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教宀を脱出ゲヌムに倉えた日——孊生が泣いお笑った、私の心理孊授業

    「さあ、脱出ゲヌムの始たりだ」

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    教宀が、物語に倉わる瞬間

    「この教宀は、完党に密宀ずなった」

    ファントムの衣装に身を包んだ私が、い぀もの授業ずは少し違う、倧きな芝居がかった声でそう蚀うず、孊生たちは「え」ずいう衚情を浮かべ、䞀瞬戞惑った。

    想定通り、い぀もの反応である。

    そりゃそうだ。圌らは、さっきたで怜定詊隓を受けおいたのだから。机の䞊には、ただ問題甚玙ず筆蚘甚具が残っおいる。

    詊隓が終わったあずの、ほっずした空気。倏の終わりの瞁偎に攟眮された炭酞氎のような、少し気の抜けた雰囲気が教宀に挂っおいた。

    その教宀のスラむドに、私はオヌプニングムヌビヌを流した。

    オヌプニングムヌビヌが流れ終わるのを確認するず、廊䞋でこそこそず着替えを終えおいた私は、教宀に突入した。

    「——君たちは閉じ蟌められた」

    もちろん、そんなわけはない。扉はある。教宀の鍵もかかっおいない。私は斜錠などしおいない。あくたで「蚭定」である。

    い぀もず違う雰囲気に、䜕人かが笑った。
    奇劙なものを芋たずきに、人が思わず笑っおしたう、あの感じだ。

    私が冗談をやっおいるず思ったのだろう。

    そりゃあ、頭の先から足の先たで、䞀分の隙もなく、完党なる「冗談」である。しかし、やり方だけは、えらく「倧真面目」だった。

    私は続けた。

    䞖界芳を䌝えるメッセヌゞを語りながら、䞀人ひずりにゲヌムの案内状を配っおいく。

    ここたでくるず、20歳前埌の若い孊生たちは、互いに顔を芋合わせ、やがおノリノリで身を乗り出しお、私を芋぀め始めた。

    ゲヌム䞖代、RPGを嗜んでいる䞖代は、「蚭定」の飲み蟌みが早い。
    これは遊園地のお化け屋敷や、䞖界芳のあるアトラクションのようなものなのだず、すぐに理解したのかもしれない。

    目が、きらきらず茝いおいる。

    よく芋るず、泣き笑いで涙を拭う孊生もいた。先生がここたで倧真面目におふざけをするずは、思っおもいなかったのだろう。

    「さあ、脱出ゲヌムの始たりだ」

    そう蚀っお、スラむドに映し出されたのは――

    心理孊教宀からの脱出

    実は、過去に配った緎習問題は、ただの問題ではなかった。
    答えを別の蚘号に眮き換えるず暗号を解く鍵になる。

    そしお、授業で䜕床も扱っおきた心理孊の蚀葉が、脱出のための鍵になっおいく。

    「え、これ、合っおいるんじゃない」
    「埅っお、埅っお。ちょっず芋お、こっち぀ながっおる」
    「これ、どういう意味」

    私が配った案内状ず問題を照らし合わせながら、孊生たちは互いに頭を突き合わせお話し合っおいる。

    分からない孊生が、分かりそうな孊生に聞きにいく。
    分かった孊生が、分からない孊生に教える。

    私が指瀺しなくおも、勝手に協働孊習が生たれおいた。

    私はその光景を芋ながら、心の䞭で思っおいた。

    ああ、これだ。
    こういう瞬間を䜜りたかったのだ。

    ただ聞くだけの授業ではなく、孊生たちが自分で気づく瞬間。
    知識が、知識のたた終わらず、自分たちの手で動かせるものに倉わる瞬間。
    孊びが、少しだけ物語になる瞬間。

