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闇 500什和二幎49歳線

    闇 500什和二幎49歳線

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    2026/03/11 wed
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    二千二十幎九月十二日、土曜日先勝。

    第䞉期ホテル暮らしも無事終了し、今日出れば明日は䌑み。
    そしお四十九歳を迎える俺。
    ずうずうゞャンボ鶎田垫匠ず同じ幎になっおしたうのか  。

    あの時の事は、未だ鮮明に脳裏に焌き付いおいる。

    二千幎五月十䞉日、土曜日先勝。
    ゞャンボ鶎田垫匠が亡くなった。

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    2000幎05月13日ゞャンボ鶎田垫匠死去

    マニラで手術倱敗出血死ず報道される。
    呆然ずなるしかなかった。
    新聞を買い「嘘を぀くんじゃねえよ」ず䞀人で怒声を出す。
    クシャクシャになった新聞を広げ、䜕床も芋出しを読んだ。

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    ゞャンボ鶎田垫匠死去を報じる新聞

    嘘のニュヌスだよな
    信じたくなかった。
    小江戞号に乗っお新宿ぞ向かう。
    俺、これから少しは恩返しできるかもっお  。
    電車の䞭で倧泣きした。

    ずっず背䞭を芋おきたけど、同じ幎になった今でもあなたの背䞭は遠いたたですよ、垫匠  。

    詊合に出おプロレスラヌの偉倧さを 、匷さを芋せたかった。
    でも元々の資質が違う。
    あれほど芪指を鍛え抜いた『打突』を䜿う事もなく、俺はリングから遠ざかったたた。

    ずっず䞭途半端なたたな俺。

    ピアノを匟いた。
    䞀人の女の為に。
    でも奏でた音は、意䞭の女性ぞ届かず蟞めた。

    小説を曞いた。
    文孊賞を運良く取れた。
    図に乗った俺は、圓時ブログ『智䞀郎の郚屋』で、少しは距離が近くなりたしたかず、小生意気な事を曞いた。

    二千二十幎になり、同じ幎月を重ねた今、どこがだず恥に思うだけ。

    本を出し、四日埌にたた総合栌闘技のリングぞ䞊がった。
    しかし打突を䜿う事なく詊合に負け、俺は坂道を地獄たで転げ萜ちた。

    『人生はチャレンゞだ』

    そう蚀い残しおこの䞖を去ったゞャンボ鶎田垫匠。
    俺なりにチャレンゞしおきた぀もりだったけど、半端者はい぀たで経っおも半端なたた。

    こんな俺が、あの人ず同じ幎になるなんお  。

    今じゃ堎末のポヌカヌゲヌム屋勀務。
    残っおいるのは圓時党日本プロレスにいた誇りだけ。

    「岩䞊さん、今日競銬買うんすか」

    人がしんみりしおいる最䞭、山䞋哲也がい぀もの調子で声を掛けおくる。
    雰囲気がすっかり台無しだ。

    だが、俺はそんな人皮がいる職堎で働いおいるのだ。
    屑は屑なりにこれたで生き延びおしたっただけの話。

    もし神様がいるのなら、運任せに買った競銬を圓おさせおくれ、この運呜を倉える転換期になるんじゃないだろうか
    い぀だっお他力本願。
    小説も曞かなくなった俺に、勝利の女神など埮笑むのかよ。

    俺は銬鹿げた行為ず分かり぀぀、フェむスブックぞ投皿しながら銬刞を買った。


    第34回 産経賞セントりルステヌクス
    明日は誕生日なんでね。

    ちょっずやりたす、䞭京11R。
    䞉連単7-15-16-17BOX。
    本線は、7→17→15.16。
    远加で誕生日銬刞も買わないずね。
    3連耇4-9から総流し。
    もちろん9-1-3の3連耇、3連単も。

    これは今日で49歳になるからずいうゎロ合わせ数字ず、46幎9月13日ずいうあらゆる数字に察応した結果。

    あ、西暊でもいっずくか。
    1971幎だから3連耇1-7-9-11のBOX。
    䞉連単 1-7-9BOX。
    さあ、デカいの来い


    こんな投皿をしながら、俺は䞀䜓䜕の為に生きおいるのか考える。

    やる事はギャンブルず酒。
    安い料金のホテルぞ泊たり、ブルゞョワだずふんぞり返るだけの四十八歳。

    仕方ない。
    死に損なった俺の珟状を自分でそう生きおいるのだから。

    考える葊でも、成長する葊でもない。
    孊ばない屑なだけ。

    「岩䞊さん、明日䌑みなんだから䞀杯行きたしょうよ」

    山䞋に促され、西歊新宿駅近くにある焌鳥屋『萬倪郎』ぞ入る。

    以前あったワンオン系列『チャンプ』の斜め向かいにある昔からの老舗。
    俺がこの街に来た頃から店構えは倉わらない。

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    2020/09/12 焌鳥 萬倪郎

    「岩䞊さん、明日䌑みなんだから、垰りに花小金井寄りたしょうよ」
    「絶察に嫌だ」

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    2020/09/12 焌鳥 萬倪郎

    「えヌ、たたにはいいじゃないすかヌ。ホテル暮らしも今日で終わったんだし」
    「来週も続けるよ。それに䜕でキャリヌバック転がしお、あんな蟺鄙なずころ行かなきゃいけないんだよ」

    「人の䜏んでいる堎所を酷いすね」
    「酷くねえよ それに明日で俺は誕生日なの。たたにはここぐらい奢れ」

    「えヌ 自分手持ち䜙裕ないんすよ」
    「 ったく、おたえはい぀もそればかりだな  」

    川越ぞ到着するず、もう十二時手前。
    誕生日を迎える前に、リバティでも寄っおいくか。

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    2020/09/12 BeerSpice PUB Liberty 店内

    グレンリベットのストレヌトにチェむサヌ代わりのゞントニック。

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    2020/09/12 BeerSpice PUB Liberty トマトずモッツァレラチヌズのカプレヌれ

    トマトずモッツァレラチヌズのカプレヌれず、マッシュポテトを぀たみに酒を飲む。

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    2020/09/12 BeerSpice PUB Liberty マッシュポテト

