結論: Claude Code × Amazon Bedrock連携は、セキュリティ部門がAPI直接利用を禁止している企業でも、IAM認証・AWS課金・データ保持制御を維持したままClaude Codeをチーム展開できる公式経路です(2026年9月30日時点では、AWSの認証とAWS Marketplaceの課金でAnthropic運営のClaude APIを使う「Claude Platform on AWS」も公式ドキュメントに載っています)。
この記事の要点:
- Bedrock経由ならAWS既存の認証基盤(IAMロール・SSO・Okta/Azure AD連携)をそのまま使え、APIキーを個人PCに置かずに済む
- 設定は環境変数5本が核心。モデルアクセス申請・IAMポリシー・
CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1の順で30分以内に完了できる - コスト面ではBedrock料金(Claude Sonnet 4.6:入力$3/出力$15 per 1M tokens)は直接APIと同額。リージョンを限定するエンドポイント(us.・jp.などのプレフィックス)は、グローバルエンドポイント(global.)より10%高い
対象読者: Claude Codeを社内展開したいIT責任者・情報システム部門担当者・セキュリティ審査を通過させたい開発マネージャー
読了後にできること: IAMポリシーをコピペして今日中にBedrock経由のClaude Codeを動作確認できる
「セキュリティ部門からAPIキーを各自PCに置くのはNGと言われた」
AI研修の現場でこの相談が急増したのは2025年末ごろからです。ある製造業の情報システム部長さんから「開発チームはClaude Codeを試したくて仕方ないんですが、Anthropic APIキーを個人端末に直接置くのをセキュリティポリシーが禁止していまして……」と相談いただきました。当時は「AWS経由で使う方法を調べてみましょう」とだけ答えるしかなかったのですが、今ではAnthropicが公式ドキュメントでAmazon Bedrock連携の手順を完全公開しています。
この問題はセキュリティ意識の高い金融・医療・製造業の企業で特に深刻です。Claude Codeは個人開発者なら5分で始められる一方、企業展開では認証・課金の一元管理・データ保持ポリシーへの対応が必須です。Amazon Bedrockはその橋渡し役として機能します。「AWS上で動くから既存のセキュリティガバナンスの範囲内」という論理がセキュリティ審査を通過させやすいんです。
この記事では、Bedrock連携の仕組みの理解から実際の設定コマンド・コピペ可能なIAMポリシーJSONまで、実際にAI研修・導入支援を100社以上手がけてきた経験をもとに完全解説します。医療・金融・製造業それぞれのユースケースも盛り込みましたので、自社の業態に合わせた判断材料にしてください。
なお、Claude Codeの基本的な使い方や個人利用の設定についてはClaude Code完全ガイド(post 691)で詳しく解説しています。本記事ではBedrockを通じた企業展開に特化して解説します。
なぜBedrock経由? — 直接APIとの違いを5軸で比較
まず「Bedrock経由で使う意義はどこにあるのか」を整理しましょう。コスト・機能面での差はほぼありません。差がつくのは認証・ガバナンス・コンプライアンスの3軸です。
| 比較軸 | Anthropic直接API | Amazon Bedrock経由 | 企業での重要度 |
|---|---|---|---|
| 認証 | APIキーを各自管理 | IAMロール / SSO / Bedrock APIキー | ★★★★★ |
| 課金 | Anthropicに直接 | AWSにまとめて(既存AWSコスト管理に統合) | ★★★★☆ |
| データ保持 | Anthropicのポリシー準拠 | 「jp.」の推論プロファイル指定で国内処理に限定可(東京リージョンの既定は「apac.」) | ★★★★★ |
| コンプライアンス | 独自審査が必要 | AWS SOC2/ISO27001等の認証を活用可 | ★★★★★ |
| コスト(標準料金) | Claude Sonnet 4.6: 入力$3/出力$15/1Mトークン | 同額(リージョン限定のエンドポイントは約10%増) | ★★★☆☆ |
一番のポイントは「APIキーをどこに置くか」問題です。直接APIの場合、各開発者が~/.claude/settings.jsonか環境変数にAPIキーを保存することになります。これをセキュリティポリシーが禁止している企業は少なくない。Bedrockなら認証はIAMロール経由の一時的な認証情報(STS)になるため、機密性の高いAPIキーが各自の端末に残りません。
