メインコンテンツへスキップ
見出し画像

CPUとGPUは何が違うのか、どう選ぶのか|型番の読み方とVRAM容量の考え方

    パソコンのカタログを見ると、CPU、GPU、そして最近はNPUという文字が並んでいます。数字が大きいほうが速いらしい、という以上のことは説明されないまま、10万円単位の買い物をすることになります。

    この3つは、役割がはっきり違います。
    違いが分かると、カタログのどこを見ればいいのかも決まります。
    逆に言うと、違いを知らないまま型番の数字だけを比べても、自分の使い方に合った1台には近づきません。

    この記事では、CPUとGPUが何をしているのかを整理したうえで、Intel・AMD・NVIDIAそれぞれの型番の読み方と、選ぶときに見るべき数字を通しで解説します。

    この記事は、メーカー公式の情報をもとに、2026年9月時点の内容にしています。


    CPUとGPU、役割の違いを一言で

    CPU(Central Processing Unit)は「少数精鋭のなんでも屋」です。
    数個から数十個程度の高性能なコアが、複雑な処理を順番に、賢くこなします。
    OSの制御、アプリの起動、条件分岐の多い処理など、コンピューター全体の司令塔にあたる役割を担います。

    GPU(Graphics Processing Unit)は「大量の単純作業を同時にこなす専門チーム」です。
    数千個規模の比較的シンプルなコアを持ち、同じような計算を大量に並列でこなすことに特化しています。
    もともとは、画面上の何百万ものピクセルを同時に描画するために生まれた仕組みです。

    たとえるなら、CPUは複雑な依頼に一人で対応できる優秀な職人、GPUは同じ単純作業を千人がかりで一気に終わらせる工場です。
    どちらが優れているという話ではなく、向いている仕事が違います。

    生成AIにGPUが使われるのはなぜか

    生成AIの学習と推論は、大量の行列演算、つまり掛け算と足し算の繰り返しでできています。
    これはまさにGPUが得意とする単純計算の大量並列処理にぴったりはまります。
    ゲーム用に磨かれてきた技術が、そのままAI計算に転用できた。
    これが、GPUがAIブームの中心にいる理由です。

    この話は次の記事でさらに掘り下げます。


    名前の由来をふたつ

    CPUの元祖は電卓用だった

    現在のCPUの直接の祖先は、1971年にIntelが発表した「4004」です。
    Intel公式は、これを「世界初の汎用マイクロプロセッサ」と表現しています。

    もともとは電卓用チップの受注開発でした。
    1969年4月、日本の電卓メーカーであるビジコン社が、卓上電卓の演算を担う12個のチップセットの製作をIntelに依頼したのが出発点です。
    対象製品はプリンタ付き電卓の「Busicom 141-PF」でした。
    当初はビジコン社が権利を保有していましたが、市場環境の変化を受けて、1971年5月にIntelのロバート・ノイスが権利を買い戻しています。

    電卓の心臓部が、50年以上かけて今のパソコンやスマートフォンの頭脳になった、というわけです。

    「GPU」という呼び方を広めた製品

    「GPU」という言葉を一般に定着させたのは、1999年10月11日に発売された、NVIDIAの「GeForce 256」です。

    ただし、これが本当に世界初かどうかは、言葉の定義次第です。
    NVIDIA自身の公式ブログも「世界初のGPUとして紹介された」という、やや距離を置いた書き方をしています。
    GPUという語そのものを市場に定着させたのがNVIDIAである以上、この主張は自己定義的な性格を持ちます。
    「NVIDIAが世界初のGPUとして売り出した製品」と理解しておくのが正確です。

    技術的な中身としては、ハードウェアによる座標変換と光源処理をGPU側で肩代わりし、CPUの負担を減らした点が新しさでした。


    第3のプロセッサ「NPU」

    近年のパソコンのカタログでよく見かけるようになった「NPU(Neural Processing Unit)」も、この流れで理解すると分かりやすくなります。

    NPUは、AIの推論処理、つまり学習済みのAIモデルを使って実際に答えを出す処理だけに特化して設計されたプロセッサです。
    CPUやGPUに比べて消費電力あたりの処理効率が高く、ノートパソコンやスマートフォンのようにバッテリーで動く機器で威力を発揮します。

