
『美山考』総合目次【260907】
はじめに
会社を定年退職した頃から古代史への興味が数十年ぶりに再燃し、近隣各地で開催される古代史セミナーを見つけては聴講していた。そんな折の 二〇二三年十二月末、京都府亀岡市のガレリアかめおかで開催された古代史セミナーの聴講により、「丹波国桑田郡」に多くの古墳があることを知った。
それをきっかけに「丹波国桑田郡」の先史・古代史に興味をもつようになり、近隣各地の博物館見学や図書館での郷土誌等の閲覧を続けることで、古墳や遺跡が集中して存在する地域とそこから出土した遺物について少しばかりの知識を得ることができたと同時に、南丹市美山町が古墳や遺物の空白地帯であることに気付くことになった。その一方、美山町の道の駅 ふれあい広場を訪れた際、ビレッジセンターでたまたま手に取った小冊子「美山伝承の旅」で、町内各地域に古代にまで遡る様々な伝承があることを知った。
思い返せば美山町の、春夏秋冬の美しい山里風景に心惹かれ、折に触れて訪れるようになってから三十数年が経った。今も神楽坂トンネルを抜け美山町の風景が目に入ってくると、毎回心に和らぎを感じている。
上記のような背景もあったことから、当地の歴史や風土について知ることができれば、これまで目に留まらなかった、或いは知らなかった新しい発見をするよいきっかけになり、当地を訪れる楽しみが更に増すのではないかと思い、美山町の地域史について考察を試みることにした。
その考察を進める過程で、一三〇ヶ所余りもある神社・寺院の現地探索、数百年の伝統をもつ行事(祭り)の見学、美山図書室でのみ蔵書されている資料の閲覧、周辺博物館・遺跡の見学など、できる限り現地を訪れるようにして、そこで見たこと、知ったこと、疑問に思ったことや、文献調査で得たことは、『美山考』 - 南丹市美山町の地域史についての考察 - と題して本書に記録し、見学した行事(祭り)の当日の様子については、『美山の祭り』として、それぞれ note で適宜公開するサイクルを回していくことにした。
ただ、考察を始めて一年ほど経過した頃から、自習だけでは知ることに限りがあることを感じ始め、美山町の郷土史に詳しい方から直接お話を伺う機会があれば・・・と思っていたところ、同町文化財の保存活動をされている会の方々と交流の場を設けていただけることになった。
二〇二六年四月十日、芦生わさび祭りに参列した後、鶴ケ岡某所にて開催された同会コアメンバ三名の方々との座談会により、本考察を進める上でたいへん参考になるアドバイスをいただくことができた。本会の開催にご尽力くださった関係各位に感謝する次第である。そこで得られた課題については順次考察を進め、本書に適宜追記・改訂していくこととしたい。
今を、そしてこれからも活き続ける美山町の歴史と風土の魅力が、私のみならず、少しでも多くの人たちに伝わる一助になることを願ってこの考察と発信を続け、(そう遠くない?)将来、車やバイクを自力で運転して訪れることが叶わなくなる頃、ひとつの冊子にまとめて完結させ、本考察でお世話になった方々に配布するところまでを当面のライフワーク(夢かも?)のひとつにして取り組んでいきたいと思っている。
尚、本書の関連資料「別表A 参考文献」「別表B 美山地域の沿革」「別表C 秦・川勝氏系譜」についは、note 「資料ダウンロード」に掲載しているので、適宜ダウンロードして参照されたい。
マガジン
行動録
改訂履歴 【260907】
資料ダウンロード 【260907】
第1章 文献
第2章 丹波国
第3章 桑田郡
第4章 沿革
第5章 中世
第6章 近世 【260907】
第7章 境界
第8章 地名
第9章 神社と寺院
01 福居(山森・熊壁・脇・庄田)
02 豊郷(洞・名島・神谷・松尾)
03 盛郷(田土・上吉田・林)
04 鶴ケ岡(船津・川合・殿・棚)
05 高野(砂木・栃原・今宮)
06 大野A 樫原・向山・小渕・音海・肱谷
07 大野B 三埜(川谷・岩江戸)・大野・萱野
08 宮島A 上司・長谷・和泉・静原・島・下吉田
09 宮島B 宮脇・板橋・原
10 平屋 上平屋・下平屋・又林・長尾・安掛・野添・深見・荒倉・内久保
11 知井A 北・南・知見・下・中
12 知井B 河内谷・江和・田歌
13 知井C 芦生・白石・佐々里
第10章 行事と食文化 【260907】
第11章 伝承と人物
第12章 遺跡
第13章 峠と街道
あとがき
本考察は、美山地域に古代遺跡が発見されていないのは何故だろう、きっと古代から住んでいた人たちの遺跡が眠っているはず、その痕跡を探ってみよう、ということからスタートしたのだが、古代遺跡について調べていると、それ以外のことであれもこれも気になりだして美山町の地域史そのものに興味が広がった。
ただ、自分で新たな論説を展開する見識はないため、先人たちが残した資料を参考に、興味が惹かれたことを参考にして本紙にまとめることに留まったが、それでも美山町の地域史の一端を知ることができたように思う。
本考察を通じて、美山町の各地域には神社や寺院、史蹟など多数の有形文化があり、その数以上の伝統行事や伝承などの無形文化が連綿と引き継がれていることを知った。
美山町の自然と風土は、その両方を守る人たちの手によって保たれているのだということに、改めて気付くことにもなった。
また、都市とその周辺地域では開発事業の前工程として遺跡の発掘調査がしばしば行われ、遺跡発掘と土地開発は表裏一体のものになっているが、そのような理由で遺跡が発見されることなく、美山町の風土がありのままの姿であり続けて欲しいと願うばかりである。
「美山」という美しい響きを持つ同地域の地名や地形、風土について興味惹かれることがまだまだたくさんある。もうしばらく美山町の地域史について調べ、適宜この記録を更新していこうと思う。
そして、美山町をゆっくり散策してみようとも。
以上