もう一点重要なのがデータ保持です。医療・金融などの規制業種では、プロンプトや生成物がどのリージョンで処理されるかを証明する必要があります。Bedrockで処理を日本国内にとどめるには、AWS_REGIONを東京(ap-northeast-1)にするだけでは足りません。Claude Codeは「ap-」で始まるリージョンでは既定で「apac.」プレフィックスの推論プロファイルを優先するため、国内に限定したい場合はANTHROPIC_BEDROCK_REGION_PREFIX=jp(Claude Code v2.1.224以降)で「jp.」プロファイルを指定し、使うモデルに「jp.」プロファイルがあるかを公式の一覧で確認してください(2026年9月30日時点)。
事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上のAI研修・コンサル経験をもとに構成した典型的なシナリオです。金融系SIerで情シス責任者を務めるAさんは「Anthropic APIを直接使うとセキュリティ審査に6ヶ月かかる」という社内ルールに悩んでいました。Amazon Bedrockはすでに別プロジェクトで利用承認済みだったため、Bedrock経由のClaude Code導入は「新規ベンダー審査なし」で社内申請を通過できたとのことです。
5ステップ設定フロー — IAMロール取得から動作確認まで
実際の設定手順を5ステップで解説します。AWS公式ドキュメント(参照日: 2026-06-03)に基づく内容です。
- モデルアクセス申請(Bedrockコンソール)
- IAMポリシー作成とロールアタッチ
- 環境変数5本の設定
- ログインウィザード(claudeの起動時に表示)の実行
- 動作確認コマンド
ステップ1: モデルアクセス申請(Bedrockコンソール)
Anthropicモデルを初めて利用するAWSアカウントでは、ユースケース申請が必要です。1アカウントにつき1回だけ。申請後は即時アクセスが付与されます。
- Amazon Bedrockコンソールを開く
- 左ペイン「Model catalog」を選択
- Anthropicのモデル(例: Claude Sonnet 4.6)をクリック
- 「Request access」からユースケースフォームに記入して送信
AWS Organizationsを使っている場合は、管理アカウントからPutUseCaseForModelAccess APIを一度呼ぶだけで子アカウントにも自動で展開できます(bedrock:PutUseCaseForModelAccess IAMパーミッションが必要)。
# AWS CLIで申請状況を確認(モデルIDで検索)
aws bedrock list-inference-profiles --region ap-northeast-1
ステップ2: IAMポリシー作成とロールアタッチ
Claude Codeに必要な最小IAMポリシーはAnthropicが公式で公開しています(参照日: 2026-06-03)。以下がコピペ可能なJSONです:
{
"Version": "2012-10-17",
"Statement": [
{
"Sid": "AllowModelAndInferenceProfileAccess",
"Effect": "Allow",
"Action": [
"bedrock:InvokeModel",
"bedrock:InvokeModelWithResponseStream",
"bedrock:ListInferenceProfiles",
"bedrock:GetInferenceProfile"
],
"Resource": [
"arn:aws:bedrock:*:*:inference-profile/*",
"arn:aws:bedrock:*:*:application-inference-profile/*",
"arn:aws:bedrock:*:*:foundation-model/*"
]
},
{
"Sid": "AllowMarketplaceSubscription",
"Effect": "Allow",
"Action": [
"aws-marketplace:ViewSubscriptions",
"aws-marketplace:Subscribe"
],
"Resource": "*",
"Condition": {
"StringEquals": {
"aws:CalledViaLast": "bedrock.amazonaws.com"
}
}
}
]
}
セキュリティをより絞り込みたい場合は、Resourceを特定の推論プロファイルARNのみに限定してください。例:
# 特定リージョンのSonnet 4.6のみを許可する例
"Resource": [
"arn:aws:bedrock:ap-northeast-1::foundation-model/anthropic.claude-sonnet-4-6",
"arn:aws:bedrock:us-east-1::inference-profile/us.anthropic.claude-sonnet-4-6"
