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『水曜どうでしょう』大泉洋を引き立てたスタイリストが語る4人の素顔|第42夜

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    📖第1夜から読める連載まとめ(目次ページ)

    前回の第41夜↗では、まだ何者でもなかった大泉洋さんが、全国区になる前から持っていた魅力について考えました。

    大泉さんは、スターになったから愛されたのではなく、すでに人を惹きつける何かを持っていた。その魅力を『水曜どうでしょう』が早い段階で見つけていたのだと思います。

    今回は、その「その人らしさ」を別の角度から支えていた人物について考えてみます。スタイリストの小松江里子さんです。

    テレビ番組におけるスタイリストは、本来あまり表に出る存在ではありません。しかし『水曜どうでしょう』では、衣装を用意する人までもが、どこか番組の一部として記憶に残っていきました。

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    99年、衣装について指示をするスタイリスト小松さん
    (引用元:水曜どうでしょう「写真集2」より)

    小松さんのインタビューで印象的なのは、衣装で出演者を作り込みすぎていないことです。

    普通の番組であれば、出演者をより格好良く見せたり、キャラクターを分かりやすくしたりするために衣装が用意されます。

    しかし『水曜どうでしょう』の場合、衣装は4人を別人にするためのものではありませんでした。

    小松さんは、限られた予算の中でリサイクルショップを使い、使えそうなものを探し、出演者それぞれに合うものを考えていたそうです。

    つまり、テレビ用のキャラクターを作るというより、その人がその人のままでいられる服を選んでいたのです。

    だから、衣装を担当していた鈴井さんや大泉さんも、「衣装を着せられている人」には見えません。

    どんな企画でも、あくまで鈴井さんと大泉さん本人がそこにいるように感じられるのです。

    ここに『水曜どうでしょう』らしさがあります。番組は、少なくとも衣装を担当していた鈴井さんと大泉さんを、格好良く見せようとはしませんでした。

    むしろ、格好悪さも、疲れも、文句も、そのまま映していきます。そして、その自然さを衣装の面から支えていたのが、小松さんだったのだと思います。


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    真冬に前枠を撮影するミスターと大泉さん
    (引用元:DVD「カントリーサインの旅Ⅱ」より)

    その関係性がよく表れているのが、『北海道212市町村カントリーサインの旅Ⅱ』の前枠・後枠で登場した王子の衣装です。真冬にもかかわらず、大泉さんは半袖、短パンの王子姿で登場します。

    当時の前枠では、鈴井さんが企画のあらすじや見どころを説明し、大泉さんは背景のような役割でした。

    ところが、その王子姿が印象に残り、スタッフたちからも大泉さんは「王子」と呼ばれるようになります。

    ただし、本人は当然寒い。前枠の時点ですでに寒かったものの、大泉さんはそこで何も言わずに我慢していたそうです。そして後枠になって、ようやく思いのたけをぶつけます。

    「今日のスタイリストは死刑!。寒いから。小松くんだったね」。誰も知らないスタイリストの名前が突然出てくるからこそ、そこに笑いが生まれました。

    でも、この一言は、ただの文句ではありません。本当に関係が悪ければ、スタッフの名前を出して笑いにすることはできないはずです。

    大泉さんがその場で小松さんの名前を出せたのは、そこに信頼関係があったからでしょう。

    小松さんも含めて、どうでしょう班の空気の中にいたからこそ、裏方の名前まで笑いとして成立したのだと思います。

    『水曜どうでしょう』の不思議なところは、スタッフが単なるスタッフのままで終わらないことです。

    藤村Dや嬉野Dはもちろん、小松さんのようなスタイリスト、旅をアテンドしてくれたロビンソンさんや、熊谷さん、ニャンさん、などロケ先で出会う人達までも、どこか記憶に残ってしまう。

    番組が人を消さず、その場にいる人をそのまま面白がっていたからです。


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    寒さのあまり、小松さんを死刑に処す大泉王子
    (引用元:DVD「カントリーサインの旅Ⅱ」より)

    小松さんは、衣装で鈴井さんや大泉さんを別人にしたのではありません。むしろ、その人らしさが自然と伝わるような衣装を選び続けていたのだと思います。

    そして、その自然体な空気が、藤村Dや嬉野Dも含めた「どうでしょう班」全体の雰囲気として、視聴者に伝わっていたのでしょう。

    大泉さんは大泉さんらしく、ミスターはミスターらしく、藤村Dと嬉野Dも、それぞれの空気を保ったまま画面に映る。

    だから私たちは、作られたキャラクターではなく、本当にそこにいる人たちを見ているように感じられたのでしょう。

    30年経っても『水曜どうでしょう』が古びない理由は、流行の衣装や時代の演出に頼っていなかったからかもしれません。

    そこに映っているのは、その時代のテレビ的な正解ではなく、その人自身です。だから今見ても、古いというより懐かしく、作り物というより友達に会いに行くような感覚になるのだと思います。

    スタイリストとは、本来なら出演者を整える仕事です。でも小松さんは、4人を整えすぎなかった。

    むしろ、4人の不完全さや自然さを、そのまま残す方向で支えていたように見えます。

    その結果、『水曜どうでしょう』は出演者だけでなく、裏方まで含めて愛される番組になっていきました。

    私たちは、王子の衣装そのものを覚えているのではありません。その衣装に文句を言う大泉さんと、それを笑いに変えられる関係性を覚えているのです。

    小松さんは服を選んでいた人でありながら、同時に、どうでしょう班の人間関係を支えていた一人だったのだと思います。

    だからこの番組は、30年経った今でも、4人だけでなく、その周りにいた人たちごと愛され続けているのではないでしょうか。


    (※記事中の画像は、作品紹介および考察を目的として、解像度を下げて引用しています。著作権は各権利者に帰属します。)


    次回、第43夜は「旅番組になる前、彼らはなぜアーティストに会い続けていたのか」について考えていきます。

    この連載は、これからも『水曜どうでしょう』の魅力を一つずつ読み解いていきます。「❤️スキ」「👤フォロー」で応援いただけると励みになります。


    📌今回の内容を踏まえて、皆さんは……

    A:出演者だけでなく、スタッフまで好きになってしまう番組が好き
    B:裏方はあくまで裏方でいてほしいと思う

    どちらに近いでしょうか。理由もあればぜひコメントで教えてください。
    (コメントには必ずご返信させていただきます)
    今後の『水曜どうでしょう』考察の参考にさせていただきます。


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    ■運営者(ユウナ)について
    このnoteでは『水曜どうでしょう』をテーマに執筆しています。以下の別アカウントでは、普通の会社員だった私が、FIREを達成するまでの資産形成の実体験を記録しています。

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