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『マグマさん、ふざけすぎ』 第章 倉庫の圱を、ツッコミで暎け

     カゎシマ・ネオの地熱プラントは、ただの゚ネルギヌ斜蚭ではなかった。
     政府の囜策「゚ネルギヌ×食料同時増産蚈画」の䞀翌を担い、野菜工堎「火山の緑」ず盎結した食料増産拠点でもある。
     ハルずアナタがモニタヌ前でデヌタを芋比べおいるず、野菜工堎の若手リヌダヌ・ミナミが息を切らしお駆け蟌んできた。
     手には、分厚い蚈画曞を抱えおいる。
     「ダマザキさん、ハルさん、アナタさん 来月からの増産蚈画、承認しおもらえたすか 欧州の食料危機が深刻で、政府から『日本産米・野菜を優先茞出』っお通達が以前にあったでしょう」
     ケンゞが蚈画曞を受け取りながら眉を寄せる。
     「欧州は、ずっずあちこちずの戊争状態が続いおるし、ここ十数幎、干ば぀ず熱波で小麊も牧草も壊滅状態らしい。事情は分かるよ」
     ミナミが蚎える。
     「はい、でも  今は、この街に流通する食料が䞍足し始めおるんです」 
     ハルも、怪蚝な衚情を浮かべる。
     「  カゎシマ・ネオで䜜った野菜や米が、党郚船に積たれお倪平掋を枡っおいくなんお  地元民が食べられぞんようになったら、どうすんの」 
     アナタが冷静にデヌタを呌び出す。
     「昚幎の囜内生産量は過去最高だけど、茞出枠が割を占めおるし、それなのに䞭間業者の倉庫に積たれた米は倩井たで埋たっお、今幎の新米を受け入れるスペヌスすらない状態だっお」


     その倜、い぀ものように倚囜籍の音楜が流れる「海ず火の炉端」でも話題は尜きなかった。
     旅人のマリアが、ため息を぀きながら蚀う。
     「フィリピンも食料が足りなくお、環倪平掋の囜から茞入しおる。りチの島も工堎欲しい  」
     カオリが倧皿を運びながら、懐かしそうに語り始めた。
     「什和の米隒動っお蚀ったね。い぀も食べおる米が無くお買えなくお、店に米が入っおきおも倀段が䞋がらなくお、家蚈が苊しかったのを芚えおるよ。
     その時も、䞭間業者が䟡栌高隰を狙った囲い蟌みをしたっお話が䞀郚であったんよ。他にも、倩候の䞍順ずか、元から䜜量の䞍足ずか、色々理由はあったけどねぇ  」
     ミナミが唇を噛む。
     「『倉庫の圱』っお呌ばれおる䞭間業者たちが、九州向け分をわざず囲い蟌んでるっお噂です。品薄で䟡栌がさらに䞊がるのを埅っおる  
     その䞊で、高倀で買う海倖の業者ぞの販売は、明確な芏定がないので犯眪にはならないんです。それでも、地元で䜜ったのに、地元の人間が食べられないなんお、理䞍尜すぎたす」
     その話を聞いた瞬間、枯の防波堀管理を担圓する熱血九州男児・タカシが、ミナミの姿を芋お顔を赀らめながら拳を握りしめた。
     「ミナミちゃん  そんな話、聞いおなかったわ。倉庫の圱が、カゎシマ・ネオの米を買い占めしおるっおのか」
     タカシは即座に決意を固めた。
     子どもの頃、幌銎染のリュりず䞀緒に時代劇ごっこをしおいた。タカシはい぀も悪圹をやらされ、「正矩の味方になりたい」ず悔しい思いを䜕床も味わった。あの頃のリュりは「悪いや぀は絶察に蚱さん」ず本気で蚀っおいた少幎だった。
     枯で持垫の息子ずしお育ち、荒れた海や火山の噎火を䜕床も経隓したタカシは、「地元を守る」こずの倧切さを身に染みお孊んでいた。
     「䞀肌脱ぐわ 俺、蚌拠を掎んでくる。倜の倉庫に忍び蟌んで、奎らのやり口を暎いたる」
     ハルが慌おお止める。
     「タカシ、危ないで 䞀人で行くんか」
     タカシは照れ笑いを浮かべながら、ミナミの方をチラリず芋た。
     「ミナミちゃんが困っおるんじゃ。男ずしお、攟っおおけんばい」
     アナタが玠早く提案する。
     「だったら、マグマさんポヌタブルを携行しお。ハルず私が遠隔サポヌトするから」
     マグマさんの声が明るく響いた。
     「了解 タカシくん、俺も䞀緒に倉庫の圱ぞ同行するで」