]
ステップ3: 環境変数5本の設定
Claude Codeとベドロックをつなぐ核心がこの環境変数群です。認証方法に応じて使い分けます。
パターンA: IAMアクセスキー(シンプルな個人/チーム利用)
# IAMアクセスキーを使う場合
export AWS_ACCESS_KEY_ID="your-access-key-id"
export AWS_SECRET_ACCESS_KEY="your-secret-access-key"
export AWS_SESSION_TOKEN="your-session-token" # 一時認証の場合のみ
export AWS_REGION="ap-northeast-1"
export CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1
パターンB: AWS SSOプロファイル(企業内ID管理推奨)
# AWS SSOを使う場合(Okta / Azure AD / Cognito連携も対応)
aws sso login --profile=your-company-profile
export AWS_PROFILE="your-company-profile"
export AWS_REGION="ap-northeast-1"
export CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1
パターンC: Bedrock APIキー(最もシンプル・セキュリティチームへの説明が楽)
# Bedrock専用APIキーを使う場合
# IAMアクセスキーと違い、Bedrock操作のみにスコープが限定される
export AWS_BEARER_TOKEN_BEDROCK="your-bedrock-api-key"
export AWS_REGION="ap-northeast-1"
export CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1
Bedrock APIキーは、AWSの認証情報の代わりにベアラートークン(AWS_BEARER_TOKEN_BEDROCK)で認証する方式です。AWS公式ドキュメントは、最長12時間の短期キーを本番利用向け、期限を指定して発行する長期キーを検証専用としています(2026年9月30日時点)。チーム展開で使うなら短期キーを選び、長期キーを開発者のPCに置き続ける運用は避けてください。
パターンD: 本番環境向けモデルバージョン固定
【2026年9月30日追記】モデルを固定しない場合、Bedrock上のClaude Codeは既定でOpus 5.5をメインモデルに使います(opusエイリアスはOpus 5.5、sonnetエイリアスはSonnet 4.5を指します)。OpusはSonnetよりトークン単価が高いため、固定していない環境はOpusの料金で課金されます。Sonnetをメインで使い続けたい場合は、ANTHROPIC_MODELなどでモデルIDを明示してください。
# モデルバージョンを固定(複数ユーザー展開時は必須)
# バージョン固定しないとAlias(sonnet等)が最新版を指し、
# BedrockアカウントでまだGA前のモデルにアクセスしようとするケースがある
export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL="us.anthropic.claude-opus-4-8"
export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL="us.anthropic.claude-sonnet-4-6"
export ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL="us.anthropic.claude-haiku-4-5-20251001-v1:0"
ステップ4: claude code loginウィザード実行
【2026年9月30日追記】「claude code login」というコマンドはなく、ここでのウィザードはclaudeを起動したときのログイン画面(3rd-party platform → Amazon Bedrock)です。ウィザードは結果をユーザー設定ファイルのenvに保存するため、ステップ3の環境変数を自分で設定しなくても使えます(環境変数での設定はCIなど向けの別の方法です)。
環境変数を設定したら、ウィザードで認証を完結させます:
# 1. claudeコマンドを起動
claude
# 2. ログインプロンプトで選択
# → 「3rd-party platform」を選択
# → 「Amazon Bedrock」を選択
# 3. 認証方式を選択(上記のパターンA〜Cに対応)
# ウィザードが ~/.aws ディレクトリのプロファイルを自動検出します
# 4. 利用できるモデルを確認してピンを設定
# ウィザードが設定を ~/.claude/settings.json に保存します
# 後から設定を変更したい場合
/setup-bedrock
