
夏が涼しくなる!? 外気を活用した冷風機の作り方 ⑧冷風機の組立て
シリーズ構成:本連載は14回の予定です。
第一章:冷風機
①冷風機の紹介
②冷風機の原理
③サーキュレータ探しの旅
④使用資材の紹介(上)
⑤使用資材の紹介(下)
⑥プラダンを知る
⑦プラダンの板取り
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⑨上排気と横排気
第二章:ダクト
⑩ダクトの設計
⑪ダクトの製作
⑫冷風機とダクト連結
第三章:バリエーション
⑬冷風機「二段重ね」
⑭冷風機「ワイド化」
はじめに
西日本では平年に比べ11日も早く「梅雨明け宣言」。予想以上に早い夏の到来です。この連載も、今のスピード感では、夏に置いてけぼりにされそうです。
そこで出来上がった原稿から順次公開&日々更新する方式に切り替える事とします。
進度の表示は、タイトルの話数に「⑧A」の様にアルファベットを追記し、更新の度にB、C…と進みます。アルファベットが消えたら完結です。
(第一章の⑧⑨のみです。二章以降は、そもそもニーズが無いと思います)
連載⑧の作業は、次の7ステップに分かれています。
1.プラダンの曲げ加工について(外曲げ、内曲げ)
2.#1の完成
3.#2の完成
4.#3の完成
5.#1、2,3を組立てる
6.#4を合わせる
7.補強を入れる
8.補足説明
今回は室内(風呂場)での作業です。前回⑦で切出した部材を完成させます。前回とは打って変わって、今回は、こまごまとした加工ばかりで神経を使います。それでも、ステップを踏んで加工すれば、必ず完成します。
作業量は、「約4~5時間」程度です。
風呂場は足元がひんやりして、作業がはかどります。しかしユニットバスは作業に向きません。そんな場合は廊下・玄関ではいかがでしょう?
いよいよ暑さ本番です。熱中症にご注意下さい。
STEP1.プラダンの曲げ加工について
今回の連載⑧では、板取りした部材を組み合わせて「箱」構造を形成します。この段階では、プラダンの曲げ加工が避けて通れません。
まず最初にプラダンの曲げ加工について解説します。
①半切1本の曲げ加工(外曲げ)
筋目を1本、半切りして曲げる方法です。(図1)
切れ目を外側になる様に曲げるので、見た目が悪く、テープで隠す等の対応が必要です。

<メリット>
・簡単で手間が少ない。
<デメリット>
・見た目が良くない。
・剛性が低く容易に変形する。
・強度が低く、添え木以外の対処方法がない。
とは言え、「変形しやすい」点は、メリットにもなり得ます。サイズがアバウトであっても追従できるのです。(図1の下)
②半切1本の曲げ加工(内曲げ)
上とは逆に切れ目を内側にする方法です。この方法を紹介しているサイトもあります。しかし、狙ったサイズを出すのが難しく再現性がありません。私は実践していません。
③半切2本の曲げ加工(内曲げ)
半切りを2本平行させ、「ほういち」をしっかり実施した上で、内側に曲げます。見た目がスッキリする一方、手間がかかります。私は「ここぞと思う場所」で使っています。(図2)

<メリット>
・見た目スッキリ。
・狙い通りのサイズを出せる。
・剛性は①と変わらないが、補強可能。
・補強が必要なら、接着剤、ホットメルト、添え木等、複数の対処が可能。
<デメリット>
・とにかく手間がかかる
次の段落で、「③半切り2本」を実施します。
なお、前回配布した「板取図」「ポイント図」をこの記事でも流用します。
【ご参考】
と、ここまで書いて、『あれ?昔のプラダン、「③半切り2本」やらなかったゾ…』と思い出しました。これは、初期の冷風機で使ったプラダンですから、2023年に購入した物です。これなら「②半切1本の曲げ」が可能なのです。(写真1)

では、現行のプラダンで「②」が可能かと言うと…ダメです。(写真2)

その違いは、ピッチにあります。(写真3)メーカーにより、これほどの違いがあります。厚みは同じ4mm、ピッチは、3.0 対 4.6mmです。

ちなみに、昔のプラダンで「③半切り2本の曲げ」をすると、間が空き、スカスカになります。(写真4の矢印)

メーカーによる差異なのは確かにそうですが、改めて考えてみると、
・23年購入品:1回の半切りで直角曲げ可。工作性重視。
・26年購入品:リブを多く、強度を重視。
この様にコンセプトが異なる訳です。ですから、皆様がプラダンを購入する時には、リブの入り具合を確認し、特性に応じて設計を変えなくてはイケない訳です。(今更ながらの説明になってしまいました。)
STEP2:#1の完成
(1)②~⑫、④~⑪を「耳取り・ほういち」
④~⑪は、半切をしておりませんので、まず④~⑪を半切りして下さい。
これで、図2(A)と同じ構造となります。「ほういち」を実施して、図2(B)の状態となります。中央に残ったT字型のリブは、一度に取ろうとするのではなく、図2(C)(D)の様に段階を追って耳取りします。(写真5,6)


