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NASとは?クラウドとの違いと、2026年の選び方|総額はHDDで決まる

    クラウドストレージの月額を払い続けていると、ふと「これ、あと10年払うといくらになるんだろう」と考えることがあります。
    写真と動画は増える一方で、容量のプランは上がる方向にしか動きません。

    そこで出てくるのが、NASという選択肢です。
    自宅やオフィスにストレージを1台置いて、自分専用のクラウドとして使う。
    買い切りなので、月額は発生しません。

    ただし2026年は、この計算に大きな変数が入っています。
    NAS本体より、中に入れるハードディスクのほうが高いのです。
    仕組みと選び方を押さえたうえで、実際にいくらかかるのかまで見ていきます。

    この記事は、メーカー公式資料をもとに、2026年時点の製品ラインナップと価格の状況を反映しています。


    NASは、手元に置くクラウド

    NASとは何か

    NAS(Network Attached Storage)は、ネットワークに直接つないで使う専用のストレージ機器です。
    パソコンに外付けHDDをつなぐのとは違い、家庭内や社内のネットワークにつながっているため、同じネットワーク内の複数のパソコンやスマートフォンから同時にアクセスできます。

    イメージとしては、自分専用のクラウドストレージを、物理的に自宅やオフィスに置くようなものです。

    クラウドストレージと何が違うのか

    Google DriveやOneDriveのようなクラウドストレージと比べると、性格の違いがはっきりします。

    • 料金の形:クラウドは月額のサブスクリプション、NASは本体とHDDを買う買い切りです。保存するデータが多い人ほど、長期ではNASのほうが安くなりやすい構造です

    • データの置き場所:クラウドは事業者のサーバーに保存されます。NASはデータが物理的に手元にあり、通信環境に左右されずアクセスできます

    • 容量:クラウドはプランで決まります。NASは搭載するHDDの容量次第で、あとから増やせる機種も多くあります

    逆にクラウドの強みは、初期費用がほぼ不要で、契約すればすぐ使える手軽さです。
    NASは本体を買う初期費用がかかり、ネットワークの設定も自分で行う必要があります。
    手軽さを取るか、所有と管理を取るか、という選択になります。


    RAID:1ベイを選ぶと何が起きるか

    NASを理解するうえで避けて通れないのがRAID(Redundant Array of Independent Disks)です。
    複数のHDDを1つのストレージとして束ねる仕組みで、容量をまとめるだけでなく、データの安全性を高める役割も持ちます。

    代表的なものは2つです。

    • RAID1(ミラーリング):複数のHDDに同じデータを二重に書き込みます。1台が壊れても、もう1台にデータが残ります

    • RAID0(ストライピング):速度と容量を優先し、冗長性を持ちません。HDDが1台でも壊れると、全体のデータが失われます

    ここが最初の分かれ道です。
    個人向けの安価なNASには、HDDを1台しか積めない1ベイ製品が多くあります。
    1ベイではRAID1が組めません。
    つまり、そのHDDが壊れた時点でデータは戻りません。

    バックアップの置き場所としてNASを買うのに、そのNAS自体が壊れたらすべて失う構成になっている。
    これは実際によくある失敗です。
    安さを理由に1ベイを選ぶなら、それは「バックアップ」ではなく「もう1つの置き場所」だと割り切って使うことになります。

    なお、Synologyの製品にはSHR(Synology Hybrid RAID)という独自の方式もあります。
    容量の違うHDDを組み合わせても無駄が出にくい仕組みで、はじめて組む人には扱いやすい選択肢です。


    メーカーは実質2社、そこに国内勢が並ぶ

    NAS市場では、台湾に拠点を置くSynologyとQNAPの2社が、個人向け・法人向けの両方で高い知名度を持っています。
    両社ともLinuxベースの独自OSを載せており、SynologyはDSM、QNAPはQTSと呼びます。

    Synologyは操作画面の分かりやすさとサポートに定評があり、はじめてNASを使う人向けとされます。
    QNAPは設計から製造まで自社で行っており、拡張性やカスタマイズ性を求める人・企業向けという位置づけです。

    国内メーカーでは、BuffaloのLinkStationとI-O DATAのLAN DISKが、HDDを内蔵した状態で売られています。
    本体とHDDを別々に買う必要がなく、届いてすぐ使えるのが利点です。

    なお、I-O DATAのLAN DISK HDL2-AAXシリーズは生産終了が進んでおり、現行は後継のHDL2-LEシリーズです。
    中古や旧在庫を買う際は、型番を確認してください。


