
業務AIの真打ち Copilot Coworkとは─料金と使い方、M365 Copilotとの違いを整理
2026年3月9日、MicrosoftがCopilot Coworkを発表しました。
AnthropicのClaude Cowork(2026年1月発表)をベースに、M365の企業環境で動くように再設計されたAIエージェントです。
M365 Copilotが「使えない」と言われてきた体験は、これで変わるのでしょうか。料金・ライセンスやセキュリティ設計を含めて、元インフラエンジニアでMicrosoftベンダー資格取得者でもある本職視点で整理しました。
先月、「M365 Copilotの失敗体験が、非エンジニアのAI利用の試行錯誤を止めていた」という記事を書きました。今回はその続きとして、AnthropicとMicrosoftの製品を対比しながら、Copilot Coworkで何が変わりうるのかを考えてみます。
私は大手IT企業で企画職として働いていて、業務用のClaude Codeを日常的に使っていますが、企画チームでClaude Codeを使っているのはチームで私だけです。
IT企業でもこの状況ですから、日本のほとんどの企業では「AIエージェントを使っている非エンジニア」はまだほぼいないのではないでしょうか。その目線で、Copilot Coworkの発表を読み解いてみます。
※本記事は2026年3月12日時点の情報に基づいています。Copilot Coworkは現在Research Preview(限定検証)段階であり、正式リリース後に仕様が変わる可能性があります。
追記:日本でも3月30日頃より利用できたという報告があります。私の利用しているテナントではまだ利用できていないのですが、利用できるようになれば新しい記事を作りますが、SNSの情報を追う限りかなり評判いいです!
再追記:CopilotCoworkを使ってみた記事を公開しました!(2026/04/27)
Copilot CoworkとClaude Cowork──AIエージェント6製品を整理する
AIエージェントの発表が相次ぎ、名前も似ていて混乱しやすいので、まず整理します。
AnthropicとMicrosoftにそれぞれ3つの製品があり、対応関係があります。

Anthropicの3製品:Claude・Claude Code・Claude Cowork
Claude(ブラウザ・アプリ)
いわゆる「チャットAI」です。ブラウザやスマホアプリから使えます。
質問に答えたり、文章を書いたり、分析をしたり。ChatGPTやGeminiと同じカテゴリの、対話型AIです。
アーティファクトという機能があり、文書やコードをチャットの横に表示しながら対話できます。私は簡単な調べものや、単発で終わるタスクに使っています。
Claude Code
開発者向けのCLI(コマンドライン)ツールです。前回の記事でも触れましたが、PCのローカルファイルをAIが直接操作するのが最大の特徴です。
「このフォルダを整理して」と言えばAIが自分でファイルを移動・編集・削除する。「このコードを修正して」と言えばソースコードを直接書き換える。AIが「手を動かす」ツールです。
私はClaude Codeを壁打ちや個人開発に愛用していますし、この記事もClaude Codeで構成を手伝ってもらっています。
ただし、前回の記事で「全社員に利用させるAIとしてはリスクの塊」と書いたとおり、ローカルファイルを直接操作するという性質上、企業での全社導入はセキュリティ面で非常に難しいです。
Claude Cowork(2026年1月発表)
Anthropicが開発した、デスクトップ向けのAIエージェントです(Claude Cowork 公式ページ)。
Claude Desktopアプリ内のローカルVM(仮想マシン)上で動作し、選択したローカルファイルにアクセスできます。
Claude Codeが「開発者がコマンドラインで使うツール」なのに対して、Claude Coworkは「誰でもデスクトップで使えるAIエージェント」です。タスクを説明すると、計画を立てて自律的に実行してくれます。$20/月のClaude Proサブスクに含まれます。
Microsoftの3製品:Copilot Chat・Copilot Studio・Copilot Cowork
Copilot Chat(M365 Copilot)
M365に組み込まれたチャット型AIです。前回の記事で詳しく書きましたが、Copilotのポータル画面を中心に、Outlook、Teams、Word等のM365アプリ内でも使えます。
