
不良率とCpkの換算表——Cpk1.0だと不良率は何%か
「Cpk1.33以上が合格」——品質の現場でよく聞く基準です。でも、なぜ1.33なのか、Cpkが1.0だったら不良はどのくらい出るのか、数字で答えられる人は意外と少ないものです。
「Cpkが0.1下がった」と言われても、それが不良率にどう効くのかがわからなければ、対策の優先度も判断できません。今回は、Cpkと不良率を対応させた換算表を示し、あの「1.33」という数字の意味を解き明かします。
Cpkと不良率はつながっている
工程能力指数Cpkは、「規格の幅に対して、工程のばらつき(3σ)がどれだけ余裕を持って収まっているか」を表す数字です。Cpkの計算方法そのものは「工程能力指数(Cp・Cpk)の計算と判断基準」で解説しています。
このCpkは、正規分布の性質を使うと不良率(規格から外れる確率)に換算できます。工程のデータが正規分布(釣り鐘型)に従っていれば、Cpkが決まれば理論上の不良率が一意に決まる——この関係が換算表の正体です。
換算表(中心が規格の真ん中にある場合)
まず、工程の平均が規格の中心にぴったり合っている理想状態(このときCp=Cpk)での換算表です。規格の上下両側で外れる確率を合計しています。
| Cpk | 不良率(%) | 不良率(PPM) | 感覚 |
| 0.33 | 32.2% | 322,000 | 3個に1個が不良。工程として成立しない |
| 0.67 | 4.44% | 44,000 | 100個に4〜5個不良。要改善 |
| 1.00 | 0.27% | 2,700 | 1000個に約3個。まだ不十分 |
| 1.33 | 0.0066% | 66 | 約1.5万個に1個。一般的な合格ライン |
| 1.50 | 0.0007% | 6.8 | 15万個に1個 |
| 1.67 | 0.0001% | 0.5 | 200万個に1個。高信頼部品向け |
| 2.00 | 0.0000002% | 0.002 | ほぼゼロ |
※PPM=100万個あたりの不良個数。2,700 PPM=100万個中2,700個。
Cpk1.0で不良率0.27%、Cpk1.33で0.0066%。数字の見た目の差は0.33ですが、不良率は約40分の1(2,700 PPM→66 PPM)にまで下がります。Cpkのわずかな違いが、不良率では桁違いの差になる——これが換算表を見る一番の学びです。
なぜ「1.33」が合格ラインなのか
Cpk=1.00は、規格の端がちょうど平均±3σの位置にある状態です。3σを外れる確率は約0.27%なので、1000個に約3個は規格外れが出ます。「そこそこ」に見えて、量産では見過ごせない数です。
ここに「1.33」の意味があります。Cpk=1.33は、規格の端が平均±4σの位置にある状態。3σから4σに1σ分の余裕を持たせることで、不良率が66 PPM(約1.5万個に1個)まで下がります。
さらに重要なのは、この1σの余裕が「工程の変動」を吸収することです。現場の平均値は、工具摩耗・材料ロット・温度で少しずつ動きます。Cpk1.0(余裕ゼロ)だと、平均が少しずれただけで一気に不良が増えます。Cpk1.33なら、多少ずれても不良が急増しない。だから多くの企業が1.33を合格ラインにしているのです。単なる慣習ではなく、「工程が動いても耐えられる余裕」を数字にしたものです。
中心がずれると不良率は増える
上の表は「平均が規格の中心にある」理想状態でした。実際の工程では平均が片側にずれるので、同じCpkでも不良は片側に偏って出ます。
Cpkは「平均から近い方の規格までの距離÷3σ」で決まるため、Cpk値が直接表しているのは近い側の片側不良率です。
| Cpk | 片側不良率(近い規格側) |
| 1.00 | 0.135%(1,350 PPM) |
| 1.33 | 33 PPM |
| 1.50 | 3.4 PPM |
| 1.67 | 0.27 PPM |
実務では、中心が完全に合うことはまずないので、この片側の値のほうが現実に近いと考えておくと安全です。中心がずれているかどうかはCpとCpkの差でわかります(Cp≫CpkならズレていてCpが同じでもCpkが低い)。この見方は「CpとCpkの違い」で詳しく解説しています。
「3.4 PPM」の正体——シックスシグマ
品質の世界で有名な「シックスシグマ=3.4 PPM」という数字があります。上の片側の表を見ると、Cpk1.50の片側不良率がちょうど3.4 PPMです。
これは偶然ではありません。シックスシグマは「規格幅が±6σ(Cp=2.0)ある工程でも、平均が1.5σずれることを見込む」という考え方です。1.5σずれた状態のCpkは1.5になり、その片側不良率が3.4 PPM——これがあの有名な数字の正体です。「6σなのになぜ3.4 PPMで、0個じゃないの?」という疑問の答えがここにあります。詳しくは「3σと6σの違い」をどうぞ。
この換算表の使い方
現場でこの表をどう使うか、3つの場面を挙げます。
目標設定:「不良を今の10分の1にしたい」→ 換算表で必要なCpkを逆算し、改善目標をCpkで設定する
上司への説明:「Cpkが1.2から1.35に上がりました」だけでは伝わらない。「不良率が約500 PPMから40 PPMへ、10分の1以下になります」と換算すれば、改善の価値が金額感覚で伝わる
優先順位づけ:複数工程のCpkを並べ、不良率PPMに換算して「どの工程が一番損失を出しているか」で対策順を決める(Cpkが低い工程から手を打つ)
Cpkが1.33未満だったときに具体的に何をするかは「Cpkが1.33未満だったときにやること」にまとめています。
まとめ
Cpkは正規分布の性質から不良率(PPM)に換算できる
Cpk1.00=0.27%(2,700 PPM)、Cpk1.33=0.0066%(66 PPM)。0.33の差が不良率では約40倍の差になる
「1.33」が合格ラインなのは、3σ→4σの1σの余裕が「工程の変動」を吸収するから
中心がずれるとCpk値が示す片側不良率のほうが現実的(Cpk1.0で1,350 PPM)
「シックスシグマ=3.4 PPM」はCpk1.5の片側不良率。1.5σのずれを見込んだ数字
換算することで、Cpkの改善を「不良率の削減」として上司や現場に伝えられる
Cpkと不良率のつながりがわかると、「Cpkを上げる」ことが「不良を減らす・損失を減らす」ことだと実感できます。実際の検査データからCpkを計算し、報告書にまとめるところまでの一連の流れは、下記の完全版で解説しています。
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▼ 不良率のPPM換算早わかり——%とPPMを正しく使い分ける
▼ 3σと6σの違い——シックスシグマは何がすごいのか
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この記事は「Cpkと不良率の関係」でしたが、実際の現場では、データの取り方からCpkの計算、ヒストグラムでの分布確認、上司に出す報告書の文例まで、一連の流れが必要です。その全工程を実データで解説した完全版を公開しています。
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