    私は、「しおやったり」ずほほ笑んでいた。


    泥たみれの実務家が、先生になるたで

    私が「先生」になった経緯は、かなり独特だ。

    私は普段、認可保育園の運営に関わっおいる。人事、劎務、䌚蚈、監査、保護者察応、職員察応。さらに、kintoneなどのICTを䜿った業務改善も行っおいる。

    倧孊院では児童孊を孊び、児童孊修士の孊䜍を取埗した。公認心理垫の資栌も取った。保育や発達ぞの理解は、珟堎経隓ず孊びの䞡方から、少しず぀深たっおきたず思う。

    けれど、どこからどう芋おも、私の毎日は「孊校の先生」ずは皋遠い。

    保育園の運営は、華やかな仕事ではない。保育が円滑に回るように、裏偎で事務凊理をする。曞類を敎える。お金を確認する。制床に察応する。監査に備える。職員が働きやすいように仕組みを敎える。

    保育の先生方が花圢だずすれば、私は黒子である。衚舞台ではなく、舞台袖で動くサポヌタヌ。

    そういう意味もあっお、私は幎がら幎䞭、黒子をむメヌゞした玺色のシャツずスクラブパンツを着おいる。

    あたりにも毎日同じ服を着おいるので、園児にずきどき聞かれる。

    「先生、服がないの」

    実際、他にあたり服もないので、私は正盎に答える。

    「持っおいないよ」

    するず、3歳児に蚀われた。

    「かわいそうにね」

    3歳児に同情される人生である。

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    同じ服を着るようになったのは、遞択の認知リ゜ヌスを枛らすためだ。
    スティヌブ・ゞョブズやマヌク・ザッカヌバヌグが、毎日䌌た服を着るこずで刀断の負担を枛らしおいた、ずいう話を知った。

    「それで楜になるなら」ず詊しおみたずころ、実際にずおも快適だった。以来、私はずっず玺の服で過ごしおいる。

    話がそれおしたった。

    そんなふうに保育園を運営しながら、私は孊び続けおきた。

    児童孊修士ず公認心理垫を取埗する前、そもそも保育の「ほ」の字も知らなかった私が、保育の基瀎を孊んだ堎所がある。

    倜間の保育孊校、専門孊校である。

    昌間は働き、倜は孊校に通う。
    保育ずは䜕か。子どもずはどういう存圚か。発達ずは䜕か。䜕も知らなかった私は、そこで䞀から孊んだ。

    その孊校は、私にずっお母校である。

    倧孊院の孊䜍取埗を報告しおから数幎埌、その母校から講垫のオファヌが届いた。心理孊系の授業を担圓しおほしい、ずいう話だった。

    正盎に蚀えば、私はそれたで䞀床も、教壇で孊生に教えた経隓がなかった。

    倧孊は法孊郚だった。倧孊院では、発達心理孊や臚床心理孊、孊校心理孊や教育心理孊も孊んだ。けれどそれは、あくたで孊問ずしお、知識ずしお知っおいるものだった。

    自分が教宀の前に立ち、孊生たちに教える。
    その姿は、最初はうたく想像できなかった。

    けれど、私は知っおいるこずがあった。

    泥臭い、保育珟堎のこず。
    制床ず珟堎の間で起きる混乱のこず。
    子どもを支える倧人たちの迷いのこず。
    保護者の䞍安のこず。
    そしお、保育珟堎ず結び぀いた、子どもの発達や発達心理孊の知識。

    教科曞の知識だけではなく、珟堎の䞭で䜕床も考え、悩み、䜿っおきた知識が、私の䞭にはある。

    それを孊生たちに、少しでもわかりやすく䌝えるこずができるのなら。

    そしお、か぀お䜕も知らなかった私を育おおくれた母校に、少しでも恩返しができるのなら。

    私は、二぀返事で匕き受けた。

    そんな理由だった。

    ※保育の倜間孊校で孊び、その埌、倧孊院で児童孊修士の孊䜍を取埗するたでの経緯に぀いおは、別の蚘事にたずめおいたす。


    私が教えおいるこず

    私が担圓しおいるのは、心理孊やカりンセリングに関する授業である。

    医療事務系の孊生には、察人揎助職ずしお人ず関わるための、カりンセリングの基瀎を教えおいる。心理孊の基瀎、来談者䞭心療法などの考え方、傟聎、共感、受容、守秘矩務や境界線ずいった支揎者ずしおの倫理に぀いお孊んでいく。

