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刀剣乱舞きっかけの刀鑑賞記(その5)

     とうらぶがきっかけで刀を見まくっているので記録をするぞー! の、第5弾。今までの記事はこちら。

     第1回

     第2回

     第3回

     第4回

     ここまで全部読んでいる人は果たしているのか? いたらすごいぞ。これがラストなので最後に読了証つけちゃう。もちろん、推しがいるぞってんで単発で読んでくれたみんなたちもありがとう。そういうとこから見に行くきっかけになったりしたら嬉しいよ。

     さて参りましょう。ラストは京都国立博物館組と九州国立博物館組です。

     ちょうどよく昨年夏に「きゅーはくのたから」展が、今年の冬(新春)に「縁を結ぶかたな」展があったため、いい具合に記憶が新鮮です。

    先に・参考文献

    ・「九州国立博物館開館20周年記念特別展 九州の国宝 きゅーはくのたから」2025年7月5日発行
    ・京都国立博物館 館蔵品データベース:刀 金象嵌銘 義弘 本阿(花押)/本多美濃守所持
    ・e国宝:太刀 銘 波平行安
    ・「もっと知りたい刀剣 名刀・刀装具・刀剣書」(内藤直子著・監修、吉原弘道著:東京美術)ー骨喰藤四郎
    ・京都国立博物館 館蔵品データベース:短刀 銘吉光(名物秋田藤四郎)
    ・文化遺産オンライン:刀〈義元左文字 無銘中心ニ「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀織田尾張守信長」ト金象眼アリ〉
    ・「前田育徳会創立百周年記念特別展 百万石!加賀前田家」2026年4月14日

     データ類は上記参考文献をもとにしています。
     そんでもって申し訳ないことに、「陸奥守吉行(坂本龍馬佩刀)」だけどうしてもデータの裏付けがとれなかった。「特別展京のかたな : 匠のわざと雅のこころ」の図録にあるらしいのですが(wikiはそれを元データとしていた)、手元に図録がなく……なので陸奥守吉行だけデータを信用しないでください。wikiのデータを持ってきています。

    九州国立博物館

    へし切長谷部

    刃長:64.8cm
    反り:0.9cm
    所蔵:福岡市博物館
    分類:国宝
    見た場所:九州国立博物館

     あの……思ったより、デカい。

     日光一文字と並べられていたのですが、なんか、日光一文字小さい……? と思うくらい長谷部がデカい。

     デカいというより、存在感があるのかもしれない。そもそも刃文が派手で、身幅もそれなりにある(元幅、持ち手側で3cm)。磨上でこれということは大太刀だった頃はスリム側だったのでは? という気がしないでもないが、刀サイズになるとなんか、存在感がデカい。

     長谷部国重と言えば皆焼(ひたつら)と言われることが多いため、皆焼を見るつもりで行ったはずが、存在感のデカさに圧倒されてあんまりそっちの印象がない。でもちゃんと皆焼だったので派手は、派手、なんだが、やっぱ、デカ……

     なんか、「御刀様」呼称も納得感がある。

    同田貫正国

    刃長:70.5cm
    反り:1.4cm
    所蔵:九州国立博物館
    見た場所:九州国立博物館

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     きゅーはくのたから展の後半戦、新たなるきゅーはくの顔となるべく選出された「QT9(キューティーナイン)」の一員こと、「刀 銘九州肥後同田貫上野介」(王貞治氏寄贈)。白鞘にもきちんと「王 貞治 寄贈」と書かれている。

     同田貫正国って、ゲーム内でも言っているが、言ってしまえば量産型なので美術品としてどこかに残っていることがあまりないし、展示の機会もなく、特定の著名な持ち主の話があまりないのだが、なぜか平成になってから著名な持ち主が出てくる、よくわからない刀である。

     まず太い! ごつい! 命、預けたい!

     でっかくて信頼できそうなのはすごくよくわかる。

     へえ、と思ったのは、思いのほか色白なこと。九州の刀は黒め(炭素含有量の関係かな)の印象が強いが、この同田貫正国は割と白い。ライティングのせいもあるかもしれないが、かなり明るめな刀だと思う。

     反りがあんまりないので素振りには確かに使いやすそう(王貞治氏が素振りに使っていた、というのは実際には別の刀なのだが)。あと割と新しいんだろうなとも思いました(実際江戸時代だった)。

     余談だが、「QT9(キューティーナイン)」はマジで九州国立博物館のおもろさが詰まっているので、ちょっと見てきてほしい。めちゃくちゃ古いものから新しいものまで多種多様。

