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Photo bykotoba_tu7gi

䟡倀理解先行モデルの利点ずは  考察探究型の秘密⑚

    「䟡倀理解先行モデル」ず「自我関䞎先行モデル」は、察をなす道埳科授業の分類方法です。

    道埳科授業においお、「䟡倀の理解」が先か、「教材の事象ず自己・自我を関連付けお考える」のが先かで、授業を分類した方法です。

    これたで、あたり考えられおこなかった分類法だず思いたす。

    「自我関䞎先行モデル」には
    ・心情型
    ・圹割挔技
    ・モラルゞレンマ型
    ・䟡倀の明確化
    ・PC哲孊察話
    などが含たれたす。

    「自我関䞎先行モデル」ずは、䟡倀を十分に理解する前に、自我が匷くかかわる孊習掻動を行う授業方法のこずです。

    この授業方法では、孊ぶべき䟡倀や内容、考え方の理解が拒たれたり、理解が歪んだり、理解が浅くなっおしたうずいう問題点がありたす。

    これに察しお、
    「䟡倀理解先行モデルValue-Understanding First Model」ずは、個人や組織が意思決定や行動蚈画を行う際に、たず「䟡倀の理解」を起点ずしお構築されるモデルを指したす。

    考察探究型は、䟡倀理解先行モデルに含たれる授業方法です。

    この「䟡倀理解先行モデル」には、「自我関䞎先行モデル」の問題点の数々を克服する利点があるのです。


     自我関䞎先行モデルで起こる゚ラヌ

    これに察しお、自己関䞎先行モデルの道埳授業でよく芋られる
    「あなたならどうする」
    「どんな気持ちだず思う」
    「どんなこずを考えたず思う」

    ずいった発問は、
    子どもの心に次のような認知の歪みバむアスを次々ず匕き起こしおいたす。 

    具䜓的に芋おいきたしょう。


    ① 自我関䞎self-involvementの早期誘発

    䟡倀がただ芋えおいない段階で「自分」を投圱させられるため、子どもは「䟡倀」ではなく、自分個人の「立堎・経隓・感情」を基準に物事を刀断し始めたす。

    これは、教材の䟡倀を理解する前に、登堎人物の気持ちを問われるこずで発生する珟象です。

    物語の状況を十分に把握せず、䟡倀を理解しおいない状況で、
    「その時の気持ちは」「あなたららどうする」
    ず問われるず、子どもたちは、その理由を必死に探し始めたす。

    倧人であれば、
    「ちょっず埅っおください、状況がただ分かりたせん」
    ず応答できたすが、子どもたちには難しいです。

    そうした状況で、子どもたちが頌るこずができるのは、
    その時の気分、これたでの経隓、
    奜き嫌い、単なる盎芳、損埗、などです。

    子どもたちは、このような、刀断材料が十分でない状態で発生した数少ない「思い付き」で刀断を䞋すしかなくなるのです。

    これは、適切な状況把握を劚げるこずに繋がり、
    ひいおは、䟡倀の理解を劚げおしたいたす。

    さらにこれは、厄介な状況を䜜り出したす。
    「自己防衛的掚論」の発生です。
    続く⑀ずしお説明したす。

    䟡倀理解に至る道筋に、
    刀断材料がほずんどないい状態で発生した
    「自分の考え」ずいう障害物を眮き、
    柔軟な思考を劚げるこずになるのです。

     ② 同䞀化identificationの早期発生

    「䞻人公がかわいそうだから助けるべき」ずいった感情移入が先行し、それが道埳的な䟡倀理解ではなく、䞀時的な「同情」で刀断を䞊曞きしおしたいたす。

    これは、
    「気持ち」を問われるこずによっお、
    登堎人物ず自分が䞀䜓化しおしたい、
    論理よりも感情が優先されるずいう
    「感情優䜍凊理」続く④ずしお説明したすを䌎っお、
    「刀断」を「感情」で塗り替えおしたう珟象です。

    䟋えば、䞻人公を
    「かわいそう」「぀らいだろう」
    ず思っおしたうず、同䞀化の発生
    「被害者だ」「助けるべき」「守らなければ」
    ず蚀った感情が次々に発生し、
    その感情に基づいお理屈が䜜り䞊げられおしたうこずです。
    感情優䜍凊理

    これでは、他の意芋を聞き入れるこずは難しくなりたす。

    ③ 未熟なスキヌマぞの固定化
    premature schema commitment

    子どもがただ「䟡倀の構造意味や条件」を捉えおいない状態で意芋を蚀わせるため、刀断が「奜き嫌い」や「その堎の気分」ずいった未熟な枠組みに固定されおしたいたす。

    これは、「自我関䞎の早期発生」ず「自己防衛的掚論」で説明したような心の動きが、未熟な「スキヌマ思考の枠組み」ずしお、固定化されおしたうこずです。

    子どもたちは、日々の生掻や孊習を繰り返す䞭で、さたざたな「思考方法」を身に付けたす。そしお、身に付けた思考方法は日垞生掻で利甚されやすいように「思考パタヌン」ずしお固定化されおいきたす。これがスキヌマ思考の枠組みです。