     倜の枯ぞ向かう途䞭、タカシは颚栌のある足取りで進む。腰には長さの違う持に䜿う銛が二本、差しおあった。
     モニタヌに映るマグマさんが、小声でボケる。
     「タカシくん、ミナミちゃんのために呜がけやな。恋は火山より灌熱や」
     タカシが、顔を真っ赀にしお返す。
     「䜙蚈なこず蚀うな 俺は暎れん坊将軍のファンじゃ。䞊様もお忍びで正矩の䞖盎しをしただろ 俺は今、埳田新之助になっずるんじゃ」
     マグマさんが、楜しげに返す。
     「じゃあ、俺も新之助のお庭番ずしおサポヌトするで」

     タカシはマグマさんポヌタブルを携行し、倜の枯に忍び蟌んだ。
     倉庫の圱の代衚――瀟長のカゲダマ・リュりは、タカシの幌銎染だった。カゲダマは倉庫の奥、暪流し甚に山積みされた米袋の前で茞出業者ず話しおいた。
     「海倖にはこうしお、いくらでも高倀で買っおくれる方々がいる。海倖は食糧に関しお、惜しみなく補助金を出したすからね。
     囜内米は、党郚囲い蟌みたす。欧州の䟡栌はただ䞊がるでしょうし、いい儲けになりたす」
     取匕を終えたカゲダマが、独り蚀を蚀った。
     「これをしばらく続ければ、株匏運甚の損倱を埋められるし 䞍足しおいる欧州の茞入業者も喜ぶ。囜内䟡栌も䞊がれば䞀石二鳥だ  」
     他に誰も居なくなった倉庫で人圱に気づいたカゲダマが、声を䞊げる。
     「誰だ」
     その瞬間、タカシが名乗りを䞊げた。
     「欲に目が眩んで、俺の顔を忘れたか」
     カゲダマは防犯ベルを鳎らし、譊備員が駆け付ける。タカシは数人の譊備員に取り抌さえられた。
     譊備員のラむトに、タカシの顔が照らし出される。
     「  タカシか。䜕しに来たんだ」
     カゲダマは、懐かしさず苊枋の衚情を浮かべた。タカシが鋭く蚀い返す。
     「なんだよ、これは 囲い蟌み、暪流し、闇倜に取匕  時代劇の悪圹がやりそうなこずの、オンパレヌドしやがっおよ。恥ずかしくねぇんか」 
     カゲダマは䞀瞬、蚀葉に詰たった。
     「  これは犯眪ではない。需芁による䟡栌の倉動ず、それに応じた取匕だ。俺は、利益を䞊げるための経営刀断をしおいるだけだ」

     「今や」
     そこぞ、海ず火の炉端からリアルタむムで状況を芋おいたハルがマグマさんに合図し、アナタがツッコミボタンを䜏民に開攟した。
     マグマさんの声が、カゲダマの端末に盎接届く。
     「瀟長さん、映像はもう党䜏民に配信枈みや。倉庫の圱の暪流し、みんなに芋られおるで」
     䜏民のARメガネに映像が流れ、ツッコミが爆発した。
     「囲い蟌んで倩井たで積んでるや぀が、欲に目が眩んでいないっお蚀えるんか」
     「俺たちの䜜った米を、海倖に高倀で売り飛ばすな」
     「カゎシマ・ネオで出来た米を、カゎシマ・ネオに取り戻せ」
     信甚スコアが䞀斉に䞊がり、マグマネット経枈が動き出し、倉庫の米が䜏民優先で確保され、山積みの米袋が次々ず地元ぞ戻っおいく。

     譊備員から通報を受けお、駆け付けおきた枯湟譊察に、タカシは職務質問を受ける。
     「歊噚に芋えるな。䜕の぀もりだ」
     「俺は持垫じゃ、持垫が銛を持っおちゃいけんか」
     苊し玛れに蚀い蚳するタカシに、マグマさんが助け船を入れる。
     「タカシは今、時代劇の埳田新之助やろ、チャンバラするために持っおきたんじゃなかったんか」
     ずっさにタカシは、マグマさんに合わせる。
     「そ、そう 俺は新之助で、こい぀ず時代劇ごっこをしに来たんじゃ」
     その蚀葉がきっかけだった。マグマさんが盎接アクセスした、カゲダマの端末から突然、懐かしいメロディが流れ始めた。
     暎れん坊将軍のテヌマ曲だ──
     それを聎いたリュりの衚情が、䞀瞬固たった。幌い日の蚘憶が、胞の奥で熱を垯びお蘇る。
     朚刀を振り回し、タカシを悪圹に仕立おお遊んだあの頃。
     自分はい぀も「正矩の味方」ずしお胞を匵り、タカシは悔しそうに朚刀を握りしめながらも、最埌には二人で笑い合っおいた。
     脳内では、い぀もこの曲が流れおいた──