M365 Copilotには「リサーチツール」などの組み込み型AIエージェントがあるほか、ユーザーが自分でAIエージェントを作成することもできます。
ユーザー作成のAIエージェントは、資料の要約レベルであれば対応できますが、メモリが小さいため一度に多くのタスクはこなせず、分割しながら進める必要があります。複雑なワークフローをこなすAIエージェントは作れません。
2025年11月頃と比べると、2026年年始のアップデートで品質は改善しましたが、仕事で使っている感覚では、まだ実用的な領域にはたどり着いていません。
前回の勉強会で「CopilotのAIエージェントを知っている:0%」だったのは、これらのエージェント機能のことです。性能以前に、存在自体が知られていない状態でした。
Copilot Studio
カスタムAIエージェントを構築するためのプラットフォームです(Microsoft Learn: Copilot Studio)。業務プロセスの自動化エージェントを構築できます。
前回の記事では話が複雑になるため紹介しませんでしたが、M365 Copilotの世界には以前からこのツールがありました。
つまり、M365 Copilotの「AIエージェント」には2種類あります。Copilot Chatに組み込まれたビルトイン型(リサーチツール等)と、Copilot Studioで自分で構築するカスタム型です。
ただし、ビルトイン型は存在が知られておらず、カスタム型は設計にスキルが必要。どちらも非エンジニアの営業職や事務職が気軽に使えるものではありませんでした。
Copilot Cowork(2026年3月9日発表)
今回の記事の主役です。Claude Coworkの技術をベースに、M365の企業環境で動くように再設計されたAIエージェントです(Microsoft 365 Blog、Fortune報道)。
MicrosoftとAnthropicが共同開発しています。M365アプリ(Outlook、Teams、Excel、PowerPoint、Word)を横断して、タスクを自律的に実行します。
M365クラウド内で完結する設計で、ローカルPCのファイルは直接操作しません。

Claude Coworkが先行して示した「AIエージェント」の体験
Copilot Coworkを理解するために、まずベースとなったClaude Coworkで何が変わったのかを見てみます。
チャットAIとAIエージェントの根本的な違い
従来のClaude(チャット)は、ユーザーが質問して、AIが回答する、その繰り返しです。
1つの作業が終わったら、また次の質問をする。AIは「聞かれたことに答える」存在でした。
Claude Coworkは違います。ユーザーが「何をしたいか」を説明すると、AIが計画を立てて、バックグラウンドで自律的にタスクを実行します。
ファイルを整理し、データを集約し、レポートを作成する。重要な判断ポイントではユーザーに確認を取りながら、数分から数時間にわたって作業を進めます。
Claude CodeからClaude Coworkへ──非エンジニアへの開放
この「AIが自分で手を動かす」体験は、Claude Codeで開発者が先に体験していたものです。
Claude Coworkはそれを、コマンドラインではなくデスクトップアプリから「来週のレポートを作って」と頼むだけで使えるようにしました。
開発者でなくても、AIエージェントの体験ができるようになったわけです。

Copilot Coworkへの期待──Copilot ChatやCopilot Studioの限界をどう超えるか
Claude Coworkが先行して示したAIエージェントの体験を、M365の企業環境に持ち込む。それがCopilot Coworkの狙いです。
では、既存のCopilot ChatやCopilot Studioでは、なぜこの体験ができなかったのか。
Copilot Chatの限界──1問1答とメモリの制約
1問1答の繰り返しで、マルチステップの自動実行ができない
「Excelで分析して、次にWordにまとめて、PowerPointを作って」を連続でやらせることができない
メモリが小さくコンテキストが維持できないため、前の作業の内容を覚えていられない。会話が長くなると、最初に伝えた前提や指示が抜け落ちてしまう
前回の記事で書いたとおり、リサーチ精度が低く、架空URLを生成する問題もある
バックグラウンド実行ができないので、ユーザーが画面の前にいる必要がある