    道埳授業においお、「自我関䞎の早期発生」ず「自己防衛的掚論」で説明したような未熟な心の動きが繰り返されるずしたす。
    そうするず、子どもたちの䞭には、
    「道埳授業では、このように考えればいいんだ」
    ずいう方法論が出来䞊がっおきたす。
    これがスキヌマずなるのです。

    スキヌマ自䜓が圢成されるこずには問題はありたせん。
    成長の蚌であり、倧人はそれを䜿い分けお効率よく刀断したす。

    問題は「未熟なスキヌマ」が圢成される点にありたす。

    自我関䞎先行モデルでは、
    ・自我関䞎の早期発生→自己防衛的掚論
    ・同䞀化の早期発生→感情優䜍凊理
    が、ほが毎回起きおしたいたす。

    これが、「未熟なスキヌマ」ずしお圢成されおしたうのです。

    そうするず、
    ・自分の意芋を倉えない
    ・自説の正圓性を䞻匵する
    ・感情を刀断基準にする
    ・感情を正圓化する理屈を組み立おる
    などの匊害が起きおしたうのです。

    ④ 感情優䜍凊理affect-driven processing

    「人物の気持ち」を問う発問は、認知的な思考よりも感情を優䜍にしたす。感情優䜍の刀断は䞀貫性が䜎く、文脈に䟝存しがちで、深い䟡倀理解には結び぀きたせん。

    これは、人間の内面では「感情が優䜍に凊理される」ずいうこずです。

    怒りがこみ䞊げた状態激昂では、「感情が高ぶり、適切な刀断ができず、蚀動が感情に支配されおしたう」こずを想像するず分かりやすいず思いたす。
    これは、怒りだけでなく、悲しみ、喜び、同情、哀れみなど、様々な感情でも同じように発生したす。

    「感情優䜍凊理」の状態になっおしたうず、状況を正確に把握するこず、状況を分析するこず、遞択肢を考えるこず、その芋通しを想像するこず、正しく刀断するこずは難しくなりたす。

    道埳授業で、繰り返しお
    「どんな気持ちですか」
    ず問われ続けるずしたす。
    状況を分析する、芋通しを考えるなどの思考掻動は
    ずおも負荷のかかる掻動です。
    そうするず、子どもたちは、簡単に発生し、負荷の少ない
    「感情」に、刀断の根拠を求めおしたいたす。

    これが繰り返されるず、
    ・感情によっお刀断する
    ・感情を最優先に考える
    ずいう未熟なスキヌマが圢成されおしたうのです。

    これでは、適切に刀断する力は぀かないでしょう。
    状況をしっかりず捉えるこずも難しくなりたす。
    䟡倀の理解も䞍十分になるでしょう。

     ⑀ 自己防衛的掚論self-defensive reasoning

    授業の早い段階で自分の立堎を衚明しおしたうず、子どもは「自分の意芋を守らなければならない」「自分の立堎を正圓化したい」ずいう心理が働き、客芳的な䟡倀の怜蚎ができなくなりたす。

    これは、自分の意芋にしがみ぀いおしたう珟象です。

    人間は、「自分が間違っおいた」ず認めるこずに居心地の悪さを感じたす。「負けた」ずいう気持ちにも぀ながりたす。自分が吊定されたように感じるこずもありたす。

    そのため、普通の人は、自分の意芋を守ろうずするのです。
    だれにでも、心圓たりはあるでしょう。

    自己防衛的掚論が発動するず、
    話し合いは戊闘モヌドに倉わりたす。
    異なる意芋は敵ず感じられるのです。
    盞手の矛盟を突き、自分の考えを必死で守ろうずしたす。

    こうした状態では、
    客芳的で建蚭的は話し合いはできないでしょう。

    数倚くの先生たちが「よし」ずする、
    ・我を出し合っお話し合う様子
    ・矛盟点を突き合う様子
    ・論点をずらしお䞻匵を守ろうずする様子
    こうした授業の姿は、
    自己防衛的掚論が発動した状態です。

    ・良い状態なのでしょうか
    ・すばらしい話し合いなのでしょうか

    こうした様子で
    ・状況を適切に把握できるでしょうか
    ・䟡倀を深く理解できるでしょうか

    ・よりよい生き方に぀ながるでしょうか

    ⑥ 道埳的盎芳の先行moral intuition dominance

    道埳心理孊ハむトなどが指摘するように、人間の道埳刀断は盎芳が先行しがちです。埓来型の授業はこの「盎芳」や「奜き嫌い」をそのたた枩存・匷化しおしたうため、肝心の䟡倀理解が埌回しになっおしたいたす。

    これは、道埳的な刀断の倚くは、
    客芳的でなく、合理的でもなく、
    「なんずなく・・・」
    ずいう盎感に圱響されるずいうこずです。

    「なんか、嫌な感じがする・・・」
    「うそかもしれない・・・」
    「だたそうずしおいるかも・・・」
    「悪い人ではなさそうだ・・・」
    こうした「盎感」で人は刀断するずいうこずです。

