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『キャンパスを通しお圌を想う』#7 繋がる想い

    第䞃話 繋がる想い

     あの日、匷く心に誓っおから、叶芜は䞀匥の絵を描き続けおいた。
     実はあの埌、二人で話をしおいる所を偶然通りかかった笹川先生に芋られおしたい、二人ずも怒られおしたった。
     笹川先生が「俺ずっず埅っおいたんだぞ」ず頭をかきながら怒る姿に、互いに思わず笑みを挏らした。
     それでも笹川先生は、䞀匥の返事に安堵しおいた。そしお、話の流れで叶芜自身が描きたいこずを芋぀けたこずを話すず「久遠も芋぀けたんだな、良かったな」ず穏やかな笑顔だった。
     心配しおくれお、芋守っおくれる存圚がいる。
     そう思うず、心の奥が枩かくなった。そしおその思いを無駄にしたくないず思った。
     叶芜は、矎術郚では違う絵を描きながら、郚員がいない時に䞀匥を描いおいた。
     本来なら郚掻䞭に描けばいいのだが、郚員達に倉に受け取られたくなかったし、䞀匥に迷惑をかけたくなかった。
     それに䞀匥が日本にいる時間は思いのほか短い。
     邪魔されずに絵ず向き合いたかった。
     そう思うず、䞀匥以倖の絵を描くずきも躊躇するこずはなくなっおいた。
     他のこずは党く気にならない。
     目の前のこずに没頭するこずができおいた。
     圌がキャンバスに向かう姿をい぀も描いおいるが、叶芜の胞の奥で䜕かがはたるような䞍思議な感芚があった。たるで、なくしおいたパズルのピヌスが芋぀かったみたいだった。
     䞀匥もたた、自分の絵に集䞭しおいる。
      互いに蚀葉を亀わすこずは少ない。
     それでも、その静かな時間が心地良かった。
     圌ず䞀緒にいお、絵に向かう。
     その時間の共有が愛おしい。
     ただ、絵に没入する二人は時間を忘れるこずが倚々あり、「䞋校時間を過ぎおいる」ず芋回りの先生に泚意されたこずがあった。
     その時は、やっおしたったず埌悔したが、次の日も同じこずを繰り返した。
     そのせいか、心配した笹川先生が、それ以降垰りの時に声を掛けおくれるようになった。
     時々、絵のアドバむスもしおくれる。
     それを聞くず、自分にはない䞖界が広がった気がした。
    「おヌい、お前らいい加枛にしお垰れ」
     笹川先生の声に叶芜ははっずした。
     時蚈を芋るず、もう19時になろうずしおいた。
     叶芜は手を止め、スケッチブックを芋るず、䞀匥の姿が自分の思うように描けおいた。
     そのこずが嬉しくおスケッチブックを抱きしめおいた。
    「久遠、絵できたのか芋せおみろ」
    「あ、はい」
     叶芜は絵を枡すず、笹川先生は顎に手を添え、考え蟌むように芖線を萜ずした。
     今日描いたペヌゞだけでなく、前のペヌゞをめくりながら、小さく頷いた。
    「久遠、お前この絵に色を぀けおみたら」
    「色  ですか」
     䞀匥の絵はスケッチブックず鉛筆で描いおいたので、叶芜は少し銖をかしげた。
    「  お前の絵の魅力は、色圩センスがあるこずだ」
    「色圩センスですか」
     自分ではあたりピンずこなかった。
     そのこずに気づいた笹川先生は、苊笑いをした。
    「お前が感じおいる感情が、色ずなっお人を惹き぀ける。それがお前の歊噚だ。せっかくここたで描いおいるんだ。次はこの絵に色を぀けおみろ。そのほうがお前らしい」
     普段の飄々ずした雰囲気ずは違い、絵を芋る時の笹川先生は真剣だった。
     ふず芖線を向けるず、䞀匥も穏やかな衚情で頷いおいた。
    「  はい。分かりたした。色を぀けおみたす」
    「おヌ、そうしろ。そのほうがいい」
     笹川先生は爜やかに笑った。
     その笑顔を芋お、肩の力が抜けた気がした。
    「ずころで埡圱の方はどうだ」
    「倉わりないですね」
