜査をしおくれるのかは謎だぞ。

     完党にナンバヌプレヌトの番号が分かっおいるのに、『ひき逃げケガのある事故』でなく『あお逃げケガのない事故』っおいうだけで、捜査をたったくしようずしない県譊もあるっお話だからな」

    「マゞですか」

    オむラのいる県譊だず、信じられないような話だ。

    「完党にナンバヌプレヌトの番号が分かっおいる  犯人の車の特定がものすごく簡単になる」のに、どうしお捜査をしないんだ

    よくそれで䜏民の方々が黙っおいるもんだな。

    どこの県譊かは知らないが、そんな適圓な捜査でホントにいいのか


    ――― 堎菜名譊芖 ―――

    いいわけないだろ、そんな適圓な捜査で。

    郜道府県党おの堎所においお、ひき逃げだけでなく、あお逃げの捜査たでしっかりずするべきなのだ。

    ただしこれは、あお逃げの捜査に限った話ではない。

    実は、郜道府県譊察ごずに捜査の䜓制が倧幅に違っおしたっおいる。

    だから、どの郜道府県内で被害にあったかで、察応が倧きく違うのが珟状なのだ。

    うちの県譊では速攻で逮捕する事件でも、別の県譊だず逮捕せずじたい、なんおこずも普通にありえる。

    郜道府県ごずに独自の䜓制をずっおいるから、たずえ玠晎らしい捜査方法が確立されたずしおも、なかなか党おの郜道府県譊察で統䞀しお採甚されるこずはありえない。

    ではどうしお、このような珟状を誰も倉えようずしないのか


    答えは簡単。

    譊察には、トップが存圚しないからだ。

    もちろん、名目䞊のトップは存圚する。

    各道府県には、「譊察本郚長」、そしお譊芖庁には「譊芖総監」ずいうトップが存圚するには存圚しおいる。

    しかし、こい぀らは、キャリアだ。

    珟堎の経隓が、ほが皆無に等しい。

    珟堎の経隓がないから、改善案を思い぀けるわけがない。

    しかも数幎ごずに異動するのだ。

    そのような状況の䞭で、譊察組織を根本的に倉えれるダツなんお、存圚するわけがない。

    郜道府県譊察を統括指揮しおいる「譊察庁」も同じこず。

    珟堎に即しおいない、蚳の分からないこずばかり指瀺しおくる。

    「そんな指瀺、絶察できるか」
    ず怒鳎り぀けおやりたくなるような指瀺を、平然ず、こっちの意向も聞かずに蚀っおくるのだ。

    しかし、逆らうこずはできない。

    逆らえば「譊察ぞの反逆者」ずみなされ、出䞖の道は閉ざされる。

    その結果、どうなったか。

    やらなくおいいこずばかりを、䜏民のためではなく、譊察庁のためだけにやるはめになり、逆に、䜏民のために本圓にやらなくおはならないこずがおざなりになっおしたったのだ。

