「二本指」とはなんだったのか?エルデン世界の理解に欠かせない「指」について整理【エルデンリング】
褪せ人達が円卓で相見えることになる「二本指」。
指読みの老婆が傍に控え、物言わぬ二本指が受信した「大いなる意志」の言葉を、老婆が褪せ人に伝えてくれる。
どうやら二本指とは信仰の対象であり、この世界の神と思われる「大いなる意志」の眷属であり、その神の意志を受信する役割を持っているようだ。
狭間の地に登場する「指」
狭間の地にはいくつかの「指」に関連するものが登場する。
大きくは以下のような「指」がいるようだ。
・二本指(円卓、マヌス・セリスの教会)
・三本指(ローデイルの地下深くに幽閉)
・指の母メーテール(マヌス・メテルの教会)
・ユビムシたち(カーリア城館や指遺跡など各地)
ユビムシたちは敵としてその辺を歩き回っており、火属性に特に弱いようで、火を当てると痛そうに転げまわる動作をする。そしてこれが実は後に重要な意味を帯びてくるが後述する。
二本指、三本指、指の母の関係
影の地に登場するボス「指の母、メーテール」の追憶テキストにはこのように書いてあり、「指」たちと「大いなる意志」の関係性が一発で分かる。

指の母、メーテールとは、「大いなる意志の娘」であり、「全ての二本指たちの母」だという。
つまり大いなる意志はメーテールを狭間の地に落し、メーテールは二本指を産み、二本指がマリカを導いて黄金律を創造したということだ。

さて、ここで「三本指」についても考えてみたい。
三本指は反=黄金律ともいうべき力である狂い火により、黄金樹を燃やして黄金律(この世界自体)を乗っ取ろうとしているようだ。
狂い火は本編およびDLCを通じて特に恐ろしい力として描かれる。甘言により人を唆し狂い火の道に誘うシャブリリ、盲目の世界に光を点す暖かな存在かと思わせて実は狂い火に魅入られたハイータ、そして彼女が徐々に狂っていく様子。表面的には優しく見えるが、その内は得体のしれぬ悪意と狂信で満たされた力、それが狂い火だ。
褪せ人がローデイル地下の三本指から狂い火を受領しようとすると、メリナに強く反対される。また、狂い火の王ENDを迎えた場合、メリナが激怒して運命の死を与えようとしてきたりする。(メリナはマリカの言葉を伝え、おそらくマリカから与えられたであろう使命に基づいて褪せ人を導く存在なので、狂い火がいかに反=黄金樹的な位置にあるかよくわかる)
では三本指は一体どこから来たのだろうか?
三本指がどこで生まれたのか
ところで、影の地の「指の遺跡」の位置関係を見てみよう。

指の母メーテールの居場所であるマヌス・メテル教会を挟みつつ、
・北は女王マリカ発祥の地である巫女の村があり、そのすぐ右にデオに指遺跡がある
・南は狂い火に侵された奈落の森があり、そのすぐ下にリアの指遺跡がある
マリカは二本指によって導かれた。とすれば、二本指はデオの指遺跡で生まれたと見るのが正しいだろう。
そして、その対応関係を敷衍するのならば、狂い火の奈落の森のすぐ近くにあるリアの指遺跡から三本指が生まれたと見るべきだ。
なぜこれが言えるのかといえば、そもそも指の母のフレーバーテキストが怪しさ感じるものだからだ。

