宵眼の女王=褪せ人説?すると父親は……【エルデンリング】
前回記事にて、宵眼の女王がマリカの娘であることを論じた。
ドミヌラの祝祭とは、宵眼の女王とマリカの戦いが密かに刻まれ、娘を追悼する「黙認された祝祭」だったのだ。
さて、であるならばいったい父親は誰になるのであろうか?
※なおこの記事では宵眼の女王の父親マリケス説を論じたが、これはただの言葉遊びなのでボツ稿とした。
今回は宵眼の女王の正体に更に迫っていくとともに、父親がだれにあたるかを論じていきたい。
そもそも運命の死とは何か?

宵眼の女王は「運命の死」の力を持ち、神肌の軍勢と「黒炎」を使い、黄金樹勢力と争った。そして、蝕紋の盾のテキストから考えるに、どうもデミゴッドの大敵であるようにも思える。
さて、デミゴッドの大敵。
我々は、デミゴッドの大敵というべき存在を一人、よく知っている。
史上最も多くのデミゴッドを葬った者は誰か?

そう、褪せ人である。
運命の死とは、褪せ人自身のことだったのだ!!!

しかし驚くことに、運命の死とは褪せ人のことであると考えると、妙に符合してくる点がいくつある。それについて挙げていきたい。
「宵」眼について
狭間の地には数字のつくマリカ教会があり、それに設置されたマリカ像は、かつて争った火の敵対勢力を背にして立っていると以下の記事で説明した。
・第一マリカ教会:火の巨人
・第二マリカ教会:ゲルミア火山の大蛇
・第三マリカ教会:嵐の王?(ここでゴッドフレイ、瞳が褪せて追放)
・第四マリカ教会:宵眼の女王
第四マリカ教会は、海岸にほど近い場所に、日没方向を向いて建っている。
日没とはつまり「宵」であり、当たり前の話だが「朝」の反対でもある。
ところで、褪せ人はゲーム開始時より以下のようなアイテムを保持している。曰く、「死せる褪せ人を狭間の地に導いた最初の祝福の記憶」というので、世界観的には何か鍵を握っていそうな雰囲気のあるアイテムでもある。

この祝福の記憶だが、よく見ると海面に光が射しているようなビジュアルとなっている。朝日か、夕日かは判然としない。しかし、もう一つ重要な事実として、褪せ人は「死んで復活する時、必ずゲーム時間が朝にセットされる」ということがある。すると、このアイテムのビジュアルは朝陽が海面に映る光景であり、日昇が褪せ人の復活に深くかかわっていそうということが推察される。