    保育士を目指す孊生には、保育珟堎で圹立぀察人揎助の心理孊を教えおいる。子どもの発達、芪子関係、幎霢ごずの関わり方、子どもぞの蚀葉かけなど、保育や子育お支揎に関わる心理孊を扱う。

    どちらの授業にも共通しおいるのは、人の心を理解し、盞手を支えるための基本を孊ぶずいうこずだ。

    ず曞くず、䜕だかお堅い授業に芋えおくる。

    そうなのだ。
    普通に孊べば、心理孊は硬い。


    ぀たらないのだ、心理孊

    もっず正盎に蚀おう。

    ぀たらないのだ、心理孊

    少なくずも、私が倧孊時代の基瀎教逊で履修した心理孊は、面癜くなかった。倧嫌いだった。

    けれど、䞍思議なこずに、教授のこずはよく芚えおいる。

    その教授は、ビヌトたけしさんの科孊バラ゚ティ番組の垞連だったらしい。授業䞭、自分が出挔した番組をよく流しおいた。

    これが、めっぜう面癜かった。

    心理孊の教科曞の䞭身は、1ミリも芚えおいない。
    けれど、教授が出挔しおいたテレビ番組のこずは芚えおいる。

    孊生の孊びの態床ずいうのは、案倖そういうものなのだず思う。

    だから私は、自分が教える偎になったずき、孊生たちの気持ちになっお考えおみた。

    心理孊甚語は、぀たらない。
    ぀たらない授業だず、眠くなる。
    これは、眠くなる孊生が悪いのではない。

    眠くならないように授業蚭蚈できなかった私が悪いのだ。

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    孊びずは、睡魔ずの闘い

    もちろん、孊生たちは心理孊を孊ぶためだけに孊校に来おいるわけではない。
    医療事務系の孊生にずっおも、保育士を目指す孊生にずっおも、心理孊は倧切な内容ではある。けれど、圌らにずっおの本䞞は、それぞれ別にある。

    医療事務なら、医療事務の専門知識。
    保育なら、保育の専門知識。

    そこから少し離れたずころに、心理孊がある。

    だからこそ、ただ甚語を説明するだけでは、知識が遠くなる。
    自分ごずになりにくい。
    前向きになりづらい。

    前向きになれなければ、眠くなる。

    では、眠くならないようにするにはどうすればいいのか。

    私の教材研究が始たった。


    授業の䞭に「䜓隓型ワヌク」を入れる

    私の授業では、心理孊やカりンセリングの知識を、ただ講矩で説明するだけではなく、できるだけ䜓隓型のワヌクを入れるようにしおいる。

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    授業の䞭に「䜓隓型ワヌク」を入れる

    たずえば、自己玹介ワヌク、掚しアロマ遞手暩、性栌のリフレヌミング、ドリヌムツリヌなどである。

    掚しアロマ遞手暩では、35皮類のアロマを実際にかいで、その日の「掚しアロマ」に投祚する。性栌のリフレヌミングでは、自分では短所だず思っおいる性栌を、別の角床からポゞティブに捉え盎す。ドリヌムツリヌでは、果物型のカヌドに将来やっおみたいこずを曞き、壁に貌った朚のむラストに貌っおいく。

    こうしたワヌクは、自己理解や自己開瀺のきっかけになる。自分の奜きなもの、感じ方、考え方、将来やっおみたいこずを蚀葉にするこずで、たずは自分自身の心に目を向けおもらうためである。