ここでは意図的に三本指が無視されている。
大いなる意志の「輝ける娘」たる自らが産んだ子が、大いなる意志に反した不肖の子だったとしたら?指の母は、三本指を「なかったこと」にしたのだ。各種アイテムのフレーバーテキストは、何らかの伝承のような語り口で書かれているが、あまりにも都合の悪い存在を伝承から「抹消した」としたらどうだろうか。わざわざ「全ての二本指」の母であると語り、そして何かが抹消されている気配を、このテキストの「わざとらしさ」が醸している。
二つの指遺跡において指の鐘を吹くことで、マヌス・メテル教会地下にいる指の母メーテールに相見えることができる。
その鐘から発する音色は、指たちが母を呼ぶ、寂し気な声なのではと思えてならない。
メーテールの語源とマヌス教会について
メーテールとはギリシャ語で「母」を意味する。
メーテールと言われると、宇宙の旅をテーマにした漫画『銀河鉄道999』のヒロイン、メーテルを連想する人も多いと思う。実はメーテルも同じ語源からのネーミングだ。(補足:主人公の鉄郎は、機械化人間に母を殺害され、直後に母とそっくりな美しい女性、メーテルと出会うのが銀河鉄道999の冒頭だ)
また、英語版表記は「Metyr」となっており、流星や隕石を意味する「Meteor」を彷彿とさせる綴りでもあるので、フレーバーテキストにもある通り「最初の流星」ともかかっている語だと言える。
なかなかいろいろな側面を宇宙に引っ掛けた乙なネーミングではないだろうか。
また、指の母メーテールが居るのが影の地の「マヌス・メテル教会」なのだが、実は似た名前の場所がリエーニエにもある。それが「マヌス・セリス教会」だ。
ここは月の民の廃墟がある高原で、北側に幻想的な月の見える場所であり、褪せ人がラニ様に暗月の指輪を送り伴侶となることを誓った場所であるとともに、「指殺しの刃」を使ってラニが二本指を派手に殺害した地でもある。

「マヌス・セリス」とは英語表記で「Manus Celes」となっている。
Manusとはラテン語で「手」を意味する。(Manual:手動、とかの語源だ)
またCelesとは意味があまりはっきりしないが、ラテン語で「隠す」、あるいてCelesteで「天空」の意味、あるいは太陽系の準惑星であるCeres(ケレス)のもじりだ。
ケレスはローマ神話の地母神であると同時に、ギリシャ神話のデーメーテルと同一の神である。デー(大地)+メーテール(母)というものなので、ここでもメーテールが出てくるというわけだ。
ちなみにケレスには惑星記号があるが、↓こんな形をしている。ちょっとしろがね人の武器(欠波紋の斧槍)に似ている気がしないでもなくもなくない。

マヌス・セリス教会の真下にしろがね人の村があるのも付記しておこう。また、ケレスの惑星記号は金星(♀)の惑星記号の円が欠けた形でもある。
ともあれ、ここでは「指」に関わる教会の名前にManus=手が使われており、それぞれの地下に「指」が居るということのほうが重要な意味を持ちそうだ。
指と宇宙
エルデンリング全体を通して、宇宙に関するモチーフは数多く登場する。
これまで見てきたように、指に関しても「流星」「メテオ」など、また大いなる意志に関しても暗黒の落し子・アステールやエルデの流星など、どうやら宇宙的な存在であることは数々の設定やテキストから読み取れる。
ではなぜそのような大いなる意志の遣いが「指」であったのか。
それは人に対し運命を「指し示す」ものだというのが第一にあるだろう。あるいは星空を指でなぞる、というロマンティックな表現も歌などで耳にする。または、世界を「手中に収める」という意味もあるかもしれない。
メーテールと戦った方はご存じだろうが、メーテールのHPを6割くらいまで減らした時の形態変化のエフェクトは圧巻で、重力波の奔流の後に淡く輝く小宇宙が指の上に浮かぶ。まさに宇宙を手にしているかのような演出だ。
指は炎に弱い
各地のユビムシに炎系の攻撃を与えたことがある人は分かると思うが、ユビムシがのたうち回って苦しむ様子を見せる。
大いなる意志=二本指がマリカを導いて黄金樹を創造したことを踏まえ、黄金樹と対立する勢力をよく思い出してみたい。
・宵眼の女王/神肌の貴種・使途たち(黒炎)
・火の巨人族(悪神の火)
・ライカード(ゲルミアの冒涜の蛇)
・三本指(狂い火)
火を使う勢力が非常に多いことが分かるだろう。樹が燃やされると弱いのはその通りなので、黄金樹は火を抑え込むための戦いを続けてきていると読むべきだろう。特に黒炎については、運命の死(宵眼の女王の力)を取り除くことで黄金律は始まった、というテキストも存在するくらいだ。
このような対立の構図を考えると、ユビムシ達が火に弱いのは当然かもしれない。ひいては、おそらく大いなる意志も火と対立する関係にあるのかもしれない。
終