    そんな状況に玍埗がいかず、「譊察組織を倉えようず思えば偉くなれ」ずいうハングリヌ粟神で、ノンキャリアにも関わらず、頑匵っお譊芖にたで䞊り詰めた。

    しかし、譊芖クラスでは、珟実的には、そのような改革を残念ながら起こせない。

    捜査本郚の指揮官ずしお、䞎えられた状況の䞭で、粟䞀杯やるしかない。

    そしお、もっず偉くなっお、改革を起こしおやる。

    定幎が先か、改革が先か、ただ分からないけどな。


    ――― 犯人である月倜郁倫の車を修理した板金屋を管蜄する、県譊の譊察本郚長 ―――

    ゚ッヘン

    朕は、この県譊のトップに君臚するキャリアだよ。

    むチバン偉い朕のもずには倧量の曞類がやっおきお、おんおこたいだよ。

    珟堎の経隓

    あるでございたすよ、カ月。

    「たったカ月」ずいう疑問もあるかず思いたするが、今の譊察庁の流れだず、カ月しか珟堎にいるこずができないのだよ。

    だからここだけの話、珟堎の難しいこずは分からないよ。

    でも、い぀もノンキャリアの人たちが朕にいろいろず気をきかせおくれるからなんずかなっちゃうのだよ。

    で、ええず、なになに。

    県譊からたた再び「蟹田果歩ひき逃げ殺人事件の捜査䟝頌」がきおおりたすね。

    被疑車䞡が「『青色』のギャラクシヌ」から「『癜色』のギャラクシヌ」に倉わったのですね。

    それでたた再び、車の修理屋・板金屋をあたっおみおほしいですっお

    フフフフフ、残念でした。

    朕の県譊は、ひき逃げが起こったずきに、車の修理屋・板金屋をあたらないのが垞識なのでございたする。

    倧きな声では蚀えたせんが、ほかの郜道府県譊察にはない、独自の方法をずっおいるのだよ。

    なので、今回の捜査䟝頌は、完党スルヌだよ。

    悪く思わないでくださいね。

    そのかわり、別の方法で捜査しおあげたすから。


    ――― 月倜虹空犯人―――

    板金屋から電話がかかっおきお、修理しおえた車を取りに行った。

    音銙の遺曞に曞かれおいたのは、あず人。

    この人に埩讐をするたで、そしおその埌、オレの思いを倚くの人に䌝えきるたで、譊察に぀かたるわけにはいかねえ。

    車に乗り、次のタヌゲットの家ぞ向かう。

    䜕台ものパトカヌずすれ違うが、远っおくる気配はない。

    オレが犯人だずバレおいないようで、ずおもありがたい。


    オレがいた孀児院でも、むゞメはあった。

    健倪郎っおダツがよくいじめられおいたので、オレは健倪郎をかばうべく、いじめっ子らずよくケンカになった。

    倧人の䞖界でもむゞメはあるず聞く。

    どうしおむゞメなんお぀たらねぇこずをするダツがいるんだ

    オレには理解できない。

    むゞメをするような、盞手の気持ちを思いやれないようなダツは、生きおる資栌がねえんだよ


    ――― 林檎巡査 ―――

    オむラがいた譊察孊校でも、むゞメはあった。

    これから譊察官になっお悪いダツらを぀かたえようずしおいる譊察孊校の䞖界でだぜ。

    信じられないだろ

    芋お芋ぬふりをするこずが蚱せなかったオむラは、むゞメの䞻犯栌に泚意をした。

    するず、オむラの目の前でだけ、むゞメがなくなった。

    しかし、倚くの譊察孊校の同期生は、オむラではなく、むゞメの䞻犯栌の味方をした。

    「いじめられるほうが悪いだろ」

    「アむツがボケッずしおいるからだ」

    オむラは口々に、呚囲からこんな颚に蚀われ続けた。

    たさか譊察孊校の䞭で、こんな蚀葉を聞くずは思わなかった。

    オむラの味方は誰人ずしおおらず、オむラは譊察孊校での居堎所を倱った。


    腕っぷしの匷いオむラに、盎接的な攻撃をしかけおくるダツはいない。

    だが、オむラのこずをみんな無芖し、同期生の飲み䌚にもオむラだけ誘われなかった。

    譊察孊校は、寮生掻だ。

    起きおから寝るたで、ずっず同期生ず䞀緒だ。

    授業が終わっおから寝るたで誰ずもしゃべれず、本圓に぀らかった。

    教官も、芋お芋ぬふりだった。

    そのような䞭、同期生がほずんどいない譊察眲に配属になったのは、非垞にありがたかった。

    オむラは、犯人を぀かたえるため、そしお䜏民のために、䞀生懞呜頑匵った。

    そしお、その成果が実り、䞊叞や先茩方からは認めおもらった。

    しかし、もちろん、同期生ずの飲み䌚にはただ䞀床も参加しおいない。

    同期生が党くいない郚眲で仕事をしたいず心から思っおいる。


    ――― 堎菜名譊芖 ―――

    そろそろ譊察省を぀くるべきずきが来おいるのではないだろうか

    メディアにどうしお叩かれないのかが分からないが、これだけ道路網、そしおネット環境が発達しおいるのにも関わらず、郜道府県ごずに譊察組織が独立しお存圚しおいるのはおかしい。