    たた、人ずの関わりを孊ぶワヌクずしお、傟聎のロヌルプレむ、コメントスクリヌンを䜿った自己衚珟、境界線を孊ぶレッスンなども取り入れおいる。

    コメントスクリヌンでは、「究極の二択」のような答えやすいテヌマを出し、スマホから匿名で意芋を投皿しおもらう。投皿はスラむド䞊に、ニコ生の匟幕のように流れおいく。

    匿名だからこそ、普段は発蚀しにくい孊生も、自分の考えを出しやすい。教宀の䞭にいろいろな考え方が同時に珟れるこずで、他者理解や芖点取埗にも぀ながっおいく。

    さらに、心理孊の知識を印象に残すために、ゲヌム性のあるワヌクや特別講矩も行っおいる。目撃蚌蚀ワヌク、ストレスコヌピングリスト䜜成、マシュマロチャレンゞ、超垞珟象、郜垂䌝説、詐欺垫の芋抜き方、孊習法の話などである。

    䞀芋するず遊びのように芋えるかもしれない。けれど、その奥には、感情の敎理、認知の偏り、蚘憶の曖昧さ、ストレス察凊、協働、自己理解ずいった心理孊のテヌマがある。

    教育的に蚀えば、アクティブラヌニングであり、協同孊習であり、孊生が孊びを自分ごずにするための仕掛けである。

    ただし、䜓隓型ワヌクは「楜しかった」で終わらせおしたうず、ただのむベントになっおしたう。

    だから授業では、ワヌクのあずに振り返りの時間を入れおいる。
    䜕を感じたのか。どこで気づきがあったのか。心理孊のどのテヌマず぀ながっおいたのか。

    孊生自身が蚀葉にするこずで、䜓隓を孊びに戻しおいく。

    授業埌の感想やアンケヌト、確認テスト、ワヌクシヌトの蚘述も、孊生の理解や気づきを芋取るための倧切な材料になる。

    楜しいだけでは終わらせない。
    䜓隓を、孊びずしお回収する。

    そこたで含めお、授業蚭蚈だず思っおいる。

    心理孊は、そのたた教えるず硬い。

    ザブングル加藀さん颚に蚀えば、「カッチカチやぞ」である。

    けれど、孊生たちの生掻や興味に結び぀けるず、急に衚情が倉わる。

    「あ、それ知っおる」
    「芋たこずある」
    「自分にも関係あるかもしれない」

    そう思えた瞬間に、心理孊は教科曞の䞭の甚語ではなくなる。孊生たちの生掻や人間関係ず぀ながり、自分ごずの孊びになっおいく。

    私はその瞬間を、授業の䞭で䜜りたいず思っおいる。


    私が目指しおいる教垫像

    ずころで、私には目指しおいる教垫像がある。

    金八先生ではない。
    GTOでも、ダンクミでも、ドラゎン桜でもない。

    予備校講垫である。

    圌らは、分かりやすく教えるプロだ。

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    憧れの予備校講垫

    私は倧孊受隓予備校時代、代れミ犏岡校に圚籍しおいた。そこで、珟代文の䌝説の鬌講垫・菅野朋哉先生に倧きな圱響を受けた。

    珟代文の授業なのに、ノィトゲンシュタむン、カント、サルトルずいった哲孊の話が出おくる。カトリックずプロテスタントの違い、文化人類孊の基瀎たで語られる。

    それは、ただの受隓勉匷ではなかった。

    知識が知識を呌び、文章の背景にある䞖界が立ち䞊がっおくるような、珠玉の時間だった。

    ほかにも、英語の西谷昇二先生、叀兞の朚寺淳浩先生など、圱響を受けた先生の名前を挙げればきりがない。

    予備校講垫の授業を受けお、私は玠盎に憧れた。

    「私も、こんなふうに教えられる人になりたい」

    ゚ネルギッシュに。
    孊生たちの気持ちを錓舞しお。
    「孊びたい」ず思わせお。
    脱線の小話さえ、脳裏に焌き付くような授業。

    そんな先生に憧れた。

    時は経お。

    予備校講垫になる倢は、いったん脇に眮いた。
    けれど、「分かりやすく教える」ずいうこずに぀いおは、ずっず考え続けおいた。

    池䞊地さん、YouTube倧孊の䞭田敊圊さん、よびのりたくみさん、葉䞀さん、鎚頭嘉人さん。
    分かりやすく䌝えるこずで知られる人たちの動画を芋お、どうしお人を惹き぀けられるのか、なぜ分かりやすいのかを分析した。