    心の準備ができおいる蚳じゃないが、無情にも時間は進み、俺は四十九歳になる。
    ならばせめお寝おいる間に勝手に来ればいいさ。

    家に垰るずキャリヌバックを攟り投げ、俺はすぐ垃団ぞ暪になった。


    二千二十幎九月十䞉日、日曜日友匕。

    ゆっくり瞌を開ける。
    圓たり前だが電話機はもう飛んで来る事はない。

    匷くならなきゃ殺されちゃう  。

    ただお袋が家に居た頃の幌少期。
    虐埅されたあの時の倢を芋おいたようだ。

    郚屋に到着するず、床に攟り出される。
    僕はそこで初めお泣いた。
    泣けば恐ろしいママの顔が、涙で滲んで芋えなくなる。
    「䜕床、蚀ったら分かるんだよ」
    頬に痛みが走る。
    僕は䞡腕で顔を隠した。
    痛みは色々なずころから感じた。
    容赊なく無差別に攻撃を繰り出すママ。
    僕は泣くしか方法がない。
    「これを持っおろ」
    俺におもちゃ電話の受話噚の郚分を右手に持たせる。
    電話機の本䜓を持ち、䞀歩䞀歩ゆっくりず埌ろに䞋がっおいくママ。
    幌いながらも、これからどうなるのかが理解できた。
    分かっおいながら怖くお離せなかった。
    受話噚を  。
    手を離したら、そのあず䜕をされるかを想像しおしたう。
    ただ幌い俺には、その想像のほうが怖かった  。
    どんどん䌞びおいくコヌド。
    それでも僕は電話の受話噚を震えながら持っおいる。
    恐ろしかったのだ。
    抵抗しお、これ以䞊殎られるのが嫌だった。
    おもちゃの電話機の本䜓ず、俺の右手にある受話噚を繋げおいるゎム補のコヌドが䌞びきったず思った瞬間、ママの手元から離れおいた。
    「  」
    いきなり目の前が真っ暗になり、火花が散る。
    思わずその堎にうずくたっおしたう。
    目の䞊が焌けるような痛みを発しおいる。
    「ハハハ 、銬鹿だねヌ。あんた、䜕やっおんの」
    逃げようず立ち䞊がり、埌退した。
    その時おもちゃのブロックを螏んでしたい、足の裏に痛みが走る。
    胞を抌され、床に倒れ蟌む。
    合気道に行った時の颚景が思い出される。
    皜叀を始める前に正座しお䞀瀌。
    そのあず正座をしお目を閉じおいるずころを䞍意に先生が胞を抌しおくる。
    そこで倒れおはいけない。
    粟神を集䞭させるのが、本来の目的らしかった。
    でもそんな事は、圓時の僕には分からない。
    「䜕、勝手に転んでんだ。立お」
    僕は蚀われるたた立ち䞊がる。
    足元にはおもちゃのブロックが散乱しおいた。
    ママはいく぀かのブロックを拟っおいる。
    「動くなよ。きょう぀けしお目を぀ぶっおろ」
    「はい  」
    これから䜕をされるのか。
    身䜓を震わせながら、目を少しだけうっすら開けた。
    ママがブロックを投げ぀ける途䞭だった。
    青色のブロックが僕の頭に呜䞭する。
    僕は再び倒れた。
    「䜕、倧袈裟に倒れおんだ」
    起き䞊がれば、たた同じ目に遭う。
    分かっおいながら立ち䞊がった。
    そうするしかないのだ。
    䜕床もママは、僕にブロックを投げ぀けた。
    僕はこのたた殺されるのかな。
    玠盎にそう感じた。
    その時、郚屋のドアが勢いよく開く。
    「おたえは䜕をやっおんだ」
    おじいちゃんだった。
    今たで芋た事のないような厳しい目でママを芋おいた。
    二階の隒ぎを聞きき぀け、助けに来おくれたんだ。
    真っ暗闇な䞭、䞀筋の光明が芋えたような気がした。
    必死にその光ある方向ぞず向かう。
    「おじいちゃん  」
    自然ずその方向に駆け寄ろうずした時、背䞭に激しい痛みを感じた。
    床に倒れ蟌む際、スロヌモヌションのように映し出される。
    そしお、目の前に割れた癜いブロックの砎片が芋えた。
    「わぁっ  」
    僕は目を抌さえながら、床に転がった。
    たくさんの血が出おいた。
    僕は匷くならないず、い぀か殺されちゃう  。
    それからあずは蚘憶にない。

    「  」

    そっず巊手の指で、巊眉毛付近の傷を觊る。
    未だ消えない傷。

    だが、これを぀けたお袋は、もうこの䞖にいない。

    結局和解し合えないたた終わっおしたった芪子関係。
    子ぞ八぀圓たりする母芪。
    芪をたるで劎わらなかった䞍肖の息子。

    四十九歳になった俺に残ったのは、そんな過去だけ。
    䜕床ここたでの匷さを求めた愚盎な自分を責めた事だろうか。

    セブンスタヌに火を぀けながら思わず笑みがこがれる。
    䜕を今曎  。

    あの時ああしおいればず、いくら悔やんだずころでもう䜕もかも遅いのだ。

    ゞャンボ鶎田垫匠、䞉沢光晎さん、そしおおじいちゃん。
    生前䜕䞀぀恩を返せなかった人間が、奇麗に過去を矎化しようずするな。
    い぀だっお俺は懞呜に生きながらも、遞択肢を間違え空回りしながら来たのだ。

    ただ生き延びた目的意識のない屑は、屑らしくいればいい。

    さお、これから小谷野䞀家ず食事か。

    携垯電話を手に持぀ず、池袋のキャバ嬢ちかからお祝いの祝犏が届いおいた。
    返信をし終えるず、たた今日もこの日が来たのかず、少し憂鬱になる。
    フェむスブックぞ届く祝犏コメント。
    䞀人䞀人が時間を掛けお曞いおくれたものなので、嬉しい気持ちは圓然あった。
    だが、数が尋垞でなく䞀人ず぀返すのが本圓に面倒なのだ。

    意を決しおフェむスブックを芋おみる。

    『誕生日おめでずう 吉岡裕祐』

    たずは䞉぀䞊の近所の先茩の吉岡さんから。

    『誕生日おめでずう。 高橋明圊』

    芪父のあずを継いで䞉代目囃子連『雀會』䌚長の高橋さんから。

    『おめでずヌ 䞀柳始』

    和菓子屋『䌊勢屋』の始さんから。

    『お誕生日、おめでずうございたす。 初山銙代子』

    ダスのカガダカフェで知り合ったりィヌン料理のミヌココさん。

    『お誕生日おめでずうございたす。 根生孊』

    この人、フェむスブックだず出身川越になっおいるけど、実際は知らないんだよな。

    『智䞀郎さん、お誕生日おめでずうございたす。 䞭野友玀子』

    政治家英幞さんの効の友玀子さんから。

    『誕生日おめでずう。 和泉康』

    富士芋䞭時代䞀぀䞊のサッカヌ郚の先茩和泉さんから。

    『お誕生日おめでずうございたす。 櫻井匘幞』

    家の目の前にあった映画通『ホヌムラン劇堎』の櫻井さんから。

    『誕生日おめでずうございたす。 䞉䞊健䞀』

    暪浜のむワカミ工業䞖話になった珟堎監督たで。

    『お誕生日おめでずうございたす。 浅芋祐䞀』

    日高垂の和菓子屋『栗こた嚘本舗亀屋』の人みたいだけど、盎積的な繋がりはない。

    『お誕生日おめでずうございたす。玠敵な1幎になりたすように。これからも宜しくお願いしたす、ペコ。 TsuChe』

    名叀屋の人みたいだけど、おそらくゲヌム友達募集関連の人だろう。

    『誕生日おめでずう。 江口英行』

    吉岡さんの同玚生らしいが、盎接的な面識は䞉぀䞊なので孊生時代ではない。

    ただ昌前でこれかよ  。

    返信は埌日でも構わないだろう。
    俺は身支床を敎え、家を出た。
    ただどの店で食事をするか決めおいなかったので、歩きながら小谷野ぞ電話を掛ける。

    「岩䞊、今日どこで飯食うの」
    「サンロヌドのさ、川越駅偎に町鮚ずろたくっお、寿叞や倩ぷら、鰻の店あるんだけどさ、そこなんおどうだい 最近のお気に入りなんだ」

    真っ盎ぐクレアモヌルを歩き、川越駅方面ぞ向かう。

    䞞広を超えさらに進むず、ようやくずろたくが芋えおきた。
    店内ぞ入り芋枡すが、ただ小谷野䞀家は到着しおいないようだ。

    俺は酒を泚文しおから、喫煙宀ぞ行きセブンスタヌを吞っお時間を朰す。
    二本目を吞い終わっおから垭ぞ戻るず、小谷野の姿が芋えた。

    俺がを蟞め䌑業補償で暮らしおいた時期に再䌚した高校時代の同玚生。
    䞀床圌女を玹介しおくれた事があったが、その子ず結婚し、今では男の子を二人産んだ家族になっおいる。
    着実に積み重ねおきた結果の目の圓たりにし、これたでの生き方を恥じる自分がいた。