さて、海に映る朝陽の光景が目に映り、「最初の祝福」を瞳に宿した褪せ人を狭間の地に導いたとすると、その反対はどうなるだろうか。その瞳から祝福の光を失い狭間の地から追放される。祝福が朝だとするのであれば、それを失うことは、眼に宵が訪れるということにならないだろうか。
宵眼の女王=褪せ人説
もし宵眼の女王が褪せ人であると仮定した場合、以下のような点が不思議と符合してくる。
・「運命の死」というワード
褪せ人は、ボスを倒すまで何度でも蘇って戦う。これは、戦うことができる相手である以上、いつかは必ず死する運命にあると言える。運命の死とはそのようなものではないか?
作中の特別な力としての「運命の死」の正体は未だ不明ながら、「運命の死」というワードが、ゲーム的に確実に死することを運命と呼ぶ意味も含んだワード設定であったならばどうだろうか。
・神肌剥ぎ
宵眼の女王は神肌の貴種・使途たちを率いて戦っていたという。
神肌たちのビジュアルを見てわかる通り、殺した神の皮を剥いで、それを自らの装備とし、おそらく戦技らしきものまで盗み取っている。
さて、褪せ人はどうだろうか。ほしい装備一式をNPCが着ている。そのNPCを襲って追い剥ぎを働くなど日常茶飯事ではないか。
・ゴッドフレイが瞳から祝福を失った直後に現れている
第三マリカ教会で嵐の王と戦った直後、ゴッドフレイは好敵手を失い、瞳から色が褪せ、狭間の地から追放された。
その直後の第四マリカ教会にて、宵眼の女王との戦いが行われた。時系列的に非常に近く、ゴッドフレイの瞳が褪せる原因を宵眼の女王が作ったか、あるいは祝福を奪われたことでマリカに反旗を翻したか、ということが伺える。
・黄金樹を焼いたこと
前回記事で論じたが、どうも宵眼の女王は黄金樹を焼き、それがドミヌラの祝祭で暗示されているのではないかと思われる。
もし「祝福を奪われたことを原因としてマリカに反旗を翻した」と仮定したら、動機的にはこの仮説の補強となる。そこには、祝福を奪われたならその象徴自体を燃やしてやれという、どこか親への反抗じみた幼稚な動機が垣間見えはしないだろうか。
また、この仮定からは神人であった彼女がその資格を奪われたことへの失望も同時に読み取ることができる。マリカを継ぐのが神人であるので、失望があったとしたらその裏には、本当は母マリカの後継となることに前向きであった気持ちがあることになる。後の神人たちが揃いも揃って継ぐ気がなさそうにしているのを見ると、最初の神人である宵眼の女王が実は後継者として最も希望を持っていた、と考えれば、のちの神人達との対比構造が鮮やかとなる。
そのような娘だから、マリカもドミヌラの祝祭として彼女の追憶を残したのだ、という感じで物語として納まりが良い。
で、宵眼の女王が黄金樹を焼いたとしたら、今作の褪せ人も全く同じことやってるよねという話。神肌剥ぎの話と同様、黄金樹を焼くところも似通っている。
2026/9/29追記始=====
また、「黒炎」のモチーフについても補足しておく。
黒炎は黒と白のエフェクトが揺らぎ炎のように燃えるような演出となっている。炎に関連しこのような白と黒のモチーフを結びつけるなら、個人的には「石炭」がありうる。石炭は黒く、なかでも炭化の度合いが高いものは白い光沢を帯びる。
また石炭は樹木由来でもある。エルデンの作中では「琥珀」が重要な位置を占めるが、琥珀とは樹脂が化石化したものだ。同様に、石炭は古い時代の樹木が化石化したものだ。
黒炎のモチーフが石炭だとすると、宵眼の女王が樹木由来の炎の力を扱うこと、そしてその力を使うこと自体が樹木を燃やす冒涜だということが同時に言える。
また、樹木が化石化するには腐敗せず長い年月を経る必要があるが、古生代は樹木を分解する菌がまだ登場しておらず、その多くが石炭となった。古生代とはオルドビス紀、シルリア紀、デボン紀、石炭紀の順に並ぶ。
神肌の貴種のフードのテキストにある「人ならぬ諸相(中略)坩堝に似ていた」とあることとも符合する。
※ただし坩堝はデボニアが最古参なので、必ずしも整合しないが。
2026/9/29追記終=====
・ドミヌラのオブジェ
上部が弧を描く十字架のようなオブジェが、狭間の地の各地で見られる。
リムグレイブに無数に立っているそれには褪せ人を苦しめるために磔にする道具でもある。この近くを通ると、磔になった者達の苦しそうな呻き声が聞こえる。
しかしながら、ドミヌラではそのオブジェは奇麗に花で飾られ、彩られ、祝祭の大切な祭具として扱われている。