ステップ5: 動作確認コマンド
# 接続確認
claude /status
# 出力例(正常時)
# Provider: Amazon Bedrock
# Region: ap-northeast-1
# Model: us.anthropic.claude-sonnet-4-6
# モデル一覧確認(Bedrockアカウントで有効なモデルのみ表示)
claude /model
# 簡単なテスト
claude "Hello from Bedrock"
AI研修のクライアント企業でBedrockセットアップを手伝ったとき、ステップ1のモデルアクセス申請を忘れて「Access denied to model」エラーで詰まるケースが多かったです。順番通り進めれば、30分以内を目安に終えられる手順です。
コピペ可能:settings.jsonによる永続設定
環境変数をシェル設定ファイルに都度書くのは手間がかかります。~/.claude/settings.json(ユーザー設定)または.claude/settings.json(プロジェクト設定)に書けば、起動のたびに自動で適用されます。
ユーザー設定(個人PC向け)
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK": "1",
"AWS_REGION": "ap-northeast-1",
"AWS_PROFILE": "your-company-profile",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "us.anthropic.claude-sonnet-4-6",
"ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL": "us.anthropic.claude-haiku-4-5-20251001-v1:0"
},
"awsAuthRefresh": "aws sso login --profile your-company-profile"
}
awsAuthRefreshはSSOセッションの有効期限が切れたときに自動で再ログインを促すコマンドです。ブラウザベースのSSOフローに対応しているため、CLIがURLを表示→ブラウザで承認→Claudeが再起動という流れになります。
チーム展開向けプロジェクト設定(リポジトリに含める)
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK": "1",
"AWS_REGION": "ap-northeast-1"
},
"availableModels": ["opus", "sonnet", "haiku"]
}
プロジェクト設定はリポジトリに含めて全員で共有します。ただしAWS_PROFILEや認証情報の実値は個人のユーザー設定に置いてください。
業務適用シナリオ3パターン:製造業・金融機関・医療
製造業:設計書レビューと品質基準チェック
事例区分: 想定シナリオ
以下は100社以上のAI研修・コンサル経験をもとに構成した典型的なシナリオです。
製造業では設計図・仕様書・品質基準書などのドキュメントを大量に扱います。Bedrock経由なら、使うモデルに「jp.」の推論プロファイルがあればそれを指定して処理を国内に限定できるため(東京リージョンを選ぶだけでは既定で「apac.」になります)、機密性の高い設計情報でも使いやすい。
典型的な使い方のプロンプト例:
以下の品質基準書を読んで、ISO 9001の要求事項と照らし合わせて
不足している項目を箇条書きでまとめてください。
品質基準書の内容:
[ここに内容を貼り付け]
確認したいISO 9001の要求事項:
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
(以下省略)
コード生成が中心のClaude Codeですが、テキスト処理も当然こなせます。製造業の情シス担当者から「設計書のセキュリティポリシー上の問題でAIが使いにくかったが、Bedrockなら東京リージョンで完結するので審査を通せた」という話を実際に聞きました。
金融機関:社内ツール開発とコードレビュー
金融機関では「コードがAnthropic社のサーバーを経由することへの懸念」がAI導入の壁になるケースが多い。BedrockはAWS側の契約・セキュリティ体制の中で処理されるため、既存のクラウドセキュリティポリシーを適用しやすい。
以下のPythonコードに金融規制(FISC安全対策基準)の観点から
セキュリティリスクがあれば指摘してください。
特に個人情報・口座情報の扱いと暗号化処理に注目してください。
[コードを貼り付け]
Claude Codeをコードレビュー専用に使うユースケースでは、SSOとIAMロールを組み合わせて「誰がどのコードをレビューさせたか」をCloudTrailで追跡できる体制を整えると監査対応が楽になります。