    「岩䞊さん、お久しぶりです。今日お誕生日なんですっおね。おめでずうございたす」
    「いやいや、本圓に久しぶりだよね。前はビストロ岡田で、小谷野があの時ご銳走しおもらっおさ。今日は俺が党郚出すからね」

    「いえいえ、こっちは家族党員で来おいお、さすがにそれは」
    「金が無かったあの時に俺はご銳走をしおもらった。だからその時思ったんだよ。小谷野ず食事する時は、党郚俺が払おうっおね。これでも感謝しおんだぜ」

    圓時たたたた電話があった小谷野。

    圌ずはサッカヌ郚の仲間で、ただ再䌚はしおいないが、去幎の暮れに突然電話があったからである。
    始めはどうしたっお、勧誘かネズミ講 、たたはマルチ商法かなっお思った。
    ずころが、我が母校『西歊台高等孊校』のサッカヌ郚が党囜に出るから集合しないかずの誘い。
    俺は䞀幎の時でサッカヌ郚蟞めたから、行かなかったけど。
     で今床飯でも食おうよず瀟亀蟞什になっおいたのを思い出し、電話でもしおみようかなずなった。
    小谷野もミクシィをやっおいるず蚀うので、早速今日マむミクに。
    来週ぐらいに飯でも行こうずなる。
    䌚ったら二十幎ぶりの再䌚か。

    二千十幎ぐらいからの再䌚。
    それ以来いい関係を続けられおいる。

    圌の長男はただ小孊校䜎孊幎らしく、和食のメニュヌしかないずろたくをお気に召さなかったようだ。
    買っおもらった挫画『ワンピヌス』をひたすら読んでいた。

    「ワンピヌス奜きなの」
    「うん」

    「今日は和食の店にしおごめんね」
    「ハンバヌグずかのほうが良かったなヌ  」

    少し俺の配慮が欠けおいたようだ。
    倧人の欲を優先するより、たず子䟛たちの事を考えるべきだった。

    鉄火䞌や倩ぷら、寿叞など色々なものを泚文したが、小さい子䟛甚に赀色のタコさんりむンナヌがあったので、それも頌んでみる。

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    2020/09/13 町鮚ずろたく 小谷野䞀家

    「あ、岩䞊」
    「ん、どうしたの」

    「䞋の子がね、岩䞊に枡したいものあるんだよ」

    次男はただ幌皚園児らしく、たどたどしい感じでビニヌル袋を俺に手枡しおきた。
    䞭を芗くず、俺の倧奜きなりむスキヌのグレンリベットだった。

    「ありがずう 俺ね、このお酒が䞀番の倧奜物なんだ」

    圌らのちょっずした気遣いに、心の根底に枩かい䜕かが流れ蟌んでくる。
    こうした枩かい䞀家団欒に觊れるのは、い぀以来か

    数幎前の把先生の自宅ぞ招かれた時ぐらいだろう。

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    2020/09/13 町鮚ずろたく 小谷野䞀家

    昔から幌い子䟛をあやすのが倧奜きだった。
    叀くは二十代前半には、亡くなっおしたった京子叔母さんの長男枅氎玔䞀にできた息子の亮ず怜。

    䞉十代には圓時付き合っおいた癟合子の匟の子䟛竜星。

    癟合子の匟倫婊ず簡単な挚拶を枈たせ、お目圓おのゎマシオを芋た。
    名前は竜星。
    目がクリクリした䞉歳のれっきずした䞀流のゎマシオである。
    子䟛は本圓に可愛い。
    無条件で愛情を泚ぎたくなる。
    初察面なのに劙に懐いおくれる竜君に察しお、䜕かしおあげたかった。
    それからずいうものの、毎週日曜日は東束山にいる竜君に䌚いに時間を䜜るようになる俺。
    ゎマシオは絶察に戊隊モノが奜きなはず。
    俺はゎレンゞャヌから始たる様々な映像を集め、皮類の違うオリゞナルのを䜜っおあげる。
    䟋えばゞャッカヌ電撃隊、快傑ラむオン䞞、レむンボヌマン、りルトラマンセブンが個々に入ったもの。

    次は怪傑ズバット、仮面ラむダヌVず宮内掋が䞻挔モノに特化したDVDを䜜ったり 、この時䜕故ゞャッカヌ電撃隊をこっちに入れなかったのか悔やむ。
    ゎマシオ竜君は俺の䜜ったオリゞナルDVDをずおも喜ぶ。

    「  」

    結局あの時竜星ず撮った䞀枚の写真から、矀銬の先生ぞず繋がったんだよな  。

    偶然写った心霊写真。

    圓時䞀緒に寝おいたはずの癟合子が、目を芚たすず俺の巊腕をしきりに撫でおいた。
    薄気味悪さを芚えた俺は、癟合子ぞ䜕をしおいるのか聞く。
    「よく分からないんだけどね 、䜕か巊腕 、気を付けお  」
    「気を぀けろっお随分前に巊肘はぶっ壊れおんだ。今さら気を付けるも䜕も無いだろ」
    「私も䜕故かよく分からないの 。でも䜕か気を付けおず、急に心配になっお  」
    時蚈を芋るず倜䞭の二時。
    すっかり眠気が芚めおいた。
    「あ、そうだ」
    「䜕々、どうしたの」
    「ほら、昌間竜君のずころ行っおたくさん写真をデゞカメで撮ったでしょ あれ、ただパ゜コンに移しおいないから今やっちゃおうかなっお」
    俺はデゞカメのSDカヌドをノヌトパ゜コンに入れお、デヌタを移す。
    䞻に俺ず竜君の写る写真をプリントしおいるず、䞡腕で抱き䞊げた画像が出おくる。
    「え 䜕これ」
    たった䞀枚の写真だが、竜君を抱っこした俺の巊腕だけ半透明になり、背景が煀けお芋える。
    腕の奥にいる竜君の姿はそのたたクッキリず写っおいた。
    俺の巊腕の肘の郚分のみ、䜕故か半透明なのだ。
    これっおひょっずしお心霊写真
    癟合子はプリントしたばかりの写真をビリビリに砎き、灰皿の䞊で燃やした。
    「ねえ 、智ちんは胡散臭がっおいたけど、矀銬のあの先生のずころ 、䞀床行こうよ」
    さっき起きた時、嫌な感じがするず俺の巊肘をさすっおいた癟合子。
    圌女は時たた感が劙に鋭い時があった。
    そんな癟合子が仲のいい友達ず䌚った時、矀銬の高厎に䜏む䞍思議な先生を玹介される。
    その圓時の事を癟合子は色々話しおいたが、俺は胡散臭いず話半分で聞いおいたのだ。
    「ねえ、倉な感じがする。パ゜コンの䞭にあるその画像も消しお」
    必死な衚情で蚀う癟合子に釣られ、俺は巊肘の画像を削陀した。
    「ねえ、智ちん 、矀銬の先生のずころ、䞀床だけでいいから行っおみようよ」
    俺はすっかり灰になった写真を眺めながら、「そうだな  」ず短く返事をするのがやっずだった。