    日光一文字

    刃長:67.8cm
    反り:2.4cm
    所蔵:福岡市博物館
    分類:国宝
    見た場所:九州国立博物館

     長谷部比、小さい。そんなわけはないのですが(数字を見ながら)

     一文字らしいと言えば一文字らしい華やかさ。でも一文字って、映りが等幅、葉とか足がいっぱい入っている、というタイプの華やかさのイメージだったので、日光は映りが結構揺らいでいるのが物珍しく感じた。刃文として写真に写る部分が結構波打っているというか、不定形というか。

     あと上半分と下半分で結構印象が違う。上半分のほうが派手というか、大振りな丁字、下半分のほうが小刻みな感じ。見所がたくさんあるので、贈答品として喜ばれそうな華やかな出来だなあと思った。

    京都国立博物館

    宗三左文字

    刃長:67.0cm
    元幅:5.1cm
    先幅:2.3cm
    反り:1.6cm
    所蔵:建勲神社(京都国立博物館に寄託)
    分類:重要文化財
    見た場所:岡崎市美術博物館、京都国立博物館

     ごめん待って元幅5.1cm???????

     調べてウケちゃった。いや、先程ソハヤノツルキウツスナリさんでっけーふってえー! の話をした矢先に、元幅5.1cmの刀が出てきちゃった。いや、たしかに幅が広かったのですが……何ならこの刀は磨り上げなので元はもっと長く、したがって元幅ももっと広かったはず……????? でっか……あんな儚げなキャラビジュしておいて肩幅5mかよ……

     閑話休題。冷静に語りましょう。

     宗三左文字って刀剣乱舞内でもどちらかといえば織田信長のもとにあった話がメインで取り上げられがち、次点で今川義元って感じなのですが、天下取りの刀なので天下人と呼ばれたこのあたりの全員に所有された経歴があり、そう思うと展示される難易度が爆裂に低いほうの刀である。

     でも実はこの1回しか見たことがない。なんで?

     宗三左文字は磨り上げのうえ二度焼けて再刃されているため、作られた頃や今川義元のもとにあった頃の姿はかなり失われているほうだ。また、再刃って要は金属を焼き直しているわけなので、ぶっちゃけ今の金属としての強度はあまり期待できない。

     刀は、「折れない」と「曲がらない」と「よく切れる」を同時に成立させるために、多くの場合は心鉄(しんがね)と皮鉄(かわがね)で炭素含有量の異なる金属を使っている(平造と書かれている刀は別)。そして燃焼反応の性質上、燃えれば炭素含有量は変わる。つまり、二度も焼けていれば、丁寧に鍛えて計算して調整した炭素量や金属の配分はめちゃくちゃのわやくちゃになっているはずなのだ。

     そういうわけで、宗三左文字って実は儚い存在でもあるのだが……いや、太。儚くはないわ。

     今川義元を桶狭間で倒した織田信長が「おれが分捕りました」の証として磨り上げ、金象嵌を施したのがこの宗三左文字。茎の「永禄三年五月十九日義元討捕刻彼所持刀織田尾張守信長」がその銘だ。ちょっぴり長めだが表裏にわたって刻まれている。

     印象に残っているのがこの金象嵌。分捕られて早々本能寺の変で焼けた宗三左文字(所説あり)だが、そのときに金象嵌が一部溶け流れた。すなわち、「信長」部分だけが溶け、その金は無数の粒になって茎についている。その後明暦の大火でも焼けているのだが、金象嵌剥げがいずれの火災の折にせよ、長い銘の中で「信長」だけが落ちていることに物質としての面白さを感じる。しかも、裏面の「義元」は落ちていない。

     後述の陸奥守吉行もそうだが、刀剣を見に行っていると時折こういった、まるで「ものに宿る付喪神が意思を持って物質の見え方を操作しているのではないか」と思わせるような状態のものを見ることができる。もちろん疑似相関、あるいはただの偶然に過ぎないのだけれど、たぶんこういうものの積み重ねで、刀剣が「武士の魂」と呼ばれたり「神やどる器」としての役割を持ったりしてきたんじゃないかなぁ、と思う。

     とまあ、ここまでは1回目に見た時のことを思い出して書いていたパート(時間かけて書いているせいでこんなことが起きる)。

     ここからは京都国立博物館で見た感想を追記。

     前回は銘に気を取られていたのだが、今回は刃文も見てきた。花札の「あかよろし」の「か(変体仮名)」みたいなゆるーくくるっとした刃文がおおらかな印象でいいなー。幅がめちゃくちゃ広い濤乱刃的な?

