
『悲劇でなく、喜劇を。』#22もしも、あの夜に蛍が舞うなら。
じいちゃんはひ孫の存在を知らない。
父方の祖父だ。
いや、夢に出てくるくらいだから
きっともう知っていて、
ずっと見守ってくれているのかもしれない。
双子が生まれた時、
じいちゃんはもうこの世にはいなかった。
もし生きていたら、嬉しそうに交互に2人を抱っこしたのかな。
私にしてくれたように、自転車の乗り方を教えてくれたり
蛍の夜に、連れてってくれていたのかな。
双子に障害がわかった時、
じいちゃんが死んでいてほっとした。
笑顔をはぎ取る人は、少ない方が良い。
ましてや、孫の私を溺愛していたじいちゃんだ。
障害なんて受け入れられないだろう。
ただ思う。
三男には、じいちゃんがいて欲しかった。
頭を撫でて欲しかった。
力加減が下手くそで、
私の小さな手を痛いくらい握りしめていた
あの手で。
何の根拠もないが
愛されていたと信じられる
不器用な愛を
目一杯感じて欲しかった。
ネギ坊主を持った三男と、
手をつなぐじいちゃんを想像する。
たぶん、2人は笑ってる。
蛍の舞う夜に。
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