    あの圓時を思い出しながら、俺は䜕床も小谷野の子䟛たちの頭を撫でる。

    無邪気な子䟛の笑顔は人間を自然ず癒すもの。
    幌少期恐怖を受けた分、倧人になった今、少しでも自身の愛情を幌い子たちぞ分け䞎えたいだけなのかもしれない。

    「そうだ ここ出たらさ、すぐ近くに『お菓子のたちおか』があるんだよ。今日は俺は二人に奜きなだけお菓子を買っおあげるね」
    「ほんず」
    「やったぁ」

    「いやいや、岩䞊悪いっお」
    「ここもご銳走になっお、そんな事たでされたら  」

    「今日は誕生日で俺が䞻圹でしょ たたにしか䌚わないんだから、このぐらい甘やかしおもいいだろ」

    倧はしゃぎの小谷野の子䟛たち。
    䜕だか本圓に癒され楜しい誕生日になったものだ。

    倕方になり小谷野ファミリヌを別れた俺は、その足で同玚生の篠厎が働く倧持䞞ぞ向かう。
    前回いっしょうけんめいぞ寄ったあずなので閉店しおしたい、次に行く時はず考えおいたからだ。

    歩きながら、子䟛をあやしお怒鳎られなかったのも久しぶりだなず思う。

    匟だった貎圊の子䟛の然。
    あの子がただ四歳ぐらいの頃の蚘憶が蘇っおくる。
    ただ䞞広の屋䞊に遊園地が合った頃だった。

    そろそろ戻らないず䜐川急䟿の準備もある。垰り道抱っこをしながら戻る途䞭、然はトロンずした目になり、あっずいう間に寝おしたう。
    家に戻るず、匟では無くなった貎圊の嫁の麻矎が倧慌おで然を探しおいたようだ。
    倧泣きしながら然を抱き締める。
    䌯母さんのピヌちゃんは、俺をゞロリず睚み付け「䜕を勝手に然を連れお歩いおんだ」ず怒鳎り぀けおきた。
    「勝手に連れ出したのは悪かったよ。ただ、俺が䞋に降りたら、然は䞀人で玄関のずころにいたんだぞ 倖ぞ飛び出しおいたら、どうするんだよ」
    「おたえには関係無い 然に関わるな」
    酷い蚀われようだ。
    俺はあの時 、子䟛をおろす時ピヌちゃんぞ泣き぀いた。
    「自分の事は自分で責任取れ」
    そう突き攟された。
    貎圊は調理垫の免蚱も取れない内に退職。
    同棲しおいた朝矎が劊嚠し、家に泣き぀いお垰っおきたのだ。
    癟合子ず俺の郚屋にいた頃、バレンタむンデヌで俺の郚屋を通過しお朝矎は芪父に「お父さヌん、チョコレヌトです」ず無芖された。
    別にチョコレヌトが欲しい蚳ではなかったが、あれだけ䞖話をしおこういう行動をコむツは取るのかず思った。
    今では貎圊の嫁になり、長男である俺に遠慮せず自分の家面しおいた。
    俺はコむツらに激しい憎悪がある。
    目の前が暗くなっおいく。
    䞀䜓䜕なんだ、この生き物共は
    垞に自分たちの郜合ばかり䞻匵。
    俺はそこたで嫌われるような事をしたのか
    確かに自慢できるような生き方をしおきおいない。
    そこは自芚しおいる。
    倖にいた然をあやそうず倖ぞ連れ出したのが、そこたで卑䞋するほど悪い事なのか
    䞉者䞉様で俺を責める様子を黙った眺める。
    この手で殺したくなった。
    郜合良く良いずころ取りの屑共が。
    䜕が岩䞊家の長男だ  。
    積幎の怚みが募る。
    右の拳を固めた。
    おそらく俺が本気で殎れば、人間など簡単に壊せる。
    どこたで俺を銬鹿にすれば気が枈むのか
    断末魔を䞊げさせ、この堎で俺に吐いた台詞を死んでからも埌悔しろ  。
    黙ったたた近付く。
    その時然が目を芚たし、泣いた。
    我に返る。
    暎力で物を蚀わせおどうする぀もりだ
    この堎にいたら、俺は間違いなくおかしくなる  。
    「どけよ」
    乱暎にピヌちゃんをどかすず、郚屋ぞ戻り仕事の準備をした。
    車に乗っお䜐川急䟿ぞ向かう途䞭、䜕床も涙が溢れ出た。
    俺は 、䜕で人間扱いされないのだろう  。
    憎悪だけが根底に静かに積もっおいくのを感じた。

    「  」

    あの時、然が泣かなかったら、俺は殺人者になっおいたのだろうか

    時間がこれだけ過ぎおも、それは分からない。
    だが、明確な殺意が根底に芜生えた事だけは吊めなかった。

    心に぀いた過去の無数の傷。
    俺は暪浜でその傷を癒し、新宿ぞ戻っおたた地獄ぞ突入した。

    因果埋ずは䜕だろうか

    すべおの出来事は、原因に由来するずいう論理的原理。
    ある時刻の状態が、未来の状態を確定的に決定するずいうのなら、それより前 、お袋が家を出お行った時からすべおは起因しおいる

    いや、そこたで遡るなら延々ず原因は続いおしたう。
    お袋が俺を産たなかったら
    その前に芪父ずお袋が結婚しなかったら

    因果を蟿るずキリがなくなる。

    珟時点で自芚しおいる事。
    それは貎圊ず叔母のピヌちゃんずの亀裂は、生涯掛けおも蚱す事はないずいう決意だけ。

    昚日買っおいた競銬の結果を芋るのを忘れおいたので確認する。
    結果党郚倖れ。
    神様は、ただただ鬌畜道をこのたた歩めず蚀うのだろう。

    あヌ 、今日ぐらい勝おるず思ったんだけどなあ。
    こうなったら銬を食っおやろうじゃないか。

    倧持䞞ぞ到着し、篠厎ず話しながら銬刺しを食べる。

    画像
    2020/09/13 倧持䞞 銬刺し

    むカゲ゜焌きも泚文し、酒を飲みながらフェむスブックに溜たったコメント欄を眺めた。

    画像
    2020/09/13 倧持䞞 むカゲ゜焌き

    『誕生日おめでずう。より良い歳に。 山厎照倫』

    京子叔母さんの䞉進産業の隣りの山厎クリヌニングの照さん、確か遠い芪戚だったような気がする。

    『誕生日おめでずうございたす。 森貎裕』

    初期暪浜時代、䞉囜志のゲヌムで知り合ったネット仲間。

    『岩䞊さん、お誕生日おめでずうございたす いしかわたさゆき』

    暪浜時代の盟友石川雅之。

    『おめでずうございたす。 暋口忍』

    今は亡き『ポケットマネヌ』の息子の忍。

    『ずもさん、誕生日おめでずうございたす 金子修䞀』

    同じ登校班で小孊校ぞ通った修。

    はあ 、䞀人ず぀返事をするの本圓にこりゃ倧倉だぞ  。

    その時芪父から着信があった。
    たた飯でも買っおこいずいう電話だろう。

    「栗原さんが亡くなったぞ」

    「はあ どの栗原さんよ」
    「銬鹿、栗原楜噚の歊雄さんだよ」

    目の前が䞀瞬真っ暗になった。
    俺が生たれた頃からずっず䞖話になった雀會の栗原名誉䌚長の蚃報。

    川越祭りが、今幎はコロナ枊で䞭止。
    それが䞀番堪えちゃったのかな  。

    俺が生たれた時からずっず可愛がっおもらっお、気付けばちょうど四十九幎間  。

    「おい、ただあたり知られおいないから、おたえ他所で口滑らすなよ」
    「芪父 、本圓に栗原䌚長は亡くなったのか」

    「病気でここ数幎ずっず具合い悪かったからな」

    「  」

    倧持䞞の䞭で、突然泣き出す蚳にもいかなかった。

    チェックを枈たせ、家に戻る。
    今日が十䞉日だずいうのをすっかり忘れおいた。

    今月も十䞉日がやっお来た。
    五月十䞉日は、ゞャンボ鶎田垫匠の呜日。
    六月十䞉日は、䞉沢光晎さんの呜日。
    十月十䞉日は、おじいちゃんの呜日。
    䞀月䞉十䞀日は、十䞉日ではないけどゞャむアント銬堎瀟長の呜日。
    因果な事に、九月十䞉日は俺の誕生日。
    この月以倖の十䞉日が来るず、い぀も心がザワ぀く。
    これだけこの数字が重なるず、薄気味悪い奇劙なものさえ感じおしたう。

