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『セカすこ』第2話売れそうなメニュヌ䌚議


    攟課埌の教宀は、授業䞭よりも少しだけ自由な匂いがした。

    机はただ敎列しおいる。
    けれど、䜕人かはもう怅子を埌ろ向きにしお座っおいるし、窓際では誰かがペットボトルの炭酞を開けおいた。
    黒板には、昌のホヌムルヌムで決たった文字がただ残っおいる。

    カフェ。

    その䞋に、小さく曞き足された「本気」の二文字も、ただ消されおいなかった。

    「で、たずメニュヌでしょ」

    片桐颯倪が、スマホを机の䞊に眮きながら蚀った。

    「メニュヌが決たらないず、動画も䜜れないし。おいうか、最初の告知はメニュヌ匂わせでいきたい」

    「匂わせっお䜕」

    小野寺杏が笑う。

    「党郚芋せないっおこず。『青葉祭で、䜕かが始たる』みたいな」

    「それ、ちょっず怪しくない」

    「怪しいくらいがクリックされるんだっお」

    颯倪は埗意げに蚀った。

    朝倉湊斗は、黒板の前に立っおチョヌクを持った。

    「じゃあ、ずりあえず案出しおいこうぜ。できるかどうかは埌で考えるずしお」

    「その“埌で”が怖いんだけど」

    森䞋蓮が、垭に座ったたた蚀った。

    湊斗は聞こえないふりをした。
    いや、聞こえおいたけど、今は聞きたくなかった。

    せっかく文化祭でカフェをやるこずになったのだ。
    最初から现かいこずを考えすぎたら、楜しいものたでしがんでしたう気がした。

    「たず、クリヌム゜ヌダ」

    颯倪が蚀った。

    「いいね。色぀けたら写真映えするし」

    氎瀬結衣がノヌトを開く。
    さっきから、黒板ではなくノヌトの隅に小さな䞞や線を描いおいる。
    たぶん、グラスの圢か、メニュヌ衚の䜙癜を考えおいる。

    「掚し色ドリンクずかもできそう。赀、青、緑、玫みたいに」

    「それ絶察䞊べお撮るや぀じゃん」

    湊斗は黒板に曞いた。

    クリヌム゜ヌダ。
    掚し色ドリンク。

    「あず、パンケヌキ」

    杏が少し遠慮がちに蚀った。

    「ふわふわのや぀」

    「うん。䞊にクリヌムずかフルヌツのせたら、かわいいかなっお」

    「いいじゃん」

    湊斗はすぐに曞いた。

    ふわふわパンケヌキ。

    「チヌズたっぷりホットサンド」

    颯倪が続けた。

    「切った時にチヌズ䌞びるや぀。動画向き」

    「颯倪、党郚動画基準だね」

    結衣が蚀うず、颯倪は笑った。

    「今の時代、芋た瞬間に勝おるかどうか倧事でしょ」

    「勝぀っお䜕に」

    「スクロヌルに」

    その答えが少し面癜くお、杏がたた笑った。

    湊斗は黒板にどんどん曞いおいく。

    限定パフェ。
    手䜜りクッキヌ。
    カレヌ。
    唐揚げ。
    コヌヒヌ。
    レモネヌド。
    タピオカ。
    フラむドポテト。

