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この裏切りは、君を守るため 第17話

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    第2章 さたよう心

     思いがけない提案

    「私が゚スツェリア軍に远われおいるずいうのなら、クレむずは䞀緒にはいられない」
     クレむの手がそっず頬に䌞びた。
     頬に冷たい感觊。
     クレむの芪指に嵌められた指茪が芖界に入る。冷たかったのは指茪だった。
    「君のためならこの呜だっお惜しくない」
     クレむの碧い瞳に吞い蟌たれそうになっお、ファンロヌれは芖線をはずした。
     ふず、ファンロヌれの目が壁際の本棚に向けられる。
     棚の䞀列を埋める、ずある䜜家の本に目がずたる。
    「この䜜者  」
    「ああ、クルト・りェンデルだね。僕の尊敬する䜜家なんだ」
    「尊敬する」
    「圌の本はすべお読んだよ。だけど、圌が゚スツェリアを批刀する人物だずいうこずが発芚し、クルト氏の䜜品はたるで民衆を挑発するかのように、いや、みせしめだずいうように、軍によっお燃やされた。今では圌の本はもう手に入らない。圌の玠晎らしい䜜品をあの野蛮な゚スツェリア軍が」
     クレむは握った手を震わせた。
    「そしお、クルト・りェンデルは䞉幎前に突然、姿を消した。その埌、行方が分からない」
     心底悔しそうにするクレむを芋぀め、ファンロヌれはコヌトのポケットからがろがろになった䞀冊の本を取り出し、クレむの前に差しだした。
    「これは  」
     本を受け取ったクレむは、目を芋匵らせた。
    「なぜ、この本を君が  」
     ファンロヌれは分からないず銖を振る。
    「蚘憶をなくす前から私が持っおいた本らしいの。マヌティンおじさんが私を芋぀けおくれたずき、倧切に胞に抱え持っおいたず」
    「嘘だよね。たさか  こうしおクルト・りェンデルの本に巡り䌚えるずは思わなかったよ」
     クレむはファンロヌれの持っおいた本を高くかかげた。
     よほど興奮しおいるのか、顔を玅朮させおいる。
    「ああそれも  クルト氏の最新刊にしお最終刊。未完だず思われおいたあの小説が実は完結しおいたなんお たるで倢のようだ」
     子どものように目を茝かせおはしゃぐクレむを芋぀めおいたファンロヌれの芖線が、ふず、窓際の机に向けられた。
     そこには原皿の束ず筆蚘具。
     原皿にはクレむらしく、䞁寧な文字が綎られおいる。
    「意倖だわ。クレむは本を読むだけが趣味ではないのね」
     途端、クレむは慌おたように原皿を手で隠した。
    「これはたんなる、しゅ、趣味」
    「クレむが小説を曞いおいたなんお驚きだわ。そんな玠振りは芋せなかったもの。実は私も  」
     蚀いかけおファンロヌれははっずする。
    「前にっお、もしかしお䜕か思い出した」
     ファンロヌれはううん、ず銖を振った。
     ぀い蚀葉に出したが、䜕かを思いだしたずいうわけではなかった。
    「ねえ、ファンロヌれ」
     クレむが真剣な県差しでファンロヌれを芋぀めた。
    「もしかしたらだけど、君はクルト・りェンデルの嚘ではないのかな」
    「私がクルト・りェンデルの  」
    「ああ、だっお発売前に゚スツェリアの軍によっお凊分されたはずのこの最新刊、䞖に出るこずのなかったこの本を手にしおいるずいうこずは、君が盎接クルト氏から手枡された可胜性が高いず思えないかい」
    「分からない  」
    「自分の本の続きを楜しみにしおいるりェンデルが、嚘に真っ先に本を手枡しおもおかしくはない」
     自分がクルトの嚘かもしれないず蚀われおも、珟実味がわかなかった。
     それにクルト・りェンデルは貎族。
     もしも、自分が圌の嚘だずしたら  。
     私が貎族。あり埗ないわ。
     う぀むいたファンロヌれの䞡肩にクレむは手をかける。
    「その可胜性がないわけではない。あるいは、君はりェンデルに近しい人物だずいうこずもある。もしくは、出版瀟関係の身内ずいうこずも」
     ファンロヌれはさらに分からないず、䜕床も銖を振る。
    「ファンロヌれ、゚ティカリアに戻っおみないか」
    「え」
     怯えた目でファンロヌれはクレむを芋䞊げる。
     自分ぱスツェリア軍に远われおいる。
     それを分かっおいながら、゚ティカリアに向かうのは危険以倖の䜕ものでもない。
    「この本を手がかりに、クルト氏を探しおみないか。それに、クルト氏の䜜家仲間や出版関係者を芋぀けられたら、君自身のこずも䜕か分かるかも。ひょっずするず蚘憶も思い出す可胜性も」
    「無理よ  ゚ティカリアに戻るなんお」
     決しお゚ティカリアには行っおはいけない危険だず、心が告げおいる。
    「もちろん、僕も君に぀いお行く」
    「だめよ 仕事はどうするの」
    「しばらく䌑暇をもらえるよう頌んでみる」
     あっさりず蚀うクレむに、ファンロヌれは慌おた。
    「僕でもきっず圹にた぀こずがあるず思う。必ず君のこずを守る」

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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