     あと再刃したとは言うが、かなり「左文字」ぽい雰囲気は残っており、腕のいい刀工のわざだったんだろうなとも思った。

    陸奥守吉行

    刃長:71.1cm
    反り:0.15cm
    所蔵:京都国立博物館
    見た場所:京都国立博物館

     山城鍛冶特集でなんか出とるやんけ?! て気付いて衝動で新幹線と宿を取りまして滑り込み観覧。この時の旅はかなり面白かったのですがそこは割愛、陸奥守吉行の物質的面白さの話をします。

    近代日本の扉を開き、幕末の京都を駆け抜けた坂本龍馬の愛刀。この吉行こそが彼の死を看取った唯一の目撃者である。

    京都国立博物館 「特集展示 新時代の山城鍛冶―三品派と堀川派―」のキャプションより

     思えば壮絶な歩みだ。主の最期を看取り、その後坂本家の人々とともに北海道へ移り、そこで釧路大火(大正2・1913年)に遭い、反りを失う。研ぎに出され、研ぎ師の手により直刃調に研ぎ直され再び輝きを取り戻し、百年の月日を経て、現在に至る。

     実は、陸奥守吉行という刀工の作風は、まったく直刃などではない。三品派と呼ばれる刀工一派の末席に座す吉行が得意としたのは本来、拳形丁字だった。名前の通り握りこぶしみたいなもこもこした形の丁字乱れで、前回を合わせても今まで出てきていない。というか、この時の三品派で初めて見たかもしれない。

     ではなぜ直刃調に研ぎ直されたのか。簡単な話、研ぎ師が勘違いしたのだ。音に聞く坂本龍馬はじつにまっすぐで気持ちのいい奴だ、それならばきっとこんな実直な刀を持っていたに違いない、と。 責めることはできない。だって、引っ越し先である北海道に押し形(形や刃文などを正確に写し取った紙。再刃や写し・復元の制作時にはこれをモデルにすることが多い)があるわけはなし、元がどんな刀だったかなどわかる由もなし。

     けれど、そんな具合に坂本龍馬に夢見た人の研ぎ出した刃文の下から今、百年の時を超えて、元の刃文が顔を出している。

     宗三(義元)左文字のところでも書いたが、刀は物体に過ぎない。なのに、まるで「本当の自分はこんな姿だ」と主張でもするように、人為を乗り越えて元の刃文を見せてくれたり、だとかすると、やっぱり付喪神っておるんでないかな、と思えてしまう。

     とまあ、ここまでが2025年2月に突然行ったときに書いたやつ。

     今回(2026年冬・新春)にあらためて見て、あるよーとわかった状態で見ると拳形丁字が結構見やすいなと感じた。あとやっぱり、シルエット、姿の独特さ。異様さ。再刃ではなく「研ぎ直し」だけだったんだよな、と思う。形は直さなかったんだな、って。どうしてだったんだろう。調べたいな~と思いました。

    珚貍

    刃長:72.5cm
    反り:2.3cm
    所蔵:京都国立博物館
    分類:重要文化財
    見た場所:京都国立博物館、黎明館、九州国立博物館

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     この刀についてはすでにnote2本書いてるんですが、改めて言うならば肌のきれいな刀です。おれぁ直刃の刀が大好き!

     かなりほっそりとしているので鎌倉初期ってよく書かれてるけど本当に初期の初期なんだろうな。

     特筆すべきは肌。よく鍛えられていて新刀くらいぺっかぺかに見えることもあるし、板目に柾目が混じるって書いてあるけど、エェどのへんにそんな板っぽい模様が……??? というくらいきっちりみっちり詰まった肌をしている。そして、なにより、地沸(刃文についているきらきらの粒が刀の平たいとこについているやつのこと)がみっちりついているので全身ぼんわり輝いている。だからかあんまりまばゆくはない。

     あと棟側に切り込み傷が入っているあたり、おっ実践で使われたことがありますね! を感じて、とても好き。

     あとこれはきゅーはくで見た時に気付いたんだけど、うちのけがあるんだね。この時期の直刃に特徴的なやつ。三日月宗近ほどはっきりはしていないが、じっくり見るとわかります。

     そんできょーはくであらためて見た時、っていうか、ニコニコ美術館の放送を見た時に「京都基準でイケてないシルエット」「異次元に出来がいいから波平の基準作にはならない」という話を聞いて、しこたま笑ってしまった。うーん、やっぱこの肌、異様なんだ。

