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このおっさんは、なぜかモテる 21 40歳で独身な係長を、なぜか奜きになっおしたう女の子たちの366日

    第21話「六月䞉日、颚宮なら、できる」
     
     
    六月最初の月曜日、私たちは課長に呌ばれた。
     
    蚭蚈郚、営業郚、総務郚などに散らばった新入瀟員人ず、五月に途䞭入瀟しおきた怎名さん。
    合わせお人が、蚭蚈䞀課の課長宀に集められおいた。
     
     「来月、䌚瀟ずしお参加するコンペがありたす。 君たちはそれぞれ案を考えお、金曜日にプレれンをしおもらいたす。 その䞭から、我が瀟の代衚を遞ぶこずにしたす」
     
    プレれン  。
     
    課長宀を出るず、怎名さんが隣にきた。
     
     「颚宮さん、そんなにきれいなんだから、きっずプレれンも䞊手いんだろうなヌ」
     
     「  そんなこずないですよ」
     
    たた倖偎の話。
    プレれンが䞊手いかどうかず、倖芋がどうずかは、関係ない。
     
    私は人前に立぀のが苊手だ。
     
    小さいころからずっずそう。
     
    廊䞋を歩けば振り返られお、黒板を消すために前に出れば、教宀䞭が䞀斉に私を芋た。
    発衚をしおいおも話の内容を聞いおくれおいる目じゃなかった。
    私の倖偎を芋おいる目。
    それがずっず嫌だったから。
     
    ◆
     
    火曜日の倜、20時過ぎ。
     
    い぀の間にかフロアは二人だけになっおいた。
    銬平係長は自分の仕事をしおいお、私はコンペの案を考えおいた。
     
    でも頭の䞭がたずたらない。
    案を考えようずしおも、プレれンのこずが気になっおしたう。
    同期たちの芖線ず審査員たちの芖線が、䞀斉に私に来る。
    その堎面を想像するだけで、お腹の䞭が冷たくなっお、泣きそうになった。
     
        。
     
    気づいたら、私は係長の暪に立っおいた。
     
     「私、人前で話すの、苊手なんです  」
     
    情けない  。
     
    係長が図面から目を䞊げた。
     
     「い぀もの通り、俺に説明しおくれればいい。 俺は審査員垭に座っおいる」
     
    そう蚀っお、係長はたた図面を芋た。
     
    私はしばらくその暪顔を芋おいた。
     
     係長に  
     
       い぀ものずおり、私が係長に。
     
    そう思うず顔が熱くなった。
     
    ◆
     
    氎曜日の午埌。
     
    曞庫で、係長が資料を探しおいた。
    私は途䞭たで仕䞊げたプレれンの絵を持っお、係長に声をかけた。
     
     「あの、私の、芋おください」
     
    係長が振り返った。
     
     「颚宮の、䜕をだ」
     
    その蚀葉で思い出した。
     
    この曞庫で、脚立から萜ちそうになっお、
    スカヌトが捲れ䞊がったお尻。
    党郚。
     
    顔が䞀瞬で熱くなった。
     
    係長が瞬間的に目を逞らしお、曞庫の䞭が静かになった。
     
     「  私の、絵、です。 プレれンの」
     
    なんずか声を出した。
     
     「あ、ああ」
     
    係長が黙っお、プレれンの絵を芋おくれた。
    しばらくしお、
     
     
     「お前の芖点が、ちゃんず出おいる」
     
     
    もう資料の棚を芋おいる。
     
     ――芖点がちゃんず出おいる
     
    普通なら耒めおいるのかどうか、よくわからない蚀い方。
    でも係長が「ちゃんず」ず蚀うずきは、それでいいずいうこずだず、もう知っおる。
     
    曞庫を出たら、お腹の奥が枩かくなっおた。
     
    ◆
     
    朚曜日の倜、やっずプレれンのスラむドが完成した。
     
    ノヌトパ゜コンの画面を閉じお、怅子の背もたれに寄りかかる。
    やるだけのこずはやった。
     
      でも、たた手が震えおきた。
     
    ◆
     
    ぀いに金曜日がやっおきた。
    プレれンは午埌の二時から。
     
    昌䌑みになっおコンビニでサンドむッチを買ったけど、食べる気になれなかった。
    私はほずんど無意識に、あの现い路地に向かっおいた。
     
    係長がい぀もおにぎりを䞀人で食べおいるずころ。
    入瀟した初日、この路地で係長にぶ぀かった。
    い぀も係長がいるずころ。
     
       。
     
    今日は、いなかった。
     
    石の花壇に腰を掛けお、サンドむッチの袋を開けた。
    ひず口かじる。
    そのひず口分を飲み蟌もうずしたけど、喉の手前で止たっおしたった。
     
    袋を膝の䞊に眮いたたた、空を芋䞊げた。
     
    今日のプレれン。
    前に立ったら、人分の芖線ず審査員たちの芖線が党郚、私に来る。
    その堎面を想像するず、胃がじわっず冷たくなった。
    たた手が震えおきた。
    膝の䞊の袋を、ぎゅっず握った。
     
    そのずき――
     
      ――私の隣に、どかっず。
     
    係長
     
    フロアにいるずきよりも、指導しおもらうずきよりも、ずっず近く。
    肩が圓たりそうなずころに、係長が座った。
    觊れおはいないけど、係長の枩もりが空気を通しお䌝わっおきた。
    ゞャケットの袖ず私の腕のわずかな隙間、そこから確かに䌝わっおきた。
     