組み込みのAIエージェント(リサーチツール等)は存在するが、前回の勉強会で知っていた人が0%だったように、そもそも認知されていない
Copilot Studioの限界──自然言語での業務実現には距離がある
私自身Copilot Studioを使っていますが、トピック、ナレッジ、トリガーといったAIエージェントの基本機能は充実しています。
ただ、実際に業務で使おうとすると壁にぶつかります。
ノーコードを謳っているが、実際にはPower Automateのローコード開発スキルが必要になる
意図通りに動かすこと自体が難しく、動くものができても高頻度でエラーが出たり、意図と異なる結果が返ってくることが多い
業務で実現したいことを自然言語中心に実現するには、まだ距離がある
エージェントを「設計する」ツールであって、「使う」ツールではない。非エンジニアの営業職や事務職が気軽に使えるものではない
Copilot Coworkが目指す解決策
Copilot Coworkでは、タスクを自然言語で説明するだけで、AIが計画を立ててM365アプリを横断して自動実行します。
実行例:「来週のクライアント提案を準備して」
Microsoftの公式ブログから具体例を挙げます。
「来週のクライアント提案を準備して」と依頼すると、こんな流れで自動実行します。
過去のメールや会議メモから顧客情報を収集
Excelで競合分析シートを作成
Wordに差別化ポイントをまとめる
PowerPointで提案プレゼンを作成
マイルストーンと次のステップを整理
バックグラウンドで数分から数時間作業を続け、重要な判断ポイントでユーザーに確認を取ります。Microsoftはこれを「fire-and-forget(指示して任せる)」型の自動化と呼んでいます。
つまり、Copilot Chatの「1問1答」でもなく、Copilot Studioの「自分で設計する」でもなく、「やってほしいことを説明するだけ」でAIが自律的に仕事をしてくれる。
Copilot Studioのような設計スキルも、プロンプトを工夫するスキルも不要です。「来週の提案資料を準備して」と言えばいい。非エンジニアにとって、こちらのほうがずっと自然な使い方です。
AIエージェントのセキュリティ設計──ローカル実行かクラウド完結か
ここで、AIエージェントが「どこで動くか」の話をしておきたいと思います。企業でAIエージェントを導入する際の最大の論点の1つです。
Claude Codeのリスクとローカル実行の課題
前回の記事で、Claude Codeについて「全社員に利用させるAIとしてはリスクの塊」と書きました。
AIがPCのローカルファイルを直接操作することは、機密情報の漏洩リスク、意図しないファイル操作のリスク、IT部門からの可視性の喪失を意味します。
AIがPCの中で「何をしているかわからない」状態は、セキュリティポリシーが厳格な大企業ほど受け入れがたいものです。
Copilot Coworkのクラウド完結設計
Copilot Coworkはクラウド完結の設計です。
操作対象はM365クラウド上のデータ(OneDrive、SharePoint、Outlook、Teams等)のみ。ローカルPCのファイルは直接操作しません。ローカルファイルを使いたい場合は、事前にOneDriveやSharePointにアップロードする必要があります。
これは、個人的にはセキュリティ面で妥当な判断だと思います。
企業のIT部門からすれば、M365のテナント内で完結するAIエージェントであれば、既存のID管理・権限管理・コンプライアンスポリシーをそのまま適用できます。全アクションが監査対象になり、ガバナンスが効く。
3製品のセキュリティ比較──ファイルアクセスの自由度
AIエージェントの「ファイルアクセスの自由度」をスペクトラムで整理すると、こうなります。
Claude Code:ローカルPC完全アクセス。最も自由で最もパワフルだが、最もリスクが高い。開発者向け
Claude Cowork:ローカルVM上で選択的アクセス。中程度の自由度
Copilot Cowork:M365クラウド内のみ。最も制限的だが、企業のセキュリティ・ガバナンスを満たす
どれが「正解」というわけではなく、用途とリスク許容度で選ぶものです。
ただ、大企業の非エンジニア部門に展開するなら、Copilot Coworkのクラウド完結型が現実的な選択肢になるでしょう。

M365 Copilotの「使えない」問題は解決されるのか
前回の記事では、M365 Copilotの導入にまつわる複数の問題を指摘しました。Copilot Coworkはそれらをどう変えうるのか、考えてみます。
