2026年10月6日時点で、みずほCowork(みずほコワーク)は、みずほフィナンシャルグループが2026年10月5日に発表した自律型AIエージェント基盤です。AnthropicのClaude Agent SDKを使い、AWS上に社員一人ひとりの専用作業環境を割り当てる、みずほ独自のプロダクトです。社員が目的と必要な資料を渡すと、AIエージェントが与えられた権限の範囲内で作業手順を組み立て、調査や分析、画面操作、資料作成など、複数の工程からなるデスクワークを進めます。開発はAWS プロフェッショナルサービスの支援を受けて行い、今回は専門的な知識や手順を伴う業務への適用に向けたPoC(概念実証)を始める段階です。日経クロステックは、2027年度にもみずほFG、みずほ銀行、みずほ信託銀行の計約3万人への導入を目指していると、取材にもとづいて報じています。この記事では、発表資料をもとに、仕組み、AnthropicのClaude Coworkとの違い、PoCで試す業務、自社で同じ形を作る時に先に決めることを整理します。
この記事の要点(2026年10月6日時点)
- みずほFGが2026年10月5日に発表した、Claude Agent SDKを使う自社の自律型AIエージェント基盤。まずPoCを始める
- AIエージェントの動作を支える「ハーネス」を、汎用的なエージェントレイヤーと、みずほ独自のレイヤーの二層に分けている
- 1つの汎用型AIエージェントに、業務手順・判断基準・専門知識・社内ルールを書いた「Skills」を足して、さまざまな業務に対応する
- 実行環境と作業領域はAWS上にあり、利用者ごとに分かれている。社員が端末を操作していない間も、長い処理を続けられる
- AnthropicのClaude Cowork(製品)を導入したという発表ではない。名前は似ているが、みずほが自社で作った基盤
最終更新:2026年10月6日(みずほFGの発表資料、Anthropicの公式ドキュメント、報道を確認)
みずほCoworkとは。社員ごとに「AIエージェントの仕事場」を用意する基盤
みずほCoworkは、生成AIとの「対話」から、AIに「業務を任せる」働き方へ進むための基盤です。発表資料の副題は「金融機関に求められる要件に対応し、クラウド上に社員一人ひとりの”AIエージェントの仕事場”を用意」です。

使い方の流れは単純です。社員が目的と必要な資料を渡すと、AIエージェントの仕事は作業手順を組み立てるところから始まります。そのうえで、多数の資料を横断した調査・分析・情報整理や、画面操作、レポート・プレゼンテーション資料等の作成といった、複数の工程からなるデスクワークを進めます。AIエージェントは、与えられた権限の範囲内で動くことが前提です。チャットで1問ずつ答えを受け取る使い方とは、任せる単位が違います。
みずほはこれまで、全社共通のAIエージェント基盤「みずほWiz Base」と、AIエージェントの量産を支える「エージェントファクトリー」を整え、業務ごとのAIエージェントを早く作って広げる体制を作ってきました。みずほCoworkは、その取り組みをさらに進めたものと位置づけられています。業務ごとに個別に開発するAIエージェントとも使い分けながら、幅広い業務のAIエージェント化を進める方針です。
対象の人数と時期について、発表資料には記載がありません。日経クロステックは取材にもとづき、2027年度にもみずほFG、みずほ銀行、みずほ信託銀行の計約3万人への導入を目指していると報じています。本番での利用を始める時期は、2026年10月6日時点で公式に確認できていません。
AnthropicのClaude Coworkとの違い
名前は似ていますが、みずほCoworkはAnthropicの製品であるClaude Coworkを導入したという発表ではありません。発表資料は、AnthropicのClaude Agent SDKを活用した、みずほ独自のプロダクトと説明しています。
| 項目 | Claude(旧Claude Cowork) | みずほCowork |
|---|---|---|
| 何か | Anthropicが提供するClaudeの製品。2026年9月16日にCoworkとチャットが1つのClaudeに統合された | みずほFGが開発した自律型AIエージェント基盤 |
| 作り手 | Anthropic | みずほ(AWS プロフェッショナルサービスが伴走支援) |
| 使える人 | Claudeを契約した個人と企業 | みずほの社員(社外への提供の記載はない) |