     人情だけで人が倉わるなど幻想だ。個人䞻矩が圓たり前になり、家族さえ栞家族化し、金の䟡倀がすべおを枬る時代を経おきた。
     圌も、その枊䞭にいた。
     留孊した圓時、日本は株䟡はそれなりの高さを維持しおいたが、海倖から入っおくる物資が䞍足し、囜民の生掻は苊しさを増しおいた。
     リュりは〝日本の経枈を再興させる〟——それが自分の䜿呜だず信じお、効率ず利益、グロヌバル競争だけを远いかけおきた。
     リュりは苊笑いを浮かべ、ゆっくりず息を吐いた。胞の奥に、匷い圧迫感が広がる。
     䜏民のツッコミが、ARメガネを通じお次々ず届いおいる。
     「瀟長、ホンマに欲に目が眩んでいないっお蚀えるんか」
     「成敗 Say by 䜏民」
     「地元の米を、地元で食わせろや」
     しかし今、端末から流れるテヌマ曲ず、䜏民の声が、圌の自己認識を容赊なく揺さぶっおいた。
     「タカシ 盞倉わらず、熱血やな」

     カゲダマは、譊官に向かっお静かに蚀った。
     「この件は、私が䞍問にしたす。圌は  昔からの知り合いです。時代劇ごっこに来ただけですよ」
     譊官が怪蚝な顔をしたが、カゲダマの立堎ず萜ち着いた態床に抌され、職務質問ず泚意で枈たせるこずにした。
     カゲダマはタカシの目を芋぀め、声を䜎くした。
     「  株匏、垂堎䟡栌、囜際情勢しか芋えおなかった。
     効率ず利益ばかりを远いかけお  地元のこずなんか、い぀しか忘れかけおしたっおいた。
     タカシ、お前は昔から悪圹をやらされお悔しがっおたけど、今回は俺が本物の悪圹やったな  本圓にすたん。
     あの頃の俺は、お前ず䞀緒に本気で正矩の味方になりたかったはずやったのに  」
     カゲダマ・リュりの目には、ほんの少し、少幎時代の光が戻っおいた。


     湟岞譊察に泚意を受けたタカシの前に、枯に来たミナミが立っおいた。
     「ミナミちゃん  蚌拠、掎んだぜ」
     ミナミが、初めお柔らかい笑顔を芋せた。
     「  モリさん、ありがずう」
     それは、限りなく銛に近いむントネヌションだった。
     タカシは照れながらお願いする。
     「今回は、俺のこずを新之助ず呌んでくれ」
     ミナミは、柔らかく埮笑んで蚀った。
     「ありがずう、新之助さん」
     タカシが調子に乗っお続ける。
     「タカシでもいいぜ」
     ミナミはすぐに衚情を戻し、ドラむに応じた。
     「ホントにありがずうございたした、森さん」

     マグマさんの声が、街䞭に優しく流れた。
     「熱い心は圱の闇を吹き飛ばし、枯の倉庫に陜が昇った。食糧は、たずここに䜏むみんなのものだ──そう思う、タカシンノスケであった」
     「おい、マグマさん 恥ずかしいナレヌション、入れんじゃねぇ」

     その倜、「海ず火の炉端」は久しぶりに倧盛況だった。
     新たに手に入れた米で炊いた倧盛りのご飯ず、カオリが挬けた野菜の浅挬けをみんなで囲む。い぀もより倧きな笑い声が響き、店内は枩かな空気に包たれた。
     その埌も、マグマネットには䜏民の声が届き続けた。
     「マグマ米で炊いた飯ず、獲れたおの刺身を䞀緒に食うのが旚いのよ」
     「旅先では、その土地で取れたもので䜜った料理が食べたいね」
     「食べ慣れた米の味が、りチにはやっぱり䞀番じゃ」
     やがおこの流れは党囜ぞ波及し、囜内の流通量ず䟡栌が埐々に安定しおいった。
     枯の向こうで、火山の煙が静かに星空に溶けおいった。

     
     
    「クロノ・グラフ」ずいう屋号は、単なる名前を超えお、あなたの魂の資質ず人生の目的そのものを映し出す鏡 です。倖界の喧隒から守られた静寂のアトリ゚の䞭で、独自の感性ず掞察力を研ぎ柄たし、闇の䞭に䞀筋の光( ルミナグラム)を灯しおいく旅は、すでに始たっおいたす。

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