「M365 Copilot浸透3類型」で考える
前回の記事では、M365 Copilotの導入企業を3つのパターンに分類しました。
「成功している企業」
M365 Copilotの得意領域(会議メモ、ファイル検索)に絞って組織的に浸透させている企業です。
Copilot Coworkでマルチステップの自動化が加われば、活用範囲がさらに広がる可能性があります。ただし、現時点ではResearch Preview段階であり、実際にどこまで使えるかは未知数です。
「環境はあるが現場任せの企業」
推進者が孤軍奮闘しているパターンです。Copilot Coworkは推進者にとって新しい武器になりえます。
「チャットで質問する」よりも「タスクを任せて成果物を見せる」ほうが、周囲への説得力がある。
ただ、現場任せのまま新機能を追加しても、「使い方がわからない」で止まる可能性もあります。
「止まっている企業」
ここが問題です。Copilot Chatで「使えない」という体験をして、探索を止めてしまった組織。
Copilot Coworkが追加されても、「どうせまた使えないでしょ」と試しすらしないかもしれません。
X上でも「M365 Copilotが使えないと言っている人の殆どがモデル使い分け機能を知らない説」という声がありました。既存の機能すら活用されていない状態で、新しいエージェント機能が浸透するかは疑問が残ります。
ユーザー体験の構造が変わる可能性
ただ、1つ注目したい変化があります。
前回の記事で問題にしたのは、Copilot Chatでの「チャットのやりとり」の質でした。「質問したら使えない回答が返ってきた。だからAIは使えない」というパターンです。
Copilot Coworkは「タスクを説明して、自動実行させる」という設計なので、Microsoftはユーザー体験の構造自体を変えようとしています。
チャットの品質ではなく、「成果物の品質」で評価される方向です。
「AIと上手に会話するスキル」ではなく、「やってほしいことを説明する」だけで済むようにする、というのがMicrosoftの狙いです。
もしこの狙いどおりに機能するなら、「止まっている企業」のユーザーにとって再挑戦のきっかけになりうるかもしれません。
ただし、「以前のCopilot Chatとは違う使い方だ」と組織として伝える努力がなければ、そもそも試してもらえないでしょう。
「自分には関係ない技術」という誤解は解けるのか
前回の記事では、もう1つの問題を指摘していました。
プライベートでの娯楽的なAI体験(画像生成、日常相談)と、仕事でのM365 Copilotの「使えない」体験。この2つの限定的な体験が重なって、「AIって楽しいけど、仕事では使えない。エージェンティックAI? それはエンジニアの話でしょ」という認識が固定化される問題です。
前回の勉強会で「CopilotのAIエージェントを知っている:0%」だった事実が象徴しています。
Copilot Chatの組み込みエージェント(リサーチツール等)は以前からあったし、Copilot Studioでカスタムエージェントを作る手段もあった。でも、非エンジニアには届いていなかった。
Copilot Coworkは、この認識を変えるチャンスかもしれません。Claude Coworkで先行して示された「AIが自分で手を動かす」体験が、M365という企業の日常ツールの中で提供される。「エンジニアの話」ではなく、OutlookやExcelの中でAIエージェントが動く。
ただし、前回の記事で書いた結論は、ここでも変わりません。AI導入の成功は「ツール選択」ではなく「社員のAI認識」にかかっている。
Copilot Coworkがどれだけ優れていても、社員の認識が「AIはこんなもん」で止まったままなら、使ってもらえません。

Copilot Coworkの料金・ライセンスとスケジュール
M365 E7「Frontier Suite」──AI機能を統合した新プラン
Copilot Coworkの発表と同時に、新しいMicrosoft 365 E7「Frontier Suite」が発表されました(Microsoft公式ブログ、日本語版)。2026年5月1日に一般提供(GA)予定です。
情シス向けの用語が並ぶので少し補足します。Microsoft 365には企業向けの「Eプラン」があり、番号が大きいほど機能が充実します(Windows Blog for Japan: Microsoft 365の進化)。
M365 EプランのE3・E5・E7の違い