医療:電子カルテ関連システムの開発補助
医療分野では個人情報保護法・医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(6.0版)への準拠が必要です。Bedrockは「jp.」の推論プロファイルで処理を国内に限定すれば3省2ガイドラインの「国内完結」要件を満たす方向で整理しやすい(ただし社内審査・法的判断は個別に必要)。
以下の要件定義書を読み、電子カルテシステムの患者データ管理部分について
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版の観点から
不足している機能要件を指摘してください。
[要件定義書の内容]
TCO試算:直接API vs Bedrock経由でコストを比較
「Bedrockを使うとコストが上がるの?」という質問は必ず来ます。結論から言うと、標準的な利用では料金は同じです。差が出るのは特定の構成を選んだ場合です(AWS公式価格ページ参照、参照日: 2026-06-03)。
| モデル | 入力 ($/1Mトークン) | 出力 ($/1Mトークン) | バッチ推論(50%引き) |
|---|---|---|---|
| Claude Sonnet 4.6 | $3.00 | $15.00 | 入力$1.50 / 出力$7.50 |
| Claude Haiku 4.5 | $1.00 | $5.00 | 入力$0.50 / 出力$2.50 |
| Claude Opus 4.5 | $5.00 | $25.00 | 入力$2.50 / 出力$12.50 |
出典: Amazon Bedrock Pricing(参照日: 2026-06-03)
コスト面での注意点:
- リージョン限定のエンドポイントは約10%増: Claude Sonnet 4.5以降のモデルでは、
us.anthropic.claude-sonnet-4-6のように「us.」「eu.」「jp.」などのプレフィックスでリージョンを限定すると、「global.」プレフィックスのグローバルエンドポイントより料金が10%高くなります。割増を避けたい場合は「global.」、データの所在を限定したい場合はリージョン限定を選びます - プロンプトキャッシング: Bedrockでも利用可能。キャッシュ読み込み料金はキャッシュ書き込みの約8%。長いシステムプロンプトを繰り返す場合は大幅節約になります(ただし利用可能リージョンを要確認)
- Provisioned Throughput: 高トラフィックが見込まれる本番環境では予約スループットを検討。1ヶ月または3ヶ月単位で固定料金
運用コストの観点では、直接APIより Bedrock の方が「管理コスト」が上がる場合があります。IAMポリシー管理・CloudTrailログの保管・Bedrockコンソールの監視など、AWS管理の工数が加わるためです。チームが10人未満なら直接APIの方がシンプルなケースも多い。
チーム展開の目安として、Bedrock経由が有利になるのはチーム規模10人以上・セキュリティポリシーが厳格・既存AWSガバナンスを流用できる環境です。
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【要注意】よくある失敗パターンと回避策
失敗1: モデルアクセス申請を忘れてAccess deniedエラー
❌ よくある間違い: BedrockコンソールでIAMとリージョンの設定だけ済ませてclaudeを起動、「Access denied to model」で詰まる
⭕ 正しいアプローチ: ステップ1(モデルアクセス申請)は必ず先に完了させる。コンソールのModel catalogでAnthropicモデルを開き、「Request access」から申請を送信してから次のステップへ
なぜ重要か: Anthropicのモデルは、初めて呼び出す前にユースケースの提出が必要です(AWSアカウントごとに1回で、モデルごとではありません)。IAMポリシーがどんなに正しくても、提出が済んでいなければモデルを呼び出せません。AWS Organizationsなら管理アカウントから一括申請できます。
失敗2: IAMロール権限不足(GetInferenceProfile忘れ)
❌ よくある間違い: bedrock:InvokeModelとbedrock:InvokeModelWithResponseStreamだけ付与して動かすと、application inference profileを使ったときに毎回余分なAPI呼び出しが発生する
⭕ 正しいアプローチ: 公式推奨のIAMポリシー(上記のJSONを参照)にはbedrock:GetInferenceProfileも含める。これがあるとClaude CodeがARNからバックエンドモデルを解決するのに1往復不要になる
