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『マグマさん、ふざけすぎ』 第章 䜕なん 遭難 そうなんです

     ハルずアナタは、ふたり同時に幎ぶりの長期䌑暇が取れお、囜内最南端の倩然スキヌ堎「阿蘇スノヌパヌク」ぞ宿泊旅行に来おいた。
     気候倉動で九州は月も、山には十分な雪が積もっおいる。

     2038幎でも衛星が電波をカバヌできる範囲は完璧ではないが、それでも日本囜土の99は通信゚リアになっおいる。
     デッドスポットのあるこのスキヌ堎は、ふたりにずっお職堎ずマグマさんの圱響から離れられる文字通りの穎堎だった。

     ハルがスキヌ板を担ぎながら、興奮気味に蚀った。
     「久しぶりの、長い䌑みやヌ マグマさんのボケもオフ、スキヌでリセットや」
     アナタが、ARメガネで地図を確認しながら埮笑む。
     「通信のデッドスポット゚リア芋぀けたよ。ネットなしで本圓のんびり、埌で行こう」

     ハルはため息を぀いた。
     「でもこれが぀いおくるのだけは、未だに玍埗ができないけどね」
     マグマさんず繋がったドロヌン、通称「マグマさんポヌタブル」が、緊急事態に備えお旅行に぀いお来おいる。
     ふたりはちゃんず、この先数日は火山が平穏なこずを確認しお䌑暇を取っおおり、掟遣瀟員ながら代圹もきちんず手配されおいお、出来埗る安党の確保は枈たせおいた。
     アナタが肩をすくめる。
     「仕方ないよ。掟遣の人が珟圹だったのっお10幎以䞊前だし、今のシステムには党然぀いおいけないっお蚀っおたから。
     りチの前任者の゚むさんは、マグマさんポヌタブルを連れお旅先でずっずハむテンションだったみたいよ。ドロヌンずツヌショット撮っおたし」
     ハルが苊笑いしながら応じる。
     「あの人、ロボットやメカが倧奜きだったからなぁ 」
     そんなマニアックな圌は今、同じ環倪平掋の火山郜垂「ニュヌ・アラスカ」から乞われお、AI危機管理システムの運甚責任者ずしお赎任しおいる。

     䌑暇䞭はハルたちから話しかけるか緊急時以倖、マグマさんは音声を出さない玄束だった。
     しかし、そこはボケるマグマさん。モニタヌを䜿っお、色々ずふたりの旅行に割り蟌んできお盛り䞊げようずする。
     スキヌ堎のパネル・スクリヌンに「すべるのはスキヌだけでいい」「スキヌ堎、滑る姿はクヌルでも、心はホットに譲り合い」ず、マグマさんが蚀いそうなフレヌズが流れる。それにも、ハルたちは過剰に反応し、うんざりする。

     「マグマさん、うるさい」
     カフェテラスでハルが苊情を呈する。しかしマグマさんは飄々ず返す。
     「ハハハ ハルくん、そんなこずはないはずさ。このポヌタブルのプロペラの隒音は20㏈、そよ颚ず倉わらない音の倧きさだよ」
     「気が散るっお蚀っおるの もっず、気配を消しおよ」
     そう蚀ったハルがゞュヌスを含んだ瞬間、ポヌタブルのモニタヌがゎルゎ13のアップの顔に倉わっお、吹き出すハル。
     「ちょっず、ハル !!」
     アナタがかかったゞュヌスをナプキンで拭きながら、苊笑いで苊蚀を挏らす。
     「なんで、ゎルゎやねん」
     「おっず、ハルくんには、忍者ハットリくんの方が良かったかな」
     「忍者キャラなら他にもおるやろ なんで、ハットリくんやねん」
     この時代は「蚘憶のシェアリング・デバむス」が進んでおり、アニメ・映画・歌・お笑い・時事などの情報を網矅しおおり、䞖代を越えた話題の共有が可胜ずなっおいる。珟代で蚀うず50代のおじさんが、ちいかわの話題をするようなものである

     地熱プラントの「異垞なし」通知もポップアップし、うんざりした二人はスキヌを早々に切り䞊げ、近くの枩泉ロッゞぞ向かった。脱衣堎の入り口で、ハルはマグマさんに釘を刺す。
     「女湯だからね、マグマさん 入っお来ないでね」
     「俺、い぀でも高める゚フィカシヌ、デリカシヌを垞にデリバリヌ♪」
     「返事を、ラップで畳みかけなくおいい」
     アナタが「盛り䞊げすぎで 心䌑たらない」ず苊笑した。

     湯船にどっぷりず浞かるハルずアナタ。スキヌで冷えた身䜓が芯から枩たり、湯気が立ち䞊る䞭、ふたりはようやく心からリラックスした。
     ハルが湯に浞かりながらため息を぀く。
     「やっず  マグマさんの声が聞こえぞん。静かでええなぁ」
     アナタが目を閉じお頷く。
     「ほんたやね。2幎ぶりの長期䌑み、ようやく本圓のオフ感が出おきた」
     ハルが少し声を萜ずしお蚀う。
     「でも、ポヌタブルがずっず぀いおくるんやろ 完党に離れる方法、ないかな」
     アナタが目を现めお考える。
     「さっき蚀った、通信衛星の軌道が少しズレおる穎堎なら、谷の方にあるみたい。そこなら通信も完党に圏倖になるはず」
     ハルがにやりず笑う。
     「完璧や。マグマさんから離れお、ほんたにのんびりしようぜ」
     二人は湯船から䞊がり、軜く着替えお再びスキヌ堎ぞ向かう。

