
見えている世界が違う
保健室の先生から、「君は赤緑色弱」と先日の検査の結果を告げられた。正常な人とは違う見え方らしい。その瞬間、僕はこの世界のどこかに、自分だけが取り残されているような感覚を抱いた。
色覚異常。小学三年生。
僕には6としか見えないのに「正常」な人は64と言う数字が見えるらしい。
見えている世界が違うのだ。
僕には正常な人の見えている世界が見えないらしいのだ。僕には、その違いを確認する術がない。正常な人がどんな風景を見ているのか、確かめる方法なんてないのだ。
僕はこの宣告以来、この世の中にいる居心地の悪さと違和感を常に感じながら生きることになってしまった。何かが違う。そして、どうしようもない寂しさ。
高校一年の時、担任から「君は色弱だから理系は難しい、特に化学系はね。」と言われた。
ぼうふらの涙のように、静かに流れ落ちていった。僕は理系を諦め、文系に進むことにした。
この話のまわりには、見え方の違い、言葉にならない違和感、少年時代の記憶があります。
■ この流れで読む
・ぼうふらの涙
・「国語が恐怖だった少年の詩を、AIが歌う日」
・30年前の私への手紙 ー詩集「舞台装置」によせて