風車村ドミヌラの祝祭に秘められた真実。混同しがちだが「黄金樹」と「黄金律」は別モノ【エルデンリング】
王都ローデイルの近くにある、一見明るそうな雰囲気かと思いきや、老婆らがひたすらに踊る不気味な村、ドミヌラ。
何らかの祝祭を挙げているようだが、実はその祝祭には狭間の地の重要な歴史が隠されている。
この記事では狭間の地の歴史を紐解きつつ、ドミヌラの祝祭が何を祀っているのかを考えていきたい。
第一~第四マリカ教会から整理する時系列と疑問点
エルデン世界の時系列を整理する上でカギとなるのが第一~第四マリカ教会の存在だ。
詳しくは上記記事で解説しているが、ナンバリングされたマリカ教会は、黄金樹勢力が争った火の勢力と対応関係にあり、古い順に1から番号がつく。
・第一マリカ教会:火の巨人
・第二マリカ教会:ゲルミア火山の大蛇
・第三マリカ教会:嵐の王?(ここでゴッドフレイ、瞳が褪せて追放)
・第四マリカ教会:宵眼の女王
だが、ここには少し時系列的な混乱を覚える要素がいくつか仕込まれている。
疑問点その1 黄金律の始まり
宵眼の女王(運命の死)に関連して、死王子の大ルーンのテキストを引用しよう。

黄金律は運命の死を取り除くことで始まった。
始まりが運命の死の封印だとしたら、なぜそれが「第一」ではなくて時系列的に最後の「第四」なのだろうか?
これを「第四マリカ教会の敵対勢力が宵眼の女王である」という仮説の破綻ととらえるべきか、またはこれが成立する何かが別にあると見るべきだろうか?
この疑問は、実は対となる最初の「第一マリカ教会」でメリナが語るマリカの言葉が解決の糸口となる。
戦士たちよ。我が王、ゴッドフレイよ
導きに従い、よくここまで戦ってくれた
あの頂きに、巨人たちを打ち滅ぼし、火を封じよう
そして、はじめようじゃないか。輝ける生命の時代を
エルデンリングを掲げ、我ら黄金樹の時代を!
巨人を滅ぼして火を封じたことで、「黄金樹の時代」を始めよう、とある。
つまり黄金樹の始まりは第一教会の時点、黄金律の始まりは第四教会の時点(宵眼の女王との戦いのあと)、と解釈したらどうだろうか。
「黄金樹」と「黄金律」は同一視しがちだが実は別物なのだ。
黄金樹は既にあり、黄金律は後から「律」として定めたもの、と考えたらどうだろうか。よくよく思い返すと「黄金律、ラダゴン」が登場したのは、ゴッドフレイが追放された後の話なのだ。
疑問点その2 ゴッドフレイの追放のタイミング
ナンバリングされたマリカ教会について、時系列的に大きく疑問を覚えるものが実はもう一つある。
第三マリカ教会の時点で、ゴッドフレイはマリカから祝福を奪われた。
その時の様子が、エルデ王装備からも読み取れる。
巨人戦争、嵐の王との一騎打ち…
そして、好敵手がいなくなった時
王の瞳は色褪せたという
「好敵手がいなくなった時」という一文、これがかなり謎だ。
なぜならば続く第四マリカ教会の相手勢力は、なんといっても運命の死を司る神殺しの「宵眼の女王」だ。下手するとこれまでの相手とも比較にならないくらいの真の最強格、裏ボスのごとき存在で、戦いは熾烈を極めたと推測できる。そんな相手を残して「好敵手が居なくなった」など、蛮地でも戦い続けるようなゴッドフレイが考えるだろうか?
とすると宵眼の女王はゴッドフレイ追放の後に出てきたと考えるのが自然で、かつ「ゴッドフレイが追放された後じゃないと生まれない」とも言い換えることができる。
宵眼の女王の正体に迫る
指に選ばれた神人

