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【完結枈】青い舌なめずり「虹行きの切笊」ep.5

    よもぎ

    俺は青い氷を぀぀いおいる。
    氎色のキッチンカヌに貌られた「完売埡瀌」の橙色の䞞文字を睚み぀けながら。

    ──Sinking into the blue青に沈んでゆく.

    歌声がベタ塗りの青空を透かしおいく。

    「怋。」
    歌は、止たない。
    青い静脈の銖が汗ばんでいる。

    「怋」
    陜の光に色を抜かれた髪が、埮颚に揺れおいる。

    「おい 怋」
    睫毛の先で、光が割れた。

    「呌んでんだよ、䜕で無芖すんだよ。」
    「はい」
    「はい じゃねえんだよ」
    「人聞きの悪い  本気でおっしゃっおいたすか 僕が君を無芖したず。」
    「だっお、しただろ。」
    「いいえ。僕は君の目を芋おいたしたよ。」
    「気付くわけねえだろ それなりに距離あんだから。」
    光ず熱で痛む目頭をおさえる。
    「そもそも、君が僕を远いやったんじゃありたせんか。」
    癜石は自分がもずいた堎所を指さした。
    そこにはもう、赀ず黒のツヌトンカラヌの頭の男が座っおいる。
    腰を浮かしおアスファルトを叩き぀぀、なんかぬるくね などず連れらしき女ず笑い合っおいる。

    「どうでしたか、僕の歌声は。」
    感想に぀いおは差し控えさせおいただいた。
    「お前、本圓あの曲奜きなんだな。」
    ぞぞぞ、ず笑うず途端にガキみたいな顔になる。
    こういう時だけは劙に人間味がある。

    「で、䜕か埡甚ですか 君のこずです。よもや、八぀圓たりのために呌び぀けたわけではないでしょう」
    「八぀圓たり  」
    䞀䜓なんの話だ。
    「はあ  立川なら䞉癟円で買えるのに、なヌんでテヌマパヌクにきた途端、八癟五十円になっちゃうんだ 俺の䞀時間分のバむト代  」
    「やめろっお。」
    「違いたすか」
    違わない。
    確かにその通りだ。
    八癟五十円、たさにそれは俺の時絊だ。
    隒ぐガキどもをかき分けステヌキを運び、芋たくもないタルタル゜ヌスを゚ビフラむの暪に添え、ドリンクバヌでもた぀く爺さんに怒鳎り぀けられ、やっずの思いで手にした八癟五十円だ。
    だがしかし、今、別にそんなこずは思っおいなかったぞ。
    人の心に靎を脱いで䞊がり蟌み、あっずいう間に隠し扉を芋぀け出し、導火線に火を攟぀。

    「た、たあ  」
    「ああ  よもや、の方だったのですね  」
    「誀解だよ」

    高原地垯のくせに、どうしおこうも熱が籠るんだ。
    異垞気象で山梚県党域盆地化蚈画でもなされたんじゃあるたいな
    どうにも頭がくらくらしおきた。
    なんだ  俺はなぜやたらめったらこの男の名前を叫んでいたんだ  

    ぜたり、ず膝に氎が萜ちた。
    じゅっず音がしお、熱が鎮たる感芚があった。

    「食う」
    「食いたせん。」
    奎は食い気味に答えた。
    食わないこずを、食い気味に答えた。
    どういうわけだか、口の片端にだけずんでもなく笑いが蟌み䞊げた。
      っお、食わないのか。

    俺の手は、ブルヌハワむシロップたっぷりのかき氷のカップを握り蟌んだたた小刻みに震えおいる。

    「君、そういうのは口を぀ける前に蚀うものですよ。」
    どの口が蚀っおんだよ。
    お前、䞀幎の終わりに  
    ああ、やめだやめだ。
    思い出したくもない。
    俺は芋おいない。
    断じおそれは芋おいない。
    そう、知らない。
    知らないこずになっおいる。

    「そりゃあ、どうも。倱瀌したした。」
    腹立ち玛れに、荒削りの氷をごりごり噛み朰した。

    奎は、くるりず身を翻し俺に背を向け  ようずしたらしい。
    おっず、ず䞀瞬、男の圱が揺れ、そのたた隣に降っおきた。

    「ちょっず、お前。倧䞈倫か」
    「ええ。ご心配なく。」

    俺はもう䞀床、かき氷を差し出した。
    「食えっお。」
    癜石は銖を傟げた。

      俺は隙されないぞ、癜石。
    もうその手には乗らな  い  

    癜石越しに芋える。
    あのツヌトンカラヌの男が女の肩を掎んでいる。
    それ以䞊は蚀わない。
    絶察に蚀わない。

    「  井䞊。」
    なんなんだ。
    䜕の冗談だ、癜石。

    「舌を出しおください。」
    「はあ」
    正気か
    䞀䜓党䜓、どうなっおいるんだ。
    「そのたた」
    新手の匷盗か
    俺の舌は玔金か、それずもプラチナか

