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【完結枈】焊れる十五秒間「虹行きの切笊」ep.4

    よもぎ

    「井䞊、ちょっずこれ、、、預かっおいただけたすか。」
    「ん。」

    䜕か、恚たれるようなこずをしおしたっただろうか。
    真䞊からじりじりず照り぀ける倪陜に、うかがいを立おる。
    圓然、返事はない。
    自分の䞭にその答えを探ろうにも、身に芚えがあり過ぎる。
    確かな答えは芋぀からない。
    あれやこれやず唱えおは、蚱しを乞うが劂く倩を仰ぐ。
    䞀糞纏わぬ倪陜は、黙ったたた容赊無く熱波ず光線ずを俺の身䜓に撃ち蟌んでくる。

    「なんなんだよ、気䜓のくせに」
    ず、この䞖に生を受けおから幟床目かわからない悪態を぀いたずころで瞳を䌏せた。
    あたりの眩しさに目が痛む。
    瞬たばたきを繰り返す。
    そのたびに黒い圱が珟れおは明滅し、目尻の方ぞず流れおいった。

    目頭を揉たんず頭を䞋げた瞬間のこずだった。
    手指の感芚が鈍い。
    たるで、薄い垃䞀枚隔おたような──

    「は」

    誰か、芋間違いだず蚀っおくれ。
    悪い倢なら芚めおくれ。

    人間なら無尜蔵ずも蚀えるほど歩いおいる。
    しかし、誰もが自分のこずで粟䞀杯で、俺の声がその耳に届くこずはない。

    声に出さずにいる蚀葉、届く圓おのない願い。
    それらは氎䞭での叫びに䌌おいる。
    氎の䞭で暮らすセむレヌンですら、歌う時には氎から顔を䞊げる。
    圌女の矎しい歌声も、氎の䞭では無力なのだ。

    ──蚀っおいる堎合か

    俺はあたりを芋回した。
    遮るものなど䜕も無い、良くも悪くも開攟的な真倏のテヌマパヌク。
    絶叫ず熱狂にたみれた人の矀れ。
    もちろん、セむレヌンの歌声なんお響いおやしない。
    あれはりォヌタヌスラむダヌを滑り萜ちる浮かれ野郎だ。

    「ずりあえず、しゃがめ」
    俺は隣を歩く男を怒鳎り぀けた。
    「え」
    奎は頭をおさえ、空を芋䞊げる。
    「鳶ずんびでしょうか」
    「はあ」
    旋回しおいるのは鳥じゃない。
    人間だ。
    回転ブランコに乗った人間だ。
    「ずいうこずは  」
    頭に眮かれおいた手は腹ぞず滑り降りた。
    「雷」
    空はどこたでも青く突き抜けおいる。
    「断じお違う」
    蚀葉の勢いのたたに、話の通じない目の前のそい぀をしゃがたせた。

    「いいか 䞀瞬で終わらせろ。」
    「䞀瞬  」

    尻もちを぀いたたた、奎は俺を芋䞊げた。
    盞も倉わらず倪陜は、開けっぎろげに燃えおいる。
    その炎は俺の背を灌き、そうしお生たれた俺の圱が奎の身䜓を黒く染めた。

    ヒヌロヌショヌのポスタヌが目に入る。
    俺はベルトのバックルに觊れ、目を閉じた。

    「いや、いい。十五秒、十五秒埅っおやる。」

    ──䞀、二、䞉  

    こんなこずなら、さっき物販でマフラヌタオルを買っおおくべきだった。
    腕を広げた姿勢のたた、頬を䌝う汗を肩で拭ぬぐう。

    ──四、五  

    容赊なく照り぀ける倪陜、悪気なく向けられる芖線。
    そしお、こちらの気も知らずに無防備に俺を芋䞊げるこの男。

    ──六、䞃、八  

    「井䞊  袋が  」
    「ああん」

    なるべく目線を動かさないように、差し出された袋を受け取った。
    汗で手が滑る。
    たかだかセロファンテヌプの䞉点留めが突砎できない。

    「十五秒  」
    「は」
    「十五秒、経ちたした  」

    数えおいる暇があったら──前歯の裏たで出かかった蚀葉をかろうじお飲み蟌んだ。

    ──うるさい  うるさい、うるさい、うるさい


    頭の䞊で、空䞭ブランコが廻る。
    人々の絶叫が降っおくる。
    ぬめる手をシャツにこすり぀けおから、力任せに袋を匕っ匵った。
    袋が裂け、黒い垃が飛び出した。
    「いいから、さっさず終わらせろ」

    俺はもう䞀床、腕を広げた。
    噎き出す汗は頬を぀たい、顎ぞず流れ、アスファルトを濡らす。
    熱ず光が苊しい。
    俺は目を閉じる。
    芏則性をなくした数字だけが喉の奥で積み重なっおいく。

    「どうです、䌌合いたすか」

    その声に導かれるようにしお、俺は目を開けた。

    目の前には、あの男が立っおいる。
    奎は真新しいシャツに身を包み、埗意げに胞を匵っお。

    「䞉十秒オヌバヌ。」
    「え  」
    奎は銖を傟げる。
    「おや、五十䞉秒では  」
    「は」
    奎も、俺も、自分にずっおの巊に頭を倒しおいる。
    浮かび䞊がる圱は「察」になる。
    反察向きに傟いた顔は、悪戯っぜく埮笑んだ。
    かず思えばその圱は、俺の脇をすり抜け駆け出しおいる。

    「おい」

    雑螏に玛れかけた背を、俺は远いかける。

    「井䞊 君の奜きなフロヌズンペヌグルトです」
    奎は逃げ氎ぞず飛び蟌んで、先ぞ先ぞず泳いでいく。
    時折こちらを振り返りながら。

    「埅およ、怋りょう。」

    俺はセむレヌンにはなれない。
    果たしおそれは本圓か

    その背に远い぀いた時、氎はもう枯れ果おおいる。

    「行きたしょう、井䞊。売り切れる前に。」

    なあ、癜石。
    お前、い぀からそんなに走るの速くなったんだ

    額から萜ちた汗が、芖界を閉ざした。


    【習䜜】です。
    なんの話かわかったあなたは察しが良過ぎたす。
    ヒントは冒頭、ヒヌロヌショヌ、黒い垃。

    ↑
    䞀応読切ですが、繋げお読むこずも可胜です。
    これは前話。

    ↑
    たずめ読みならこのマガゞン。

    https://note.com/yomogi_feb/m/m22726f75877d

    ↑
    同シリヌズの完結枈のたずめ読みはこちら。

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    メむンで曞いおいる小説はこちらの「殎り殎られ詩人酒堎」です。
    倧正時代の文孊青幎たちの話。

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    冬の゚ッセむずいうか、悪ふざけです。

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    ゆきお様・解説
    セむレヌンだずかなんだずか叫んだっお、答えはアレじゃないかヌ
    の解説。

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    ラブラドヌルの匂いで肺を満たしたいアラりンドサヌティ。 9歳児に芪育おされおいる本末転倒人間。 文字に嫌われた人間が、し぀こく文字を掻き集める滑皜な姿を東京の片隅からお送りしおおりたす。 ※連茉小説も基本的には䞀話完結ずしお読める構成を目指しおいるので、おじけづくこずなかれ。

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