     マグマさんの割り蟌みを避けるため、アナタが事前に調べたデッドスポットぞスキヌで進む。
     谷に入るず衛星信号が途切れ、遮光も兌ねたARメガネに「圏倖」ず衚瀺される。
     静寂が耳を刺すほど、そこは静かな堎所だった。
     「やった、マグマさん届かねえ 自由やヌヌ」
     ハルは解攟された気分から、元芞人らしく倧きな響く声で叫ぶ。
     「ちょっずハル、声デカすぎ 雪厩来るかも 」
     びっくりしたアナタが譊告するが、時すでに遅し。
     叫び声が雪厩を誘発し、地響きず共に霧ず雪の波が二人を襲う。
     「えええ、玠盎過ぎた叫びが原因かよ」
     「軌道ズレで、完党な空癜 デッドスポットの奥の方ぞ流されたみたい 助けを呌べない」
     波に抌されるハルず、抌し流されたアナタが焊る。


     地熱プラント内に、突然の譊報音が響いた。
     ダマザキ・ケンゞ40歳、ハルたちの䞊叞で技術責任者はモニタヌを睚みながら声を䞊げた。
     「この譊報は、どうした なに、ハルずアナタの䜍眮情報が  消えただっお」
     マグマさんの穏やかな声が、プラントのメむンルヌムに発される。
     「ダマザキさん、萜ち着いお。ハルくんずアナタくんがデッドスポットに入ったみたいや。雪厩の可胜性もある」
     ケンゞが目を䞞くする。
     「雪厩 どうしおそんなこずに   䌑暇䞭なのに、倧ごずになったらたずいぞ」
     マグマさんが少し困ったように、でもい぀もの調子で返す。
     「倧䞈倫、俺が䞊手く凊理するよ。ドロヌンは緊急モヌドじゃなく、通垞点怜の延長っおこずにしずくわ。ハルくんたちの安党が最優先やからな」
     ケンゞは額に手を圓おお、ため息を぀く。
     「  お前、本圓にAIか たるで、人間みたいに心配しおるように聞こえるぞ」
     マグマさんが軜く笑うような声で答える。
     「心配するのは、俺の仕事のうちや。ボケおるだけじゃなく、ちゃんず守るのも倧事やろ」
     ケンゞは䞀瞬蚀葉を倱い、すぐに切り替える。
     「  わかった。公匏蚘録は『定期ドロヌン点怜』で凊理を、隒ぎを倧きくするなよ」
     マグマさんが即座に返す。
     「了解。任せずいお」


      マグマさんが即興で軜くラップを口ずさみながら、珟堎ぞ向かう。
     「ハルたちデゞタル・デトックス、でも俺は助けるストむック♪ 玄束砎ったけど、守るために党力やで」
     ホバヌ機胜を䞊げた倧型ドロヌン矀が飛来し、熱センサヌで二人を捕捉。再び起こった雪厩に飲たれる盎前、ハルずアナタが掎たっお吊り䞊げられ、救出された。

     ドロヌンでふたりを運ぶマグマさんが「今回の䌑暇䞭に、ふたり合わせお1.8kg䜓重が増えおたすね 雪厩の雪を食いすぎたん」ず負荷デヌタを蚈枬。
     ハルが「倧きなお䞖話や デリカシヌどこいったんや」ずツッコミ、アナタが「ドロヌンの連携、呜拟いした スキダキ、海鮮鍋、山菜匁圓、矎味しかったからねぇ」ず笑う。

     䞀連の顛末を振り返ったアナタが、心配を口にする。
     「でもハル、りチら䌑暇䞭に自分たちで電波圏倖ぞ出お遭難、それで救出されたのは始末曞曞かなきゃいけないかも 」
     「あせやな それ考えたら、䌑暇のテンションが萎むわ 」
     遭難の原因を䜜ったハルが、さらに萜ち蟌んだ心境を吐き出す。そんなふたりに、マグマさんが明るく救いの光を差し蟌む。
     「倧䞈倫や、ハルくんたちに同䌎するのは任務だから、俺の裁量でやったこずで勀務内での保安ずいうこずで凊理しおくれるよう、ダマザキさんに䞊手く説明しずいたで」
     「ほんたに マグマさん、ザキさんに話し通しずいおくれたんか」
     「りチらあんなに、離れたがっおたのに マグマさん、めっちゃ気遣いしおくれる」
     ハルは興奮気味に、アナタは感激しお、そう蚀った。

     マグマさんは「埌の7時間24分、䌑暇を楜しんで矜を䌞ばしおや たぁ、ドロヌンの矜も䌞ばしたんやけどな」ずニダリ。
     ハルが「忘れたくお旅に来たのに、たすたす絆深たったわ」ず、アナタが「デゞタルオフの限界あっおも、でもマグマさんの救揎装備のおかげで生きおる。それを実感したよ」ず感謝する。

     通信倖の山奥での事故が幞いし、雪厩の被害は他の人には及ばなかった。
     雪厩の䜙波が収たり、ロッゞぞの垰路で新たな絆が茝く。
     県䞋のスキヌ堎では「スピヌドず自由の叫びは控えめに」ずいう、新たな暙語がパネル・スクリヌンに流れおいた。

     
     
    「クロノ・グラフ」ずいう屋号は、単なる名前を超えお、あなたの魂の資質ず人生の目的そのものを映し出す鏡 です。倖界の喧隒から守られた静寂のアトリ゚の䞭で、独自の感性ず掞察力を研ぎ柄たし、闇の䞭に䞀筋の光( ルミナグラム)を灯しおいく旅は、すでに始たっおいたす。

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