なぜ重要か: GetInferenceProfileがないと動作はするものの、新しいモデルARNを使うたびに余分なAPI呼び出しが発生してレスポンスが遅くなります。Anthropic公式ドキュメントに明記されています(参照日: 2026-06-03)。
失敗3: リージョン不一致(モデルが東京で使えない)
❌ よくある間違い: AWS_REGION=ap-northeast-1に設定したが、モデルがそのリージョンで使えないためエラー。または「on-demand throughput isn’t supported」が出る
⭕ 正しいアプローチ: モデルを推論プロファイルのIDで指定する。Claude Codeは東京など「ap-」で始まるリージョンでは「apac.」プレフィックスを優先し、ANTHROPIC_BEDROCK_REGION_PREFIX(v2.1.224以降)で「jp」「global」などに変えられる。aws bedrock list-inference-profiles --region ap-northeast-1で東京リージョンで使えるプロファイルを先に確認する
なぜ重要か: 最新モデルは東京リージョン(ap-northeast-1)で即日GA提供されないことがあります。リージョンを限定する推論プロファイル(「apac.」「jp.」など)は「global.」より10%割高ですが、モデルの可用性を確保できます。
失敗4: コスト見落とし(クロスリージョン推論の割増)
【2026年9月30日追記】10%の割増がかかるのは、クロスリージョン推論のうちリージョンを限定するエンドポイント(「us.」「jp.」など)で、グローバルエンドポイント(「global.」)には割増がありません。
❌ よくある間違い: 「BedrockはAnthropicと同じ料金」と思ってus.プレフィックスのモデルを使い続けたら請求が10%増になっていた
⭕ 正しいアプローチ: 割増がかかるのはリージョンを限定するエンドポイントで、グローバルエンドポイント(「global.」プレフィックス)には割増がない。データの所在に制約がなければANTHROPIC_BEDROCK_REGION_PREFIX=globalを設定するか、ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODELに「global.」で始まるモデルIDを指定する。国内にとどめたい場合は「jp.」を使い、10%の割増を見込む
Mantleエンドポイント:Bedrockのもう一つの新選択肢
2026年以降、BedrockではInvoke API(従来)に加えて「Mantle」というエンドポイントが利用できるようになりました(Claude Code v2.1.94以降対応)。
Mantleの最大の特徴はBedrockのInvoke APIではなくAnthropicネイティブのAPIシェイプを使うことです。これにより、Anthropic直接APIと同じ構造でリクエストを送れます。認証はAWS認証情報をそのまま使えますが、IAMのアクションは別で、bedrock-mantle:CreateInference(推論)とbedrock-mantle:CountTokens(トークン数の計算)の付与が必要です。前述のIAMポリシー(bedrock:で始まるアクション)だけではMantleを呼び出せません。また、Mantleのモデル IDは「anthropic.」で始まり版の接尾辞が付かない形式(例: anthropic.claude-sonnet-5)で、「us.anthropic.claude-sonnet-4-6」のような推論プロファイルのIDは使えません(2026年9月30日時点)。
# Mantleを有効にする場合
export CLAUDE_CODE_USE_MANTLE=1
export AWS_REGION=ap-northeast-1
# Bedrockと両方使う場合(モデルIDで自動振り分け)
export CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1
export CLAUDE_CODE_USE_MANTLE=1
どちらを使うべきか?現時点ではほとんどの企業はInvoke API(CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK=1)で十分です。Mantleは「組織内のLLMゲートウェイ経由でルーティングしたい」「Anthropicネイティブのモデルラインナップにアクセスしたい」という高度なユースケース向きです。
/statusコマンドで接続先を確認できます。Mantleが有効なら「Amazon Bedrock (Mantle)」と表示され、両方有効なら「Amazon Bedrock + Amazon Bedrock (Mantle)」と表示されます。
AWS Bedrockセキュリティの盲点:認証情報のサブプロセス共有