(2)#1と#3を「現合(げんごう)」「現物合わせ」
「現合」は機械設計の分野では、最も「野暮・泥臭い」作業とされています。しかし、プラダンを使う以上、狙い通りのサイズを実現するためには「現合」は避けられません。
「プラダンの工作」とは、正確な寸法出しや再現性を度外視して、加工性のみに振り切った「異世界」の工作です。
例えば、『冷風機をベニヤ板で作ってちょうだい』と頼まれたとしても、私は受ける気になれません。工作に手間がかかり過ぎるのです。
一方、プラダンであれば一点物を短時間で作れます。(精度、再現性は低いですが)これがプラダン工作の醍醐味です。
図3は、#1、2、3の関係です。#1の曲げ加工は「③半切2本の曲げ加工」です。#1の④点~⑤点間が250mmですから、#3の底部の幅は、250-16=234(mm) となります。
(※板取図には「242」と書いていますが、間違いです。「234」に訂正します。しかし我が家の冷風機は、242mmでも動いています。このアバウトさが魅力です。)

しかし、あくまでも、250mmは設計上の値ですから、現実に合わせて#3のサイズを決めます。つまり、皆様の「#1の④点~⑤点の長さ」を「X」とすれば、「X-16」とすれば良いのです。
その結果、#3の寸法は図4の通りとなります。この大きさで、#3にピンかマジックで印を付けて下さい。

申し遅れましたが「(546)」と書かれた寸法について説明します。プラダンのサイズは公称900x1800(mm)ですが、実際は少々大き目の910x1810(mm)くらいで販売されています。ですから、「546」よりも大きくなりますよ。最大値で板取りして下さい。という意味で括弧付きの数字とした訳です。
(3)#1と#4を「現合(げんごう)」「現物合わせ」
上記同様に、図5に#1#4の関係を示します。#4は天板ですので#1を覆う大きさとなります。#4の左右は「③半切2本の曲げ加工」とします。

その結果、#4の寸法は図6の通りとなります。#4にピンかマジックで印を付けて下さい。

残りのSTEP2の作業は、
(4)③~⑦を半切り
(5)⑥~⑦を切断
(6)⑥~右端を切断
ここは特に注意点はありません。四角い端材が出ますが、これは後で再利用しますので捨てないで下さい。
(7)⑥~⑫の「表」を半切り&両面テープ
ここは要注意です。
・「裏」ではなく「表」を半切り
・筋目を横切る半切り
ですので、くれぐれもお間違えのない様お願いします。
・⑥⑫の穴が表まで貫通している事を確認し、#1を「裏返し」し、「表」を加工します。
・定規を当て、慎重に半切りします。(少しずつカットします)
・リブをカットする音「ブツ、ブツ、ブツ」がしなくなった所は、それ以上カットしない様にします。(切断してしまったら、後でOPPテープを貼ります)
・切れ目を少し広げながら切ると、リブを切る感覚が分かります。(写真7)

・大体、切れたらのなら、折り曲げます。(写真8)

・何度か折り、折り癖を付けます。
・両面テープを貼りますので、事前に接着面をウェットティッシュ等で清浄し、乾燥させておきます。
・その後、両面テープで固定します。(写真9)

以上で#1は完成です。(写真10)

STEP3:#2の完成
#2は、曲げ加工も何もありません。#1同様に、次の加工をお願いします。
(1)⑦~⑨を半切り
(2)⑦~⑧を切断
(3)⑧~右端を切断
(4)⑧~⑭の「表」を半切り&両面テープ
これで、#2は完成です。(写真11)

STEP4.#3の完成
(1)左右2本の切れ目を半切り
STEP2の(2)「#1との現合わせ」で印を付けた、左右の折り目を付けます。半切りでカットします。(図3参照)
(2)端を2箇所斜めカット&両面テープ
写真12の通り、端を斜めにカットします。そして、両面テープをなるべく端に貼ります。(事前にウェットティッシュ等で清浄して下さい)

STEP5.#1、2,3を組立てる
(1)#1を曲げる
写真13の通り、通常とは逆の方向に曲げ、重石を置きます。

(2)#1、2を接続
#2を吊り下げるイメージで、上下位置を確認しながら養生テープで固定します。(図7「テープ貼り」)(写真14)


次に、OPPテープで3、4箇所止めます。(写真15)

問題なければ、上から下まで、OPPテープで止めます。(写真16)

(3)#1,2,3を仮組み、サイズを確認
#1、2を立てます。(写真17)これは吸気側(網戸側)から見た様子です。左右の幅50mmの部材(これもリブと呼びます)を開きます。

#3は雨どいですので、網戸側に向けて下げ勾配となる様に設置します。吸気口に角材を置いて、#3の位置を決めます。(写真18)

しかし、何か変ですよ…。#3が水平にならない…(写真19)