    何を見て選ぶか

    ベイ数

    最初に決めるのが、HDDを何台積めるかです。

    • 1ベイ:もっとも安価。RAIDによる冗長化ができないため、故障時にデータが失われます

    • 2ベイ:RAID1が組める最小構成です。個人・家庭用途で安心して使える最低ラインとされます

    • 4ベイ以上:容量と冗長性の両方を確保しやすくなります。家族で共有する、動画編集の素材を置く、小規模オフィスで使うといった用途に向きます

    CPUとメモリ

    NAS本体にもCPUとメモリが載っており、これが同時アクセスの快適さや、動画の変換処理の速さを左右します。
    単純にファイルを置くだけなら性能はそれほど重視しなくてかまいませんが、複数人が同時にアクセスする、NAS上で動画を変換するといった使い方をするなら、性能に余裕のあるモデルが必要になります。

    入門機はメモリが1GBや2GBで、増設できないものもあります。
    長く使うつもりなら、ここは確認しておく価値があります。

    LANの速度

    見落とされやすいのがLANポートの速度です。
    入門機の多くは1GbE(1ギガビット)1ポートで、実効の転送速度はおよそ毎秒110メガバイト前後が上限になります。
    大きな動画ファイルを日常的にやり取りするなら、2.5GbE対応の機種を選ぶと体感が変わります。

    実際、入門機のレビューでよく見かける不満が「1GbEしかないので2.5GbEにしてほしい」というものです。
    価格差と使い方を天秤にかけて決めるところです。

    用途別の目安

    • 個人の写真・書類のバックアップ:2ベイ、RAID1が最低ライン

    • 家族での共有、在宅ワークでのファイル共有:4ベイ、またはCPUとLANに余裕のある2ベイ

    • 小規模オフィスでの業務利用:法人向けモデルを検討し、RAID1以上を必須にする

    • 動画編集・メディアサーバー:CPU性能とメモリ、そして2.5GbE以上を重視する

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    2026年、総額はHDDで決まる

    本体より、中身のほうが高い

    ここが、いまNASを検討する人にとっていちばん重要な話です。

    NASキット(HDDが入っていない本体)は、2ベイの入門機で3万円台から買えます。
    しかしNASキットにはHDDが付いていません。
    RAID1を組むなら2台必要です。

    2026年9月時点の実売価格で計算してみます。
    Synology DS223j(2ベイ)が約35,000円、NAS向けHDDのSeagate IronWolf 4TBが約32,000円。
    2台入れると64,000円で、合計は約99,000円になります。
    HDD代が本体の1.8倍です。

    「NASは3万円台から」という感覚のまま検討すると、見積もりが3倍ずれることになります。

    なぜ上がっているのか

    AI向けデータセンターの需要でハードディスクの供給が逼迫しており、2026年に入ってからNAS向けHDDは上昇と品薄が続いています。

    AKIBA PC Hotline!が2026年8月26日に公開した価格レポートを見ると、状況は容量帯によって分かれています。
    東芝N300の24TBは月の半ばにいったん95,980円まで下がったあと、22日に38,180円上がって149,980円になりました。
    WD Red Plusの10TBも11,380円上がって60,980円です。
    一方でWD Red Plusの6TBは5,300円下がって39,980円になっており、Seagate IronWolfの10TBから12TBは品切れでした。

    つまり「全部が上がり続けている」わけではなく、大容量帯ほど上昇と品薄が激しい、というのが2026年後半の姿です。
    Western Digitalの公式ストアでも、NAS向けHDDは全容量が在庫切れの表示になっています(2026年9月時点)。

    容量あたりの単価だけを見れば、大容量のほうが有利です。
    WD Red Plusの8TBは約48,800円で、1TBあたり約6,100円。
    先ほどのIronWolf 4TB(約32,000円)は1TBあたり約8,000円ですから、2割以上安くなります。
    ただし品薄の影響も大きい帯なので、買えるかどうかも含めて判断することになります。

    CMRとSMR:型番の末尾を見る

    もうひとつ、NASにHDDを入れるときに必ず確認したいのが記録方式です。

    HDDにはCMRとSMRという2つの記録方式があります。
    SMRはデータを瓦のように重ねて書くことで容量を稼ぐ方式で、すでに書かれた領域への上書きや、RAIDの再構築(リビルド)のような連続書き込みが極端に遅くなります。
    NASのRAIDに入れるべきではありません。

    問題は、記録方式がS.M.A.R.T.情報に出てこないことです。
    買う前に型番でメーカーのデータシートを確認するしかありません。

    Western Digitalの場合、SMRなのはWD Red(Plusが付かない無印)の2TB・3TB・4TB・6TB、型番でいうとWD20EFAX、WD30EFAX、WD40EFAX、WD60EFAXの4つです。
    同社は自社ブログで公開した一覧の中で、それ以外の容量はCMRだと明記しています。
    EFAXという末尾がすべてSMRというわけではなく、8TB以上のEFAXはCMRです。
    判断は容量と型番の組み合わせで行う必要があります。