2026年5月、Security Boulevardが指摘した「Bedrock with Claude Code: Your AWS Credentials Are Shared With Every Subprocess」は、企業のセキュリティ担当者が把握しておくべき重要な問題です(参照日: 2026-06-03)。
問題の内容:Claude Codeが起動した子プロセス(シェルコマンドの実行・テストランナー・ビルドスクリプトなど)は、親プロセスのAWS認証情報(環境変数)を継承します。つまり悪意のあるコードや依存パッケージが環境変数経由でAWS認証情報にアクセスできる状態になります。
対策として推奨されるのが前述の「Bedrock APIキー(AWS_BEARER_TOKEN_BEDROCK)」です。IAMアクセスキーと違い、Bedrock操作のみにスコープが限定されているため、仮に漏洩してもBedrockの呼び出し以外のAWSリソースには影響が及びません。Anthropic公式ドキュメントは、Bedrock APIキーを「AWSの認証情報一式を必要としない、より簡単な認証方法」と説明しています。あわせて、AWS_PROFILEのように他のプロセスへ渡したくない環境変数は設定ファイルに書く方法も案内しています(2026年9月30日時点)。
エンタープライズ展開でIAMロールを使う場合は、最小権限の原則に従って上記IAMポリシーJSONのようにbedrock:InvokeModel等に限定してください。S3・EC2・Lambda等の他のAWSリソースへのアクセス権は絶対に含めないことが重要です。
企業展開のベストプラクティス:AWS公式ガイドから学ぶ
AWSが公開した「Claude Code deployment patterns and best practices with Amazon Bedrock」(参照日: 2026-06-03)では、企業展開の推奨構成として以下を挙げています。
| 認証方式 | セキュリティ | ユーザー属性管理 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| Bedrockアカウント | 要注意 | なし | 短期テストのみ |
| AWS SSOログイン | 低リスク | 基本的 | 少人数の迅速展開 |
| IAM Identity Center | 低リスク | 基本的 | 中規模チーム |
| 直接IdP統合(Okta/Azure AD/Auth0) | 低リスク | 完全(部署・チーム属性まで) | 本番環境・大規模展開 |
本番環境での推奨は「直接IdP統合」です。JWTトークンがセッション全体でアクセス可能になり、OpenTelemetryによる監視でメール・部署・チームの属性まで追跡できます。「誰が何のコードをどれだけ生成したか」がAWS CloudTrailに記録されるため、情報セキュリティ監査の証跡としても使えます。
コスト管理の観点ではClaude Code専用のAWSアカウントを分離することをAWSは推奨しています。理由は:
- AWS Cost Explorerで他のAWSサービスと混在せず直接コスト追跡できる
- CloudTrailログを一元管理できる
- 本番インフラとのクォータ競合を防げる
AWS Guardrails:企業コンプライアンス対応の切り札
Bedrockには「AWS Guardrails」という機能があり、Claude Codeに対してコンテンツフィルタリングを適用できます。「社員がClaude Codeを使って機密情報を外部に漏らさないか」という懸念に対して有効な対策です。
Guardrailsを使うにはBedrockコンソールでGuardrailを作成・バージョン公開後、settings.jsonにヘッダーを追加します:
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_USE_BEDROCK": "1",
"AWS_REGION": "ap-northeast-1",
"ANTHROPIC_CUSTOM_HEADERS": "X-Amzn-Bedrock-GuardrailIdentifier: your-guardrail-id\nX-Amzn-Bedrock-GuardrailVersion: 1"
}
}
クロスリージョン推論プロファイルを使っている場合は、Guardrail側でも「Cross-region inference」を有効にしてください。
内部リンクとリソース
Claude Codeの基礎から応用まで体系的に学びたい場合は以下の記事も参照してください:
- Claude Code完全ガイド — 基本的な使い方・個人利用の設定
- Claude Codeチームプラン完全ガイド2026 — チーム展開の管理機能
- Codex CLI vs Claude Code 料金比較ガイド2026 — 類似ツールとの使い分け
よくある質問
Amazon BedrockでAnthropicのモデルを使うのに申請は必要ですか?