    性能は「TOPS」という単位で表されます。
    Tera Operations Per Second、1秒間に実行できる演算数を兆単位で表した指標です。

    目安になるのが、MicrosoftのCopilot+ PCの要件です。
    Windows 11の公式仕様ページには、40 TOPS以上を実行できるNPUを備えた対応プロセッサまたはSoC、という条件が明記されています。
    あわせてメモリ16GB以上、ストレージ256GB以上も要件です。
    この40 TOPSという線引きは、2026年9月時点でも有効です。

    つまり、ノートパソコンを買うときにNPUのTOPS値を見るのは、AI機能が使えるかどうかの足切りラインを確認する作業でもあります。


    CPUの選び方

    Intelの型番の読み方

    Intelは、従来の「Core i3/i5/i7/i9」というブランドを、AI処理に対応した世代から「Core Ultra」に刷新しました。

    たとえば「Core Ultra 7 265K」という型番なら、「Ultra 7」の部分がグレード、つまり性能帯を表し、数字が大きいほど上位です。
    末尾のアルファベットにも意味があり、Kは倍率ロックフリーで性能を引き出しやすい上位モデル、無印は標準モデル、という具合に性格が変わります。

    従来の「Core i7-14700K」のような型番も市場に残っています。
    この場合は先頭の2桁、14700の「14」が世代を表し、数字が大きいほど新しい世代です。

    デスクトップ向けの現行はCore Ultra 200Sシリーズで、2026年3月には「Core Ultra 200S Plus」というリフレッシュ版が加わりました。
    Core Ultra 7 270K Plus、Core Ultra 5 250K Plus、同250KF Plusの3種類で、店頭には2026年3月26日から並んでいます。
    既存の200Sを置き換えるものではなく、同じプラットフォーム上で併売されている形です。

    AMDの型番の読み方

    AMDの「Ryzen」シリーズも、型番に法則があります。
    デスクトップ向けの「Ryzen 9 9950X3D」なら、先頭の「9」がグレード、続く「9950」の先頭桁が世代を表します。
    この場合はRyzen 9000シリーズです。

    一点、注意があります。
    ノートパソコン向けRyzenについて「型番の1桁目が発売年を示す」という説明が広く流通していますが、この説明の出どころはAMDが2022年に公開したブログ記事ですが、その記事はすでに公開を終えています。
    加えて現在のAMDのノートPC向けラインナップは、Ryzen AI Max、Ryzen AI 400、Ryzen AI 300、Ryzen 400、Ryzen 200、Ryzen 9000、Ryzen 8000、Ryzen 7000が併存しており、1桁目が発売年という一本のルールでは説明できない状態です。
    この覚え方は、いったん忘れたほうがよさそうです。

    IntelとAMD、結局どちらか

    2026年時点の一般的な業務用途では、体感差はほとんどありません。
    どちらを選んでも支障はない、というのが実情です。
    ただし用途によっては、選ぶ理由が明確になります。

    Intelが有利になりやすいのは、CAD・BIM系のソフトウェアを使う場合です。
    ソフト側の動作保証がIntel限定になっていることがあります。
    もう一つは、vProプラットフォームによるハードウェアレベルの遠隔管理が必要な場合です。
    この機能は2026年9月時点でも提供が続いており、リモートKVM、リモート電源制御、遠隔でのストレージ消去といった、OSが起動しない状態でも使える管理機能が中心です。
    台数の多い法人環境では、この差が効きます。

    AMDが有利になりやすいのは、仮想マシンを複数同時に動かす開発環境、同じ性能でコストを抑えたい場合、消費電力やバッテリー持続時間を重視する場合です。

    ゲーミング用途では、AMDの「X3D」シリーズが高く評価されています。
    3D V-Cacheと呼ばれる大容量キャッシュを載せたモデルで、2026年に入ってからも、Ryzen 7 9850X3Dが第1四半期に、3D V-Cacheを2基搭載したRyzen 9 9950X3D2 Dual Editionが4月22日に追加されています。

    用途別の目安

    • 事務作業・ブラウジング中心:Intel Core Ultra 5、またはAMD Ryzen 5クラスで足ります

    • ゲーミング・動画編集・配信などマルチタスク:Intel Core Ultra 7以上、AMD Ryzen 7から9クラス。ゲーミングに特化するならRyzenのX3Dシリーズ