| 業務知識の入れ方 | スキル、プロジェクト、コネクタなど(統合後もそのまま使える) | みずほ独自のレイヤーにSkillsを追加する |
Claude Agent SDKは、Claude Codeを動かしているのと同じツール、エージェントループ、コンテキスト管理を、PythonとTypeScriptからプログラムできるライブラリです(Anthropicの公式ドキュメント)。製品のClaudeを契約して画面から使うのではなく、自社のシステムの中にエージェントを組み込みたい時に使います。仕組みと料金はClaude Agent SDKとは?で、Coworkとチャットの統合はClaude Cowork統合で何が変わるで解説しています。
仕組み。ハーネスを汎用レイヤーと独自レイヤーの二層に分ける
当社が特に注目しているのは、AIエージェントの動作を支える共通制御の仕組み「ハーネス」を二層に分けたことです。1つはClaude Agent SDKを活用する汎用的なエージェントレイヤー、もう1つはみずほ固有の業務要件を反映するみずほ独自のレイヤーです。

汎用的なエージェントレイヤーでは、Claude Agent SDKが提供するツール実行やコンテキスト管理などの機能を使い、ファイル操作、情報収集、分析、成果物作成など、デスクワークに共通する動作を制御します。みずほ独自のレイヤーには、社内ルールに準拠したガードレールを組み込み、各部門が持つ業務手順、判断基準、専門知識を「Skills」として追加できるようにしています。
こう分ける理由について、発表資料は、最新のAIモデルやAIエージェント技術を続けて取り込みながら、みずほ固有の業務ノウハウを基盤技術と切り分けて蓄積・高度化できるため、と説明しています。モデルやSDKが新しくなっても、業務の知識を書いた部分は作り直さずに残せる、ということです。AIの進歩が速い時期に、どこを自社の資産として持ち、どこを外の進歩に任せるかを先に決めた設計と言えます。
Skillsで業務を足す。1つの汎用エージェントを多くの業務に使う
みずほCoworkは、業務ごとにエージェントを作るのではなく、一つの高性能な汎用型AIエージェントに「Skills」を追加して、さまざまな業務に対応する形をとります。Skillsには、業務手順、判断基準、専門知識、社内ルールを書きます。

発表資料の注記によると、SkillsはAnthropicが開発し、オープンな標準として公開した、AIエージェントに専門知識や作業手順を追加するための仕組みです。業務手順、判断基準、専門知識、スクリプトなどを「SKILL.md」を含むフォルダにまとめ、AIエージェントが依頼内容に応じて必要なものを選び、詳しい手順や関連ファイルを段階的に読み込みます。Anthropicの製品のほか、OpenAI Codex、Google Gemini CLI、GitHub Copilotなど、同じ仕様に対応する他社のAIエージェントでも使えます。
当社の見立てでは、ここが実務で効くところです。Skillsに書いた業務の手順や判断基準は、特定のAIエージェントの中に閉じません。同じ仕様に対応するエージェントであれば読めるので、将来エージェントを入れ替えても、書いた業務知識を持っていきやすくなります。みずほは、Skillsを追加して幅広い業務に対応しつつ、ユースケースの特性に応じて個別に開発するAIエージェントとも使い分けるとしています。Skillsの書き方はAgent Skillsの作り方で解説しています。
AWS上で作業を完結させる。端末に依存せず統制下で動かす
自律型AIエージェントは、従来の対話型生成AIと違い、作業環境上のファイルやツールを自ら操作し、複数の処理を続けて実行します。発表資料は、こうしたエージェントは一般に利用者のPCなどのローカル環境で動くため、企業で使うには、必要な範囲を超える情報やシステムへのアクセスを抑え、実行できる操作や処理状況を管理する仕組みが要る、と書いています。

みずほCoworkは、AIエージェントの実行環境と作業領域を、みずほが管理するAWS上に作っています。一連の作業をAWS上で完結させることで、利用者の業務端末やローカルデータへの直接アクセスを避けながら、ネットワークやアクセス範囲をみずほの統制下で管理します。利用者のPCで動く場合と比べると、違いは2つです。1つは、アクセスできる範囲を基盤の側で決められることです。もう1つは、利用者のPCで動く場合は動作が業務端末に依存するのに対し、AWS上で完結させる場合は、社員が端末を操作していない間も継続して長い処理を進められることです。
