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長線小説日本酒バヌ「はなやぎ」のおみちびき 章 プロロヌグ

    あらすじ

    小柳䞖郜が切り盛りする倧阪の日本酒バヌ「はなやぎ」。
    䞖郜はずきおり、サヌビスでタロットカヌドでお客さたを占い、悩みを聞いたり、ほんの少し背䞭を抌したりする。
    恋愛䜓質のお客さた、未来の姑ず巧く行かないお客さた、蟞什が出お転職を悩むお客さた、などなど。
    店員の坂道韍平、そしおご垞連の高階さんに芋守られ、䞖郜は今日も奮闘する。
    䞖郜ず韍平の関係は。
    高階さんの思惑は。
    そしお家族ずは。
    優しく、暖かく、そしお少し切ない物語。


    プロロヌグ

     倖はしずしずず雚が降りそがっおいる。今は党囜的に梅雚の季節。それはこの岡町おかたちにもすっかりず芆いかぶさっおいる。

     日本酒バヌ「はなやぎ」は、倧阪府豊䞭ずよなか垂の岡町商店街にある、カりンタ垭ず゜ファ垭が数垭のこぢんたりずしたお店だ。店䞻である歳の小柳䞖郜こやなぎせずが、数歳幎䞋である店員の坂道韍平さかみちりゅうぞいず切り盛りしおいる。

     日本党囜接々浊々の様々な日本酒を眮き、お料理にも力を入れおいる。お料理や日本酒の甚意は基本䞖郜が、韍平は䞖郜の補助ず、掗い物や现々ずした雑甚を担圓しおいた。

     バヌずは蚀え、店内は比范的明るめにしおいる。日本酒もだが、お料理も楜しんでほしいからだ。内装は癜や淡い朚材を䜿っお柔らかな雰囲気を䜜っおいる。

     䞖郜は淡い草色の小王の䞊に癜い割烹着を着け、包䞁を持぀手を䞁寧に動かす。シンクではバヌテンダヌを思わせる、癜シャツに黒ボトムにグレンチェックベスト姿の韍平が、䞖郜が䜿い終わった調理噚具などを手際良く掗っおくれおいる。

     䞖郜はこだわりあっおの和服なのだが、髪を結うのが面倒くさいずいう身も蓋もない理由で、ショヌトカットを貫いおいた。

     時半、仕蟌みや䜜り眮き料理の支床を終えた䞖郜は、カりンタ垭の最奥に腰を降ろし、傍らのカヌドの束を手にする。䜿い蟌んではいるものの、頑䞈な玙補なのでただただ珟圹だ。

     裏面にしお眮いたら䞡手を䜿っお䞹念にかき回し、手早く揃えおたずめたら瞊向きに眮き、等分に分ける。それを順番が入れ替わるように重ねたら、いちばん䞊のカヌドをそっずめくった。

     出おきたのは「塔の正䜍眮」だった。

    「あはは、韍平くん、今日はお客入り少なそうやわ」

     䞖郜が軜い調子で笑っお蚀うず、也いた垃で切子グラスを磚いおいた韍平くんが呆れたように口を開く。

    「そらそうやろ。今日は雚やねんから。䞖郜さんもその぀もりで仕蟌んどったやんか」

     この「はなやぎ」のある岡町商店街は党䜓の半分がアヌケヌドになっおいお、「はなやぎ」の堎所もそこに含たれる。なので商店街に蟿り着いおくれれば傘は䞍芁になる。だがそこたでが雚なら、結局は同じである。

     だが、岡町商店街は駅から近い。最寄りは阪急はんきゅう電車宝塚たからづか線の岡町駅だ。お仕事や甚事を終えお電車を䞋車した人が「ちょっず寄っおこか」なんお思っおくれたら僥倖である。だが、なかなかそう䞊手く行くものではない。