はい、Amazon BedrockでAnthropicのモデルを初めて使う前に、ユースケースの提出が必要です。BedrockコンソールのModel catalogでAnthropicのモデルを選び、フォームを送信すると、すぐにアクセスが付与されます。提出はAWSアカウントごとに1回です。AWS Organizationsを使っている場合は、管理アカウントからPutUseCaseForModelAccess APIを1回呼ぶと、子アカウントにも適用されます。
CLAUDE_CODE_USE_BEDROCKとは何ですか?
CLAUDE_CODE_USE_BEDROCKは、Claude Codeの接続先をAmazon Bedrockに切り替える環境変数です。値を1にして、AWSの認証情報(IAMアクセスキー、SSOプロファイル、Bedrock APIキーのいずれか)とリージョンを設定すると、Claude CodeはBedrock経由でClaudeを呼び出します。Claude Codeのログイン画面で「3rd-party platform」から「Amazon Bedrock」を選ぶウィザードでも、同じ設定ができます。
CLAUDE_CODE_USE_MANTLEとは何ですか?
CLAUDE_CODE_USE_MANTLEは、BedrockのMantleエンドポイントを有効にする環境変数です。Mantleは、BedrockのInvoke APIではなくAnthropicのAPIと同じ形式でClaudeを呼び出せるエンドポイントで、AWSの認証情報はそのまま使えます。IAMのアクションは別で、bedrock-mantle:CreateInferenceなどの付与が必要です。CLAUDE_CODE_USE_BEDROCKと両方を設定すると、モデルIDに応じて接続先が振り分けられます。
Claude CodeをBedrock経由で使うと料金は高くなりますか?
Claude CodeをBedrock経由で使う場合、料金は選ぶエンドポイントとモデルによって変わります。Claude Sonnet 4.5以降のモデルでは、「us.」「jp.」などリージョンを限定するエンドポイントの料金が、「global.」のグローバルエンドポイントより10%高くなります。モデルを固定しない場合は既定でOpus 5.5が使われ、OpusはSonnetよりトークン単価が高い点にも注意が必要です(2026年9月30日時点)。
Bedrock経由のClaude CodeでWeb検索は使えますか?
いいえ、Amazon Bedrock経由のClaude Codeでは、WebSearchツールは使えません(2026年9月30日時点の公式ドキュメント)。WebSearchはAnthropic側のWeb検索の仕組みを使うツールで、検索の接続先は変更できないためです。Bedrock経由でWeb検索が必要な場合は、検索機能を提供するMCPサーバーを追加する方法が、公式ドキュメントで案内されています。
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること: AWSアカウントがある方はBedrockコンソールのModel catalogでAnthropicモデルのアクセス申請を送信する(無料・即時承認)
- 今週中: 上記のIAMポリシーJSONをコピペしてテスト用IAMユーザーにアタッチし、環境変数5本で動作確認。エラーが出たら、まず上記「失敗パターン4つ」に当てはまらないかを確認する
- 今月中: チームへの展開方針(認証方式・モデルバージョン固定・コスト管理用専用AWSアカウント)を決定して展開計画を立てる
参考・出典
- Claude Code on Amazon Bedrock — Claude Code公式ドキュメント(参照日: 2026-06-03)
- Claude Code deployment patterns and best practices with Amazon Bedrock — AWS Machine Learning Blog(参照日: 2026-06-03)
- Amazon Bedrock Pricing — AWS公式(参照日: 2026-06-03)
- guidance-for-claude-code-with-amazon-bedrock — AWS Solutions Library(GitHub)(参照日: 2026-06-03)
- Using Bedrock with Claude Code? Your AWS Credentials Are Shared With Every Subprocess — Security Boulevard(参照日: 2026-06-03)
著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
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