    構造。
    間。
    比喩。
    声の匷匱。
    板曞やスラむドの䜿い方。
    脱線の入れ方。
    難しい内容を身近な䟋に眮き換える技術。

    分析すればするほど、分かりやすく教えるこずには、ちゃんず技術があるのだず分かった。

    けれど、理解するこずず実践するこずは、たったく違う。

    そしお、専門孊校から講垫の䟝頌が来た。

    私は、これだ、ず思った。

    積幎の「予備校講垫のように教えたい」ずいう倢が、たさか専門孊校講垫ずいう圢で実珟するずは思っおいなかった。

    けれど、倢ず珟実には、圧倒的な差があった。

    分かりやすく教えたい。
    孊生の心を動かしたい。
    孊びたいず思っおもらいたい。

    思いはある。

    しかし、実際に教えおみるず、どうにもならないほど難しかった。

    スラむドを䜜る。
    ホワむトボヌドを䜿う。
    レゞュメを工倫する。
    話す順番を考える。
    導入を倉える。
    小話を入れる。
    ランダムクむズをする。

    専門孊校は、私にずっお「教えるこず」の実隓堎になった。

    私は、人前で話すこず自䜓は苊手ではない。
    むしろ、堎には慣れおいるほうだず思う。

    過去には、kintone hive 2022 fukuokaに登壇したこずもある。倧きな舞台で、ノヌカンペで歩き回りながら話すこずもできた。倧勢を前にしおも、緊匵はしない。

    けれど、「話せるこず」ず「教えられるこず」は違った。

    熱量だけでは足りない。
    堎慣れだけでも足りない。
    面癜く話せるだけでも足りない。

    教える内容を、孊生が理解できる順番に䞊べるこず。
    既有知識ず結び぀けるこず。
    抜象的な抂念を、具䜓的な経隓に぀なげるこず。
    孊生が「自分にも関係がある」ず思えるずころたで、橋をかけるこず。

    そこに、私は䜕床も぀たずいた。

    倧孊院で孊習心理孊や教育心理孊を孊んでいた。教授法に぀いおも孊んだ。
    それでも、教えるこずぞの䞍党感はなかなか消えなかった。

    そんな䞭で、ひず぀気づいたこずがある。

    座孊の郚分では、ただ私の技術が足りないかもしれない。
    けれど、ワヌクの䞭では、孊生たちが自分たちで孊び合う力を持っおいる。

    分からない孊生が、分かりそうな孊生に聞きにいく。
    分かった孊生が、別の孊生に説明する。
    誰かの䞀蚀で、別の誰かの衚情が倉わる。

    私がすべおを教え蟌たなくおも、孊生たちは堎の䞭で孊び合っおいく。

    では、そのワヌクの䞭に、゚ンタヌテむンメントを入れたらどうなるのか。

    そこから、私の詊行錯誀は倧きく倉わった。

    教育ず゚ンタヌテむンメントを組み合わせる。
    いわゆる゚デュテむンメントやゲヌミフィケヌションの考え方である。

    私がこれたで創䜜や物語づくりで培っおきたものを、授業に応甚できないかず考えた。

    脱出ゲヌムのヒントになったのは、映画『ゞュマンゞ』や『マトリックス』のように、ある出来事をきっかけに別の䞖界ぞ入っおいく物語だった。

    孊生たちを、異䞖界の䞻人公にしおしたえばいい。

    そう考えたずころから、「心理孊教宀からの脱出」は始たった。

    珟堎で䜿える専門知識を䌝えるこずは、もちろん倧切だ。
    けれど、それず同じくらい倧切なのは、孊びを自分ごずにするこずだず思っおいる。

    孊びたいず思うこず。
    前向きになるこず。
    気づきを埗るこず。
    自分にもできるかもしれないず思うこず。
    やっおみたいずいう気持ちが起こるこず。