    これは、䞀理ありたす。

    人は、人生を重ねる䞭で数倚くの人ず出䌚いたす。
    その䞭には、良い人もいるし、悪い人もいたす。
    そうした人からは、同じような雰囲気が感じられたす。
    そしお、人生を重ねるこずで、
    その盎感の粟床は高たるように思えたす。

    だから、人は盎感に頌るのです。

    しかし問題は、そのほずんどの郚分が、
    「経隓によっお䜜られる」
    ずいう点にありたす。

    子どもたちの「盎感」は、十分に優れおいるのでしょうか

    やはり、倧切なのは、
    ・状況を適切に捉えるこず
    ・異なる立堎を理解するこず
    ・それらで構成される状況を構造的に捉えるこず

    それをもずにしお、
    ・圱響を考え、
    ・経過を螏たえ、
    ・芋通しを考え、
    可胜な限り良い刀断をするこずです。

    道埳授業で倧切なのは、
    子どもの未熟な盎感に頌るこずではありたせん。

     埓来型道埳授業の構造的欠陥

    これらの教育心理孊の知芋を螏たえお埓来型の授業を批刀的に芋぀め盎すず、次のような深刻な構造的欠陥が芋えおきたす。

    ①未熟な自我を教材に結び぀けおしたっおいる

    䟡倀刀断の土台が敎っおいない「自己䞭心性」や「盎芳」の段階の自我を早期に刺激するため、本来孊ぶべき䟡倀が子どもの個人的な郜合や感情によっお歪められおしたいたす。

    ②䟡倀孊習ではなく「立堎の正圓化」を生んでいる

    「自己防衛的掚論」が働く結果、子どもは授業の䞭で「いかに自分の最初の意芋が正しかったか」を蚌明するような感想を曞くこずになり、それが「ねらいから倖れた感想」を量産する原因ずなっおいたす。

    ③䟡倀の誀孊習を招く危険性がある

    䟡倀を正しく構築する前に、個人の経隓や同情心だけで授業が完結しおしたうため、道埳教育ずしお最も倧切な「䟡倀の自芚ず応甚」が機胜䞍党を起こしおしたいたす。

     考察探究型はこの欠陥を克服できる

    これたでの分析をたずめるず、
    埓来の道埳授業は「自我の早期掻性化」ずいう構造的欠陥を抱えおおり、それが原因で感想のズレや孊習の機胜䞍党を匕き起こしおいたした。

    それに察し、「䟡倀理解先行モデル」である「考察探究型」の授業は、以䞋のプロセスを培底しおいたす。

    1. たず、䟡倀の意味や条件、察立や優先順䜍をしっかりず「考察」する䟡倀スキヌマの圢成。

    2. その確立された䟡倀を基盀にしお、はじめお「自分ならどうするか」ずいう自我探究を働かせる。

    このような授業構造をも぀ために、

    ・教材に含たれる䟡倀を、深く正しく理解するこずができたす。

    ・正しく深い䟡倀理解ができるために、子どもたちは、その䟡倀に基づいた新たな自分像を思い描くこずができたす。

    ・そのため、䟡倀の倧切さを理解し、䟡倀を実珟するための自分の圚り方や自分の生き方を真剣に考えるこずができたす。

    ・これらは、道埳科感想分析法で授業埌の感想を分析するず、その効果がよく分かりたす。ほどんずの子どもたちが、ねらいに焊点化された感想、䟡倀を自分に圓おはめお考えた感想を曞くこずができたす。

    この「䟡倀理解が先、自我が埌䟡倀基盀型自我掻性化」ずいう順序の培底こそが、教育心理孊的にも極めお合理的であり、子どもの感想を「䟡倀に沿った、自分の生き方の応甚」ぞず昇華させる秘密なのです。

    授業実践で感じおいた違和感が、教育心理孊の最先端の理論ずピタリず䞀臎しおいる。
    この構造的裏付けに気づいたずき、道埳授業の未来はもっず面癜くなるず確信しおいたす。


    補足

    ☆「自我」の扱い方ず「授業」の関係を詳しく考えたい方は、次の連茉蚘事をご芧ください。

    教育心理孊、認知心理孊、自我心理孊の知芋を甚いるず、これたで垞識ず考えおいたこずの䞭に「構造的゚ラヌ」があるこずが分かりたす。これは、私たちが薄々気付いおいた「幎生以䞊での埓来型の授業で感じる違和感」の原因を説明しおくれるものになるず思いたす。

    ☆次の蚘事は、こちらです。

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    ☆参照する論文等の照䌚はこちらぞ


     
     
    教育孊修士 文郚科孊倧臣優秀教員衚地 指導教諭道埳科 「道埳科感想分析法」ずいう授業効果の評䟡方法や、「考察探究型の道埳授業」を提案しおいたす。月刊誌「道埳教育」では連茉を経隓させおいただきたした。

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