    そのWD Red(無印)は、2026年9月時点でWestern Digital公式の製品ページ自体がなくなっており、新品の主流流通からは外れています。
    ただし在庫品や中古では今も買えるため、中古で安く済ませようとするときは型番を確認してください。

    迷いたくない場合は、NAS向けとして売られているシリーズから選ぶのが確実です。
    WD Red Plus、WD Red Pro、Seagate IronWolf、IronWolf Pro、東芝N300は、いずれも全容量がCMRだとメーカーが公表しています。

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    「Synologyは純正HDDしか使えない」は、もう古い情報です

    Synologyを検討していると、「2025年モデルからは純正または認証済みのドライブしか使えなくなった」という情報に行き当たります。
    これは2026年9月時点では正しくありません。

    経緯はこうです。
    Synologyは2025年4月、その年のモデルのPlusシリーズについて、認証済みドライブ以外ではストレージプールの作成ができない、健康状態の監視が使えない、といった制限を導入しました。
    このときの公式アナウンスでは、XS Plusシリーズとラックマウントモデルは対象外とされています。

    しかし2025年10月8日、DSM 7.3のリリースと同時にこの方針は撤回されています。
    Synologyの公式リリースには、2025年モデルのPlus・Value・Jシリーズで、DSM 7.3を動かしていればサードパーティ製ドライブでもインストールとストレージプールの作成に対応する、と明記されています。

    押さえておきたい点が2つあります。

    1. 制限が入ったのは2025年モデル以降です。DS223jのような2024年以前のモデルは、そもそも対象外でした

    2. M.2 NVMe SSDについては、いまも制限が残っています。ストレージプールやキャッシュを作るには互換性リスト掲載のドライブが必要だと、公式リリースに明記されています

    もうひとつ、互換性リストに載っていないドライブは、動いたとしてもメーカーと代理店の動作保証や技術サポートの対象外になります。
    使えることと、保証されることは別の話です。

    撤回前に書かれた記事がネット上に大量に残っているため、いま検索すると古い情報にぶつかりやすい部分です。


    買う前に、型落ちでないかを確認する

    NASは製品サイクルが長く、数年前のモデルが検索上位に残り続けます。
    実際、記事や比較サイトでよく紹介されているSynology DS224+は、国内正規代理店のページに販売終了が明記されています。
    後継は2.5GbEを備えたDS225+です。

    Synologyは2026年8月6日に、新シリーズのDiskStation neo+(DS725neo+、DS925neo+など)を発表しており、すでに国内でも発売されています。
    Plusシリーズを置き換えるものではなく、並行して展開されるラインです。

    確認の手順はシンプルです。
    気になった型番を、メーカー公式サイトの製品ページと、国内正規代理店の取り扱い一覧の両方で引いてみる。
    販売終了の表示や後継モデルの案内が出ていないかを見る。
    これだけで、数年前のモデルを買ってしまう事故はかなり防げます。


    まとめ

    • NASは、月額ではなく買い切りで、データを手元に置くための機器です

    • 2ベイでRAID1を組むのが、個人用途の安心できる最低ラインです。1ベイは冗長性がなく、バックアップとしては機能しません

    • LANポートの速度は見落とされやすい部分です。大きなファイルを日常的に扱うなら2.5GbEを検討する価値があります

    • 2026年はHDDの供給が逼迫しており、大容量帯ほど上昇と品薄が続いています。NASキット3万円台に対してHDD2台で6万円台と、中身のほうが高くなります

    • NASに入れるHDDは必ずCMRを選びます。記録方式は型番で確認するしかありません

    • Synologyの純正ドライブ縛りは2025年10月に撤回されています。ただしM.2 NVMeの制限は残っています

    はじめの1台を選ぶとき、ベイ数と容量、どちらで迷うことが多いでしょうか。


    参考・引用元

    メーカー公式

    価格・レビュー


    実務で使う書式について

    この連載の内容を、社内でそのまま使える書式にまとめたものを、別のマガジンで公開しています。
    規程のひな形、対応フロー、チェックシート、報告書式などです。

    実務で使う書式・キット
    https://note.com/yunta_fukurou/m/mfc25857fab40


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    Digital Workplace Architect|社内外のIT・AIの導入と運用 IT・AI・セキュリティと周辺機器の「今さら聞けない」を一次情報で解説。書式・キットも。 Amazonのアソシエイトとして、梟 〜GLEANINGS〜は適格販売により収入を得ています。

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