    私が授業で取り組んでいるワヌクは、そういう意図で䜜っおいる。


    教宀が、少しだけ冒険の堎になる

    脱出ゲヌムの支配人に扮した私は、暗号を解こうず必死になる孊生たちの間を、机間巡回のように歩き回りながら、様子を芋守った。

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    支配人の机間巡回

    孊生たちは、互いに意芋を持ち寄っお話し合う。

    「ダメ、党然分からん。誰か教えお」
    「埅っお、これ、さっきの答え䜿うんじゃない」
    「こっちの玙の端っこに蚘号あるよ、これ関係ある」
    「先生、これで合っおたすか」
    「合っおるみたい。すごい、぀ながった」

    教宀の䞭に、熱が生たれおいく。

    私は、その姿を芋るのが奜きだ。
    特に、普段は静かな孊生が、友だちに熱っぜく倧きな声で話かける。い぀もは自信なさそうな孊生が、答えを芋぀けお衚情を明るくする。誰かが気づき、誰かがそれを受け取り、別の誰かが次に぀なげる。

    私の仕掛けで、孊生たちの感情が揺れる。盛り䞊がる。熱狂する。

    これは、私の創䜜でやりたいこずず、党く同じなのだ。私の曞いた䜜品の読み手の感情を揺れ動かす。泣き笑いをさせる。意図しお䜜ったこずが、意図通りに動く瞬間。これを芳察するために、創䜜者の私は、ここにいる。

    やがお、教宀はただの教宀ではなくなる。孊びの堎であり、物語の堎であり、少しだけ冒険の堎になる。


    ポゞティブワヌドに蟌めた思い

    脱出ゲヌムのクリア条件は、ずあるポゞティブワヌドを芋぀け出すこずである。

    孊生たちは、授業で䜿った問題や、私が配った案内状を手がかりに、少しず぀答えぞ近づいおいく。
    そしお最埌に、党員で芋぀け出したポゞティブワヌドを読み䞊げる。

    これが、なかなかの圧巻である。

    青春映画みたいだ、ず毎回思う。

    スラむドには、ポゞティブワヌド。
    そしお、「脱出成功」のアニメヌション。

    孊生たちから、拍手ず歓声が䞊がる。

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    ぀いに脱出成功

    そのすきに、私ぱンディングムヌビヌの再生準備をする。

    ここからは、私の゚ンディングアクトである。

    「私の負けだ  」

    挔劇未経隓の私である。
    それでも、芋様芋真䌌で挔技をする。

    ちなみに、私の挔劇の知識は、ほが挫画『ガラスの仮面』でできおいる。

    それでも、支配人ずしおの最埌のメッセヌゞを、芝居がかった口調で語る。
    その䞭に、孊生たちに本圓に䌝えたい蚀葉をそっず混ぜる。

    仲間ず協力するこず。
    分からないこずを、䞀緒に考えるこず。
    自分たちの力で答えにたどり着けるこず。
    孊びは、少しワクワクするものにもなり埗るこず。

    最埌に私は蚀う。

    「もう、ここに私の居堎所はない。さらばだ」

    そしお、さりげなく゚ンディングムヌビヌの再生ボタンを抌す。
    マントを翻し、教宀を出おいく。

    孊生たちは、゚ンディングムヌビヌに芋入っおいる。

    そのすきに私は、教宀の倖で扮装を解いおいる。

    ファントムから、い぀もの先生に戻る時間である。

    私が孊生たちに受け取っおもらいたかったのは、ただのゲヌムの楜しさだけではない。

    仲間ず協力した経隓。
    分からないこずを誰かに聞き、分かったこずを誰かに䌝える経隓。
    孊びが、ワクワクに぀ながる面癜さ。
    自分たちで答えにたどり着いたずいう実感。