    桑名江

    刃長:69.4cm
    反り:2cm
    所蔵:京都国立博物館
    分類:重要文化財
    見た場所:徳川美術館、京都国立博物館

     江の刀ってのはどれも肌がめちゃくちゃに綺麗だ。なんだろうね、あの、本当に肌が綺麗なんです。

     桑名江は見る度に、結構目立つ位置に欠けがあってオワ~となる。レア度が高く宝物として扱われがち、つまり贈答に使われて、某本作長義のように「これで忠義を尽くすぜ!」と銘を入れられたとて、本当の本当にその刀を振るうことなんて少ないタイプの刀のはずなのだが、ちゃんと実践に使われまくった証拠である。

     反り2cmってデータを見て意外に思う。なんか、体感そこまで反ってない。磨り上げられて短くなっているのもあるが。シルエットはそんなに反ってるイメージないな。

     初見時の印象は、思ったよりこぢんまりした刀だな、ということ。なんだろう、別に小さいわけではないのだが、印象がまとまっているというか。ギラつきや派手な刃文がないので、すごく落ち着く刀だと思う。農家で奉られていたという逸話があるが、なんとなく納得感がある。

     郷義弘の作は帽子(切先の焼き)が面白いという話があるが、桑名は頭が平たい感じ。帽子っつったら丸いイメージがあったのだが、郷義弘は一枚帽子という切っ先がほとんど刃なやつが得意らしい。桑名江は一応違うのかな? 松井江とか稲葉江は一枚帽子らしいが。

    骨喰藤四郎

    刃長:58.8cm
    反り:1.4cm
    所蔵:京都国立博物館
    分類:重要文化財
    見た場所:徳川美術館、京都国立博物館

     鯰尾藤四郎比バカでかくないか??

     いや、藤四郎っていっぱいあるからつい比較しながら見てしまうのだが、割とデカい。あと彫り物の周りが鏡面仕上げ? てくらいピッカピカ。

     じつは、ニコニコ美術館の配信で解説の方がおっしゃっていたが、骨喰藤四郎は藤四郎吉光の作であるという確証がないらしい。たしかに、こうやって見ると藤四郎吉光の作だと断定できる材料が少ない。ピッカピカだし。藤四郎ってもう少しぼやぁっとした輝き方が多い気がする。

     なんか、刀身に彫り物があるとなんとなーく殺意が薄れるというか、美術品的印象が強まる傾向があると思うのですが、これは全然そんなことはなく。ふつうに、重めの殺意あるな……と思いました。

    秋田藤四郎

    刃長:22.4cm
    反り:なし
    所蔵:京都国立博物館
    分類:重要文化財
    見た場所:京都国立博物館

     ちっっっっっっっっさ。細。ちっさ。

     初見の印象、これ。なんかもう、華奢。北谷菜切くらい華奢。砂糖菓子みたいに溶けちゃいそう。

     たぶん出来た当初からの研ぎ減りで2,3cm削れてない? ってくらい身幅が小さい。隣に並んでいた江戸時代の短刀が割と大きかったのもあり、その半分くらいしかなくてびっくりした。っていうか、見たことのある他の藤四郎短刀比でも小さく、細い。

     そしてこの小さく細い刀身に詰め込まれる情報量が多い。彫り物、穴、別の金属を使って埋められた穴×3。はかない。なんか、小さな体に、たくさんの重たいものを抱えているようで、心配になる。健気というかややもすると消えてしまいそうな印象。なんだこれは。え?! 細。

     長さの数値が担保できるデータが見つからなかったので、京都国立博物館の館蔵品データベース内の折紙(刀が間違いなくこの作者の刀でこれくらいの価値だよ、と本阿弥家が定めた紙)に7寸4分って書いてあったのをcmに直して記載してあります。

    雲生

    見た場所:京都国立博物館、東京国立博物館

     集合体なので複数の刀を見ている。トーハクも実は2振り持ってるし。

     雲生はかなり好みなんですよね。実装前に見に行って写真を撮っているということはかなり好みだったということ。つまり、美しくすっと伸びた細直刃。

     京都の雲生もそう。っていうか、ストレートに我々が想像するところの日本刀代表みたいなシルエットをしており、特筆すべきことがない。

     えー……だってみんな橋本環奈のこと改めてどこがかわいいとかいわないだろ。同じですよ。刀剣界の橋本環奈なの。

     顔整いというか、うーん、いや、ほんとうにきれい。

    雲次

    見た場所:京都国立博物館

     雲次は順当に雲生の次代なんだなーという感じ。まだ1振りしか見てないからっていうのもあるのですが、めちゃくちゃ似ている。

     特筆すべきことがない……本当に、顔整いって、顔整いだなとしか言えなくて……すまない。もっと数を見ます。うーん。刀剣界の広瀬すず(だとしたら雲生をアリスと呼ぶべきだったのでは)。

     いつぞやの国広展くらいいっぺんに見る機会があったらまた印象が変わるかも。好きなのは間違いないのだが、広瀬すずの顔のどこがかわいいかって言語化しづらいのと同じです。すまない。


    おまけ 百万石! 加賀前田家で見た刀たち

     note更新をサボっているうちに見に行ってしまったので追加。加賀前田家ってすっげー!