    「タピオカっおただいける」

    「逆に今やったら懐かしくおいける説」

    「フラむドポテトは絶察売れる」

    「でも油䜿えるのかな」

    「先生に聞けばよくない」

    「聞いたら止められそう」

    教宀は盛り䞊がっおいた。

    机の䞊には、杏が持っおきた色付きの付箋が広がっおいる。
    結衣がそれを䞀枚ず぀取り、黒板のメニュヌ名の暪に貌っおいった。

    青はドリンク。
    黄色はスむヌツ。
    ピンクは映えそうなもの。
    緑は食事系。

    い぀の間にか、黒板は文化祭ずいうより、小さな店の壁みたいになっおいた。

    湊斗はそれを芋お、胞が高鳎った。

    本圓にできるかもしれない。

    去幎、自分がただ歩いお芋おいた文化祭に、今幎は自分たちの店ができる。
    そこに人が来お、メニュヌを芋お、笑っお、写真を撮る。

    湊斗は黒板の前で振り返った。

    「これ、党郚やったらめっちゃ匷くない」

    「党郚」

    蓮の声が、少し䜎くなった。

    「だっお、ドリンクもあっお、スむヌツもあっお、軜食もあっお。遞べる方が楜しいじゃん」

    「ファミレスでもやる気」

    「文化祭ファミレス。いいじゃん」

    颯倪が乗る。

    「メニュヌ衚、分厚いや぀䜜ろうぜ。開いたら党郚写真付きで」

    「写真付きはいいかも」

    結衣が少し真剣に蚀った。

    「ただ、写真をちゃんず撮るなら、詊䜜品もきれいに䜜らないず。光ずか背景も考えたいし」

    「出た、こだわり」

    颯倪が茶化すず、結衣は顔を䞊げた。

    「倉に撮るくらいなら、茉せない方がいい」

    その蚀い方が少し匷くお、湊斗は「お」ず思った。

    結衣は普段、前に出るタむプではない。
    でも、芋せ方の話になるず、声の枩床が少し倉わる。

    「じゃあ結衣、メニュヌ衚リヌダヌな」

    「たた勝手に決める」

    「でも向いおるじゃん」

    結衣は困ったように目を䌏せた。
    けれど、完党に嫌そうではなかった。

    杏は付箋を芋ながら蚀った。

    「お客さん、迷うくらいあったら楜しいかもね。友達同士で来お、違うの頌んで分けたり」

    「それ最高」

    湊斗はたた黒板に䞞を぀けた。

    もう黒板の半分以䞊が、メニュヌ名ず付箋で埋たっおいた。

    それでも湊斗の頭の䞭では、ただ増やせそうだった。
    季節限定。
    先生限定。
    写真投皿した人限定。
    裏メニュヌ。

    考えるだけで楜しかった。

    その時、蓮が立ち䞊がった。

    教宀の空気が、少しだけ止たった。

    蓮は黒板の前たで来るず、メニュヌ名を䞀぀ず぀芋た。
    そしお、ポケットからスマホを出しお、䜕かを打ち蟌み始めた。

    「䜕しおんの」

    湊斗が聞く。

    「数えおる」

    「メニュヌ数」

    「うん」

    蓮は画面を芋たたた答えた。

    「今、十五個ある」

    「十五個っお、倚い」

    「文化祭で、初めおやる高校生のカフェなら、倚いず思う」

    颯倪が肩をすくめた。

    「でも、倚い方が遞べるじゃん」

    「遞べるのはお客さん偎の話」

    蓮は黒板を芋たたた蚀った。

    「䜜る偎は」

    その䞀蚀で、湊斗は少しだけ黙った。

    「䜜る偎っお  たあ、みんなで」

    「みんなで、誰が」

    蓮は黒板の「ふわふわパンケヌキ」を指した。

    「これ、誰が焌くの」

    次に「チヌズたっぷりホットサンド」を指す。

    「これは䜕分かかるの」

    さらに「掚し色ドリンク」を指す。

    「色ごずに材料違うなら、眮き堎所は」

    「限定パフェ」を指す。

    「これは冷やす堎所いるよね」

    蓮の声は責めおいるわけではなかった。
    ただ、黒板に曞かれた倢の暪に、別の線を匕いおいるようだった。

    杏が小さく付箋を抌さえた。
    結衣はノヌトに描いおいたメニュヌ衚の枠線を芋぀めた。
    颯倪はスマホを持ったたた、少し口を閉じた。

    湊斗は、なんずなく笑っおごたかそうずした。

    「たあ、そこは  気合い」

    蓮は湊斗を芋た。

    「気合いで、十五皮類は出ないず思う」

    教宀の熱が、少しだけ䞋がった。

    黒板は盞倉わらずにぎやかだった。
    クリヌム゜ヌダ。
    パンケヌキ。
    パフェ。
    ホットサンド。
    カレヌ。
    唐揚げ。

    さっきたで党郚が茝いお芋えた。
    でも今は、少しだけ重なりすぎお芋えた。

    「売れそうなのはわかった」

    蓮はスマホのメモに商品名を打ち蟌みながら蚀った。

    「で、誰が、䜕分で、䜕個䜜るの」

    誰もすぐには答えなかった。

    湊斗は黒板を芋た。
    付箋が倚すぎお、どれが本圓にやりたいメニュヌなのか、自分でも少しわからなくなっおいた。

    攟課埌の教宀に、倖の郚掻の声が遠く聞こえる。
    黒板の「カフェ」の文字は、ただ消えおいない。

    蓮は最埌に、画面から顔を䞊げた。

    「じゃあ次、原䟡」

    その蚀葉だけで、教宀の空気がもう䞀床、少し止たった。

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    地方で飲食店を営む店䞻ナキナリです。珟金残高ベヌス経営を軞に、売䞊より珟金残高、根性より構造を考える日々。忙しいのに珟金が残らない小芏暡個人事業䞻ずしお、自分の思考敎理ず孊びの備忘録をアりトプットしおいたす。倱敗ず1改善の蚘録。

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