
『君と私とIF』第30話「決壊」
<3ーC教室>
教室の爆笑の渦はまだ収まらない。
桜澤
「待ちやがれ!
中藤!」
勇人
「ヤなこった!」
クラスメイトの人集りに
阻まれる桜澤。
(ふぅ〜)
(やっと解放されたぜ・・・)
一息つく。
(しかし、
まさかあそこまでウケるとは)
(あ〜笑った笑った)
久々の大ヒットだ。
何か、
思った以上の事態に
なった気がするけど。
(まぁ気のせいだな!)
(まさか、
あのゴリメイドを
スルーする訳には行くまい!)
桜澤の方を見ると、
男子も女子も集まってきて、
からかっては笑ってる。
(顔真っ赤だな、あいつ)
(意外とノリいいじゃん)
ついニヤけてしまう。
(そう言えば、
さっき何か「ゴン!」とか
聞こえた気がするな)
音がした方に目を向ける。
と?
(あれ?)
葵が自分の机に突っ伏している?
(何か・・・?)
(プルプルしてね?)
顔を両手で覆って、
突っ伏したまま
肩を振るわせている。
(ははぁ〜ん?)
(今日の俺の笑いセンサーは、
感度抜群だな)
賑いをそっと離れ、
スススと近寄る。
(耳まで真っ赤じゃねーかこれ)
(確か、前にも・・・)
(葵も、こんなことあるんだな)
つい、イタズラ心が騒ぐ。
そっと耳元に近寄り、
小声でボソッと、
勇人
「いらっしゃいませ、ご主人様♡」
次の瞬間。
葵
「ぷーっ! あはははははははははははは!」
葵の笑い声が、
教室全体に響き渡った。
「あはははははははははは・・・、
ふぅっ・・・ふぅっ・・・、
あはははははははははははははははは・・・」
止まらない笑い声。
(やべっ?!)
教卓の周囲で、
小林と桜澤を囲んでいた
クラスメイトたちも、
異変に気づき、
一斉に視線を向ける。
葵
「あははははははははははは!
・・・はぁっ・・・はぁっ・・・、
あはははははははははははははは・・・」
「だめ・・・はぁっ・・・、
止まらない・・・はぁっ・・・、
あはっ・・・あははははははははははは・・・」
クラスメイトたちがざわつく。
「平方さんが・・・?!」
「笑ってる・・・?!」
「嘘だろ・・・?」
「平方さんが笑ってるとこ・・・、
初めて見た・・・」
葵
「あはははははははははは・・・」
(これ・・・ヤバいヤツ・・・?)
(ここまでとは・・・)
(流石に焦る・・・)
(どうすんだこれ?)
焦る心と裏腹に、
止まらない葵の笑い声。
陽葵
「ちょっと・・・」
「あんた、
いったい何したのよ?」
いつの間にか
背後に来ていた陽葵。
勇人
「いや・・・、
何か顔押さえてプルプルしてたから、
ちょっと一言・・・」
陽葵
「で、
トドメ刺した、と」
勇人
「・・・はい」
陽葵
「あんたねぇ・・・」
呆れ顔で苦笑いし、
「ほら、葵。
大丈夫?」
尚も止まらない
葵の背中をさすって
介抱する陽葵。
「はぁ〜い、
ゆっくり息吐いてぇ〜」
耳まで真っ赤な顔で、
両目に涙を溜めながら、
息も絶え絶えに、
ヒィヒィ言ってる葵。
「笑いすぎて、
過呼吸になっちゃってんじゃん」
「はぁ〜い、
吸ったらゆ〜っくり吐いてぇ〜
空っぽになるまでぇ〜」
ニヤけながら、
半ば呆れ顔の陽葵。
「ったく。
この子はあたしが見とくから、
中っちは片付けしといで」
勇人
「はい・・・、
お願いします・・・」
大原
「西川さん、
過呼吸なら何か袋いる?」
陽葵
「あ〜、
それ古い知識だよ」
「今はゆっくり息を
吐き切らせるのが主流なんだって」
「袋使うと、
窒息の可能性とか、
下手したら心臓止まることも
あるらしいよ」
大原
「へぇ〜、
そうんなんだ」
陽葵
「そそ」
陽葵の介抱のお陰か、
少しずつ落ち着く葵。
陽葵
「七海〜!
その二人のメイク、
落としてやってくれる〜?」
「道具そこにあるし〜!」
七海
「おっけー、陽葵!」
それを受けて、
真琴
「それじゃあ、みんな。
今日はここまでにして、
後片付け始めましょう」
一斉に返事をする
クラスメイトたち。
「は〜い」
「おーし!
とっとと片付けようぜ」
「いや〜、
今日は笑ったわ〜」
(いや・・・、
まさかあそこまで
クリティカルヒットするとは・・・)
(後で謝ろう・・・)
「平方さん、大丈夫かな?」
「落ち着いて
来てるみたいだしね。」
「でもまさか、
なぁ・・・?」
「ホント、
平方さんの笑うとこ
見れるとは・・・」
ガヤガヤと、
後片付けは進む。
( 次回、第31話「帰り道」へ )
※初めての方は
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からお読みください。
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※「この人、誰だっけ?」の迷子防止用です。
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