価値観の受容、シェアハウスでの温かさ【自他の尊重】:升目物語
~ まえがき ~
本文の文字数:約1,600文字
読了の目安時間:3分半
これは、実話をもとに綴る幻想小説です。
文章はAIではなく、私が執筆しています。
全ての画像の著作権者は、絵筆描月です。
画像は、著作者の描画、それを元にしたAI生成画像 ( Gemini )、およびAdobeStock画像を組み合わせ、加筆・修正・編集を行ったものです。
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【 月 と 盾狼 】:002
美巴は ‘ 俯無の森 ’ から自宅前に帰りついた。
陽は落ちて、玄関ドアには鍵がかかっている。美巴は呼び鈴を鳴らした。
表札には『咲藤』とある。
玄関の上には木製の看板が掲げられていて『Share House 藤ノ升目家』と彫刻されている。美巴はここの館主だそうな。
玄関ドアを開けたのは美巴の次男、小3の慶多である。母の帰宅を想像し、期待があふれでたのだろう。満面の笑みを見せてくれた。
しかし、笑顔は一瞬で消失。慶多はフリーズしてしまった。もともと大きな目をさらに見開き、口をポッカーンと開けた状態で・・・。
まぁ、仕方あるまい・・・。母の後ろに控える2つの存在は、言葉なくして ‘ わけあり ’ を物語る異様な者どもなのだから。
1つは大きな白い狼の “ 伊盾 ”。つまり私だ。
もう1つは私が背負った者。弱りきった状態の絵描き、“ 描月 ” である。
美巴は申し訳なさそうに微笑しながら言った。
「慶多、ただいま・・・。え~っと~、
夕食を2人分、追加してもらえるかな?」
この言葉に慶多のフリーズは解け、同時に好奇心がパニックを塗りかえた。
「とぉ ———— ちゃぁ ———— んッ!!
美巴が帰ってきたよ —————— ッ!!」
慶多の大声に、美巴の夫の志柱と、長男で中2の魁仁も玄関に駆けつけた。
彼らも一瞬フリーズはしたが、すぐに迎え入れる言葉をくれた。
「!? —— おかえり!ちょうど今からメシ。
2人分の追加も大丈夫だ、一緒に食おう!」
志柱と魁仁の笑顔は、異様な者どもへの驚きや戸惑いよりも、美巴が帰宅したことの安堵と嬉しさが勝ること伝えていた。
私と描月も同じ食卓で温かな夕食をいただいた。咲藤家4人とのやわらかな時間が流れる。団らんのなかで、美巴への疑問も溶けていく。
美巴が家族に見せた ‘ 申し訳なさそうな微笑 ’ の理由は、私と描月を連れてきたことだけではなかった。
美巴は私と描月がここにきた経緯と、咲藤家にある ‘ わけあり ’ の概要もサラリと共有してくれた。不思議と語りあえる空気があった。
今日、陽の高い時刻のこと。
咲藤家4人は、激しい口論になってしまったという。そのため美巴は家を飛びだし、絶望感のなかで ‘ 俯無の森 ’ をさまよっていたのだ。
この事態の根源は、美巴が受けた ‘ 一方的な理不尽 ’ である。それは、大きな圧力だった。美巴は心身のバランスを保てず崩れていった。
これにより、咲藤家の笑顔も大きく削がれ、日々の平穏も崩れていたのだ。
美巴は目を伏せ、静かに吐露した。
「体裁を巧妙に固めきった横暴、今でもそう感じずにはいられない。心に空けられた穴は消えはしない。ソレを受けいれるしかない」
美巴が ‘ 俯無の森 ’ で遭遇した描月を見捨てられなかったのは、“ 描月に自分を見たから ” に他ならない。美巴は自分を救いたかったのだ。
美巴は解っていた。
描月の胸には大きな漆黒の穴が空いていて、そのなかに ‘ 憎悪 ’ が存在していることも、生きることをやめたいほどに苦しんでいることも、けっして ‘ 死にたいわけではない ’ ことも。
理不尽も不条理も、理不尽が正当化されるという不条理も、家族であれ価値観の違いから険悪になることも、当たり前に起こる実態がある。
美巴は、理解や共感よりも “ 自分の存在がゆるされる居所 ” を望み、長男の魁仁と次男の慶多でさえ、各自の ‘ わけあり ’ を抱えている。
描月は、秀逸であることよりも偏見せず裏切らない “ 心実の者 ” を望み、私は、“ 人の心を震わせ、笑顔を引き出す ” ことをともに目指す。
この食卓を囲んでいる6人ですら、各自の状況も望みも目指すことも、多様なのだ。この6人が理解や共感をしあうことさえ容易ではない。
咲藤家は『藤ノ升目家』の屋根の下で、“ 理解や共感ができなくても、それは悪いことではない ” と受け容れあう。
“ 価値観の受容 ” のための【自他の尊重】を大切するからである。
美巴は笑いながら言った。
「館主はワタシの自称。
実のところは文字通り、旦那さまが柱だよ」
志柱も笑いながら答えた。
「はい、俺のカードありき、ですな・・・」
食卓は笑いで包まれていた。
この夜から、私と描月も『藤ノ升目家』で暮らすことになったのである。
互いの違いは否定せずに認め、自分を護る選択もする。私と描月は感じていた。ここには我々にとっても “ 自心の升目 ” があることを。

——— そして、この翌日、
さっそく私は美巴からの初指令を受けるのだった。『note』デビューの前に「引用の自学」と「執筆練習」を開始せよ!——— と・・・。
我々の冒険物語は、ここから始まった。

【引用の自学】シリーズ目次

【引用の自学】シリーズ目次
美巴からの初指令により実施した自学記録
🔽⭐オススメ:物語調で総集編的な記事
【 月 と 盾狼 】シリーズ目次

1話1,700文字程度の読み切りシリーズ
前の話:001
次の話:003

~ あとがき ~
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読者さまの “ 貴重なお時間 ” をいただきました。私の小説を最後までお読みくださいまして、誠にありがとうございました。

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