
管理図の種類と使い分け——Xbar-R・p・np・c管理図はどう選ぶ
「管理図を作れと言われたけど、Xbar-R管理図とp管理図って何が違うの?」——工程を管理しようとして本を開くと、Xbar-R・p・np・c・u……とアルファベットが並んでいて、どれを使えばいいのか迷う。ここでつまずく人はとても多いです。
でも、選び方の分かれ道はたった2つの質問だけです。今回は、その2つの質問で管理図を選び分ける方法を、実際の計算例つきで解説します。
そもそも管理図とは
管理図は、工程が「いつも通り」に動いているかを時系列で監視するグラフです。中心線(CL)を挟んで、上下に**管理限界線(UCL・LCL)**を引きます。データがこの線の内側でランダムに散らばっていれば「工程は安定」、線を飛び出したり偏った並び方をしたら「何か異常が起きたサイン」と読みます。
ここで大事なのは、管理限界線は規格(USL・LSL)とは別物だということです。規格は「これを外れたら不良」という製品の合格ラインで、図面から決まります。管理限界線は「工程のいつものばらつきの幅」で、実際のデータから計算します。この2つを混同すると管理図は機能しません。
規格と3σ(ばらつき)の関係については「標準偏差と3σとは?」で解説しているので、あわせてどうぞ。
選び方は「2つの質問」だけ
どの管理図を使うかは、次の2つを順番に答えれば決まります。
質問1:データは「測る」か「数える」か?
測るデータ(計量値)……寸法・重量・温度・時間など、はかりや物差しで測って小数が出る連続的な値 → Xbar-R管理図へ
数えるデータ(計数値)……不良品の個数・キズの数など、1個2個と数える整数の値 → 質問2へ
質問2(数えるデータの場合):数えるのは「不良品の数」か「欠点の数」か?
不良品の数(1個の製品を合格/不良で判定)→ さらにサンプルサイズで分岐
サンプルサイズが毎回変わる → p管理図(不良率)
サンプルサイズが毎回一定 → np管理図(不良個数)
欠点の数(1個の製品に何個キズがあるかを数える)→ さらにサンプルサイズで分岐
検査単位が毎回変わる → u管理図(単位あたり欠点数)
検査単位が毎回一定 → c管理図(欠点数)
この2問だけで、5種類の管理図はすべて選び分けられます。
Xbar-R管理図——寸法など「測るデータ」
もっともよく使うのがXbar-R管理図です。数個をまとめて1つの群(サブグループ)とし、群の**平均(Xbar)と範囲=最大−最小(R)**の2枚のグラフを作ります。平均で「工程の中心の動き」、範囲で「ばらつきの大きさ」を同時に監視します。
計算例(サンプルサイズn=5で10群を測定した外径データ)
各群の平均と範囲を求め、それらをさらに平均します。
総平均 X̄̄ = 10.0044 mm
範囲の平均 R̄ = 0.0330 mm
管理限界は、サンプルサイズごとに決まった係数(A2・D3・D4)を使って計算します。n=5なら A2=0.577、D3=0、D4=2.114 です。
| グラフ | UCL | 中心線CL | LCL |
|---|---|---|---|
| Xbar(平均) | 10.0234 | 10.0044 | 9.9854 |
| R(範囲) | 0.0698 | 0.0330 | 0 |
Xbarの限界:X̄̄ ± A2 × R̄ = 10.0044 ± 0.577 × 0.0330
Rの限界:UCL = D4 × R̄、LCL = D3 × R̄(n≤6ではD3=0なのでLCLは無し)
係数A2・D3・D4はサンプルサイズごとの早見表があり、「管理図係数表」で調べれば載っています。n=2〜10あたりを控えておけば実務では足ります。
p管理図・np管理図——「不良品の数」を数える
製品を「合格か不良か」で判定して、不良品の数を追うのがp管理図とnp管理図です。使い分けはサンプルサイズが変動するか一定かだけです。
