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『君と私とIF』第7話「なるか?進級」

    <職員室>

    ──3月末日──


    神谷かみや先生
    「中藤なかふじ勇人ゆうと。」


    「・・・」


    真剣に、真っ直ぐ、
    俺の目を見つめる、
    担任の神谷先生。


    (ゴクリ・・・)


    神谷先生
    「進級だ!」


    (マジ・・・か・・・)


    先生たち
    「進級おめでとう!」

    一斉に拍手し出す先生たち。


    (やっと・・・終わった・・・)


    ふっと気が抜けかける。

    が、

    鳴り止まない拍手に
    我に返る。

    勇人
    「あざっす! あざーっす!」


    拍手が止まると、

    神谷先生
    「本当にギリギリまで
     よく頑張ったな!」

    そう言って歩み寄り、

    「信じてはいたが、
     よくやり抜いた!」

    肩をポンポンされた。


    神谷スマイルが神々しい。


    (アニキィ・・・)


    つい、涙が滲む。


    勇人
    「先生〜!」

    思わず、
    ガバッと抱きついてしまった。

    神谷先生
    「ははは」

    「今はそれでいい!」

    「お疲れさん!」


    (ヤダ、何? このイケメン・・・)

    (一生ついて行きます・・・)


    そこへ、

    西園寺さいおんじ先生
    「本当に、よく頑張ったわよ?」

    西園寺先生も
    声をかけてくれる。

    「毎日、
     土みたいな顔色だったものね」

    そう言って、
    クスクス笑う西園寺先生。


    (ヤダ、かわいい・・・)

    (お婿さんにしてください・・・)


    早速、浮気してみる。


    荻野おぎの先生
    「本当によくやったぞ? 中藤!」

    英語の荻野先生だ。

    「ね? 先生方!」


    数学の田中先生。

    現文の串田先生。

    物理の野田先生。

    化学の斉藤先生。


    補講教師陣、勢揃いだ。


    田中先生
    「まぁ・・・頑張ったんじゃない?」

    串田先生
    「よくやりましたよ、彼」

    野田先生
    「しゃあなしの
     ギリギリでしたけどね」

    斉藤先生
    「本当に。
     しっかり復習するんだぞ」


    西園寺先生
    「まぁ、先生たちったら」

    苦笑いする西園寺先生。


    (この人たちまで・・・)


    普段マイペースな
    おっちゃん先生たちまで
    一応? 褒めてくれるとは。

    まぁ、確かに、
    理科2科目に関しては、
    かなり温情だったのは
    否定できない。


    (やり切ったんだな・・・、俺・・・)

    (ヤバいな・・・、
     おっちゃんの破壊力・・・)


    胸が詰まる。


    勇人
    「先生がた、
     本当にありがとうございました!」


    自然と頭が下がった。


    神谷先生
    「うむ。」

    「先生方も、
     こいつのためにご尽力いただいて、
     本当にありがとうございました。」


    そう言って、
    先生たちに深々と頭を下げる
    神谷先生。


    (ヤバい・・・、
     頑張れ、俺の涙腺・・・)


    復帰当初は
    どうなることかと思ったが、
    しみじみと実感が
    込み上げてくる。


    神谷先生
    「それでは、
     お忙しいところ、
     ありがとうございました。」

    頭を上げて言う神谷先生に倣い、
    俺も頭を上げる。

    西園寺先生
    「中藤くん、本当にお疲れ様。
     でも、これからよ?」

    「そうだぞ。」

    「無理だけはしないように。」

    西園寺先生を皮切りに、
    口々に声をかけ、
    それぞれのデスクに
    散ってゆく先生たち。


    神谷先生
    「さて、中藤。」

    勇人
    「はい?」

    振り向くと、
    真剣な顔で見つめられた。

    神谷先生
    「クラス復帰に先立って、
     言っておかなきゃ
     ならんことがある。」

    静かに語り出す先生。


    (・・・)


    無意識に姿勢を正す。


    神谷先生
    「今のクラスの状況についてだ。」

    「正直なところ・・・、
     あまり芳しくない。」


    ふと一瞬だけ、
    視線が逸れて戻る。


    「特に誰かが喧嘩をしてるとか、
     そういったことじゃないんだがな。」

    「新学期が始まった途端、
     改善しているとは考えにくい。」


    その両目に、
    少し疲れの色が
    見えた気がした。


    「何かあったら、
     必ず相談に来い。」

    「どんな些細なことでもいい。」

    「絶対に1人で抱え込むな。」

    「解決できるかは分からんが、
     必ず力になる。」

    「分かったな?」


    (何か物々しいな・・・)


    勇人
    「・・・はい!」


    (まぁ、
     それだけ心配して
     くれてるってことか)


    神谷先生
    「うむ。」

    「今日はここまでだ。」

    「春休みも残り1週間、
     少し羽を伸ばしてこい!」


    穏やかな笑顔だ。


    勇人
    「はい!
     ありがとうございました!」

    「失礼します」

    そう一礼し、
    職員室を後にした。

    _____________________
    <1階・職員室前廊下>

    (くぅ〜〜〜!)

    (終わったあああああ!!!)


    思わず叫び出しそうになるのを抑え、
    無言でガッツポーズ!


    (・・・っと)

    (母さんにLINEYライニーメッセしないと)

    (小林にも送っとくか)


    送信内容を考えながら
    廊下を進む。


    今日で3月も終わり。


    (明日だったら
     エイプリルフールの
     ネタにできたかな)


    ちょっと残念な気もするが、
    しょうがない。


    (しかし、
     今日もいい天気だな)

    (今年の春は、
     ずっと天気続きだわ)


    たまに雨の日も
    あった気はするが。


    (これはアレか?)

    (俺の進級を
     祝福してくれてるに違いない!)


    テキトーなことを考えてみる。


    今月の頭に復帰して以降、
    補講や課題の山々。

    そして、
    昨日、今日と、
    2日間に渡っての
    進級テスト。


    (感無量だな・・・)


    先生たちの協力には
    感謝しかない。


    (そして、
     アレのお陰だな・・・)


    平方ひらかたさんと出会った、
    欅のベンチ。


    もし、
    あの時間がなかったら、
    乗り越えられた自信がない。


    (お礼、言いたいな)


    時計を見る。


    (昼休みまで、
     あと30分か)

    (寄り道すっか)

    (そこでメッセ送ればいいしな)


    そうと決まれば
    善は急げだ。

    会えなかったら、
    それはそれで後日、
    改めて言えばいいだけだし。


    開放感からか、
    足取り軽く
    いつものベンチへ向かった。

    _____________________
    ( 第8話「今度は、教室で」へ )

    ※初めての方は
    ▶︎ 第1話「はじまりの刻」  
    からお読みください。

    ▶︎ 「登場人物紹介」へ
    ※「この人、誰だっけ?」の迷子防止用です。

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    _____________________

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    #創作大賞2026 #エンタメ原作部門
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    「もしも、あの時」 誰しもが一度は考えた事があるのでは。 実体験から生まれた、 架空の高校が舞台の群像劇。 そんな"IF"の物語。 ——その先を、覗いてみませんか? ____________ 本編定期更新:火・金20時 (その他、不定期で記事を投稿しています。)

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