| 部品 | 役割(発表資料と報道の記載) |
|---|---|
| Amazon ECS on AWS Fargate | 利用者ごとの実行環境。利用状況に応じて起動と破棄をする |
| Amazon S3 Files | 利用者ごとの作業領域 |
| Amazon Bedrock Guardrails | 入出力の統制 |
| ログ記録と運用監視 | AIエージェントの動作を記録し、運用を見守る |
利用者ごとに実行環境と作業領域を分離し、入出力の統制やログ記録、運用監視を組み込むことで、情報を分けたまま、拡張性とコスト効率、金融機関に求められる統制を両立させる、というのが発表資料の説明です。開発では、AWS プロフェッショナルサービスの伴走支援を受けて、金融機関での利用に必要な業務とリスク管理の要件を整理し、アーキテクチャと実装方針を共同で決めました。そのうえで、みずほのAI・デジタル人材がプロダクトを開発しています。外の専門知見を入れながら、作る人は社内に置く進め方です。
この記事の内容を社内で使うなら
要点と手順をまとめた資料を無料で受け取れます。研修4,000名以上・支援100社以上の実績をもとに、自社の業務に当てはめる相談も30分から受け付けています。
PoCで試す業務と今後の展望
今回のPoCでは、専門的な知識や手順を必要とする業務に使えるかを確かめます。発表資料は、次のような業務を例に挙げています。
- 案件資料の分析・整理
- 資料作成
- 調査データの分析
- 業務監査に関するチェック
- 専門レポートの海外向け要約・翻訳
今後については、各部門の業務知識や社内ルールを使ったSkillsの検証と整備を進め、対応できる業務の範囲を広げるとしています。APIの整備が難しい社内のレガシーシステムについては、必要に応じてみずほCoworkがブラウザ画面を操作する仕組みを作り、大規模なシステム改修や新しいAPIの開発を前提にせず、複数のシステムをまたぐ一連の業務を進められる環境をめざします。
もう1つの目標は、AIが必要なタイミングで適切な人に確認や承認を求めながら業務を進めるUXです。人が一つずつ作業を指示する形から、クラウド上の作業環境でAIが手順を組み立てて長い業務を進め、要所で人に判断を仰ぐ形へ、という流れを見据えて、みずほCoworkを続けて更新していくとしています。
自社で同じ形を作るなら。先に決める5つ
みずほCoworkは、大手金融機関が自社の統制の要件に合わせて作った基盤で、同じ規模の仕組みをすぐに作れる会社は多くありません。それでも、設計の考え方は会社の規模に関係なく使えます。Claudeの法人導入を支援している当社の見方として、自社で同じ形を作る前に決めておくことを5つに分けます。

- 任せる業務を1つ選ぶ:みずほのPoCも、案件資料の分析・整理や業務監査に関するチェックなど、手順がはっきりした業務から始めています。最初は、手順が文書になっていて、結果を人が確かめやすい業務を1つ選びます。
- 手順と判断基準をSkillsに書く:業務の手順、判断の基準、よくある例外を、SKILL.mdを含むフォルダにまとめます。ここが自社に残る資産です。
- 実行環境と権限を分ける:エージェントが触れるファイル、システム、外部サービスを、業務ごとに必要な範囲に絞ります。みずほは利用者ごとに実行環境と作業領域を分けています。
- 入出力の統制とログを入れる:何を入力し、何を出力したかを記録し、出してはいけない情報を止める仕組みを先に入れます。
- 人の確認と承認を挟む:外部への送信、データの書き換え、お金に関わる処理の前に、人の確認を入れます。みずほも、AIが適切な人に確認や承認を求めるUXを今後の目標に挙げています。
5つを通して大事なのは、業務ノウハウは基盤と分けて持つことです。Claude Coworkも、2026年9月16日にチャットと1つのClaudeに統合されました。製品の形は変わりますが、業務の手順と判断基準は会社に残ります。最初から自社の基盤を作る必要はありません。Claudeの契約の範囲でSkillsを書いて1つの業務で試し、統制の要件が製品の機能で足りないと分かった段階で、Claude Agent SDKでの自社基盤を検討する順番が現実的です。
社内で手順を書ける人を育てるところから始めたい場合はClaude Cowork法人研修の設計を、AI社員の設計から引き継ぎまで任せたい場合はAI社員構築代行をご覧ください。