    • TDP(熱設計電力)も見る:ノートPC向けは15から45W前後、デスクトップ向けは65から125W以上が主流です。数値が大きいほど高性能ですが、その分だけ冷却と電源への配慮が必要になります


    GPUの選び方

    グレードの見方

    NVIDIAのGeForce RTXシリーズは、数字が大きいほど上位という分かりやすい命名です。
    同じ世代の中で、無印、Ti、SUPERという接尾辞がグレードを細分化します。
    無印がベース、Tiは無印より一段性能を引き上げたモデル、SUPERはさらにVRAM容量やクロックを強化したリフレッシュモデル、というのが基本パターンです。

    2026年9月時点でNVIDIA公式サイトに掲載されているデスクトップ向けの現行ラインナップは、次のとおりです。

    • RTX 5090:VRAM 32GB

    • RTX 5080:16GB

    • RTX 5070 Ti:16GB

    • RTX 5070:12GB

    • RTX 5060 Ti:16GBまたは8GB

    • RTX 5060:8GB

    • RTX 5050:8GB

    解像度別の目安としては、NVIDIA自身が性能比較を提示する条件が参考になります。
    RTX 5080の製品ページは4Kの最高設定で、RTX 5070ファミリーのページは1440p(WQHD)の最高設定でベンチマークを示しています。
    NVIDIAが「5080は4K向け」と明言しているわけではありませんが、どの解像度を基準に置いているかは読み取れます。

    VRAM容量が何に効くか

    VRAM(ビデオメモリ)は、GPUが画像データやテクスチャを一時的に置いておく専用メモリです。
    解像度が上がるほど、また画面に同時表示する情報量が多いゲームほど、必要な容量は増えます。

    もう一つ、最近はっきりしてきたのが、手元のパソコンでAIモデルを動かす用途です。
    ここではVRAM容量が、動かせるモデルの上限をほぼ決めます。

    具体的な数字が公式に出ています。
    NVIDIAの公式ブログは、オープンウェイトの20BクラスのモデルをローカルPCで動かす条件として、llama.cppやMicrosoft AI Foundry Localなら最低16GBのVRAM、Ollamaなら最低24GBのVRAMを挙げています。
    AMDの公式ブログも、同じ規模のモデルについてRadeon RX 9070 XTの16GBをデスクトップで使える構成として名指しし、120Bクラスのモデルには約61GBのVRAMが必要だとしています。

    「ローカルAIを試すならVRAM 16GB以上」という目安には、メーカー公式の裏付けがあるということです。
    ただしツールによっては24GB必要になる点は覚えておいてください。

    AMD RadeonとIntel Arc

    AMDのRadeonは、コストパフォーマンスで対抗する立ち位置です。
    2026年9月時点の現行はRX 9000シリーズで、RX 9070 XT、RX 9070、RX 9070 GRE、RX 9060 XT 16GBが並びます。
    RX 9070 XTはVRAM 16GB、アーキテクチャはRDNA 4です。
    AMD公式ページに生産終了や後継モデルの案内はありません。

    Intelも「Arc」シリーズでGPU市場に参入しています。
    2026年9月時点でIntel公式に掲載されているデスクトップ向けはArc B580(VRAM 12GB)とArc B570で、いずれもBattlemage世代です。
    より上位と噂されてきたArc B770は、公式の製品ページには存在しません。
    歴史は浅いものの、価格を抑えた製品で存在感を出しており、2強に対する第三の選択肢として動向を見ておく価値はあります。

    PR

    RTX 50 SUPERはどうなっているのか

    VRAMを増量したRTX 50 SUPERシリーズが出る、という話が長く出回っています。
    買い替えを先延ばしにするかどうかに直結するので、現在地をはっきり書いておきます。

    2026年9月時点で、NVIDIA公式サイトにSUPERモデルは1つも掲載されていません。
    公式のプレスリリースにも発表はありません。
    正式発表も発売もされていない、というのが現状です。

    延期説やキャンセル説を報じる記事は複数ありますが、いずれもグラフィックスカードメーカー筋のリークが出どころで、NVIDIA自身は何も表明していません。
    VRAM 18GBや24GBという具体的な数字も、すべてリーク由来です。