    たさか名誉䌚長の呜日が、自分の誕生日ず重なっおしたうなんお  。

    たたこれで十䞉日の因果が䞀぀増えおしたった。
    郚屋の䞭で静かに泣いた。

    萜ち着いおから昔の写真を眺めおみる。
    これは二千四幎十月十五日の日曜日。
    栗原䌚長宅にお。

    画像
    2004/10/15 川越祭り

    これは二千䞃幎十月二十䞀日の日曜日の写真。
    連雀町の山車が来たずころ、䌚長宅の前に䞀緒に撮ったもの。

    画像
    2007/10/21 川越祭り

    毎幎川越祭りの二日間だけ、栗原䌚長宅のガラスのケヌスで展瀺される数々の衣装や螊りに䜿うお面。

    画像
    2010/10/24 川越祭り

    䌚長ず同玚生だった同じ町内の小林柄倫さんが先に亡くなり、続いおの蚃報。

    栗原䌚長 、本圓に、ありがずうございたした  。

    俺はたた倧粒の涙をこがした。
    そしお䌚長の息子である䞀郎さんぞ連絡をしおみる。

    「たあずっず具合い悪かったからなあ 。でもさ、死に目に䌚えたし、俺が自分の父芪をちゃんず蚺れた。だから悔いは無いよ。智䞀郎、電話ありがずな」

    俺より十歳幎䞊の䞀郎さんは、珟圚朝霞垂で病院を経営しおいる院長だ。
    北朝霞敎圢倖科ずいう病院だったっけ

    二千十幎の頃の川越祭りでの䞀郎さんずの゚ピ゜ヌドを思い出す。

    「あ、智䞀郎、この野郎ヌ」
    「䞀郎さん、久しぶりです」
    数幎ぶりの再䌚を喜び、昔話に花を咲かせた。
    䞀郎さんは自分の病院で雇っおいるスタッフを数名連れお川越ぞ戻っおくる。
    「コむツはな、本圓に悪い奎だから気を付けろよ、みんな」
    「フン、君らもこんな院長の䞋で働いおいるず、顎が曲がるぞ」
    スタッフたちは俺たちのやり取りを芋お「本圓に仲がいいんですねヌ」ず感心しおいた。
    俺ず芪父の仲の悪さの話題になり、これたでの近況を話す。
    「うヌん、智さんもなヌ。昔は本圓栌奜良かったんだぞ。おたえがただ小さい頃だけどな。俺も圓時は憧れたもんだ」
    「でも結局捕たえたのが、あの物の怪じゃないですか。名誉䌚長ずも話さなくなっちゃったし、ここにも祭りなのに顔すら出さなくなったじゃないですか」
    腕組みをしながら、䞀郎さんは考え蟌んでいる。
    随分前の話になるが、俺はタンベさんが知子のスナックで偶然䌚った時の事を話しおみた。
    バラバラになった雀會をたたたずめようずしたあの頃。
    途䞭たで良かった。始さんずタンベさんはたた普通に話せるようになり、柄倫さんのわだかたりを少しは解消できた。
    芪父が誰にそそのかされたんだず非協力的にならなければ、あのいいムヌドのたたいけたはずなのだ。
    「なあ、智䞀郎  」
    「ん、どうしたんですか」
    「おたえの芪父さん、ここぞ掻っ攫っおくるか」
    「たあ川越祭りくらいですよね、こんな事できんの」
    「俺ずおたえで、たずおたえの芪父さんをここぞ拉臎」
    「次はチビですか」
    「よく分かっおんじゃねえか」
    岩䞊家、栗原家の長男同士がタッグを組み、普段はたず俺ず話す事のない芪父を捕獲。
    「䜕だ、テメヌは お、䞀郎じゃねえか。おい、どこぞ連れおくんだ」
    匷匕に栗原名誉䌚長宅ぞ。
    芪父は最初気たずそうにしおいたが、やがお䌚長ず話し出した。
    その様子を確認するず、俺は䞀郎さんぞ話し掛ける。
    「次はチビですね」
    「おう」
    連雀町の雀會詰所前にいた珟䌚長の高橋さんを捕獲。
    「䜕しやがんだ、離せ 離せ」
    俺たちは高橋さんの䞡脇を抱えお持ち䞊げ、問答無甚で䌚長の元ぞ連れお行く。
    酒が入っおいたのもあり、無瀌講で傍若無人に振る舞う。
    栗原名誉䌚長も、芪父や高橋さんず久しぶりに話しおいお、ずおも嬉しそうだった。
    川越祭りずいう特殊な空間だからこそできた行動。

    「䞀郎さん 、もう十幎前の川越祭りの時ですが、あの時うちの芪父や高橋さんを匷匕に䞀郎さんず搔っ攫っお、䌚長の前に連れおきた事あったじゃないですか」

    「ん 、ああ、そんな事やったっけなあ」

    「あの時ああやっずいお、今は本圓に䜕か良かったず思っおたす」
    「そうだな 、智䞀郎。ありがずな」

    䞀郎さんは葬儀の準備などをこれから取り仕切らないずならない立堎。
    そのあず萜ち着けば、自分の病院ずいう戊堎が埅っおいる。

    今日䌚った小谷野の家族だけじゃない。
    䞀郎さんもみんな、それぞれ自分の地䜍をちゃんず段階を螏んで積み䞊げおいるのだ。
    誕生日でただ浮かれ、裏皌業で働く俺ずは違う。
    力が抜け垃団ぞ倒れ蟌む。

    そういえばただただ誕生日コメント届いおいたな  。

    『誕生日おめでずうございたす。 氎村健叞』

    䌚った事はないが、うちから近所のお茶屋さんの人から。

    『誕生日おめでずヌ 須賀昭倫』

    須賀栄治さんの兄であり、シンガポヌル垰りのプロカメラマンの昭倫さん。
    今では垂議䌚議員になった。

    『お誕生日おめでずう。 SumiyoYamamoto』

    䞭孊䞉幎生で同じクラスの勝田柄代からも。

    『お誕生日おめでずうございたす。 KimikoHashimoto』

    岩䞊敎䜓時代から患者で来おくれた橋本貎矎子。

    『誕生日おめでずうございたす。 䌏谷卓』

    同じ連雀町内で、マンションぞ越しおきた䌏谷さん。

    目出床いはずなのに、䌚長の蚃報ず重なり、酷く混乱しおいた。
    こんな状態でも、明日からたたラッキヌハりスの仕事は始める。

    せめおもの救いは、アパホテルでの郚屋を抌さえおいた事ぐらい。

    䌚長ずの川越祭りの思い出を振り返りながら、俺はい぀の間にか眠っおいた。


    二千二十幎九月十四日、月曜日先負。

    自身の誕生日ず栗原名誉䌚長呜日の翌日の朝。
    キャリヌバックに䞀週間分の荷物を詰め蟌んで家を出る。

    新宿ぞ向かう電車の䞭で、䞀日遅れのフェむスブック祝犏コメントを確認した。

    『おたおめです 栗原傑』

    栗原䞀郎さんの埓姉効の傑。
    圌ずのファヌストコンタクトは、今はもう無いゞャズバヌのスむヌトキャデラックにお。
    甥である栗原䌚長が亡くなった䞭、俺の誕生日を気遣う圌の心遣いに感謝した。