宵眼の女王とは、「指に選ばれた神人」なのだ。これが二本指か三本指なのかは定かではないが、ではそのように選ばれた「神人」は他に誰が居るか?
・マリカ
・ラニ
・ミケラ
・マレニア
マリカ自身を除けば、いずれもマリカまたはラダゴンの子らだ。
だとすると。
宵眼の女王も、どこか関係のないところからポッと出で選ばれた神人なのではなく、彼女もまたマリカの子だとしたらどうだろうか?
メスメルとメリナの時系列
いったん宵眼の女王についての話を進める前に、メスメルとメリナが生まれた時系列も整理する必要がある。
どうもメリナとメスメルは兄妹であるらしいというのは、広く知れ渡っている。ではメスメルはいつ生まれたのだろうか?
共に獅子の兄であったが故に
そして、その生まれを呪いと呼ばれたが故に
ガイウスはメスメルの将となり、友となった
影の地で宿将ガイウスを倒すと入手できる追憶には、共に「獅子の兄」であったと書かれている。獅子とはラダーンのことだ。ガイウスはラダーンの兄弟子だからだが、メスメルがラダーンの兄であるとも書かれている。
ラダーンは、ラニ、ライカードとともに、レナラとラダゴンの子だ。
すなわちメスメルが生まれたのは、レナラとラダゴンが婚姻する前ということになる。
メスメルはマリカを明確に「母」と呼んでいる。しかしゴッドフレイの子かというと、だいぶ毛色が違う。
とすると、マリカ/ゴッドフレイの後、そしてレナラ/ラダゴンの前に、何かもう一つの婚姻関係があり、それによってメスメルとメリナが生まれたと考えられないだろうか。

火の幻視を宿す者達
メスメルとメリナは「火の幻視」を宿している。
メスメルの中には、邪な蛇が蠢いていた
母は、その瞳を封印の祝福に入れ替え
それでもなお、彼を影に隠した
メリナは左目に何らかの火の幻視を宿し、狂い火ENDではその左目を開き「運命の死」を狂い火の王となった褪せ人にもたらそうとする。
これを踏まえた上で、やっと宵眼の女王の話に戻る。そう、宵「眼」の女王もまた火の幻視を宿すマリカの子で、メスメル、メリナと兄妹であったと考えたら、すっきりと整理がつくのだ。

三本指が指の母の不肖の子として隠された(※)と同様、宵眼の女王もまた不肖の子として隠されたのだとしたら、その構図もまた綺麗な相似形を作っていることとなる。
そして宵眼の女王の兄妹であるメスメル、メリナもまた、影の地やローデイルの隠れた一室に幽閉された。父の存在は歴史から抹消されたのだろうか。
メリナが左目に宵眼の女王のものと思われる力を宿し、「運命の死」について度々褪せ人に語るのは、彼女らが兄妹だからということだ。メリナの使う祈祷が古い黄金樹のものであることもここで符合する。
(※)指の母と三本指、歴史の抹消については以下記事で仮説を立てている。
さて、もし宵眼の女王がマリカの子だったとしたら、相当ヤバいことをやっていることが作中でも示唆されている。ヤバいこととはなにか?
彼女、黄金樹燃やしてない?
風車村ドミヌラの祝祭の正体
宵眼の女王がやったこと
ローデイルにほど近い場所にあるドミヌラで手に入る装備に、宵眼の女王がやったであろうことが描かれている。

祝祭の礼服はドミヌラの村人たちが着ているもので、なかでも祝祭の青装束は「祝祭の主役、年乙女にだけ許される」青く美しいマントだとテキストには書かれている。
その背中には、上図のような紋様が描かれている。
祝祭の青装束(左)では、空から垂れ下がる黒炎のような紋様が、下に描かれた木々に降りかかろうとしているように見える。これは黒炎の祈祷のマークにも似ており、垂れ下がるような「重い炎」を表していると同時に、村の奥にボス「神肌の使途」がいることとも符合する。
また、通常の祝祭の礼服の方には黄金律祈祷のマークが入っている。つまりこの村では、黄金律と黒炎(運命の死、宵眼の女王)に同時に関係する何かがあるということだ。
さらに、黄金律祈祷のマークには、現黄金樹祈祷と古い黄金樹の祈祷があり、古い方には木の根、幹、枝があるが、現在のものにはない。
(引用元:https://eldenring.swiki.jp/index.php?%E3%82%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E9%A1%9E)
ELDEN RING 設定考察 Wiki様より