    前田藤四郎

    刃長:24.5cm
    反り:内反り
    所蔵:前田育徳会
    分類:重要文化財
    見た場所:東京国立博物館

     めっちゃ藤四郎。藤四郎らしい藤四郎という感じ。短刀としては大きめな印象。とても上品。

     今回の解説文は刃文の見やすさの話が多かったのですが、前田藤四郎はたしかにめちゃくちゃ見やすい。ってか、藤四郎は基本めちゃくちゃ見やすい。刃文の縁が本当にくっきりと見える。匂出来っていうんですか。細かい粒子がみっしり付いている部分が狭いので、線のように映りが見えるわけですね。いやはや、上品。

    大典太光世

    刃長:65.9cm
    反り:2.4cm
    所蔵:前田育徳会
    分類:国宝
    見た場所:東京国立博物館

     鳥さん???!??!?!??!?!?!?? 鳥さん!!!!!!!!!!!!!!!!!

     取り乱した。ハバキの話です。ハバキという、刀に鍔をつけるときに安定させる為のアイテムがあり、これは家紋が入っていたりデザインがかわいかったりするのですが、大典太光世のハバキはなんと、鳥さんがいる。しかも結構ゆるい……エステーのロゴみたいなやつが……かわいい……(じっくり見たくて図録を買ったが図録には掲載されていなかった。かなしい)

     刀は、身幅がかなりしっかりあり、平安の刀といわれると、「エェ……?」となる感じ。ソハヤノツルキウツスナリさんと、確かに形が似ている。え、前にあちらを書いたときに「なんでこれで平安の刀と勘違いされるんだよ」とか言ったけど、逆なんだ。光世の作が平安離れした仕上がりなんだ?

     繰り返すが、平安の刀には見えない。もっと新しい、鎌倉くらいの作に見える。笹貫と並べておいてあったらこっちのほうが新しいと思う自信がある。

     結構黒めに見えたな。それは九州の刀っぽさを感じます(ただ、江も今回はかなり黒みを帯びていたので、ライティングの問題かも)。

    富田江

    刃長:65.0cm
    反り:1.3cm
    所蔵:前田育徳会
    分類:国宝
    見た場所:東京国立博物館

     4年越しに稲葉江に謝罪をしたい。稲葉江(キャラクター)にハマったばかりで実物を見ていなかった頃、富田江と稲葉江の写真を見て「写真見る限りは富田江のほうが好みかもな~」とか言っていた。

     実物を見た。稲葉江のほうが好みだった。すまん。

     いや、富田江が悪いというわけじゃない! むしろめちゃくちゃに好きだ。鋒側のゆらっとした感じは稲葉江とも通じるところがある。が、同工別コンセプトの作品だなという感じ。「銀の匙」と「鋼の錬金術師」なんだ。どっちも名作だろ。

     刃文の幅というか、映りの範囲がかなり広い印象。そのせいもあってめちゃくちゃ明るく感じる。今回の全体的に黒めに見える刀達の中だとかなり輝いている側。まばゆい。前田藤四郎は「くっきり二重」だが、富田江は「けぶるまつげ」の美女。何の話?

     あと今回キャプションが結構好きなのが多かったんだけど、富田江の沸の説明として「沸き出るように」って記載があったのがよかった。たしかに角度を変えながら見ていると、あるところからじわぁ~っと沸き出るように見える。いい刀だ……

    おわり・読了証

     全5回のえげつない量の刀剣鑑賞記が終わった。正直、書いた時期がまちまちなので本当に諸々ご容赦いただきたいが(半年以上がっつり見ない時期を挟んだら見る目が鈍ったりもしたし)、書いていて楽しかった。

     刀剣乱舞がきっかけで刀を鑑賞するために美術館や博物館に行くと、必ず、それ以外の刀もたくさん展示されていると思う。そういうとき、お目当ての刀以外をじっくりと見てみるのも楽しい。他の刀をたくさん見ることで、お目当ての刀の新しい一面を発見できることもあるし。

     ということで、レッツ刀剣鑑賞! みんなたちも楽しい刀剣鑑賞ライフを! なんてところでこのnoteは締めとしたい。

     ここまで読んでくれて本当に、ありがとうね。全部読んでくれたあなたは約4万字読んだことになります。すげえぜ。ここに表彰させてもらいます。


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