メインコンテンツへスキップ
見出し画像

海外生活のリアルな不安|カナダ生活3年目へ

    カナダ・バンクーバーに移住して、早2年。もうすぐ3年目を迎えようとしている。

    「2年も経てば、あらゆる不安から解き放たれて、新しい自分に出会えているのだろう」 バンクーバー国際空港に降り立った当時の私は、そんな希望に満ちた未来を想像していた。

    しかし、現実はそう甘くはなかった。 異国での生活はどこまでも泥臭く、3年目を目前にした今、私の心はかつてない不安に支配されている。現在の私が抱えている「3つのリアルな不安」を、ここで一度棚卸ししてみたい。

    1. 金銭的不安:かつての安定と、跳ね上がった生活コスト

    カナダに来たばかりの頃は、今思えばまだ心の余裕があった。 当時、妻は修士課程の2年生で研究室から給与が出ており、私はスターバックスで最低賃金ながらも週5日、ほぼフルタイムで働かせてもらっていた。少ないながらも確実に「二人分の収入」があり、住まいも学生向けの価格で借りられていたため、不自由なく暮らせていたのだ。

    しかし、現在は状況が一変した。 私はスターバックスを退職し、日系のIT企業でフルタイムとして働いている。給料は上がったが決して多いとは言えない。一方で妻は現在カジュアルポジション(週1 or 2日勤務)のため、家計の大部分を私の収入で支える形になった。

    追い打ちをかけるのが、バンクーバーの容赦ない物価高と家賃の高騰だ。 個人間契約のリスクを避け、勤務先へのアクセスを考慮して探した結果、現在の家賃は月2,000ドルを超えている。これで「最安値」なのだから恐ろしい。 毎月の家賃と高騰する生活費を支払うと、手元に残るお金はほとんどない。必死に働いているのに、収入のほぼすべてが生活を維持するためだけに消えていく有様を見つめていると、ジワジワと精神が削られていく。

    2. ビザ(VISA)ステータスの不安:強運の終わりと、失われかける仕事

    海外在住者にとって最大のライフラインである「ビザ」。ここにも暗雲が立ち込めている。

    初年度はワーキングホリデー(ワーホリ)ビザで入国した。1年が経つ頃には、妻が現地で職を得て、その配偶者ビザ(就労許可)に切り替えるプランを立てていた。しかし、現地のジョブマーケットは厳しく、妻の仕事は思うように見つからなかった。

    万事休すか——そう思った矢先、政府が突然「日本人への2回目のワーホリ容認」を発表した。この時ばかりは自分の強運に感謝し、首の皮一枚で繋がった感覚だった。

    しかし、そんな強運も長くは続かない。3年目に差し掛かろうとしている今、次なるビザの目処が立っていないのだ。ビザのステータスが不透明であるという理由だけで、現在勤めている仕事さえも失いかけている。免許証でさえも。

    自分の努力だけではどうにもならない制度の壁の前に、ただ無力感を覚える日々だ。

    3. コミュニケーションの不安:消えた英語環境と、後退していく語学力

    「2年も滞在すれば、英語の不安なんて自然となくなっているだろう」 渡航前はそう勝手に思い込んでいた。しかし、ろくに勉強もしていないのに、そんな奇跡が起きるわけがなかった。

    スターバックスを退職してからというもの、業務も生活も日本語ベースになり、英語を使う頻度は週に1回以下まで激減した。使わなければ、語学力は容赦なく落ちていく。 かつてはスタバのカウンターで飛び交う英語に対応していたはずなのに、今では現地機関への電話一本かけるのすら以前より怖くなってしまった。「英語が喋れなくなっている」という焦りと恐怖が、さらに自分を内向的にさせていく悪循環に陥っている。

    4.そもそも楽しくないという根本的な気づき

    最後に、これが一番認めづらく、しかし最も根深い不安かもしれません。
    渡航前や、こちらに来て最初の数ヶ月は、見るものすべてが新鮮でした。SNSで見かけるような「海外移住のキラキラした一コマ」を自分もなぞれているような高揚感があったのも事実です。

    しかし、生活が2年、3年と日常になるにつれて、その魔法は完全に解けました。

    カナダの豊かな自然や、のんびりした空気、広々とした街並み。それらは確かに素晴らしいものです。しかし、一歩外に出れば容赦ない物価高に怯え、現地の人との深いコミュニケーションも避けるようになってしまい、どこか「この街に拒絶されているような疎外感」が常に付きまといます。

    「日本にいた時の方が、もっと自分のやりたいことに集中できていたのではないか」

    「週末、こんなに窮屈な思いをしながら過ごすためにカナダに来たのだろうか」

    どこか旅行したいにもお金がない、何か挑戦したいけれどもお金がない。いつもお金に縛られているような感覚。少なくとも日本にいるときは、貯金もたくさんして、好きなものを買って、好きなものを食べて、行きたいところに出向いて。そんな生活ができていた。(気がする)

    世間一般の「海外移住=素晴らしい挑戦、充実したライフスタイル」というイメージと、自分の内面にある「ただ生きるだけで必死で、ちっとも楽しくない」というギャップ。この精神的なミスマッチが、自覚している以上にジワジワと自分を追い詰めていたのだと思います。


    頭をよぎる「帰国」の二文字。しかし、その先にあるのは……

    八方塞がりのような現状の中で、最近は本気で「日本への帰国」が頭をよぎるようになった。 もし本当に帰国するとして、自分はどうやって生き残っていけるだろうか。夜、ベッドの中でぐるぐると考えを巡らせてみる。

    • IT系でそのまま転職活動をするか? 
      いや、今の自分のスキルセットで日本の激しい市場で勝ち抜けるだろうか。まだ圧倒的にスキル不足な気がして、転職活動への恐怖が勝ってしまう。

    • 思い切って全く違う分野へピボット(方向転換)するか?
      そもそも今の仕事が本当に自分に向いているのかも分からなくなっている。いっそ未経験の分野に飛び込むべきか。しかし、この年齢から新しいキャリアを築くリスクを考えると足がすくむ。

    • そもそも、日本のどこに住むべきなのか?
      可能なら東京には戻りたくない、北海道や長野県に住みたいけれど仕事を見つけるのが難しいだろう。

    正直なところ、いくら考えても答えは出ない。カナダに留まる不安と、日本に帰る不安。天秤にかけてみても、どちらの皿も同じくらい重く、暗い未来予想図ばかりが浮かんできてしまう。

    あの時、大きな期待を胸にバンクーバーの空を見上げた自分に、今の私の姿はどう映るだろうか。 ただ一つ言えるのは、これが私の直面している「海外生活のリアル」だということだ。この先どうなるかはまだ分からないけれど、押し潰されそうな不安を抱えながらも、私は今日を生きている。



    最後までご覧いただきありがとうございます。
    スキやコメント、フォローをいただけますと、励みになります。


     
     
    2024年春にバンクーバーへ移住 / 天津出身の妻と、猫二匹の四人暮らし / 現地のスタバで約半年勤務後、現地企業に就職

    あなたへのおすすめ