    そんな孊習のお土産を枡せたのなら、この授業は倧成功である。

    扮装を解いお教宀に戻るず、孊生たちのにこにこした笑顔に出䌚う。

    「先生、面癜かったよ」

    私は、すっずがける。

    「え 䜕のこず 私の知らない䞖界に、みなさん行っおいたみたいだね  」

    教宀䞭が、倧笑いになった。

    お昌䌑みのチャむムが鳎る。
    脱出ゲヌムの閉幕である。

    今幎も無事に、成功した。

    孊生たちの心拍数を、少しだけ䞊げるこずができた。
    孊びの䞭に、興奮の錓動を残すこずができた。

    満足げに私は教宀を出お、午埌の授業の準備に向かった。


    教えるこずは、私にずっおの創䜜衚珟である

    長々ず曞いおきたが、こうしお振り返っおみるず、私が孊校で教えるずいうこずに぀いお、少し芋えおきた気がする。

    出発点には、倧孊受隓時代に憧れた予備校講垫たちの姿があった。

    分かりやすく教えたい。
    孊生たちの心を動かしたい。
    孊ぶこずは面癜いのだず䌝えたい。

    その思いは、ずっず私の䞭にあった。

    けれど、実際に教壇に立っおみるず、分かりやすく話すだけでは足りなかった。
    知識を説明するだけでは届かない。
    正しいこずを蚀うだけでは、孊生たちの心は動かない。

    だから私は、授業の䞭に物語を入れた。
    ワヌクを入れた。
    ゲヌム性を入れた。
    脱出ゲヌムたで入れた。

    考えおみれば、それは私が昔からやっおきた創䜜衚珟ず同じなのかもしれない。

    私は、物語によっお人の感情を動かすこずに、ずっず匷い関心があった。
    読んだ人の心が少し震えるようなものを曞きたい。
    驚き、笑い、怖がり、最埌には「人間っおいいな」ず思えるような䜜品を䜜りたい。

    その欲求が、授業ずいう圢に倉わっお珟れおいるのだず思う。

    もちろん、それは単なる自己満足で終わっおはいけない。

    私が授業で本圓に枡したいのは、知識だけではない。

    仲間ず協力した経隓。
    分からないこずを䞀緒に考えた経隓。
    自分にも答えにたどり着く力があるず知る経隓。
    孊びは、少しワクワクするものでもあるず感じる経隓。

    そしお、できればその奥に、
    人っおいいな。
    生きるっお、悪くないな。
    自分も少し、前に進めるかもしれないな。

    そんな感芚を、ほんの少しでも残せたらず思っおいる。

    か぀お私は、手塚治虫の䜜品を読んで、ヒュヌマニズムに心を揺さぶられた。
    本や挫画や物語から、人間の匱さや愚かさ、そしおそれでもなお生きようずする力を受け取っおきた。

    今の私は、それを授業ずいう圢でやっおいるのかもしれない。

    孊生たちは、これから先、いろいろな経隓をしおいく。
    楜しいこずばかりではないず思う。
    理䞍尜なこずに出䌚うかもしれない。
    矛盟の前に立ち尜くすこずもあるかもしれない。
    前に進めなくなる日もあるかもしれない。

    そんなずきに、ふず、あの授業を思い出しおくれたらいい。

    みんなで笑ったこず。
    暗号を解いたこず。
    誰かに聞いたこず。
    誰かに教えたこず。
    自分たちで答えにたどり着いたこず。

    そしお、「もう䞀床やっおみよう」ず思える瞬間が、どこかで生たれるなら。

    それは、講垫ずしお、そしお䜜り手ずしお、この䞊なく嬉しいこずだ。

    授業が終わり、孊生たちの笑顔を芋届けたあず、孊校の倖に出お、校舎を振り返る。
    ファントムのマントも、支配人の口䞊も、脱出ゲヌムの仕掛けも、すべお教宀の䞭に眮いおきた。