p管理図(不良率・サンプルサイズが変動)
毎日の検査数がバラバラ(180個の日も220個の日もある)なら、個数ではなく率で見ます。
平均不良率 p̄ = 全不良数 ÷ 全検査数 = 3.00%
管理限界:p̄ ± 3 × √( p̄(1−p̄) / n )
ここでnが日によって変わるため、管理限界線も日ごとに上下します(検査数が多い日ほど限界の幅は狭くなる)。たとえばn=200の日はUCL=6.62%、n=180の日はUCL=6.81%、という具合です。グラフの限界線がガタガタになるのがp管理図の見た目の特徴です。
np管理図(不良個数・サンプルサイズが一定)
毎回きっちり200個ずつ検査するなら、率に直さず不良個数そのままで見られます。
平均不良個数 np̄ = 6.00個
管理限界:np̄ ± 3 × √( np̄(1−p̄) )= UCL 13.24個、LCL 0個
サンプルサイズが一定なら、計算が率より簡単で現場も直感的なnp管理図が向いています。
c管理図・u管理図——「欠点の数」を数える
1個の製品に複数のキズ・はんだ不良・印刷カスレなどが出るとき、その欠点の総数を数えるのがc管理図とu管理図です。「不良品の数」ではなく「欠点の数」を扱う点がp/npとの違いです。1枚の基板に欠点が3個あっても、不良品としては1枚ですが、欠点数としては3です。
c管理図(欠点数・検査単位が一定)
毎回同じ大きさ・同じ枚数を検査するなら、欠点数そのままで見ます。
平均欠点数 c̄ = 3.80個
管理限界:c̄ ± 3 × √c̄ = UCL 9.65個、LCL 0個
u管理図(単位あたり欠点数・検査単位が変動)
検査する面積や長さが毎回変わるなら、「1単位あたり何個の欠点か」に直して見ます(考え方はp管理図と同じで、限界線が単位数ごとに動きます)。
一覧で整理
| 管理図 | データの種類 | 何を数える | サンプルサイズ |
|---|---|---|---|
| Xbar-R | 計量値(測る) | 平均と範囲 | 一定(2〜10程度) |
| p | 計数値(数える) | 不良率 | 変動OK |
| np | 計数値(数える) | 不良個数 | 一定 |
| c | 計数値(数える) | 欠点数 | 一定 |
| u | 計数値(数える) | 単位あたり欠点数 | 変動OK |
迷ったら、まず「測るか/数えるか」。数えるなら「不良品か/欠点か」。最後に「サンプルサイズは一定か/変動か」。この順番でたどれば必ず1つに決まります。
管理限界を外れたときの読み方
管理図は作って終わりではなく、異常のサインを読むために使います。代表的なサインは次の通りです。
1点でも管理限界線(UCL・LCL)を飛び出した:明らかな異常。すぐ原因を調べる
中心線の片側に連続して並ぶ(7点以上続くなど):工程が徐々にずれてきているサイン
上昇または下降が続く:工具摩耗や温度変化など、ゆっくり進む変化のサイン
こうした「クセのある並び方」を見つけたら、規格内に収まっていても手を打つ——これが管理図で工程を「予防的に」管理するということです。異常を検知したあと、「なぜそうなったか」を掘るのが次のステップになります。真因の掘り方は「なぜなぜ分析と特性要因図の違い」を参考にしてください。
まとめ
管理図の選び方は「測るか数えるか」→「不良品か欠点か」→「サンプルサイズは一定か変動か」の順でたどれば1つに決まる
Xbar-R=寸法など計量値/p・np=不良品の数/c・u=欠点の数
サンプルサイズが変動するなら率で見る(p・u)、一定なら個数で見る(np・c)
管理限界線は規格とは別物。実データから計算する「工程のいつもの幅」
限界を外れた点や、片側への連続・傾向を「異常のサイン」として読む
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