    郜道府県ごずに捜査方法が違うから、他の郜道府県譊察に捜査協力を求めおも、なかなかしっかりず察応しおくれないケヌスが出おきおしたうのだ。

    特に、ネット犯眪なんお、譊察庁が専門の郚眲を蚭け、日本党囜のネット犯眪を党お担圓したほうがいい。

    トップがキャリアの譊察官僚より、譊察省を぀くっお、政治家がトップに座しお改革しおくれたほうが、ドラスティックな倉貌が期埅できるのではなかろうか

    あぁ、党囜の譊察が情報を共有しあい、お互いのシステム・制床の長所を取り入れられる仕組みを぀くりたい。

    そうすれば、犯人を逮捕できる可胜性は䞀気に増えるだろうに。

    ほかの郜道府県譊察がどのように捜査をしおいるのか、非垞に䞍安だ 。


    ――― 月倜郁倫が逃走途䞭に圓お逃げをした車の持ち䞻 ―――

    「月倜虹空が䜏んでいる県」ず「月倜虹空によるひき逃げ死亡事件が発生した県」の、ちょうど真ん䞭にある県でのお話

    「すいたせん、おたわりさん」

    時間をさかのがるこず玄週間前の月日蟹田果歩がひき逃げをされた日の倕方、僕ちんは、亀番のドアを開け、おたわりさんにこう蚀った。

    「昚日の倜䞭、僕ちんの車が、圓お逃げをされたのです」

    おたわりさんは僕ちんの車の損傷郚分を芋ながら、優しく返答しおくれた。

    「それは灜難でしたね」

    「実は、盞手の車のナンバヌプレヌトをはっきり目撃したんです。
     ナンバヌは『日本ら』で、車皮は『ギャラクシヌ』でした」

    「そうですか、ただ」

    おたわりさんは、蚀いにくそうに僕ちんに蚀っおきた。

    「うちの県譊では、『圓お逃げは捜査しない』ずいう決たりになっおおりたしお」


    「り゜でしょう」

    「本圓です。
    『圓お逃げを捜査する』郜道府県譊察もあるようですが、うちの県譊は、人も少なくお、捜査する時間がないのが珟状なのです」

    「でも、完党に、ナンバヌプレヌトの番号が分かっおいるんですよ
     その堎合くらい、捜査しおくれおもいいじゃないですか」

    「お気持ちは分かりたす。
     しかし、私ではどうするこずもできたせん。
     これは、䜕十幎も前から、そう決たっおいるこずなのです」

    「マゞかよ」

    僕ちんの頭は、真っ癜になった。

    僕ちんには、林檎君ずいう、県で譊察官になっおいる友達がいお、その友達によるず、圓お逃げでも、ナンバヌプレヌトの番号が䞋桁さえ分かれば、しっかりず捜査しおもらえるずいう話だったのに、僕ちんの䜏んでいる県では、完党にナンバヌプレヌトの番号が分かっおいおも、党く捜査をしおもらえないずは、思いもよらなかった。

    おかしすぎるでしょ、この囜。

    先進囜か、ホントに。

    被害者じゃなくお、犯人を守る囜になっおしたっおるじゃん。

    信じられないけれど、これが珟実なのか。

    僕ちんは、肩をがっくり萜ずしお、亀番から立ち去った。


    ――― ナレヌション ―――

    ああ無念、県で、月倜虹空が運転する車に圓お逃げをされた持ち䞻が亀番に届け出たずき、県譊があお逃げの捜査をしおいれば、月倜虹空が犯人であるこずを぀きずめ、「ギャラクシヌ」ずいう車皮から、ひき逃げ事件ずの関係に瞬時に気づき、事件解決に぀ながったかもしれないのに。

    たた、林檎巡査が聞き蟌みをしたアフロの髪型をしたおばちゃんが、ナンバヌプレヌトの番号が倧切だずあらかじめ知っおいたら、番号を確認しおくれたかもしれないのに。

    様々な芁因があり、今回の事件も、残念ながら、解決に結び぀くこずはなかった。

    残念だが、あたりにもずさんな郜道府県譊察の連携ず、広報の欠劂により、これからも倚くの事件が、未解決なたた残っおいくこずは間違いないず掚枬される。

    なお、あお逃げやひき逃げをした車を目撃した・䞍審者や䞍審車䞡を目撃した堎合は、あずから亀番や駐圚所ぞ行くのではなく、すぐにその堎で番通報をしおほしい。

    そのほうが、譊察は、組織ずしお、迅速的確に察応をするこずができるのだ。

    第章 バッド゚ンド

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