    待つかどうかの判断材料としては、「公式には何も発表されていない」という以上のことは言えません。


    2026年9月時点の最新状況

    2026年に入ってから動いた点をまとめます。

    NPU搭載プロセッサは新世代に入った

    Intelは2026年1月5日のCES 2026で、Core Ultra シリーズ 3(開発コード名 Panther Lake)を正式発表しました。
    搭載機の予約は1月6日から、発売は1月27日からです。
    NPU単体で最大50 TOPS、CPU・GPU・NPUを合わせたプラットフォーム全体で最大180 TOPSとされています。
    製造プロセスはIntel 18A、GPUはXe3です。
    vPro対応の商用版は3月25日に発表され、商用PCは3月31日から提供されています。

    AMDも同じ2026年1月5日に、Ryzen AI 400シリーズを発表しました。
    NPUは最上位のRyzen AI 9 HX 475および同PRO 475で最大60 TOPS、下位モデルで50から55 TOPSです。
    搭載ノートPCは2026年第1四半期から、デスクトップ版は第2四半期からとされています。
    3月2日にはラインナップの拡大も発表されました。

    AMDのNPU性能は、Ryzen AI 300の最大50 TOPSから一段上がったことになります。

    GPUは価格が上がっている

    供給側の事情で、GPUの実勢価格が上がっています。
    DRAM不足の影響で、2026年8月時点の米国実売価格は、RTX 5060 Ti 16GBが6月比で約41パーセント、RTX 5070が約36パーセント上昇したと報じられています。
    日本国内でも、8月上旬に販売店がRTX 5070、5070 Ti、5080の再入荷が不安定である旨を告知しました。

    なお2026年1月に「RTX 5070 TiとRTX 5060 Ti 16GBが生産終了」と報じられたことがありますが、これは誤報として訂正されており、NVIDIAは全GeForce製品の出荷を継続していると表明しています。
    現行品として問題なく選べます。

    買い時としては悩ましい局面です。
    性能で選ぶ分には現行ラインナップで問題ありませんが、価格は下がる方向に動いていません。


    まとめ

    • CPUは少数精鋭のなんでも屋、GPUは単純作業の物量作戦。向いている仕事が違うだけで、優劣ではない

    • NPUはAI推論に特化した第3のプロセッサ。Copilot+ PCの要件は40 TOPS以上で、この線引きは2026年9月時点でも有効

    • CPUの型番はメーカーごとにルールが違い、しかも数年おきにルール自体が変わる。ノート向けRyzenの「1桁目が発売年」という覚え方は、現在のラインナップでは通用しない

    • GPUは「グレード」と「VRAM容量」の2軸で考える。ローカルでAIを動かすなら16GB以上が公式の目安。ただしツールによっては24GB必要

    • RTX 50 SUPERは2026年9月時点で公式発表なし。待つ判断の材料にはならない

    • 2026年に入り、Intel Core Ultra シリーズ 3(最大50 NPU TOPS)とAMD Ryzen AI 400(最大60 NPU TOPS)が登場している

    型番の数字を追いかけるより、「自分は何をするために買うのか」を決めるほうが先です。
    皆さんがパソコンを選ぶとき、いちばん重視しているのはどこですか。


    参考・引用元


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。
    規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


    関連する記事

    その部品の値段がなぜ動いているのかは、別の記事で扱っています。
    メモリとストレージの相場と、円安の影響をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n333f7dce39e4

    本体と画面を決めたあと、左手側にショートカット専用の機器を足すという選択肢があります。
    4つのタイプの違いと選び方を、別の記事で扱っています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n7a8ae422072f

    中身を決めたあと、業務用として何を確かめるかは、別の記事で扱っています。
    カタログのバッテリー駆動時間、周辺機器のドライバー、保守契約の読み方をまとめています。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/nb43bf2dd1174

    AIとGPUの関係、そして実際にパソコンを組む・買うときの注意点は、続きの記事にまとめています。

    https://note.com/yunta_fukurou/n/n985db2e13894

    本体を選んだあとに来るのが、机の上の環境です。
    モニターとアームの選び方は、別の記事で扱っています。
    厚生労働省が視距離と文字の高さを数値で決めていて、カタログの数字より先に見る基準があります。
    https://note.com/yunta_fukurou/n/n396fab9e1d40

     
     
    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

    あなたへのおすすめ