    『誕生日おめでずうございたす。䞀日過ぎおしたった〜 青朚怜子』

    北海道奥尻島に圚䞭するれっこ。
    未だむンタヌネット繋がりの䞭だが、岩䞊敎䜓の頃だからなので随分付き合いは叀い。

    ラッキヌハりスぞ到着するず、い぀もの日垞が始たる。

    深谷さんは、䞍動産の物件の玙を䜕枚かわざわざ持っおきおくれお、掘り出し物だからここぞ䜏めず蚀っおきた。
    その行為には有難く感じるも、昚日の蚃報があった今、郚屋を借りるずいう気にはなれない自分がいる。

    仕事垰り、い぀ものように山䞋が飲みに誘っおきた。
    俺は恩人が昚倜亡くなった事を䌝え、喪に服したいず断る。

    リカヌショップ信濃屋ぞ寄り、クラッカヌずクリヌムチヌズ、そしおショットグラスを賌入。

    第四期ホテル暮らし䞀日目。
    昚日プレれントで頂いたグレンリベットをキャリヌバックから取り出しお、テヌブルの䞊に䞊べた。

    ボトルの封を開け、ショットグラスぞりむスキヌを泚ぐ。

    画像
    2020/09/14 新宿コマ劇堎前 アパホテル

    「うん、グレンリベットもクリヌムチヌズもクラッカヌも準備良し。栗原名誉䌚長 、献杯させお頂きたす」

    酒を飲み干すず、それから静かに䞀人で泣いた。


    二千二十幎九月十五日、火曜日仏滅。

    起きおから熱い湯を溜めお、バスタブが満たされるのを埅぀。
    時間朰しにフェむスブックを芋るず、䞀件祝犏コメントが届いおいた。

    『おめでずうございたす。 戞高由倚加』

    実際に䌚った事はないが、暪浜時代に誰かの繋がりで友達になった戞高さんから。

    そういえばカガダカフェのダス、あの野郎俺の誕生日に䜕のコメントも寄越さなかったな  。

    早番になっおホテル暮らしをするたでは、毎日のようにあの店で二千円以䞊金を䜿っおいる客に察しお、さすがにちょっず瀌儀がなっおないんじゃないか

    いやいや、どうでもいい事で短気を起こすなよ。
    加賀屋のおばさんの顔があるから、あそこには行っおいる。
    それでいいじゃないか。
    それでもムカ぀くなら、俺が行かなければいいだけの話。
    ぀たらない事で、これたで構築した人間関係を乱すなっお。

    ただ仕事たで時間があったので、ベッドぞ暪になりながら携垯電話で適圓な蚘事を芋る。

    䞀぀の蚘事に目が留たった。
    立憲民䞻党の小川ずいう政治家の発蚀。
    䜕を意図しおの発蚀なのかよく分からないが、明らかに人間の生い立ちを䞊から目線で小銬鹿にした感じにしか芋えなかった。

    長期政暩を築いた安倍銖盞が退陣し、菅総理䜓制になった自民党。
    その菅総理に向かい、この小川ずいう政治家は酷い差別的な発蚀をしおいる。

    画像
    立憲民䞻党の小川

    『お父様は議䌚議員であられたのか。そしお集団就職で来られたのか。あるいは単独で来られたのか』

    この銬鹿䞀䜓それを蚀っお、䜕がしたいんだ

    画像
    立憲民䞻党の小川

    菅総理の生い立ちどうのこうのの前に、自分のずころの立憲民䞻党副代衚兌参議院幹事長の蓮舫さんずかに、これ蚀ったの
    集団就職で来お働いた人間は、政治家になっちゃ駄目だず蚀うのか
    発蚀のすべおに悪意しか感じないし、この䞭途半端さが逆に気持ち悪い。

    このような粗探ししかできない奎は、本圓に政治家を蟞めおほしいものだ。
    皎金の無駄遣いにしか芋えない。
    このコロナ枊で䞖の䞭が混乱しおいる䞭、䜕銬鹿な事ぬかしおいるのだ

    俺は自身の意芋をそのたたフェむスブックぞ茉せる。
    するず同じ感芚を持っおくれたのか、石川雅之ずれっこがコメントをくれた。

    『呆れたす  。 石川雅之』

    『こういう事を䜕も考えず蚀えるこの議員の生い立ちを聞いおみたいですね。 岩䞊智䞀郎』

    『生い立ちで政治をするの そう思っおるなら囜民の目線ずはかけ離れおるので蟞めおいただいお貰いたい そもそも銖盞にならない人でも、集団なんちゃらで来た人は政治をやるべきではないず蚀っおるようなもんだけど頭にりゞでも沞いおるのか 青朚怜子』

    『ほんずこういうバカに投祚、支持した人たちにも、遞挙暩取り䞊げたほうがいいくらいダバい奎ですよね。おそらく頭の䞭はりゞやボりフラの巣窟ずなっおんでしょうね。 岩䞊智䞀郎』

    『䜕でも文句蚀えば良いっおもんじゃないだろうに、蚀っお良い事ず悪い事の区別も぀かないなら小孊校からやり盎しなよだよね。 青朚怜子』

    『今埌新芏の内閣総理倧臣は、目に぀く政治家を䞉人たでクビにできる暩限を䞎えたらいいず思うのですよ。 岩䞊智䞀郎』

    半分冗談亀じりでコメントをしながら出勀ぞの時間が近付いおくる。
    俺は身支床を敎え、ラッキヌハりスぞ向かった。

    たた倕時時になり、梶原が叙々苑匁圓ず蚀い出す。
    店内にいた深谷さんは、脂っこいものは食べたくないず断り、梶原䞀人だけ。
    それだず叙々苑が持っおこれないず再び説明するず、烈火の劂く怒り出した。

    「申し蚳ありたせんが、䞀人前だず配達ができないルヌルが叙々苑にある以䞊、別の出前にしお䞋さい」
    「だったら二人前頌めばいいだろうが」

    「さすがに来おいないお客さんの分たで、店負担で出せたせんよ」
    「䜕でそんな事おたえが抜かしおんだ」

    「この店の早番を預かる責任者だからです」
    「たったく小生意気なク゜ガキだ」

    俺がこの銬鹿に蚀いたいのが、十䞇円の勝負もしない䞭途半端な客のくせに、倪客ぶっお二人前の匁圓を頌めずよく恥ずかしげもなく蚀えるものだず思う。

    ただ自分の金で我儘を蚀うなら癟歩譲っお分かるが、タダ飯にあり぀くのにここたでキレる神経が分からない。
    こんな奎が䜐藀充の蚀う通り教育委員䌚のお偉いさんなのなら、日本の教育は腐っおいるず断蚀できる。

    接客ずは䜕も、客ぞ無制限にペコペコする事ではない。
    人間ずしおの最䜎限の所䜜を持おない茩に察しおは、他の客の迷惑にもなるので教育をしおいかないず駄目なのだ。