(保留:#1,2,3を固定)
なっ、なんでや?
緊急事態発生!
好事魔多し…。突如暗雲に見舞われた冷風機プロジェクト!
全国百万戸(推定)の冷風機を待ちわびる人々の夢や希望も潰え去ったのか?
頑張れ、太郎少年!負けるな、エコロ爺!
緊迫の次回を待て!
(2026/7/13 ここまで公開。7/14 ここから続編です。)
#3の形が変です。直角が出ていません。(写真20)

もしかすると、プラダンが歪んでいたのか?
いえいえ、それは考えられません。プラダンは機械加工で切断されているのでしょうから、厳密とは言えないまでも、そこそこの直角度は出ているハズです。
私は今まで、冷風機用も含め十枚以上のプラダンを使って来ました。しかし、直角度のないプラダンに出会った事がありません。
それに、もし直角度の無いプラダンであれば、運搬時の「半分に折る」段階で気付くハズです。
念のため、#1を運搬時の折り目で、再度折ってみました。(写真21)1mm程度のズレはありましたが、この程度なら問題ありません。

そこで、#4も調べてみました。これも直角ではありません。(写真22)

2つの長辺を測ってみると、504mmと、500mm。
なんだよ!寸法ミスじゃん!(図8、誇張アリ)
板取図の「B線」を引き間違えた訳です。恥ずかし…

(影の声)おおっと、これはイケません。エコロ爺は皆様に、斎戒沐浴・只管打坐・精進料理・千日回峰・即身成仏・火の輪くぐり等、難行苦行を課して参りました。しかし、その結果が、このザマ、この有り様です!何とも情けない!
(エコロ爺)やっとらん、やっとらん!それに、最後の「火の輪くぐり」って何じゃ?サーカスかよ!そんなスゴイ出し物、ワシが見たいワぃ!
しかし真面目な話。キチンとリカバリーしないといけません。(図8参照)
#3は、長くなった部分をカットすれば、本来のサイズになります。
#4は、短くなってしまいますが、直角を出すためにカットします。この部分は重要度が低いので問題ありません。これで、#4本体の長さを確保できました。
これで、リカバリー完了!続きの作業に入ります。
しかし…ミスのリカバリーまで実況中継する連載って、心臓に悪いですよね。もう懲りました。
STEP5.#1、2,3を組立てる(つづき)
(3)#1,2,3を仮組み、サイズを確認
吸気口に角棒を置いて、#3の位置を決めます。まだちょっと変な感じがしますが、今は先を急ぎましょう。
(4)#1,2,3を固定
OPPテープを3ケ所貼り#3を固定します。次に#3を左右の両面テープで固定します。最後にOPPテープを沢山貼り防水とします。(写真23~27)





STEP6.#4を組合わせる
(1)#4の完成
#4を切出し、「半切2本の折り目」「筋目を横切る半切り」の加工を行います。(写真28)この時、長めの端材が出ますが、次のステップで活用します。

(2)#1~4を組合わせる
#4を箱の上に被せます。設計通りにピッタリと合いますか?
この箱を横から押すと、簡単に内側に凹みます。(写真29)次のステップで補強を入れます。
では、この箱の上下を反転します。

STEP7.補強を入れる
#4を切出した時に出た、長めの端材を流用します。これから長さ 234mmの板が2枚取れます。(写真30)

このまま両面テープを貼り、#4に貼り付けてもOKです。しかし、耐久性に違いが出るのかを確かめたく、一方をそのまま(写真31右)、もう一方を山形(写真31左)に折りました。

では、反転した箱(一番下が#4)に補強板を貼ります。(写真32)
「丸A」が「山形」です。
なお、上向き排気の場合、奥から220mmの範囲でサーキュレータが入りますので、この範囲に補強材を入れてはイケません。

ところで、「#4の折り目」なのですが、結構、復元力が強く、OPPテープで貼っても直ぐに剥がれてしまいます。そこで、写真33上の針金を作り、テンションをかける方法があります。

もっと簡単な方法もあります。紐で、括れば良いのです。(写真34)
カッコ悪いんですが、持ち運びは楽ですよ。

STEP8.補足説明
さて、今までご説明する機会が無く、放置していた部分があります。設計図にもチラリと姿を見せるのですが、ほぼ見えない部分です。
実際の使用環境に置いてみました。(写真35)
この、「丸A」~「丸C」の働きについて、解説します。

これらは「リブ」です。この折れが無いと、箱がグニャリと曲がってしまいます。(写真36)

そして、写真37は窓を開けた状態です。窓を閉めると、リブAがサッシに引っかかるので転倒し難くなります。(写真38)


さらに、リブBがサッシの溝に入り、雨が侵入し難くなります。(写真39)

最後に、リブCは封止板に接し、雨の侵入を防ぎます。(写真40)

この様に、リブは地味ながらも
・強度維持
・転倒防止
・雨水阻止
これら、重要な機能を担っている訳です。
次回予告
第⑨話では、箱とサーキュレータを連結します。
7/17までに、穴サイズ程度はUPするつもりです。(完了)
どうぞよろしくお願いいたします。