    「そうか、お前はそれがいいな」
     話題が䞀匥に移るが、圌は淡々ず答えおいた。
     その答えに笹川先生は小さく息を吐いた。
    「  二人ずも垰れそうか」
    『はい』
     返事が揃っただけなのに叶芜は、嬉しくおたたらなかった。 
     頬を緩めながら、画材を片付けおカバンを肩にかける。
    「ならいい。埡圱、遅いから今日も久遠を送っおやれよ」
    「分かっおいたす」
     笹川先生は満足そうに頷くず、ひらひらず手を振っお去っおいった。
    「じゃ、垰ろうか」
    「うん」
     郚宀の電気を消しおドアを閉めるず、倧切な時間が終わっおしたったようで少しだけ寂しかった。
    「  叶芜さん、行こう」
    「あ  うん」
     優しく声をかける䞀匥に叶芜ははっず我に返った。
     足早に圌の隣に行き、䞊んで歩く。
     倜も遅いので、廊䞋を歩いおも誰もいない。
     互いに話をするこずは少ないけど、この静かな時間は心がほどけおいくようだった。
     倖に出るず真っ暗になっおいお、あっずいう間に時間が過ぎおいたこずに気づく。
     ふず空を芋䞊げるず、そこには星が茝いおいた。
     今たで郚掻で遅くなるこずはあたりなかったから、最近遅くなっお空を芋䞊げるず新鮮な気持ちになる。
    「ずころで、叶芜さん。明日っお䜕か予定ある」
    「明日」
     叶芜は䜙韻に浞っおいるず䞀匥から話しかけられたので、少し驚きながら聞き返した。
    「土曜だから䜕もないよ」
    「そう。  俺、明日の午埌から郚宀に行くけど、叶芜さんも来る」
    「行く明日の午埌ね。分かった」
     遠慮がちに聞いおきた䞀匥に、叶芜は思わず前のめりで返事をした。
     即答しおしたったこずに気づき、途端に頬が熱くなる。
     叶芜は髪に觊れながら、照れ隠しのように小さく笑った。
     叶芜の様子を芋た䞀匥は、目を瞬かせおいたが、すぐに優しく目を现めた。
     最近、二人でいる時は䞀匥がこの衚情になるこずが倚い。
     い぀もの無衚情な圌に慣れおいるから、急にこの衚情になるず、心臓が萜ち着かずに、頬の熱が増しおいく。
    「  あ、ここで倧䞈倫。い぀も送っおくれおありがずう」
     家が芋えおきたので、少し挙動䞍審になりながらも、はにかむように笑った。
    「うん、分かった。  じゃ、たた明日ね」
    「うん、たた明日」
     叶芜が手を振るず、䞀匥も手を振り返しおくれた。その䜕気ない仕草が嬉しかった。
     長身の圌の背䞭が芋えなくなるたで芋送る。
     この時間が、たたらなく愛おしかった。
     名残惜しさを胞に、叶芜は家ぞ入った。
     明日たた䞀匥ず䌚える。
     そう思うだけで、胞が少し高鳎っおいた。

    #創䜜倧賞2026
    #恋愛小説郚門

    あずがき

    ここたで『キャンバスを通しお圌を想う』を読んでくださり、本圓にありがずうございたす。

    7話では、叶芜が䞀匥を描き続ける䞭で、自分の描きたいものず向き合う姿を曞きたした。
    蚀葉を亀わすこずは少なくおも、同じ空間で絵に向かう時間は二人にずっお倧切なものになっおいたす。

    たた、笹川先生からのアドバむスは、叶芜が自分らしさを芋぀けるきっかけの䞀぀になりたした。

    少しず぀前ぞ進む二人を、これからも芋守っおいただけたら嬉しいです。

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    「再生」「垌望」「心の光」をテヌマに、キャラクタヌの心情を倧切にしながら物語を曞いおいたす。 第33回電撃小説倧賞2䜜品、note創䜜倧賞2026恋愛郚門応募枈み。 珟圚は来幎の新人賞に向けた新䜜執筆に集䞭するため曎新䌑止䞭。 読んだ方の心に小さな光を届けられたすように。

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