ドミヌラの祝祭は宵眼の女王(=褪せ人)の祝祭であるという仮説に立てば、このオブジェが大切に扱われていることが符合する。
・褪せ人が作中で特別嫌われていること
ゲームを進めていく中で、「foul tarnished(汚れた、腐った、汚臭のする)」という言葉を聞いたのは一度や二度ではないはずだ。褪せ人は、作中で相当に嫌われている。tarnished(褪せ人)という言葉にも褪せる、くすむ、汚れて色落ちするという意味合いがあるので、二重に貶されているわけだ。
狭間の地のしろがね人に対する差別も相当なものがあるが、正直言って褪せ人の扱いは時に亜人などよりもひどい場合もある。
しかし黄金樹を焼いた者と同族であるという認識を持たれている場合は、非常に納得のいく扱いだし、運命の死をもたらすものと思われていれば尚更といえるだろう。
・日蝕と死のフレア
冒頭で蝕紋の盾に触れた通り、日蝕は「運命の死」を遠ざける。
祝福(朝の陽光)に導かれるのが褪せ人なら、その陽の光を遮る日蝕は、たしかにそれを遮るものとなる。また「蝕のショーテル」の戦技は、武器に死の状態異常をエンチャントするものだが、この死の状態異常とは褪せ人にのみ有効だ。日蝕=死の状態異常=褪せ人に有効=運命の死を遠ざける、ということで意味は繋がってくる。
・最初のデミゴッドの死?
デミゴッドで最初に死を迎えたとされるのは黄金のゴッドウィンだ。これは破砕戦争の直前期なので、「運命の死の封印により黄金律が始まった」とされる宵眼の女王との争いよりずっと後の話だ。宵眼の女王はマリカの娘なのだが、ゴッドウィンよりさきに死んでいるはずなので矛盾しないか?と思われる。ただ、ゴッドウィンは作中でも何度か「わざとらしく」強調されている通り、最初のデミゴッドの死なのだ。宵眼の女王は神人なので、デミゴッドとは区別されているとは読めないだろうか。
追記→※あるいは封印されただけで死んではいない?祝福を失うとデミゴッドではなくなる?この点は要考慮。
・狂い火ENDでのメリナの台詞
狂い火の王となった褪せ人にブチ切れたメリナは、必ず褪せ人に「運命の死」を与えると宣言し、エンディング映像は終了する。これは演出自体に意味がある者だと思っている。というのも、このエンディングは「続編」とか「第二部」とかいったものを期待させる演出になっている。つまり次回作でメリナ自身、あるいはその他の主人公がプレイアブルとなり、その者がからなず魔王となった前作主人公を倒しに行く、というのを「運命の死」と表現しているのだ。今作で褪せ人がデミゴッドたちにやったことを、次回作で全く同じくやり返されるという、メタ的な構造になっているというわけだ。
宵眼の女王の父親は誰か?
褪せ人である以上、ゴッドフレイの子孫となる。宵眼の女王は神人でもあるため、マリカの直接の娘であると考えるのが自然なので、この仮説に立てば父親は必然的にゴッドフレイとならざるをえない。
・火を使うゴッドフレイの子供たち
女王マリカ、あるいは黄金樹のもとに産まれた者でありながら、モーゴッドもモーグも火を扱う。モーゴッドの呪剣は出血と炎属性の追撃がついているし、モーグは血炎の力を扱う。「原初の黄金は、より生命に近く故に赤味を帯びていたという」というテキストもあるが、これは生命の赤=血から発出していると考えると、モーゴッドとモーグが血の力を扱うこと、さらに火は角の発現から来ていると推測される。(焼炉の面のテキストで、角人たちの伝承にある火の悪神についての記述がある。この辺りは別途考えていきたい)
また、メスメルとメリナも火の幻視を宿している。この二人の父親は定かではないが、前回記事の立場を取るならこの二人の父もゴッドフレイということになる。いずれにしても、ここまで出てきた四者はいずれも火をその身に宿している。だからこそ、いずれも忌み子として捨てられ、あるいは影の地や隠し部屋に幽閉された。唯一黄金だったのはゴッドウィンだけだったということだ。
・青色が特別な色であること
ドミヌラの祝祭では、「青く染め上げられた美しいマント」が年乙女が着る特別なものとなっていた。宵眼の女王役を演じる年乙女だけが、その美しい青を背に踊ることができる。

ではゴッドフレイはその背に何色を負っていたか。

宵眼の女王にとっては、青こそが特別だったのだろう。童謡の「赤とんぼ」は、秋の夕暮れに染まる赤一面の美しい野山が、母の背に負われた幼い頃の原風景となった様を歌ったものだが、宵眼の女王が幼い頃に父の背に負われて見たのは、数多の戦いを経てなお褪せない力強い青だったのだろうか。
終
