
glorious days~父とわたしたちの時間⑬あの子たちには、会わせられない
【お読みいただく前に】
このシリーズには
医療現場での実際の様子や
看取りや葬儀に関する
具体的な描写が含まれます。
読んでいてつらくなりそうな方は
ご自身のタイミングで
そっと閉じてくださいね
わたしには、
20代の双子の息子と娘がいる。
ふたりとも社会人、
家から離れ、
それぞれの場で頑張っている。
父は、
息子と娘を、
ほんとうに、かわいがってくれた。
赤ちゃんの頃、
息子は、父のおなかの上で
安心して、よく眠っていた。
父の好きなゴルフを
息子も始めて、
父、母、妹、息子で
三世代ゴルフを回れたことが
どんなにうれしかっただろう。
娘は、
なぜか父とウマが合い、
仕事で中国赴任経験のある父が
中国語でLINEを送ってきても
うざがらずに返信してあげていた。
娘の一番古い記憶は、
2歳くらいの時、
海でおぼれそうになった娘を
父が拾い上げてくれたこと。
父が倒れて、面会したとき。
もう、元の父には戻らないと
一目でわかったほど、
父の見た目は変わってしまっていた。
鼻にチューブが入って、
酸素マスク。
からだは、やせ細り、
口をあけて、
いびきをかき、
痰がからんで。
わたしでさえ、
少しショックを受けたのに、
この姿を
息子と娘が見たら、
相当、つらいだろう。
息子と娘の中の
おじいちゃんを
壊したくない。
息子と娘を
傷つけたくない。
そう思ってしまった。
あの子たちを
父には、会わせられない。
母親のエゴだけど、
そうしようと思った。
「おじいちゃん、
厳しい状態なんだ。
もう、あなたの知ってる
おじいちゃんには、
会えないと思う」
息子と娘に、
そう、伝えた。
「声は聴こえている
みたいだから、
LINEのボイスメッセージ
お願いするかもしれない。
そのときは、よろしくね」と
ふたりに伝えていたのに。
頼むタイミングを逃してしまい、
最愛の孫の声を
父に聴かせることが
できなかったのが、
わたしの、唯一の後悔。