E3(月額約4,500円/ユーザー):Word、Excel、PowerPoint等のOfficeアプリに加え、Exchange Online(メール)やTeamsなどのグループウェア機能を含む基本プラン。多くの企業はここからスタートしています
E5(月額約7,130円/ユーザー):E3の全機能に加えて、Windows Enterpriseライセンス、EDR(端末の脅威検出・対応)などOSと統合された高度なセキュリティ機能を含むプラン
E7(月額約14,850円/ユーザー ※$99の参考換算):今回新設される最上位プラン。E5にCopilot関連をすべてバンドル
なお、E3とE5は2026年7月に値上げが予定されています。正式な値上は6月に公表される見込です。
E7の内訳は、M365 E5 + Copilot(約4,500円)+ Agent 365(約2,250円)+ Entra Suite(約1,800円)の統合バンドルです。
個別に購入すると合計約17,550円になるところを、約15%割引でまとめた形です(SAMexpert ライセンスガイド)。E7の日本円での公式価格は未発表です。
E7のポイントは、これまでE3やE5にCopilotを個別アドオンとして追加していた形から、AI機能を最初からバンドルした新プランが出るということです。
Copilot Coworkの利用条件──不透明な部分が多い
Copilot Cowork自体がE7でなければ使えないのか、E3+CopilotやE5+Copilotでも利用可能なのかは、現時点で公式情報が不透明です(GeekWire報道)。
中小企業向けには、Microsoft 365 Copilot Business(約3,150円/ユーザー/月、300ユーザーまで)が既に提供されていますが(Microsoft Copilot Business)、Copilot Coworkが中小企業向けプランに含まれるかは未発表です。
日本向けの展開時期について、グローバルGAは2026年5月1日ですが、日本円での価格設定等の詳細は未発表です。
導入の現実的なハードル
現時点ではResearch Preview(限定顧客向け検証)段階で、3月下旬からFrontierプログラムで順次拡大予定です。
正直に書くと、コスト面のハードルは高いです。E7の場合、1人あたり月額約14,850円(参考換算)。組織全体に展開するには大きな投資です。
そもそも、現行のM365 Copilotの普及自体がまだ道半ばです。
M365 Copilotの有料ライセンスは2026年1月時点で約1500万シートに達し、前年比160%以上の成長を見せています(Computerworld報道)。
成長率だけ見れば勢いがありますが、M365の全商用ユーザーは約4億5000万人。有料Copilotの採用率は約3.3%で、母数からすればまだごく一部です。
さらに、有料ライセンスを持っていても選択肢があればChatGPTを選ぶユーザーが76%に対し、Copilotを選ぶのは18%という調査もあります(Recon Analytics)。
Copilot Coworkの品質は未知数
もう1つ正直に書いておきたいことがあります。Copilot CoworkがClaude Cowork並みの品質を提供できるかも、現時点ではわかりません。
Claude CoworkはAnthropicが自社製品として設計した体験です。それをM365の企業環境に移植する過程で、どこまで品質が維持されるのか。使ってみないとわかりませんが、まだアクセスできる段階ではありません。
Copilot Coworkがこの状況を変えられるか。期待はありますが、まだ誰も本格的には使えていない段階での判断は早計です。
X上の反応を見ると、テック系インフルエンサーからは「一夜にして全従業員がAIパワーユーザーになる」という絶賛がある一方、実務者からは「外部API連携ができないのでは」「リスク管理が難しくなる」という冷静な指摘も出ています。
「早くテナントに来てほしい」と毎日環境をチェックしている人もいたり、期待と不安が入り混じっている状態です。
私もプライベートで契約している業務用Microsoft365の管理画面を見て、それっぽい機能がないことを確認していますが、まだそれらしい画面はありませんでした。
まとめ
この記事のポイント:
Copilot Coworkは、2026年1月に先行リリースされたClaude Coworkをベースに、M365の企業環境で動くように再設計されたAIエージェント