よくある質問
Q. みずほCoworkは、ほかの会社も使えますか?
A. 発表資料は、みずほCoworkをみずほ独自のプロダクトと説明しています。社外への提供についての記載はありません(2026年10月6日時点)。
Q. AnthropicのClaude Coworkを導入したということですか?
A. いいえ。発表資料は、AnthropicのClaude Agent SDKを活用してみずほが開発した基盤と説明しており、Claude Cowork(製品)を導入したとは書いていません。
Q. 何人が使う予定ですか?
A. 発表資料には人数の記載がありません。日経クロステックは取材にもとづき、2027年度にもみずほFG、みずほ銀行、みずほ信託銀行の計約3万人への導入を目指していると報じています。
Q. いつから本番で使われますか?
A. 今回の発表はPoCの開始です。本番での利用を始める時期は、2026年10月6日時点で公式に確認できていません。
Q. Skillsとは何ですか?
A. AIエージェントに専門知識や作業手順を足すための、オープンな仕様の仕組みです。SKILL.mdを含むフォルダに手順や判断基準をまとめ、エージェントが必要な時に読み込みます。Claudeのほか、OpenAI Codex、Google Gemini CLI、GitHub Copilotなど、同じ仕様に対応するエージェントで使えます。
Q. 中小企業でも同じことができますか?
A. Claude Agent SDKは公開されているライブラリで、どの会社でも使えます。ただし、当社は、みずほCoworkの価値は利用者ごとの実行環境、入出力の統制、ログといった統制の作り込みにあると見ています。多くの会社は、まずClaudeの契約の範囲でSkillsを書いて1つの業務を任せ、統制の要件が足りないと分かってから自社の基盤を検討するのが現実的です。
まとめ
みずほCoworkは、みずほFGが2026年10月5日に発表した、Claude Agent SDKを使う自社の自律型AIエージェント基盤です。社員ごとの作業環境をAWS上に用意し、ハーネスを汎用的なエージェントレイヤーとみずほ独自のレイヤーの二層に分け、Skillsで業務の知識を足します。いまは専門的な業務でのPoCを始める段階で、日経クロステックは2027年度にも約3万人への導入を目指すと報じています。自社で同じ形を目指すなら、まず任せる業務を1つ選び、手順と判断基準をSkillsに書くところから始めてください。業務ノウハウを基盤と分けて持っておけば、使うエージェントが変わっても資産として残ります。
参考・出典
- 株式会社みずほフィナンシャルグループ「生成AIとの「対話」からAIに「業務を任せる」働き方へ-自律型AIエージェント基盤「みずほCowork」を開発し、業務適用に向けたPoCを開始」(PR TIMES)(2026-10-05/参照日: 2026-10-06)
- マイナビニュース TECH+「みずほFG、自律型AIエージェント基盤「みずほCowork」開発 – Claude Agent SDKを活用」(2026-10-05/参照日: 2026-10-06)
- 日経クロステック「みずほ、AIエージェント「Cowork」3万人に導入へ 非定型タスクも自律処理」(参照日: 2026-10-06)
- Anthropic「Agent SDK overview」(Claude Code Docs)(参照日: 2026-10-06)
- Agent Skills「Agent Skills Overview」(参照日: 2026-10-06)
- Anthropic「Claude Cowork and chat are now one Claude」(2026-09-16/参照日: 2026-10-06)
- Amazon Web Services「Amazon Bedrock Guardrails」(参照日: 2026-10-06)
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