       錓動が速くなった。
     
    係長は前を向いおいる。
    ビニル袋からおにぎりを取り出しお、静かに食べ始めた。
     
    私のほうは芋なかった。
    䜕も蚀わなかった。
    ただ隣にいおくれた。
     
      。
     
    しばらくしお、係長が前を向いたたた静かに蚀った。
     
     
     「倧䞈倫。 颚宮なら、できる」
     
     
    い぀もの䜎くおよく響く声。
     
     そうだ。
     い぀も通りに、係長に説明すればいいんだ。
     
    冷たくなっおた胃のあたりが枩かくなった。
    手も枩かくなっお、震えが止たった。
     
    気づいたらサンドむッチを飲み蟌んでいた。
    さっきは喉を通らなかったけど、今なら食べられる。
     
    しばらく黙っおいた。
    係長はおにぎりを食べおいお、私はサンドむッチを食べおいる。
     
    䞀人じゃない。
     
    ◆
     
    午埌二時、䌚議宀に人が集たった。
     
    各郚眲の郚長ず課長、そしお銬平係長が、審査員垭に䞊んでいる。
     
    順番はくじ匕きで決めた。
    私は䞃番目。
     
       。
     
    䞉番目の怎名さんが、堂々ずプレれンを始めた。
    声が倧きくお、資料の芋せ方もうたくお、審査員が党員うなずいおいた。
     
    プレれンを終えた怎名さんが満足そうな顔で垭に戻るずき、䞀瞬、目が合った。
     
       。
     
     。
     
    六番目が終わった。
     
    私の番  。
     
    立ち䞊がっお前に出た。
    䌚議宀䞭の目が、私を芋た。
     
        っ
     
    党身が冷たくなっお、震えだした。
    ノヌトパ゜コンにUSBを挿そうずしたけど、手が震えおうたく挿せない。
    深呌吞をしようずしたけど、息が吞えない  
     
       助けおっ
     
    私は必死に係長を探した。
     
       どこ
       係長
     
    胞が苊しくなっおきた。
     
       係長、  係長っ、  銬平係長
     
     お願い  
     
    涙が出そうになった、その瞬間――
     
     ――いちばん端に、係長が座っおいた。
     
    じっず私を芋おいた。
    い぀もの優しい目で。
     
    この目だ。
    私はこの目を芋぀めお、この目だけに、話せばいい。
     
    深呌吞をした。
    息が吞えた。
     
     「蚭蚈䞀課の颚宮しおりです。 コンセプトをご説明したす」
     
    係長に話す぀もりで、プレれンを始めた。
     
     「心地よい䜏空間ずは  」
     
    四枚目のスラむドを説明しおいるずきに、声が震えた。
    それに気づいたら蚀葉が止たっおしたった。
    頭が真っ癜になった。
     
       っ
     
    慌おお係長の目を芋぀めたら、
    係長は小さくうなずいた。
     
     ――倧䞈倫
     
    そう蚀っおもらえた気がした。
     
    蚀葉が戻っおきた。
     
       。
     
      。
     
    䜕分話しおいたのかわからない。
    気づいたら最埌のスラむドになっおいた。
     
     「以䞊です」
     
    䌚堎が静かになった。
     
    終わった  。
    倧きく息を吐いた。
     
    䌚議宀のみんなの顔が、ちゃんず芋えおいた。
    パ゜コンからUSBを抜いたずき、私の手は震えおなかった。
     
    課長が「お疲れ様でした。結果は来週発衚したす」ず蚀うのを聞いお、私たちは䌚議宀を埌にした。
     
     「颚宮さん」
     
    振り返るず怎名さんだった。
     
     「やっぱり颚宮さんは埗だな、ああいう堎。 華がある」
     
     「  そうでしょうか」
     
     「いや本圓、華がある」
     
    私は頭を䞋げおおいた。
     
    䌚議宀を出るず、玲さんが廊䞋で埅っおくれおいた。
     
     「しおりちゃん、どうだった」
     
     「なんずかできたした」
     
    「よかったねヌ」ず笑っおくれた。
    私も笑った。
     
    ◆
     
    胞の錓動はただ少し速い。
     
    係長に䌚ったら、たず蚀おう。
     
     「ありがずうございたした」
     
    そう蚀おう。
     
    ――倧䞈倫。 颚宮なら、できる
     
    あの䞀蚀がなかったら、私はきっず最埌たで話せなかった。
     
    廊䞋を歩いおいるず、埌ろで扉の開く音がした。
    郚長たちに囲たれるように、䌚議宀から係長が出おきた。
     
     あ  
     
    思わず䞀歩、螏み出した。
    ありがずうございたしたっお、䌝えたかった。
     
    そしたら  
     
     「銬平君、このあず、もう少しいいか」
     
     「はい」
     
    係長はそのたた郚長たちず向こうに歩いおいった。
     
     「係長  」
     
    私はその背䞭を芋送るこずしかできなかった。
     
       たたあずで蚀おう
     
    そう思っお、゚レベヌタヌに乗った  


    ▌第22話「六月䞃日、芋぀けられなかった」 ※月日金、20時公開


     
     
    ほっこりする恋愛コメディを曞いおいたす。 人を奜きになる理由ず、人を倧切にする理由。 最埌たで読み終えたずき、倧切な人のこずがもっず奜きになっおお、もっずもっず、倧切にしたくなっおる。 そんな物語を曞いおいたす。

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