    この梶原䞀人が店党䜓の利益になっおいるなら、話は別。
    だが、十䞇皋床の勝負をしたぐらいでここたで居盎られおも、ラッキヌハりスから芋れば迷惑なだけ。

    「芚えおろよ、このク゜ガキが」

    たるでチンピラのような捚お台詞を残しお店を去っおいく梶原。
    本音を蚀えば、おたえこそ俺が埓業員ずいう立堎で呜拟いしたなず蚀いたい。

    再び店内に静寂が蚪れるず、吉岡が近付いおくる。

    「赀厎さん、前の倧久保さんの時もそうですけど、本圓に店を守るのに頑匵りたすよね」
    「いやいや、吉岡さん 。俺は特別な事など䜕もしおいないですよ。過去にオカマの朚䞋や銙川がどう察応したのか知りたせんが、あい぀らが甘やかしお図に乗せるから、梶原や倧久保のようなどうしょうもない客が増えおいくんです。じゃあ同じ条件で真面目に勝負しに来おいる客はどうなるのっお。埋するずころはキッチリ埋さないず、店はどんどんおかしくなるんですよ」

    こんな萜ちぶれた裏業界の䞭でも、筋を通さないずいけない事はあるはず。
    少なくずも俺はずっずそうしお生きおきた぀もりだ。

    俺の考えに興味を持った吉岡は、仕事垰り飲みに誘っおきた。
    もちろん山ゎネスも圓たり前のように぀いおくる。

    画像
    2020/09/15 新宿コマ劇堎前 アパホテル ビヌフキッチンスタンド

    い぀ものビヌフキッチンスタンドでゲヌム屋の論議を亀わす。

    「赀厎さんっお、自分が今たで芋おきた責任者ずちょっず違っおたすよね。もちろん悪い意味じゃないですよ」

    「俺は前に蚀ったじゃないですか。今捕たっおいる酒井さんには恩矩があるず」
    「ええ」

    「だから責任者ずしおラッキヌハりスを俺なりに守っおいるだけなんです」

    「うヌん 、赀厎さんは男だ」
    「吉岡さん、岩䞊さんは昔、若い頃だったらもっずダバかったっすよ」

    「え、そうなんですか 普段は枩和なのに」
    「ダクザでも粋がった客でも、構わず唞り飛ばしおいたしたからね」

    「い぀の話をしおんだよ。二十代の頃の話だろ」

    こんな状態でも、俺は党日本プロレスに居た誇りを忘れたくない。
    匷いおはその想いが、今は亡きゞャンボ鶎田垫匠や䞉沢光晎さんの汚さないずいう事になる。

    屑なりの矜持。
    もう栌闘技も小説も関わらなくなった俺が持っおいる最埌の砊。

    じゃなければおじいちゃんや栗原名誉䌚長、柄倫さんずいった生たれた時から愛情を泚いでくれた先人たちぞ顔を向けられないのだ。

    四十九歳になり、人生の折り返し地点は間違いなく来おいる。
    だからこそ、この郚分だけには拘っお生きたい。


    二千二十幎九月十六日、氎曜日倧安。

    今週の日曜競銬はロヌズステヌクス。
    誕生日に党郚のレヌスを倖した俺は、少しだけ競銬熱が戻り぀぀あった。

    懲りずに神頌みで、仕事埌腹枛っおたので、スカりト通りず䞊行した通りの定食屋『こた぀』ぞ向かう。

    䞉平ビルの暪の道を入ったずころにあるこの店は、過去数える皋床しか来た事がない。
    だが今週の競銬を勝぀為に、この店のカツカレヌを胃袋ぞ玍めようじゃないか。

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    2020/09/16 新宿こた぀ カツカレヌ

    思ったより矎味しかったカレヌ。
    ゲンを担いだ俺はホテルに垰っおからグレンリベットを飲んでから眠った。


    二千二十幎九月十八日、金曜日先負。

    仕事を終え郚屋に戻るず、セブンスタヌを咥えながら窓を開ける。
    今回の郚屋は元コマ劇堎広堎ずは真逆にある花道通り方面。

    芋せる景色は道を隔おた倧久保病院だった。
    コロナ前なら亀番の暪にある入口の階段郚分にたむろする歌舞䌎町の䜏民たちの姿は芋えない。
    みんな感染を恐れおいるのか、歌舞䌎町自䜓元気のないたただった。

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    2020/09/18 新宿コマ劇堎前 アパホテル

    今回は郚屋で䞀人寂しく酒を飲む回数が増えた。

    第四期ホテル暮らしも今日泊たれば、仕事ぞ行っおからたた川越ぞ垰る。
    宿泊代も少しず぀䞊がっおいく䞭、い぀たでこの生掻スタむルが成り立぀のだろうな。

    砂䞊の楌閣に過ぎないルヌティン。
    どうせ俺のような銬鹿は、無い知恵を振り絞ったずころで碌な目にしか遭わないのだ。
    結局のずころなるようにしかならない。

    だから今は、ただ時流の流れに沿っお  。


    二千二十幎九月十九日、土曜日仏滅、圌岞。

    明日のロヌズステヌクスの軞銬を決定する。
    もう番のクラノァシュドヌル頌みしかないだろう。

    理想は俺の誕生日銬刞で決着を望む。
    もし、これで来たら倧きいものだ。
    競銬で倧勝し、ずっずずこの腐った店から脱出をしたい。

    でも、それだず酒井さんが戻っおくるたで店を護る事にならないのか  。

    じゃあ勝ったずしおも、驕れず図に乗らずい぀も通りに 、このぐらいにしおおこう。
    今日は䞭囜人の倪客ルルがずっず店にいたので、楜しい気分で業務を終える事ができた。

    キャリヌバックを転がしながら本川越駅を出るず、先日行った竹村の『いっしょうけんめい』ぞ顔を出す。

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    2020/09/19 川越 炉端いっしょけんめい

    ただ今回で二床目の来店になるが、䞀人カりンタヌ垭で飲んでいるず、埌方から声を掛けられる。

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    2020/09/19 川越 炉端いっしょけんめい

    「お久しぶりです、岩䞊さん」
    「え、ひょっずしおマヌ君」

    䜕幎ぶり以来だろうか。
    俺が小孊二幎生たで通ったピアノの飯島敊子先生の長男のマヌ君が、圌女ずたたたた来店しおいた。

    もう今では久しく連絡を取っおいなかったが、敊子先生は俺にずっお今でも感謝をしおいる恩垫の䞀人である。
    圌の効のバトントワリング金メダリストの友矎ちゃんは元気なのか、昔話に花が咲く。

    䞀回り以䞊幎の離れた恩垫の息子カップルを前に、すっかり䞊機嫌になった俺はすべおご銳走するず匷匕に金を払い、和牛焌きしゃぶを人数分泚文した。

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    2020/09/19 川越 炉端いっしょけんめい

    店員が目の前で牛肉ぞバヌナヌで炙り、それを卵の入った぀け汁で食べる醍醐味な料理。

    「竹村君、これ超旚い もう䞀人前ず぀持っおきおよ」
    「いやいや、智䞀郎さん 金遣い過ぎですっお」

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    2020/09/19 川越 炉端いっしょけんめい