    俺は舌を出したたた、固たっおいる。
    無様だ。
    非垞に滑皜だ。

    「僕の舌も、青くしおもらえたす」
    「あ」
    「ですから、僕の舌も、君のみたいに青くしおもらえたせんか」

    俺は極力あの男女を芋ないように心がけた。
    䞀䜓どうしちゃったんだ、癜石。
    おかしい  おかしいぞ。
    いや埅お。
    おかしいのは今に始たったこずじゃない。
    でも、あたりにもおかしいじゃないか

    「井䞊」
    「わかった。わかったから心の準備を  心の準備だけ、うん。」
    なんだ、そのきょずん顔は。
    俺は目を閉じた。

    盞倉わらず、人々の絶叫が聎こえる。
    そしお、蝉の合唱。
    ああ  さようなら、第二の貞操  

    「起きおください、井䞊。」
    目を開けた。
    そこには、きょずん顔のたたの癜石がいる。
    「寝おねえよ 目え閉じろよ銬鹿」
    「  銬鹿」
    「いや、ごめん。銬鹿ではない。うん、断じお銬鹿ではない。」
    「ください  」
    「え」
    「ですから、それ、、。」
    「あ、ああ  」

    これじゃあたるで、逌付けだな。
    俺は癜石の口にかき氷を運んでやる。
    もうほずんど溶けおいたけれど。
    奎は、䞀口飲み蟌むたびに舌を出した。

    「いかがです」
    「ただだ。」
    「どうですか」
    「もう少し  」
    「これなら  」
    「ああ もう 䞀回䞀回、芋せんなっお」

    結局、癜石は溶けた青い氎を飲み干した。
    舌の青さは、きっず俺以䞊だろう。

    目の前を二矜の怋鳥むくどりが暪切った。

    「井䞊  」
    「ん」
    「なにか  匂いたせんか」
    俺はシャツの襟銖を匕っ匵り、錻を近づける。
    こもった熱の匂いがした。

    「ふふ  君、なにをしおるんです」
    「䜕っお  別に。」

    「お腹、空きたせん」
    青い氷が呌び氎になったのか、俺たちの腹の虫はテヌマパヌクに集う人間䞊みに隒ぎ出しおいる。
    そしお甘ったるくなっおいる口は、目でもないくせに目敏く、錻でもないくせに嗅ぎ぀けた。

    「君。塩ですか、タレですか」
    「お前は」
    「では、せヌのでいきたしょうか。」

    ──せヌの  

    「塩です。」
    「タレ。」
    「取り合いにならずに枈みたすね。」
    癜石は笑う。

    「斯かくなる䞊は  」
    「焌き鳥を探せ。」
    珍しく波長が合った。
    噛み合った歯車は、回転数を䞊げ加速しおいく。

    「おヌい、怋 あんた先行くなよ。」
    振り向いた癜石は舌を突き出した。
    青い  

    さっきのかき氷屋の店䞻が忙しなく氷を削る。
    䞃色のシロップが癜い氷を染め䞊げる。

    癜石は幟床ずなく振り向いおは、埗意げに青い舌をちら぀かせた。

    そしお䜕床目だったか。

    「あ、井䞊。撮りたしたね」
    「ああ、撮った。」
    䜕か蚀うでもなく、奎は歩調を合わせ、俺の隣を歩き始めた。
    「なんだよ、急に。」
    「あたり先に行くなず蚀ったのは、君でしょう。」
    けらけらず笑った癜石に、「そうだったか」ず尋ねる。
    するず奎は「僕の勘違いですかね。」ずおどけお芋せた。

    しばらく隣り合っお歩いた。
    少しは同じ景色を芋られるかず思ったのに、奎はおんで関係のないこずばかりを唱えおいた。
    唯䞀、焌き鳥の屋台を芋぀けるずいう共通のミッションで手を繋いで。

    「あ、おい」

    たた奎は走り出しおいる。
    俺はため息も忘れ、远いかけた。

    ああ  腹が枛った。
    か匱き獲物に翻匄される猛獣の劂く俺は呻き、喘ぎ、灌けたアスファルトの䞊を走り続ける。

    ヒヌロヌは、来ない。
    か匱き獲物が、青い舌を出しお蜃気楌の䞭にしゃがみ、手招くのみであった。


    【習䜜でごさいたす。】
    䞀応読切ではあるが、

    ぀ながる。

    ↑
    たずめ読みなら。

    ↑
    これが曞けない時にあげたのがこれ。

    ↑
    普段はこういう恋愛小説ずか、

    ↑
    倧正時代の話を曞いおいる。

    ↑
    去幎ぱッセむずか日蚘ばかり曞いおいた。

    ↑
    山本蛇内様・著
    だるヌんな日々を駆け抜ける、noteに集いし者よ  
    青舌の圌らが匷すぎる

    ↑
    ゆきお様・解説
    そもそも䞻人公は井䞊なの
    たじで
    ずいうずころから解䜓しおいく培底解説。
    曞いた本人すら「そうかも」ずなるずころが面癜い解説です。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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