Copilot Chatの「1問1答とメモリ制約」でもCopilot Studioの「自分で設計する」でもなく、「やってほしいことを説明するだけ」でAIがM365アプリを横断して自律実行する
M365クラウド内で完結する設計で、ローカルPCのファイルは直接操作しない。Claude CodeやClaude Coworkと比べて制限的だが、企業のセキュリティ・ガバナンスを満たす
前回の記事で指摘した「チャットの失敗体験が次の試行錯誤を止める」問題を、ユーザー体験の構造変化(チャット→タスク自律実行)で前進させる可能性がある
ただしAI導入の成功は「ツール選択」ではなく「社員のAI認識」にかかっている。Copilot Coworkも、試してもらえなければ意味がない
M365 E7「Frontier Suite」(月額約14,850円/ユーザー ※参考換算)が2026年5月1日GA予定。Copilot Cowork単体の利用条件は公式情報が不透明
前回の記事で「非エンジニアのAI活用が止まっている」と書きました。Copilot Coworkは、その問題に対するMicrosoftからの1つの回答だと思います。
でも、ツールが進化しても、「一度失敗したから、もう試さない」という心理は変わりません。Copilot Coworkがどれだけ優れていても、試してもらえなければ意味がない。
組織としてやるべきことは、前回の記事で書いたことと本質的には同じだと思っています。
期待値を正直に設定し、「ここは使える」「ここはまだ課題がある」を透明に伝える。そのうえで、小さな成功体験を積み上げていく。
AIが「質問に答える」段階から「仕事を実行する」段階に変わろうとしています。Claude CodeやClaude Coworkがローカルで先行し、Copilot Coworkがクラウドで企業環境に持ち込む。アプローチは違いますが、どちらも「AIが自分で手を動かす」時代の入り口です。
Copilot Coworkの実力は、実際に使えるようになってから改めて検証したいと思います。まずは、現時点でわかっていることの整理として、この記事を残しておきます。
関連記事
M365 Copilotが「使えない」と感じた体験がAI活用を止めてしまう仕組みについて、前回の記事で詳しく書いています。
CopilotCoworkを使ってみた続編記事です。バグはまだまだ多いですが、M365の企業セキュリティで利用可能なCopilotCoworkは、非エンジニア組織がエージェント型AIのスタートラインにたてたことを周囲の反応を踏まえて説明しています。
Claudeとの壁打ちでプレゼン準備を変えた体験も、よかったら読んでみてください。
コードが書けない企画職がClaude Codeで個人開発を続けた半年間の実践記録です。
Xでも発信しています
AI活用のコツ、企画職のリアル、新規事業の構造問題を日々つぶやいています。フォローしていただけると嬉しいです。
この記事で書いた「Copilotを使いこなしたい」を、もっと深めたい方へ。
例えば、2026年3月発売のアクセンチュアが作成したCopilotのHowTo本があります。でも発売した瞬間にMicorosoft社の大規模アップデートで半分陳腐化していて、今のM365のAIについて正直に十分以上に説明できている書籍は実質ないのが実情です。いい本がでてきたら紹介したいのですが。。。
基本的なことは本で学びつつ、最新の動向は、noteやsnsで追う必要があります。あとは何よりも自分で触ってみることだと思います!
『Microsoft 365 Copilot活用大全』(アクセンチュア/2026年3月)
※書籍紹介にはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。
ヘッダー画像の原画
笛を吹く羊飼い
アルベルト・カイプ
フランス, 1643~44年頃

AI全盛の時代、あえて古典絵画を推していきます。
古典絵画×AIでバナー画像作成しています。
この絵を選んだ理由は、
笛を吹く羊飼いが演奏すると、動物たちが自然に集まってくる。
難しい指示も、複雑な設計も必要ない。ただ笛を吹けばいい。Copilot Coworkが目指しているのは、そういう体験だと思い選びました。
「来週の提案資料を準備して」と言えば、AIがOutlookを開き、Excelを動かし、PowerPointを仕上げる。
でも現実はまだ、笛を吹いても動物が集まるかどうかわからない段階です。
原典:メトロポリタン美術館
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/436062