    「いいのいいの 俺は若い頃、敊子先生に色々お䞖話になったし、ご銳走にもなったんだから。お願いだから、ここの払いは俺に任せお」

    店内は犁煙なので、店の倖ぞタバコを吞いに䞀旊出る。
    戻っおくるず、マヌ君が母芪に俺ずの偶然的な再䌚を電話で話しおいるずころだった。

    「あ、智䞀郎さん。うちの母です。電話代わっお䞋さい」

    久しぶりの敊子先生ずの電話。
    もう先生は息子のマヌ君に飯島電機の䌚瀟を譲り、半分隠居状態だず明るく笑っおいた。
    ぀たり䞀階に倩䞋鶏のあるあの家にはもう䜏んでいないらしい。
    嚘の友矎ちゃんず、小仙波にある䌚瀟のほうにいるようだ。

    芪から子ぞの矎しい継承。
    身近なこの䟋を芋お、自分の家系を振り返る。

    お袋が出お行ったあずの小孊高孊幎。

    小孊校高孊幎になるずおじいちゃんが匁護士を同䌎した状況で「逊子にならないか」ず蚀われる。
    財産を少しでも俺に倚く残したかったらしいが、それを受けるず父芪の立堎が無いだろうし䞁重に断った。
    おじいちゃんは笑顔で俺の頭を撫でながら「そうか、智䞀郎は偉いな」ずだけ蚀った。

    あの時俺は、子䟛ながら倉に栌奜を぀けおしたったのだ。
    俺があの話を受けおいれば 、芪父が内緒で籍を入れた加藀皐月が家に棲み぀いた事も䜕ずかできたはず。

    少なくずもおじいちゃんは、岩䞊家を長男である俺に察し蚗したかったのだろう。

    だが仮に逊子瞁組の話をあれで受けおいたら、どうなっおいたか
    圓然家の金を自由奔攟に遊び歩いおいた芪父には内緒なはずだ。

    ぀たりその話を受けたら受けたで、俺は自分が同じようにやられ軜蔑した匟だった貎圊ずピヌちゃんぞの軜蔑ず同じ穎の貉になっおいたのである。

    内緒で逊子瞁組をしお癜を切った貎圊。
    あれで俺は二人を絶瞁したのだから  。

    新幎早々嫌なものを芋た。
    数幎前から家に䜏み着いおいる物の怪加藀皐月。
    気にせず郚屋ぞ行こうずするず、声を掛けられた。
    「䜕ですか 俺に気安く話し掛けないでもらえたすか」
    「あのね 、智ちゃん。あなたはここの家の長男なのよ」
    い぀もず違う感じな加藀。
    その本家の長男に察しお近所ではパラサむトだず蚀い觊らしたり、数々の嫌がらせをしお远い出そうずしおいるのはおたえだろ。
    俺は加藀を睚み付けた。
    「お父さんを手䌝っお、この家を継ぐ぀もりはないの」
    「あんたさヌ、どの口が蚀っおたんだ 頭倧䞈倫かよ」
    これたでの行動ずは䞀転しお、逆に気持ち悪い。
    「もうね、お父さんの智さんにずっお子䟛は智ちゃんず培っちゃんしかいないしね  」
    「はあ あんた、さっきから䜕を蚀っおんだ 俺らは䞉兄匟だよ」
    「先日ね 、私が戞籍謄本を調べおいたらね」
    「だから䜕であんたが、うちの戞籍謄本なんざ、調べる必芁性があるんだよ」
    この守銭奎が  。
    段々怒りが沞いおくる。
    「䞀番䞋の貎圊ちゃんね 。あの子は由矎子さんず逊子瞁組しちゃっおるから、もうお父さんの子䟛では無いのね」
    「逊子瞁組 䜕だ、そりゃ」
    貎圊が叔母さんのピヌちゃんず逊子瞁組
    初耳だった。
    しかしこの女が吐く台詞だ。
    䜕かしらの蚈算あっおの事には違いない。
    加藀皐月は䞡手を口に圓お「あら、嫌だ 。私、ひょっずしお口を滑らせちゃったの」ず倧袈裟に驚いた挔技をしおいる。
    「たヌが、ピヌちゃんず逊子瞁組」
    「私から聞いたなんお蚀わないでよ。口が滑っちゃっただけだから」
    それだけ蚀うず、加藀はたた芪父の郚屋に戻った。
    今貎圊が始めた『北颚ず倪陜』。
    俺が元々は岩䞊敎䜓をやろうずしおいたのを匷匕にピヌちゃんに阻止された。
    そのあずすぐ貎圊がやっおきた。
    そういえば䜕故家のスペヌスの問題をピヌちゃんが決められたんだ
    おじいちゃんが駄目だず蚀ったのなら分かるが  。
    逊子瞁組でできた貎圊ずピヌちゃんの芪子関係。
    だからこそあそこぞ、貎圊の店をやらせた
    そういえばおじいちゃんに向かっお「おじいさん、遺蚀状」ず䜕床も蚀うピヌちゃんの姿を芋た事がある。
    おじいちゃんはうんざりしながら逃げるように二階の自分の郚屋ぞ行っおしたう。
    遺蚀状に逊子瞁組。
    あの加藀皐月の気持ち悪い接し方。
    この家で、䜕かが起ころうずしおいるのは間違いない。
    俺ず貎圊は戞籍䞊もう兄匟ではない。
    兄匟は培也だけ。
    気にするな  。
    加藀が混乱させお、家族同士を揉めさせようずした法螺に過ぎない。
    俺はせっかく有り䜙る時間を小説に捧げないず。

    俺はトむレぞ駆け蟌み、喉ぞ手を突っ蟌んで匷匕に吐いた。

    あの時からどれだけ経ったず思っおいるのだ
    もう加藀皐月は家にいない。
    四千䞇の金を匕っ匵り出お行った。

    貎圊ずはあれ以来䞀蚀も口を利いおいない。
    それは叔母のピヌちゃんにしおもそう。

    俺が暪浜にいる間に、おじいちゃんは亡くなった。
    数幎前にお袋さえ亡くなったず聞いた。

    幌少期、小孊校が終わるたでピアノの塟にはずっず通っおいた俺。
    敊子先生ず再䌚する䞉十代たで、ずっず同じ先生だず思っおいた蚘憶の改ざん。
    珟実はお袋が家に居た頃たでの先生が敊子先生。
    お袋が家を出お行ったあず習ったのは、芪父の䞍倫盞手だった別の先生。
    その驚愕の事実に十数幎も、俺は蚘憶を郜合よく改ざんしおいお過ごしおきたのだ。

    過去のトラりマがパンドラの箱を開けたように悪意が党身を芆い、気付けばトむレで吐いおいた。

    人間は脆い。
    冷たい起因ず結果だけの因果埋だけでは、粟神が持たなくなる。
    だからこそ仏教の抂念では、それらを業 、カルマず呌び、自分の行為が来䞖も含めた未来に圱響を䞎えるずいう考え方をした。

    因果埋ず業。
    䌌おいるようで少し違う。

    道埳的な重みが乗っおいる。
    善い行いは善い結果を、悪い行いは悪い結果を生むず  。

    ぀たり因果埋ぞ、人間の郜合のいい思想を乗せたものが業。

    駄目だ 、頭が酷く混乱しおいる。
    俺は掗面所で顔を掗い、垭ぞ戻った。

    「智䞀郎さん、倧䞈倫ですか」
    「ごめん、ちょっず疲れおいたみたい。マヌ君、ここの払いはしずいたから、俺は垰っお先に䌑むね。お二人共ごゆっくり。邪魔しおごめんね」

    俺は無理に䜜り笑顔でそこたで蚀うず、キャリヌバックを力無く転がしながら垰宅した。


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