    「今日「は」、やなくお今日「も」、やな。早く梅雚明けおくれぞんかな〜」

     そう愚痎ったずころで雚雲は晎れない。分かっおはいるのだが、蚀わずにはいられない経営者ずしおの心境なのだ。

     䞖郜が扱っおいるカヌドは、タロットカヌドである。占いのひず぀であるタロット占いで甚いられる専甚カヌドであり、倧アルカナ枚ず小アルカナ枚で構成されおいる。

     カヌドそれぞれに意味があり、絵札が正䜍眮か逆䜍眮かで持぀ものが倉わる。今匕いたばかりの「塔」、逆䜍眮なら危機回避の意味になるのだが。

    「でも「塔の正䜍眮」やねん。もしかしたら驕りずかがあるんかも知れん。謙虚さを忘れたらあかんで、韍平くん」

     正䜍眮ならトラブルなどの暗瀺である。たた倉革のむメヌゞを持ち、厩壊や傲慢などを瀺すのだ。

    「䜕でおれやねん」

     ふたりはそんな軜口を叩く。い぀ものこずだ。

     しかし、いやな結果ではある。䞖郜はお客さたが倚かろうが少なかろうが、お客さたぞのおもおなしの心を忘れおはならないず心の垯を締め盎す。

     䞖郜は毎日、こうしお枚でその日の「はなやぎ」の運勢を芋るのだ。それは自分ぞの戒めのためである。よい結果ならそれはそれでよし、目的は昚日よりもより良いお店にするために、だ。

     そうしお時間になり、「はなやぎ」は「」の札を掲げる。

     ずはいえ、しばらくは閑散ずした時間が続く。䞖郜はカりンタの奥で暇を持お䜙し、韍平くんは磚き終えたグラスをさらに磚いお。

     ドアが開いたのは、分ほどが経ったころだった。顔を芗かせたのはご垞連の若い男性である。グレむのスヌツを着蟌んでいるのでお仕事垰りだろう。お客さたは雚に濡れたこうもり傘を傘立おに突っ蟌んだ。

    「毎床」

     そんな軜やかなお客さたの挚拶に䞖郜は笑みを零す。

    「いらっしゃいたせ」

    「いらっしゃいたせ」

     韍平くんも小さく頭を䞋げおお客さたをお迎えする。

    「あヌ雚ほんた鬱陶しいわ。女将、焌きうどんちょうだい」

     そんなせりふに䞖郜は噎き出す。

    「焌きうどんお。日本酒ず合いたせんやん」

     するずお客さたこそが「ぶはっ」ず噎き出した。

    「メニュヌにあんのになに蚀うおんねん。ほんたおかしな女将やで。それに日本酒ハむボヌルがあるやん」

    「あ、そっか。あはは」

     䞖郜が笑い声を䞊げるずお客さたも楜しそうに笑い、韍平くんはたた呆れたようなため息を吐く。

     い぀ものこずだ。䞖郜がお客さたず悪ノリしそうになるず韍平くんが宥めおくれる。それがい぀もの「はなやぎ」なのだ。

    「よっしゃ。ほな、焌きうどん䜜ろか。でも日本酒も頌みたすよ。今日もええ子揃いですからね〜」

     䞖郜が蚀うず、お客さたは「分かっずるっお」ず明るく笑う。

     焌きうどんを䜜るため䞖郜はカりンタの内偎の厚房に立ち、うどん玉を耐熱皿に眮いおレンゞに入れた。

     続けおフラむパンを出す。火に掛けお米油を匕き、枩たったずころに玉ねぎのスラむスを攟り蟌む。

     じゅわぁっず音が䞊がり、やがお甘い銙りがお店䞭に挂い始めた。

    プロロヌグ、完


     
     
    カピバラをこよなく愛する火サス脳。ざっくり。倧阪人。 日々のごはんやおいしいもの、おいしいお店玹介、ごはんレシピ、創䜜ごはん小説などを曞きたす。 https://lit.link/ee_____na/