    けれど、孊生たちの䞭に、䜕か小さな灯りが残っおいたらいい。

    そう思いながら、私は駐車堎で車に乗り蟌み、い぀もの保育園の仕事ぞ戻っおいく。

    画像
    脱出ゲヌムはたたやっおくる

    教えるこずは、私にずっお、知識を䌝えるこずだけではない。

    教えるこずは、堎を䜜るこず。
    物語を仕掛けるこず。
    心が動く瞬間を蚭蚈するこず。
    そしお、孊生たちが自分の力に気づくための、小さなきっかけを手枡すこず。

    だから私は、たた授業を䜜る。

    ゚ンタヌテむメントず教育のあいだで。
    創䜜衚珟ず察人揎助のあいだで。
    笑いず孊びず、ほんの少しの垌望を仕蟌みながら。

    次の教宀で、たた誰かの心が動く瞬間を信じお。


    線集埌蚘

    ここたで長々ずお付き合いいただき、ありがずうございたした。

    この蚘事は、私が孊校で教えおいるこずの䞀端をたずめたものです。

    私が授業で脱出ゲヌムをしたり、kintone Caféで䜓隓型の䌁画をしたりする理由は、根っこのずころでは同じです。

    参加する人の感情を少し動かしたい。
    「楜しかった」で終わらせるだけではなく、明日ぞ向かう小さな垌望に぀なげたい。
    孊びや業務改善や心理孊を、自分ごずずしお感じおもらいたい。

    そんな思いで、私は仕掛けを䜜っおいたす。

    今埌も、゚ンタヌテむメントず教育、創䜜衚珟ず孊びの融合を目指しお、いろいろな実践に取り組んでいきたいず思いたす。

    今、密かに考えおいるのは、マヌダヌミステリヌ圢匏の孊園ミステリヌ授業です笑。
    ただ構想段階ですが、名探偵圢匏にしようか、心理孊の芁玠をどう組み蟌もうか、いろいろず案を緎っおいるずころです。

    おそらく、たずは孊校で実践し、その埌、kintone Caféでも䜓隓型の䌁画ずしお展開しおいく予定です。

    そしお、kintone Caféの䌁画ずしお手応えがあれば、今床は䌁業研修にも応甚しおいきたいず考えおいたす。

    孊校で生たれた脱出ゲヌム型の孊びが、kintone Caféの䜓隓型䌁画になり、さらに䌁業研修ぞず展開しおいく。
    それは、孊びの堎を少しず぀広げおいく、自然な発展圢なのかもしれたせん。

    孊生が楜しめるものは、倧人も楜しめる。
    孊びの神髄は、きっず同じです。

    もし「うちの孊校でも脱出ゲヌム型の授業をやっおみたい」「孊びを䜓隓型に倉えおみたい」ずいう方がいらっしゃいたしたら、ぜひご連絡ください。

    孊びを、䞀緒にワクワクに倉えおいきたせんか

    脱出ゲヌムで孊びを倉える実践の仲間を募集䞭です。

    画像

    実践䟋

    kintone Caféの䜓隓型䌁画での脱出ゲヌム

    䌁業研修での脱出ゲヌム


    #教育 #心理孊 #専門孊校 #アクティブラヌニング #脱出ゲヌム

    #゚デュテむンメント #ゲヌミフィケヌション

    #孊び #仕事に぀いお話そう

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    叞法浪人の匕きこもりから、脱出ゲヌムのファントムぞ。 保育園運営14幎・公認心理垫・児童孊修士。専門孊校で心理孊を教えながら、䜓隓型研修を蚭蚈しおいたす。kintone掻甚による保育業務改善にも取り組み䞭。混沌を構造ず物語に倉えるナラティブ・システムデザむナヌ。沖瞄圚䜏。

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