黄金樹の護りの祈祷には「数知れぬ戦いと勝利によって、それは律となった」とあるので、律になる過程で発動印から樹木が消えたことが伺える。運命の死を封印したことで、その発動印が変わったのだとしたら。
祝祭の礼服に描かれたものと合わせて考えると、宵眼の女王との戦いで黄金樹が燃やされた可能性があるのではないか?
もしも黄金樹は、古い時代には実体があったとしたら。
しかし宵眼の女王がそれを燃やした。
今の黄金樹が透き通った見た目をしているのは、霊廟騎士のように実体ではなく一度死んで霊体になったから……そんな解釈もなくはなさそうだ。

また、指読みのエンヤは、黄金樹を燃やそうとする褪せ人に対して、このように言っている。
それは、人の身には決して許されぬことじゃ
黄金樹を焼くは、原初の大罪。まして、死のルーンの力を求めるとは…
死のルーンとは、即ち運命の死
黄金の律のはじまりに、取り除かれ、封じられた影
ここにはいくつかの重要な示唆が含まれている。
まず黄金樹を焼くは「原初の大罪」だという。未だかつてない、とか前代未聞、とか誰もやったことない、ではなく「原初」。つまり「原初」にだれかそれをやらかしているというわけだ。
原初とは「黄金律のはじまり」の時と解釈した場合、宵眼の女王が黒炎で黄金樹を焼いたのではないかという仮説に符合してくる。
さらには「人の身には」許されないとエンヤは言っている。まるで(神人はやったことあるけどネ)と言わんばかりに、あえて「人」というワードを出してきていないか。
そのような黄金樹勢力と宵眼の女王と戦いの過程で、ラダゴンによる「黄金律原理主義」を打ち立てる必要性が生じたのだとしたら。

黄金律原理主義の祈祷の発動印は、中央の連環(エルデンリング)同士を連結させながら、まるで正三角形による「枷」を嵌めたような形にも見える。
黄金樹と黄金律が別物であること
さて、冒頭のマリカ教会の話では、「黄金樹と黄金律が別物」だということを強調した。
ここで、山嶺の巨人の火の釜~王都ローデイルが灰になるまでの流れを思い返してみよう。
ファルム・アズラに連行されてそのままクリアしてしまった人も多いと思うので、とくに意識して区別するような話でもないと思われるかもしれないが、巨人の火の釜を燃やすことだけでは黄金樹の奥まで至ることはできない。ファルム・アズラのマリケスを倒すことによる死のルーンの解放で、初めて黄金律ラダゴンへの道が開かれる。この二段階を経る必要がある。
つまりは黄金樹、黄金律(奥の部屋へ行くのを封じているのはラダゴンの印)の二段階を突破することで、初めて奥に至る道が開けるということだ。
祝祭に秘められた物語
さて、こう考えると、宵眼の女王の一派である神肌の使途が居る風車村ドミヌラのような場所が、なぜローデイルの近くに存在を許されているのか、なんとなく説明がついてくる。
宵眼の女王はマリカの子であり、二人は戦ったといえど親子なのだ。
ドミヌラの祝祭とは、宵眼の女王とそれが起こした顛末、そして母娘の物語を密かに伝える儀式がその正体だ。祝祭の主役で青を着る役の”年乙女”というのは、宵眼の女王を象徴しているのだろう。神話の出来事と、その象徴となる人物を暗に伝える、なかなか祝祭らしい祝祭ではないだろうか。
祝祭の密かな黙認は、女王マリカの、我が娘を忍ぶ追憶なのだ。

補足:
ちなみに祝祭の青装束が「美しい青」なのもまた意味がありそうだ。
運命の死を封印している地であるファルム・アズラの語源を考えると、ファルムは「灯台」、アズラはAzureから来ており「青」を意味する。
2026/9/28追記
以下記事で続編となる内容を投稿。
ドミヌラの祝祭には、母のみならず父の追憶も隠されていたことが判明。
https://note.com/blueneet_nr/n/n3d708482479d
終
